M&Aとは

M&Aとは?意味と定義

M&A(エムアンドエー)とは「Mergers and Acquisitions」(合併買収)の略で、資本の移動を伴う企業の合併と買収を指した言葉です。

狭義的な意味のM&Aにおいては、吸収合併新設合併などの企業の「合併」と、株式譲渡新株引受第三者割当増資株式交換などの手段を通じた会社・事業の「買収」を指します。広義的な意味では、事業の多角化などを目的とした資本提携(資本参加、合弁会社設立など)を含む、企業の経営戦略を指す場合もあります。

ここでは、M&Aの種類やメリット・デメリット、成約までの流れ・手続きの手順、成功させるための基礎的な知識から、税金・税務・法務などの専門知識、M&A仲介サービスの費用まで、網羅的に解説します。

▷関連記事:M&Aの仕組みとは?企業買収の手法とその種類について

【無料資料】100億円程度の譲渡価額がついた
M&A事例と条件を解説!

【無料資料】100億円程度の譲渡価額がついた M&A事例と条件を解説!

自分の会社はいったいいくらで譲渡できるのか気になる方必見!
本資料では企業価値の算出方法をもとに100億円の価額がつくための条件を解説しています。

・企業価値の算出ロジック算出ロジック
・譲渡価額が100億円程度ついた実際の事例30選
・企業価値評価額100億円の条件とは?

M&Aをご検討の方はもちろん、自社をもっと成長させたい方やIPOをご検討の方にもお役立ていただける資料ですので、ぜひご一読ください。

\ 資料の一部を公開しています /

詳細はこちら

目次

M&Aの目的は大きく分けて4つ

M&Aの目的は大きく下記の4つに分けられます。

  • 事業承継などの後継者問題の解決を目的としたM&A
  • 新規事業などの会社の成長戦略を目的としたM&A
  • 経営再建などを目的としたM&A
  • 個人・サラリーマンの人生戦略を目的としたM&A

後継者問題に悩む企業が増加している状況で、第三者に会社や事業を承継することを目的としてM&Aが活用されています。また、複数の事業を行っている企業が事業の一部を切り離す際にも活用されます。

譲受企業においても、新規事業を立ち上げる際に自社で一から行わずにその事業を行っている企業を譲り受けることで、短期間で立ち上げを実現できます。

その他にも、昨今では個人資産の増加や老後の安定した生活を求めて会社や事業を譲り受けるケースもあります。

それぞれの目的の解説は下記のコラムにまとめてありますので、ご参照ください。

▷関連記事:M&Aの目的とは?買い手・売り手から見るそれぞれの目的について

M&Aのメリット・デメリット

譲受企業と譲渡企業の視点からM&Aを実施するメリット、デメリットを紹介します。

譲受企業(買い手)のメリット・デメリット

譲受企業から見たM&Aのメリット、デメリットは以下の通りです。

譲受企業(買い手)のメリット 譲受企業(買い手)のデメリット
  • 新規事業への参入
  • 既存事業の強化
  • 事業拡大に伴うコスト削減

譲受企業がM&Aを行うメリットは、「事業の成長を加速させる」ことができるという点です。M&Aによって実績のある企業を譲り受けることで、新規事業へ参入する際でも、迅速的かつ効率的に譲渡企業の資産である人材や資源を引き継ぐことができるため、最終的に事業拡大に伴うコストを削減できるのです。

一方で、デメリットは見込んだ利益を出せない恐れがあるという点です。企業にはそれぞれ異なった風土や文化があるため、複数の企業が1つになるためには、長い時間が必要です。譲受企業と譲渡企業がお互いの文化を受け入れつつ、多くのすり合わせを行わなければなりません。

両社の従業員間にある心理的な障壁がなくなり、相乗効果(シナジー)が生まれるまでには、想定以上の時間を要する可能性があります。M&A後の譲受企業と譲渡企業のすり合わせがうまく行かなかった場合、シナジーが生まれない可能性があります。

