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2023/09/26

カーブアウトのメリット・デメリットとは?スピンオフ・スピンアウトとの違いも解説

カーブアウトのメリット・デメリットとは?スピンオフ・スピンアウトとの違いも解説

カーブアウトとは、会社分割の一種であり、親会社が戦略的に子会社や事業の一部を切り離して、新しく会社を立ち上げることです。

大企業では、すべての事業を並行して成長させることが難しく、カーブアウトすることでそれぞれが成長する事例もあります。新会社は、外部からの融資や技術力を得て事業価値を伸ばし、親会社は軸となる事業に集中して取り組めるためです。

本記事では、カーブアウトの概要や手法、メリット・デメリットについて解説します。
事業の拡大に伴い、カーブアウトを検討している経営者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

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カーブアウトとは?

カーブアウトとは、先述の通り、会社分割の一種であり親会社が戦略的に子会社や事業の一部を切り離して、新しく会社を立ち上げることを指します。

似た言葉に「スピンオフ」や「スピンアウト」などがありますが、これらはカーブアウトの手法の一つです。ここでは、カーブアウトの意味やスピンアウト・スピンオフとの違いについて説明します。

カーブアウトの意味

カーブアウトは(Carve out)は、「切り出す」「分割する」という意味を持ちます。事業におけるカーブアウトは、親会社が事業の一部門を切り出し、新会社を立ち上げることです。かつて、不採算事業の切り離しとして利用されていたカーブアウトですが、近年では、会社全体の事業価値を上げるための取り組みとして実施する企業が増えています。

スピンアウトとは

スピンアウトはカーブアウトの手法の一つで、親会社から一切の出資を受けずに新会社を立ち上げる方法です。親会社から完全に独立するため、親会社とは関係性のない会社として経営を進めます。

親会社の影響がないため、自由に外部からの融資や技術を取り入れられますが、親会社のもつ許認可やブランド力などを引き継ぐことはできません。事業によっては再度許認可を取得する必要があり、手間や時間がかかります。

スピンオフとは

スピンオフもカーブアウトの手法の一つで、親会社から出資を受けて新会社を立ち上げる方法です。親会社との資本関係があるため、完全な独立ではなく、グループ会社や子会社として扱われます。親会社の許認可やブランド力を新会社でも利用できるメリットがある反面、外部からの融資を受けるのが難しく、親会社の影響を強く受ける可能性があります。

カーブアウトの手法

カーブアウトの手法は、以下の2種類です。

・会社分割
・事業譲渡

これら2つは、親会社との関係性や許認可の承継可否、必要な手続きが異なります。
下記の表に、2つの違いをまとめました。

会社分割
会社法:組織再編行為
債務・債権手続き:必要(原則)
許認可の再取得:不要(再取得が必要なものもある)
雇用関係の再契約:不要(包括継承)
向いている事業者:大企業、企業規模の大きい中小企業など

事業譲渡
会社法:取引法上の契約(株式の変動を伴わない)
債務・債権手続き:不要
許認可の再取得:必要
雇用関係の再契約:必要
向いている事業者:事業規模の小さい企業

以下では、会社分割と事業譲渡について詳しく解説します。

会社分割

会社分割とは、新しく会社を立ち上げ、親会社が出資する方法のこと。
方法は以下の通りです。

・売却部分を分割する(親会社)
・分割部分の株式を譲渡する(親会社→新会社)

会社法では、組織再編行為と判断され、包括承継が可能です。(包括承継とは、親会社のもつ許認可や雇用関係などをそのまま承継できること。)ただし、承継時に「親会社の負債」といった不要な資産を引き継いでしまう可能性もあります。事前調査をすることで避けられるため、準備を徹底的に進めましょう。会社分割は再契約の手間が省けることから、大企業や事業規模の大きい中小企業など、契約関係が複数ある事業の場合に多く利用されます。

事業譲渡

事業譲渡は、新しく立ち上げた会社に、親会社の事業を譲渡する方法です。譲渡の過程で株式の変動を伴わないため、会社法で組織再編行為とは判断されません。
そのため、許認可や雇用関係もすべて結び直す必要があり、時間と手間がかかります。ただし、必要な事業のみを承継できるため、親会社の負債を背負う必要がない点がメリットです。事業譲渡は、事業規模の小さい企業で個別の手続きが面倒でない場合に、効果的な方法でしょう。

