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2024/07/09

M&Aにおける契約書の内容とは?意向表明書や基本合意書についても解説!

M&Aにおける契約書の内容とは?意向表明書や基本合意書についても解説!

M&Aのプロセスは、交渉開始から完了に至るまでに一定の期間を要し、プロセスの進行に伴っていくつかの書面が交わされます。

本記事では、秘密保持契約書、意向表明書、基本合意書、最終契約書の4つの書面について、目的や利点、タイミング、記載内容を詳しく解説します。M&Aを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

なお、法的拘束力を有さない書面もあることにご留意ください。

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M&Aにおける契約書とは

M&Aのプロセスは交渉開始から完了に至るまでに一定の期間を要し、プロセスの進行に伴って、いくつかの書面が交わされます。主な書面は、以下の4種類です。

・秘密保持契約書
・意向表明書
・基本合意書
・最終契約書

なお、書面によっては、作成・交付が省略される場合もあります。本記事では、上記4書面について、交わすタイミングや目的・利点、記載内容などを詳しく説明します。

秘密保持契約書とは

秘密保持契約書とは、秘密情報を外部に漏らさないことを約束する旨を記載した文書です。英語では、「Non Disclosure Agreement(NDA)」や「Confidentiality Agreement(CA)」と呼称されます。

後述する「基本合意書」にも、秘密保持に関する条項を盛り込むケースがあります。

秘密保持契約書に関して詳しく知りたい場合は、以下の記事もご覧ください。
▷関連記事:秘密保持契約書(NDA)-ひな形使用時の注意点 M&Aの情報漏洩対策のために

秘密保持契約書を交わすタイミングと目的・利点

通常、秘密保持契約書は、秘密情報を開示する前に締結します。秘密保持契約書を作成する目的は、秘密情報を定義したり、情報の取扱方法を明確化したりすることです。

契約に違反した場合の損害賠償義務を定めることで、情報漏洩に対する抑止となるのが利点です。

秘密保持契約書の記載内容

以下は、秘密保持契約書に盛り込む要素の例です。

  • 「秘密情報」の定義(範囲を定める)
  • 秘密情報の取扱方法
  • 契約に違反した場合の損害賠償義務
  • 秘密保持契約の有効期限

経済産業省公式サイトからダウンロードできる「秘密情報の保護ハンドブック」に秘密保持契約書のテンプレートが掲載されているので、参考にしてみてください。

意向表明書

意向表明書とは、買い手企業が売り手企業に対して、会社買収や事業の譲り受けに関する意思・条件を示すために提出する書面です。英語では、「Letter Of Intent(LOI)」と呼ばれます。

意向表明書を交わすタイミングと目的・利点

意向表明書は、基本合意書を交わす前の段階で(トップ面談の前後に)交わされるケースが多く見受けられます。

法的拘束力を持たせないことが通例ですが、意向表明書を交わせば意思・条件が明確化され、M&Aをスムーズに実施できるでしょう。なお、交わさないままプロセスが進行する場合もあります。

意向表明書の記載内容

以下は、意向表明書に記載される要素の例です。

・M&Aを実施する目的
・M&Aのスキーム
・譲渡希望価格
・意向表明書の有効期限

意向表明書に関して詳しく知りたい場合は、以下の記事もご覧ください。
▷関連記事:意向表明書とは?記載内容と基本合意書との違い・目的・法的拘束力の有無について解説

基本合意書とは

M&Aにおける基本合意書とは、最終契約に先立って取り交わされる合意書です。譲渡価額、譲渡日、スケジュールなどに関する事項を定めます。これまでの交渉で合意した内容を整理し、M&Aの成立に向けて認識を揃えるのが目的です。

基本合意書は、今後のM&Aにおける取引を円滑に行うために、トップ面談の後に両者の合意事項について専門家を交えて整理し、書面上で合意形成を行います。

基本合意書を交わすタイミングと目的・利点

基本合意書は、一般的にデューデリジェンスの前に記名・捺印されます。
基本合意を締結する主な目的は、譲渡企業と譲受企業がこれまでの交渉で合意してきた内容の整理を行い、M&A成立に向けたデューデリジェンス、最終契約締結、クロージングなどをスムーズに進行させることです。
また、基本合意の締結によって、譲渡企業と譲受企業の取引への前向きな意思を双方が認識できれば、お互いの案件成約への意思を強めることにも繋がります。
デューデリジェンスにかかる費用は数百万円にのぼることもあるため、多大な費用を投下した後で交渉が打ち切りになれば、金銭的に多大な損害を被ることになります。譲受企業側は、こうしたリスクを下げるためにも、譲渡企業に対して独占交渉権を求めることが多くあります。

▷関連記事:デューディリジェンス(DD)とは?種類や手順・費用や注意点【動画付】

基本合意書の記載内容

基本合意書には、その後の取引をスムーズに進めるために事前に専門家を交えて決定した取引条件について記載されますが、一部の項目を除いて法的拘束力を持たせません。
なぜなら、後で行うデューデリジェンスの結果やその後の状況の変化によって取引条件などが変わることがあるためです。しかし、独占交渉権や秘密保持義務などの項目については法的拘束力を持たせることが一般的です。

基本合意書の一般的な記載内容は下記のとおりです。

・M&Aの取引形態
・M&Aの対象範囲
・譲渡日
・譲渡価額
・スケジュール
・デューデリジェンス
・独占交渉権の有無
・秘密保持
・その他の合意事項

・M&Aの取引形態
M&Aの取引形態は株式譲渡や事業譲渡、合併、会社分割など、多数存在します。また譲渡対価として金銭、株式もしくは現物資産など、多様な選択肢がある中でどのような形態を使って取引を行うのかを定めます。