そのため、譲受企業がM&Aを行う際には、「見込んだ収益が出ないリスクをどこまで軽減させるか」がポイントです。

FUNDBOOKではプラットフォームに登録することで、M&Aアドバイザーが厳選した優良譲渡企業の情報を見ることが可能です。

FUNDBOOKのサービスはこちら(他社の譲受を希望の方向け)

譲渡企業(売り手)のメリット・デメリット

M&Aによる譲渡企業のメリット、デメリットは以下の通りです。

譲渡企業(売り手)のメリット 譲渡企業(売り手)のデメリット
  • 事業承継問題の解決
  • 企業基盤の強化
  • 個人保証の解除
  • 創業者利益の実現
  • 従業員の雇用が守られる
  • 最適な買い手が見つかるかといった問題
  • M&A成約後の従業員と組織の問題

 

譲渡企業のメリットは事業承継問題の解決や企業基盤の強化ができる点です。先述の通り、後継者問題に悩む企業が増えています。M&Aを活用することによって、今までの事業を存続させることができます。また、M&Aで受け取る対価により新規事業を興すためという、資金調達の手法としても盛んに行われています。

一方で譲渡企業のデメリットは、良い譲受企業が見つからないリスクがあるということです。

M&Aの際は、これまでの実績よりも将来性が重要視されることが多いため、自社の事業や業績、市場の動向に注意を払う必要があるでしょう。また、M&Aの手法によっては、従業員は譲受企業と再契約が必要になることもあります。その際に、従業員にとって不利益な契約内容に変更を求められることもあります。

M&A成約後も自社の従業員を守るためには、M&A後の労働条件を確認しておくことが重要です。

FUNDBOOKのサービスはこちら(自社の譲渡を希望の方向け)

▷関連記事:M&Aで譲渡された企業の社員は その後どうなる?給与などの処遇やメリットを紹介
▷関連記事:M&Aのメリット・デメリット 売り手と買い手の視点と、中小企業の事業承継問題
▷関連記事:M&Aにおける買い手の狙いは?目的・メリット・成功事例を紹介
▷関連記事:M&Aの売却時にリスクを減らす方法

上述のようなメリットを期待してM&Aは実施されます。このM&Aには複数の手法があります。以下では手法について紹介します。

M&Aの手法と種類

M&Aにおける手法の種類は以下の図の通りです。一般的な中小企業のM&Aは、狭義的な定義である「企業譲渡」を指し、手法として「株式譲渡」が多く用いられます。第三者への事業承継を目的としたM&Aにおいても、一般的なのは株式譲渡による企業譲渡です。

<M&Aの種類>

▷関連記事一覧:M&A関連の用語解説

M&Aにおいて活用される機会の多い手法は下記の6つです。

株式譲渡

「株式譲渡」は、最も活用されているM&Aの手法の一つです。会社を譲り渡す側の株主が、譲り受ける側に対して50%超の株式を対価と引き換えに譲渡することで承継されます。

▷関連記事:株式譲渡とは?株式譲渡のメリット、デメリットについて

事業譲渡

「事業譲渡」は、企業全体ではなく、特定の事業だけを譲渡する手法です。譲渡企業の経営者が一部の事業だけを譲渡したい場合や、譲受企業が赤字の事業を承継したくない場合などに利用されます。

▷関連記事:M&Aの事業譲渡とは?株式譲渡との違いやメリット・デメリットを徹底解説

株式交換

「株式交換」は、譲渡企業が譲受企業の100%子会社となる会社法上の組織再編行為を指します。

▷関連記事:株式交換とは?メリットから株式交換比率、株価の変動と注意点までを徹底解説

合併

「合併」は、複数の会社を1つの会社に統合することです。合併しようとする会社が全て解散して、合併と同時に新しく設立する会社に解散した会社の資産や権利を承継する「新設合併」と、既存の会社がほかの会社の資産や権利を承継する「吸収合併」の2つに分けられます。

▷関連記事:M&Aにおける合併とは?意味や手続き、種類の違いを解説

第三者割当増資

「第三者割当増資」とは、譲渡企業が新たに株式を発行し、特定の第三者に株式を割り当てることを指します。譲渡企業から出資を受けることにより、財務基盤を強化することができます。

