経営・ビジネス

2023/09/25

自社株買いの目的とは?メリット・デメリットから株主への影響を解説!

自社株買いの目的とは?メリット・デメリットから株主への影響を解説!

経営者が行う施策の一つに、「自社株買い」があります。
今回は、自社株買いの目的やメリット・デメリット、株主への影響などを解説します。
自社株買いについての知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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自社株買いとは?

自社株買いとは、企業自ら、自社の株式を市場から買い戻すことです。
通常、株式会社では、資金調達のために株式を発行し、市場へ流通させます。
投資家が株式を買うことで、会社は資金を得ることができます。

自社株買いは、その流れと反対の動きになります。
自社の資金を使って、市場に流通している自社の株式を購入することを指します。

自社株買いの目的

資金調達のために株式を発行したにもかかわらず、なぜ自社株を買い戻すのでしょうか。
自社株買いには、主に以下の目的があります。
・株主への還元
・株価上昇
・敵対的買収への対策
・ストックオプション

近年は、自社株買いを行う企業が評価される傾向にあります。
2019年〜2020年には、NTTドコモやソフトバンクが自社株買いを行い、投資家からの話題を集めました。

自社株買いをすると株価が上がる?下がる?

自社株買いは、株価へ影響を与えます。
結論から言うと、自社株買いをすることで株価上昇につながる可能性が高いです。
なぜ自社株買いは株価上昇につながるのか、その要因を分解して解説します。

ROEが向上する

ROE(自己資本利益率)とは、会社の資本に対して、どれくらいの収益を上げたのか判別する指標です。
ROEが高ければ高いほど、自己資本に対して効率的に収益を上げていることになります。
つまり、「株主から集めたお金を有効に使えている」と判断されるのです。

ROEの計算式は、以下の通りです。
「ROE(自己資本利益率)=当期純利益÷自己資本×100」

例えば、当期純利益が3億円、自己資本が12億円だとしましょう。
その場合のROEは、「3億円÷12億円×100=25%」となります。

ROEを評価する際には、8%以上だと収益性が高いと評価され始めます。
自社株買いを行うと、自己資本が少なくなるため、ROEが向上するのです。
上記の例の場合は8%を大きく上回っているため、「収益性が高い」と言えるでしょう。

PERが低下する

PER(株価収益率)とは、株価に対してどれくらいの収益を上げたのか判断する指標です。
PERが低ければ低いほど、会社の収益に対して株価が安いことを示します。
つまり、「PERが低い」=”投資家目線でお得に変える株”ということなのです。
投資家から注目が集まり、その結果、株価上昇につながる可能性があります。

PERの計算式は、以下の通りです。
「PER(株価収益率)=株価÷1株あたりの利益」

例えば、株価が2,000円、1株あたりの利益が200円だとしましょう。
その場合のPERは、「2,000円÷200円=10倍」となります。

これはつまり、投資家から見て、「投資した資金を10年で回収できる」ということです。
PERの目安は15倍と言われており、15倍以上だと割高・15倍以下だと割安と判断されます。
上記の例の場合は、「割安=投資家目線でお得な株」と言えるでしょう。

PBRが低下する

PBR(株価純資産倍率)とは、会社の純資産に対して株価が何倍になっているかを測る指標です。
PBRが低ければ低いほど、投資家にとって「株価が割安」と判断されます。
純資産に対して株価が割安だと、投資家からの注目が集まるため、株価上昇につながるでしょう。

PBRの計算式は、以下の通りです。
「PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株あたりの純資産」

例えば、株価が2,000円、1株あたりの純資産が1,000円だとしましょう。
その場合のPBRは、「2,000円÷1,000円=2倍」となります。

PBRの目安は1倍と言われており、1倍を下回ると割安な株と判断されます。
上記の例の場合は1倍を上回っているため、「割安ではない」と言えるでしょう。

ただし、1倍を下回る企業はそうそうないのが現実です。
健康的な経営を行い、できるだけ1倍に近づけていれば優良企業と見られます。
また、「0.1倍」のように、1倍をはるかに下回っている場合は、経営が危うい可能性も高いです。

自社株買いのメリット

自社株買いを行うことで、株価上昇につながることを解説しました。
しかし、自社株買いのメリットはそれだけではありません。
ここでは、株価上昇以外にもある、自社株買いのメリットをまとめます。

投資家へアピールできる

前述したように、自社株買いは株価上昇につながる可能性が高いです。
つまり、株式を保有している投資家にとっては、自分の資産が増えるということです。
投資家に対して、「株主を大切にしている企業」というメッセージを与えることができます。

その結果、将来性への期待値が高まり、投資家からさらに株を買ってもらえる可能性もあるでしょう。
このように、自社株買いは、投資家との関係性を高めることができるのです。