▷関連記事:M&Aの仕組みとは?企業買収の手法とその種類について

・M&Aの対象範囲
M&Aの対象範囲として譲渡企業、もしくは譲渡企業の一部の事業など、様々なケースが存在しますが、双方で合意した対象範囲について定めます。

・譲渡日
株式または事業の譲渡など、双方で合意した取引が行われる日を定めます。

・譲渡価額
譲渡企業と譲受企業が合意に至った価額が定められます。取引条件や価格は、後述するデューデリジェンスの結果を踏まえた交渉や協議により変更できるよう規定するのが通常です。

・スケジュール
最終契約締結、取引実行までのスケジュールを定めます。そのスケジュールはあくまで基本合意締結時点の両者の理解を確認するものであり、一般的に法的拘束力は持ちません。

・デューデリジェンス
デューデリジェンスとは譲受企業が譲渡企業に対して行う調査を指します。その際、会計士や弁護士、コンサルタントなどを活用し、譲渡企業の実態やリスクを財務面や税務面、法務面など様々な側面から調査を行います。
この項目では一般的に、譲渡企業側がデューデリジェンスに責任を持って協力することなどが定められます。

・独占交渉権の有無
独占交渉権とは譲受企業が譲渡企業との交渉を独占して行うことができる権利のことです。この権利を譲渡企業が譲受企業に付与することで、譲受企業は他社を排除して交渉を行うことができるというメリットが生じます。
一方で譲渡企業にとっては、より良い条件を提示する可能性のある他の譲受企業候補者と交渉できなくなる、というデメリットも発生するため慎重にならなければなりません。
そのため、譲渡企業側としては、基本合意を締結するまでに、他の譲受企業候補者から、より良い条件の提示を受けられるようにしておく必要があります。
独占交渉権の期間は2ヶ月から3ヶ月程度までが通常で、お互いが真摯にM&Aを協議する期間を定めます。期間を長く設けると事情も変わり、譲渡企業を過度に拘束することになります。

・秘密保持
デューデリジェンスを通じて得た情報はもちろんのこと、M&Aを検討している事実についても漏洩することが禁止されます。

・その他の合意事項
上記で取り上げられた合意事項以外に、金融機関などからの借入金の取り扱い、役員及び従業員の処遇、譲渡後の事業運営方針、独占交渉権の有効期間など、様々な事項が基本合意書に盛り込まれます。

最終契約書とは

最終契約書とは、M&Aに関する最終的な合意内容(契約内容)を記載した書面を意味する用語です。英語では、「Definitive Agreement(DA)」と呼ばれます。

なお、実際には「事業譲渡契約書」「合併契約書」など、M&Aのスキームを踏まえた名称が付与されるため、「最終契約書」という名称ではない場合がほとんどです。

最終契約書に関して詳しく知りたい場合は、以下の記事もご覧ください。

▷関連記事:M&Aの最終契約書(DA)とは?基本合意との違いや各種項目を弁護士が解説

最終契約書を交わすタイミングと目的・利点

最終契約書を交わすタイミングは、買い手側がデューデリジェンスを完了し、最終契約書に記載する内容の交渉が終わった時点です。最終契約書を交わすと、「クロージング」と呼ばれるプロセスが開始されます。

クロージングとは、事業譲渡・株式譲渡などを実行して、譲渡側(売り手)から譲受側(買い手)に対し、事業や会社の経営権を移転させる最終的な手続きです。

最終契約書を作成する目的は、M&Aの交渉過程で段階的に取り決められた内容を見直したうえで最終的な合意事項を書面に残すことです。

なお、最終契約書の内容は、法的拘束力を有します。相手方が記載内容に反する行為を行った場合は、契約の破棄および損害賠償請求が可能です。

最終契約書の記載内容

以下は、最終契約書に盛り込む項目の例です。

・用語の定義
・契約の締結目的
・当事者(株主など)の名称・氏名
・譲渡価格
・表明保証(契約書に記載されている内容が正しい旨を約束する)
・誓約事項(譲渡日までに実施するべき手続きや禁止事項を定める)
・補償条項(契約上の義務違反や表明保証違反があった場合の損害賠償・補償について定める)
・解除条件

具体的な文言は、社内で丁寧に議論したうえで、専門家(弁護士など)のアドバイスも踏まえて決めましょう。

まとめ

M&Aの契約交渉プロセスでは、秘密保持契約書や基本合意書を交わしたうえで、最終契約書が交わされます。まずは秘密保持契約書を交わしてから、具体的な交渉プロセスに入りましょう。

なお、基本合意書を交わす前に意向表明書が交わされるケースもあります。意向表明書には法的拘束力を持たせないことが通例です。法的拘束力を有さなくても、プロセスをスムーズに進行させるために作成・交付するほうが良いでしょう。

基本合意書はあくまで基本的な事項に関する確認書であり、特定の条項を除いて法的拘束力を持たせないことが通常です。しかし、法的拘束力がないといっても、実際に基本合意を結ぶ際には事前に双方の希望する条件について専門家も交えた上で、何度も交渉を重ねて作成されます。

そのため、基本合意の締結を通じて、基本条件の合意はもちろんのこと、現段階での双方の取引への意思を再確認することで、その後のプロセスをスムーズに進めることが可能になります。

最終的な合意内容が決まったら、最終合意書を作成しましょう。最終合意書の内容は法的拘束力を有するため、相手方に契約を破棄されたり、信義に反する行為があったりした場合は、損害賠償を請求することが可能です。弁護士などの専門家に相談したうえで、慎重に文言を決めてください。

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