▷関連記事:資金調達の手法、第三者割当増資とは?株式譲渡との違いや注意点の紹介

会社分割

「会社分割」とは、譲渡企業の特定の事業をほかの会社に承継させる手法です。会社分割と同時に新しく設立する会社に切り出す場合を「新設分割」といい、切り離された事業が既存の会社に承継される場合を「吸収分割」といいます。

▷関連記事:会社分割とは?メリットから意味や種類、類型までを解説

M&Aの手順・流れは準備・交渉・最終契約の3フェーズ

次は、M&Aが実際にどのような手順で進んでいくのか、おおまかなM&Aの流れについて概要をご紹介します。

▷関連記事:M&Aの実務とは?中小企業を対象としたM&Aで経営者と担当者のやることや心構え

<M&A成約までの主な流れ>

譲渡企業

M&A仲介会社

譲受企業

準備フェーズ

相談/問い合わせ

M&A
仲介会社

相談/問い合わせ

秘密保持契約の締結・
アドバイザリー契約締結

買いニーズ登録

各種資料の提出

ネームクリア

企業価値評価の実施・
企業概要書の作成

 

ノンネーム登録

ノンネーム検討

交渉フェーズ

秘密保持契約の締結

企業概要書の確認

アドバイザリー契約締結

トップ面談

 

基本合意

 

最終契約フェーズ

 

デューデリジェンス

 
 

最終合意

 
 

最終契約の締結・
クロージング

 
 

ディスクロージャー

 

M&Aの流れ、および期間は以下の記事でも詳しく解説しています。

▷関連記事:M&Aの一般的な手続きの流れ 検討~クロージングまで
▷関連記事:M&Aのスケジュールは?全体の期間とデューデリジェンス(DD)・短期間の事例

基本的にM&Aは①希望条件の整理・②譲受企業とのマッチング・③契約面の交渉、調整の3ステップで行われます。

まず、M&A仲介会社や金融機関に相談をし、自社にM&Aが適切か判断します。その後は自社の希望を整理し、それに沿った譲受企業の提案を受けます。譲渡企業と譲受企業の価値観、ニーズがマッチしていたら自社の企業価値を基にして譲渡価額を決めます。

第三者の専門家による企業の実態調査(デューデリジェンス)をし、契約面や価格調整を行った後に最終的な売買契約が締結されるのです。

M&Aはこのような手順と流れで行われます。M&Aの手続きでは、法律や税金などの専門知識や高い交渉力が求められます。そのため、M&A仲介会社にサポートを依頼して進めることが一般的です。

では、M&A仲介会社に依頼をする場合、どのくらいの費用が必要になるのでしょうか。

M&Aサービス・費用と知っておきたい会計・税務の基本

M&A関連のサービスを利用する場合は、M&A専門のアドバイザリー、仲介、コンサルティングから、証券会社やメガバンクのM&A専門部署まで、M&Aの認知の広がりとともに、多様な業種が参入しています。

M&Aの関連サービスは、仲介サービスが主流となっており、報酬体系(手数料)は概ねイニシャルコスト・マイルストーンフィー・成功報酬の3パターンです。

▷関連記事:M&Aで企業が選ぶべきは仲介会社やFA、マッチングサイトのどれ?
▷関連記事:M&Aにおける銀行の役割とは?成功させるための特徴と注意点を紹介

<M&Aサービスの主な報酬パターン>

イニシャルコスト 相談料・着手金・月額報酬など
マイルストーンフィー 段階的指標を定めて発生する中間報酬
成功報酬 取引金額に応じて報酬料率が変わる(レーマン方式)など

 

M&Aにかかる料金などに不明点がある場合は、相談を無料で行える会社もあるため、早い段階で専門家からアドバイスを受けながら進めることも検討しましょう。

なお「FUNDBOOK」では、成功報酬制を採用しております。また、お客様がM&Aの知識を深め、納得して具体的に検討を進めて欲しいという思いから、相談料・着手金・月額報酬を頂いておりません。