敵対的買収を防ぐ対策になる

敵対的買収とは、経営者の合意なしに行われる買収のことです。
ライバル企業の株式を過半数取得し、強制的に経営権を奪う手法です。
「日本では敵対的買収が少ない」と言われていますが、決して他人事ではありません。
また、大企業だけでなく、中小企業でも起こりうることです。

自社株買いをすることで、市場に流通する株式数が少なくなるため、外部から買い占められる可能性が低くなります。
自社で過半数の株式を取得していれば、敵対的買収をされる可能性も少なくなります。また、自社株買いによって株価が上昇すれば、購入者にとってはその分の資金が必要になるということです。
自社株買いを行った企業の株を大量に取得するには、多額の資産が必要になることから、敵対的買収のリスクを下げることができます。

ストックオプションを獲得できる

買い戻した自社株は、ストックオプションとして保管しておくこともできます。
ストックオプションとは、あらかじめ決めた価格で自社の株式を購入できる権利のことです。従業員にストックオプションを付与しておけば、会社が成長したときに自社株を割安で買い、高値で売ることができます。
株価の成長にともない、従業員も自社株の売買で利益を得られる可能性があるため、働くモチベーションにもつながるでしょう。

配当金を節約できる

自社株に対しては、配当金が発生しません。
市場に流通している株式が少なくなることで、配当金を節約できます。
支払う配当金が少なくなる分、会社には資金が残るということです。
その資金を設備投資や、事業の立ち上げなどに使うこともできるでしょう。

自社株買いのデメリット

自社株買いにはたくさんのメリットがありますが、一方でデメリットもあります。
ここでは、自社株買いのデメリットを解説します。

自己資本の比率が低下する

自己資本を使って自社株を取得するため、自己資本率が下がってしまいます。
投資家からすると、自己資本率の低下は財務状況の悪化に見えることもあるため、株主が離れてしまう可能性も考えられるでしょう。
自社株買いを行う際には、自己資本率が高い状態で臨むのが理想的です。

手持ちの資金が減る

当然ながら、自社株買いをするには多額の資金が必要となります。
手持ちの資金を使うことで、経営が悪化する可能性もあります。
設備投資や研究など、将来への投資にお金を使えなくなることもあり得ます。
自社株買いをする際には、タイミングや会社の事業計画をよく考える必要があるでしょう。

自社株買いする際の注意点

自社株買いで失敗すると、企業の財務状況に大きな影響を及ぼします。
ここでは、自社株買いする際の注意点を解説しましょう。

買い付けルールを遵守する

自社株買いを行う際には、財源規制のルールに従う必要があります。
・買い付けの上限金額
・1日の買い付け数量制限

分配可能額を超える自社株買いは、財源規制によって制限されています。
※分配可能額:余剰金の範囲内のこと

もし、無制限に自社株買いを繰り返すと、自己資本の低下によって会社の経営が悪化するでしょう。
あくまでも買い付けルールを遵守し、余剰資金内で行ってください。

自己株式には議決権がない

自社株買いで取得した株式には、議決権がありません。
議決権を目的とした自社株買いはできませんので、注意してください。
また、一気に自社株買いを行なった場合、既存株主の間で議決権比率が変わり、混乱を招く可能性があるでしょう。

取得する割合を見極める

自社株買いの主な目的は、株主への還元や投資家へのアピールです。
財務状況を一気に変えるために自社株買いをすると、市場への影響が大きく、混乱を招くでしょう。
自社株買いをする際には、各所への影響を考慮した上で、取得する割合を見極める必要があります。

自社株買いは株主へどう影響する?

自社株買いが株主へどのような影響を与えるのか理解しておかなければ、投資家へのアピールが失敗する可能性があります。
ここでは、自社株買いが株主へ与えるメリット・デメリットを解説します。

株主にとってのメリット

自社株買いにより、株価の上昇が期待できます。
株価の上昇は、株主の資産も増えるということです。
長期的な株価の上昇は、株主との信頼関係を築く上で必須項目です。
株主への還元策の一つとして、自社株買いは有効でしょう。

株主にとってのデメリット

自社株買いによって株価が上昇した場合、利益確定のための売りが増えるケースもあります。
その結果、一度株価が上昇した後に、大きく下落してしまう可能性もあるでしょう。
そうなった場合、株を保有し続けている株主への損失は避けられません。

また本来、株式は資金調達の手段です。
その手段を自ら縮小するということは、「事業拡大の機会をなくしている」という見方もできます。
自社株買いは、良好な企業経営の上で、初めて好材料と判断されるのです。

まとめ

本記事では、自社株買いの目的やメリット・デメリット、株主への影響などを解説しました。
株主へのアピールとなる自社株買いですが、デメリットや注意点を十分考慮しておく必要があります。
自社株買いを行う際には、タイミングや資金計画をよく検討しましょう。

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