また、M&Aに必要なコストはサービスの利用だけではありません。その要となるのが「会計」と「税務」です。

先述の通り、M&Aには様々な手法があり、どの手法を選択するかによって、譲渡企業、譲受企業の経営者が必要となる仕訳はそれぞれ変わります。

仕訳(会計処理)は主に「個別会計」「連結会計」「税務会計」の3種類

具体的に、M&Aを行う際の会計処理の方法は大きく「個別会計」「連結会計」「税務会計」の3種類に分けられます。

個別会計は、M&Aの対象となる譲渡企業、譲受企業双方が仕訳をし、多くの会計基準が設定されています。

連結会計は、親会社、子会社を一つのグループとして捉えた場合の会計処理です。例えば合併など企業の結合の際には「パーチェス法」が一般的な会計方法とされています。

税務会計は、税法に従って企業の課税所得を決定するための会計です。上述の2つの会計とは異なり、あくまで税法を前提とした会計処理を行います。

▷関連記事:M&Aの費用の相場・目安は?会計処理や仕訳、税務面まで解説
▷関連記事:M&Aと会計。仕訳(会計処理)と税務、のれんの扱い方

相続税や贈与税などに関連する税務

M&Aを行う際に、選択する手法や、相手先=承継先が親族や従業員などの場合と、第三者への場合で課税される税金の種類や費用も大きく異なります。

一般的に課税される税金としては、「相続税」「贈与税」「法人税」「消費税」「登録免許税」「不動産取得税」などがあります。

経営者が得られる取得対価に大きな差が生じるため、税金に関する知識は身につけておいた方がいいでしょう。

▷関連記事:株式譲渡にかかる税金って何があるの?その種類や計算方法を徹底解説
▷関連記事:事業承継にはどれくらいの費用がかかる?
▷関連記事:【株式・事業譲渡などM&Aの税金】節税や税務、最新の税制変更を解説

M&A案件の探し方

最適なM&Aの相手は、M&Aを成功させるために欠かせません。相手探しを自社のみで行うことは、情報漏えいのリスクや候補数に限りがあることなどから難しいといえます。一般的に相手探しの相談先には、銀行や証券会社、弁護士や会計士などの士業、M&Aのマッチングサイト、M&A仲介会社などが挙げられます。

    • 銀行、証券会社

M&Aの専門家による支援が受けられますが、上場企業などの大企業を主としているため、中小規模の企業ではサポートが受けられないことがあります。

    • 弁護士や会計士などの士業

法律や会計の専門的な知識を有しているが、M&Aの全体の支援は受けられないことがあります。

    • マッチングサイト

案件が掲載されたサイトを介したマッチングのみの支援で比較的安価ですが、M&Aの具体的な支援は行っていないことが多いです。

このように、それぞれメリット、デメリットがあります。しかし、譲渡を検討している企業の多くはM&Aが初めてということが多いため、相談から相手探し、法的手続き、成約までサポートを受けられるM&A仲介会社がお勧めです。

また、昨今では、個人による譲り受けや譲り渡しの仲介を手がける業者も存在します。一度、仲介会社に相談し、目的や条件を洗い出し、多くの候補企業から相手探しをすることで、円滑にM&Aを進められるでしょう。

下記で、個人のM&A案件の探し方についてより詳細に説明しています。興味のある方はぜひご参照ください。

▷関連記事:個人のM&A譲渡案件の探し方とは?個人でM&Aを行う場合の注意点や500万円以下でも買える業種をご紹介
▷関連記事:マイクロM&A(スモールM&A)の成功ポイントはアドバイザー選びとマッチング

M&Aアドバイザーが教えるM&Aを成功させるポイント

M&Aアドバイザーが教えるM&Aを成功させるポイント

話を聞いたM&Aアドバイザー


清水 保秀

清水 保秀

取締役

中央大学大学院法学研究科修了。ヤフー株式会社にてネット上の情報流通に関する法制度設計に従事後、アクセンチュア株式会社の戦略コンサルタント等を経て、2011年に株式会社日本M&Aセンターへ入社。多数の国内外M&A案件を手がけるトップクラスプレーヤーとして7年連続で目標達成、毎年昇格を果たす。2018年にFUNDBOOKへ入社。2019年4月、当社取締役に就任。

Q1.交渉を成功させる心構えは?

A.譲渡企業は、「譲り受けてもらえる会社」であることが大切です。

しかしながら、M&Aをはじめると、M&A業務に追われて通常業務がおろそかになり、業績を落としてしまう企業もあります。M&Aの準備をはじめたら、これまで以上に業績を伸ばすことを目指しましょう。そして、譲受企業に「価値のある会社」であることをアピールしましょう。それがM&Aを成功させる秘訣の一つです。

Q2.銀行や会計士などの各相談窓口とM&Aアドバイザーの違いは?

A.M&Aの相談に乗ってくれるのは、M&Aアドバイザーだけではありません。顧問税理士や弁護士、公認会計士、地元の商工会議所や金融機関もM&Aの相談を受け付けています。

しかし、それらはM&Aの専門家ではありません。M&Aの経験がある場合にも、それぞれの専門分野に特化していて、M&Aの手続全体には携わっていないことも多いです。そのため、相談をする際には、経験の有無や何を強みにしているかを確認する方が確実です。M&Aアドバイザーを決めるときは、いくつかの相談先と話してM&Aの知識や経験、人柄などを比較検討してから選ぶとよいでしょう。

Q3.事前準備としてできることは?

A.M&Aを実施する理由や動機、譲れない条件をまずは固めておきましょう。

そうすることで、アドバイザーとの折衝や譲受企業とのマッチングをスムーズに行えます。また、可能であれば自社の株式を集約しておくこともおすすめです。

実際にM&Aを行う際の意思決定がスムーズになり、通常半年から2年ほどかかると言われるM&A実施期間の短縮につながります。また、株券発行会社の場合は、適切に株券が発行されているか確認しておきましょう。

Q4.赤字や債務超過がある場合はどうすればよいか?

A.赤字や債務超過だからM&Aできない、ということはありません。

重要なのは、そのような状態となっている理由や背景です。ここには、投資状況や市場動向、季節要因なども含まれます。

しっかりと理由や原因を整理しておくことで、「自社であれば改善、立て直しができる」と考える譲受企業が見つかる可能性があります。

Q5.従業員への告知はいつ行うべき?

A.M&Aにおいて、従業員への告知タイミングは非常に重要です。

下手な伝え方をしてしまうと、従業員のモチベーションの低下や退職につながる可能性があります。というのも、準備フェーズや交渉フェーズでは、方向性がまだ明確になっておらず、また、交渉の相手方との秘密保持義務の関係もあるため、基本的にM&Aの交渉を進めている旨を従業員に対して正しく説明することが難しいからです。

そのため、M&Aを進めている事実を伝えるのは、最終契約後に行うことが一般的です。告知の際はM&Aの意図と自社に残ってほしい旨を前向きに伝える必要があります。M&Aの意図や従業員が財産であること、今後どうなるのかについて、真摯に説明しましょう。

Q6.事業承継の手段について決めかねている場合は?

A.会社の状況にもよるので、専門家に相談しましょう。

事業承継の手段は3つあります。
親族承継、従業員承継、第三者承継(M&A)の3つです。

後継者がいる場合は親族承継ができます。その方に経営者としての資質があるのか見極めましょう。

従業員承継も同様に、経営者となる資質の有無を問われます。また、今後の経営を長期的に行ってもらうためには、若い年齢であることも重要です。その上で会社を任せるに足る能力を持ち、本人に継ぐ意思があり、そのうえ会社を譲り受けられる財力が必要です。ほとんどの場合、現実的な選択肢とは言えないでしょう。

そのため、親族や従業員に後継者がいない、もしくは継がせたくない場合、第三者への承継(M&A)が最も現実的な手段となります。

その他にはIPOという手段もありますが、IPOには厳しい基準があり、この選択肢を取れる会社は限られます。IPO直後に経営者が引退することも難しいでしょう。

もちろん会社の状況によって判断基準は異なりますので、親族・従業員への承継についても選択肢に入れながら、まずはアドバイザーに相談してみるのはいかがでしょうか。

Q7.どのタイミングで相談すれば良い?

A.M&Aを意識したタイミングで、準備を始めることをお勧めします。

M&Aの成約には一定の期間が必要です。自社にM&Aの必要性が生じてから検討をするのでは、適切なタイミングでの譲渡が叶わない可能性もあります。

アドバイザーに相談し企業価値評価を行っておくことで、自社の現段階の価値を把握できるというメリットもあります。それによりM&Aを実施する最適なタイミングも明確になるでしょう。

後継者不在によるM&Aを検討している方も、イグジットを検討している方も、初期段階で企業価値評価を行っておくことをお勧めします。

▷関連記事:企業価値評価とは?M&Aで使用される企業価値の算出方法

これまでのM&Aと現状・市場背景から見る今後のM&A市場の動向

一昔前までは「身売り」や「敵対的買収」のイメージが強かったM&Aですが、時代の流れと共に変化しています。

これまでのM&Aと現状・市場背景から見る今後のM&A市場の動向

帝国データバンクによる『全国「後継者不在企業」動向調査(2019年)』によると、調査対象の65.2%が「後継者不在」だと回答しました。また、社長の平均年齢である50代で約7割、社長引退の平均年齢の60代で約5割が後継者候補が未定となっています。

参考URL:中小企業庁「2018年度版 中小企業白書 第2部 深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命」」

M&Aが急増している背景

MARR Onlineの調査によると、日本のM&A件数は2018年に3,850件を超え、2019年のM&A件数は4,088件と、2012年以来、8年連続の増加となり、初めて4,000件を突破しました。

中小企業が抱える後継者不在の問題の解決や、新しい事業を興すための資金調達方法といった経営戦略として、M&Aは評価されてきています。

2025年までに、約127万社が後継者不在になるとされています。また、経営者が70歳以上の事業体のうち法人の31%、個人事業者の65%が廃業に追い込まれる可能性があり、累計で約22兆円のGDP(国内総生産)と約650万人の雇用が失われると予測されています。

そのような状況の中で、後継者不在の企業による事業承継や市場の縮小による業界再編が盛んになっているのです。

また、M&Aが急増している背景は他にもあります。

2019年のM&Aの約3割がベンチャー企業の買収です。これは、技術やノウハウのあるベンチャー企業を譲り受けるために、大企業によるベンチャー企業へのM&Aも盛んになっているのです。

廃業と雇用の喪失が大きな課題

上述の通り後継者不在が深刻な問題となっていますが、それに伴い、国内の中小企業では事業が黒字でも廃業せざるを得ないケースが増加しています。

親族や従業員への事業承継が出来なければ、あとは廃業かM&Aという選択肢しかありません。しかし、廃業をすると従業員の雇用など新たに様々な問題が発生します。

M&Aは、もはや大企業間だけのものではありません。中小企業がより成長するための戦略であり、後継者問題を解決する1つの事業承継の手法でもあります。

しかし大企業でさえ、M&Aに慣れた経営者はほとんどおらず、専門のM&Aアドバイザーと一緒に手続きを進めていることがほとんどです。譲渡企業の経営者は、社外のM&Aアドバイザーを活用すると、社内への情報漏洩リスクの回避や、業務上のさまざまなサポートを受けられるといったメリットを享受できます。

M&Aは、企業価値が高いときに行うほど、有利な条件で成約が可能です。少しでも事業承継や事業拡大を検討しているなら、早い段階からM&Aを視野に入れて、専門のM&Aアドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか。

FUNDBOOKではプラットフォームによるスピーディなマッチングだけでなく、条件交渉や契約書の作成など、経験豊富なM&Aアドバイザーが成約まで一貫してサポートいたします。無料で経営個別相談や企業価値算定などを行っているので、M&Aをまだ本格的に検討していないという方もお気軽にご相談ください。

FUNDBOOKのサービスはこちら(自社の譲渡を希望の方向け)

M&Aの歴史

M&Aの歴史

近年のM&A件数の増加を見ると、M&Aはここ最近注目されるようになったと思われることが多いです。

しかしながら、実は日本におけるM&Aの歴史は古く、戦前から企業の成長のために盛んに行われていました。

戦前19世紀末期頃は、成長戦略としてM&Aが活用されていました。経済的な不況が続く中、当時の鐘淵紡績株式会社(カネボウ株式会社の前身)は、M&Aを行うことにより企業規模を拡大し続けて、日本最大の企業にまで発展しました。

明治時代~昭和初期になると、三井・三菱・住友などの財閥による敵対的な買収を含めたM&Aが積極的に行われるようになりました。

その背景には、第一次世界大戦の特需により電力の需要が高まったこと、関東大震災による火災で多くの犠牲者が出たことで、安全な電力の需要が高まったことが挙げられます。その結果、電力業界の組織提携が盛んに行われるようになりました。当時、電燈から電動機への移り変わりによる影響などで約850社もの電力会社が乱立していましたが、M&Aが多数行われたことにより、最終的に5つの電力会社に集約されました。

1930年代になると、経営破綻した企業の再生を目的としたM&Aが国策として推進されるようになりました。当時の新興財閥であった鈴木商店の一事業部がM&Aを行うことによって、現在の双日株式会社、サッポロビール株式会社、帝人株式会社、株式会社神戸製鋼所、日本製粉株式会社等を再生させた経緯があります。これを支えたのが当時のIPOブームと「株式交換」の活用です。新興財閥による戦略的なM&Aは日本が昭和恐慌からいち早く抜け出せた要因の一つとなりました。

日中戦争(1936)が始まると、国策に協力する巨大企業を傘下にすることによって財閥の規模は急拡大し、上位30社の資本金のシェアは1937年の26.8%から終戦時には37.6%に達したといいます。

企業の成長戦略や企業再編を目的としてM&Aが行われていましたが、戦後、状況は一転し財閥解体の方向へ舵を切ります。M&Aが戦時体制を支えたという判断から、ホールディングカンパニーや、株式交換などの株式の移転を容易にする手法は全面的に禁止となりました。

1980年代半ばから後半にかけては、急激な円高や国内の株式市場の長期的な好調維持、土地高騰のバブルを背景に、日本企業による外資系企業のM&Aが行われていました。

バブル崩壊後は、企業に多額の借金の負担などがのしかかりました。政府も企業が事業再編を行うための援助として法律の改正や商法導入などを行い、倒産処理過程におけるM&Aの適応範囲を広げました。「事業再編の手段」「大型企業倒産の処理手段」として活用されていました。

そして現在では、後継者不在による事業承継問題の解決や国際競争の激化による業界内再編などを目的としてM&Aが行われています。このようにM&Aは、その時代の情勢に併せて目的は異なりますが、戦前から活用されてきました。

以下の記事で、M&Aの歴史についてより詳細に紹介していますので、興味のある方はぜひご参照ください。

▷関連記事:日本はM&A先進国だった!?戦前の歴史から紐解く日本のM&A

M&Aの成功事例

2019年は過去最高のM&A件数を記録しましたが、すでに2020年も多くのM&Aが行われてます。中には、世間を賑わすようなM&Aも行われました。

ここでは、特に話題となった2020年の国内のM&A事例の一部をご紹介します。

1.アークランドサカモト株式会社による株式会社LIXILビバの完全子会社化(2020年10月予定)

アークランドサカモト株式会社による株式会社LIXILビバの完全子会社化
引用元:http://www.arcland.co.jp/

アークランドサカモト株式会社は2020年6月9日に、株式会社LIXILグループの子会社である株式会社LIXILビバを完全子会社化することを目的として、TOB(公開買付け)を実施することを発表しました。

アークランドサカモトは、新潟県を中心にホームセンター「ムサシ」を37店舗(2020年06月時点)展開しており、ホームセンター業界で売上第11位の企業です。
LIXILビバは、埼玉県に本社を置く、ホームセンターチェーン「ビバホーム」などの運営を行なっている企業です。関東地方を中心に北海道から九州地方まで全国で102店舗(2020年3月末時点)を展開しており、同業界で売上第6位の企業です。

ホームセンター業界の市場規模は、2000年以降横ばいとなっており成熟期に突入している一方、全国のホームセンターの店舗数は緩やかに増加しています。そのため、店舗間での競争が増加している状況です。

また、合従連衡など企業再編による競争も激化しており、単独で競争力を高めていくことが困難になってます。

そのような状況の中LIXILグループは、長年の取引関係があるアークランドサカモトにLIXILビバを譲り渡すことで、本業のハウジングテクノロジー事業とウォーターテクノロジー事業に専念します。

また、アークランドサカモトはLIXILビバを子会社化することにより、日本全国をカバーする店舗網の構築、規模の拡大、共同仕入れによる原価の低減などを図ることが目的です。

2020年3月期のLIXILビバの売上高は1,885億円、同年2月期のアークランドサカモトの売上高は1,126億円で、このTOBが成立した場合、業界第5位の企業となります。買収価額は1,085億円になるとも言われており、2020年に行われたM&Aの中でも特に注目されている事例の一つです。

2.ソニー株式会社によるソニーフィナンシャルホールディングス株式会社の完全子会社化(2020年7月)

ソニー株式会社によるソニーフィナンシャルホールディングス株式会社の完全子会社化
引用元:https://www.sony.co.jp/

ソニー株式会社は、2020年7月に金融業を行う上場子会社であるソニーフィナンシャルホールディングス株式会社をTOBにより完全子会社化しました。

ソニーは2004年に、当時の日本で初めて、保険会社と銀行を傘下に持つ金融持株会社としてソニーフィナンシャルホールディングスを設立しました。

ソニーが持つ人工知能(AI)などの技術と、保険会社や銀行を傘下に抱えるソニーフィナンシャルの金融ノウハウを融合させ、フィンテックを活用したサービスを展開し、安定収入のある金融事業の成長を目的として行われました。

今回のTOBでソニーは社名をソニーグループに変更し、ソニーフィナンシャルホールディングスは上場廃止となりました。これにより、金融事業の経営に直接関与しやすくなります。

新型コロナウイルス感染症などの影響により家電などの主力事業の売上が落ち込む状況の中で、買付価格総額約4,000億円という大型のM&A事例として注目されました。

M&Aの成約事例の一部はこちら

M&Aの成約事例の一部
あるWEB制作会社が、
3ヶ月でスピード譲渡した経緯

譲渡企業:Web制作会社
譲受企業:ITソリューション企業

通常、約半年から2年とも言われる企業同士のM&A。わずか3ヵ月でのスピード成約となったM&Aの仲介アドバイザーを担当した田中が、譲渡企業の元代表取締役社長に「M&Aを検討し始めたきっかけ」や「譲渡後の変化」についてお話を伺いました。

▷このM&Aの成約事例の詳細はこちら

M&Aの成約事例の一部
地域と共に30年、
M&Aでバトンを託した調剤薬局

譲渡企業:若江東大阪ファーマシィ薬局株式会社
(旧:みずほ薬局、現:ak薬局 男山店)
譲受企業:株式会社あけぼの関西

インタビューの舞台は京都府八幡市。「八幡(やわた)」という市名は、市内に鎮座する日本三大八幡宮の一社、石清水八幡宮に由来します。経営に対する想い、文化を重要視し、人を大事にするM&Aがここにあります。

▷このM&Aの成約事例の詳細はこちら

M&Aの成約事例の一部
ファンドと手を組みIPOへ、
上場戦略としてのM&A

譲渡企業:株式会社ビッグツリーテクノロジー&コンサルティ
ング
譲受企業:インテグラル株式会社

M&A成約から半年、BTCオーナーの大木塁会長とインテグラルの取締役パートナーで現在BTCの取締役を務める水谷謙作氏のお二人に、上場戦略としてのM&Aについてお話を伺いました。

▷このM&Aの成約事例の詳細はこちら

FUNDBOOKが仲介・支援したM&Aの成約事例の一部をご紹介いたしました。
他の事例もご覧になりたい方はこちらをご参照ください。

FUNDBOOKが仲介・支援したM&Aの成約事例はこちら