カーブアウトのメリット

カーブアウトには、以下のメリットが期待できます。メリットを理解したうえで実行しましょう。

事業促進ができる

親会社の中で停滞していた事業でも、カーブアウトによって事業促進につながります。カーブアウトでできた新会社は、一から会社を立ち上げる場合と比べて、親会社からの経済的支援や人材の確保が容易だからです。
親会社のもつ許認可や技術力を包括承継できる点は、事業を短期間で成長させる大きなメリットになります。親会社やグループ会社と協力ができる場合や、他社との研究を進められる機会が多いため、大企業に多い事例です。

外部から融資や知識を得られる

カーブアウトによる独立は、親会社との関係性がなくなります。すると、特にスピンアウトの場合は、外部の機関から融資や知識を得られるきっかけが増えるでしょう。親会社の中では、資金不足で達成できなかった技術調達が可能になることで、新しい視点の商品開発や経営ができ、事業が活性化します。

実際に、「株式会社東芝」では、細胞培養管理事業をカーブアウトして新会社である「Cytoronix社」を設立しています。Cytoronix社は、Beyond Next Ventures社とともに出資を行い、細胞培養研究を続けたことで、再生医療分野の発展に貢献しました。事業撤退や縮小をせず、カーブアウトしたからこそ今も事業が拡大しています。

親会社は事業に集中できる

カーブアウトをすることで、親会社は自社の軸となる事業に注力できます。カーブアウトする事業は、一般的に親会社での成長が見込めない事業、もしくは成長可能性はあるが現時点では注力できない事業であることがほとんどだからです。
事業を切り離すことで、割いていた人材を自社の軸となる事業に取り込めるため、親会社の成長を促進できます。新会社と親会社がお互いに協力しながら事業促進ができ、それぞれの企業価値や利益も高まる可能性があるでしょう。

カーブアウトのデメリット

カーブアウトには、以下のようなデメリットもあります。
メリットだけでなく、デメリットにも目を向けて理解を進めましょう。

外部介入による事業の複雑化

カーブアウトは、外部の融資や技術を取り入れられるメリットがある一方、外部の介入によって、意思決定に時間がかかるようになる可能性があります。親会社だけで進めていた内容を新たな株主に共有・確認する手間が増えるため、事業の円滑化に支障が出るかもしれません。
意思決定の権利関係を複雑にしないためにも、外部と契約する場合は、経営に関する契約内容について、株主譲渡をする場合は持ち株比率に考慮しましょう。

認可の取得に手間がかかる

カーブアウトの手法によっては、親会社の許認可を引き継げない場合があります。事業によっては、新会社を立ち上げた際に新しく許認可を取得しなければなりません。
たとえば、宅地建物取引業や貸金業の登録、一般自動車運送事業や旅館業の許可などです。許認可は、申請する場所や期間が異なり、独立するまでに揃えなければなりません。許認可の多い事業では、届出をする期間が原因で事業が一時停滞してしまう可能性もあります。

離職率が高まる

カーブアウトをすると、親会社と新会社に人材を割く必要が出てきます。特に、人事や総務などのポジションは新会社を経営していくためにも重要なため、人事異動が活発に起こりやすくなります。
人事異動によって、従業員のモチベーションが下がる可能性もあるでしょう。親会社での就職で自身のキャリアプランを描いていた人にとって、新会社への異動はモチベーション低下の原因になるためです。人事異動の際には、従業員の意向に耳を傾けながら慎重に行うことが大切です。

カーブアウトの事例

ここでは、日本企業が実施したカーブアウトの事例を3つ紹介します。

ソニー株式会社とVAIO株式会社の事例

VAIO株式会社は、2014年にソニー株式会社からカーブアウトした事業部です。カーブアウトの理由は、ソニー株式会社の経営悪化です。その後、VAIO株式会社はPC事業に集中して事業展開を行い、企画や設計、製造からアフターサービスまで、一貫したワンストップ体制を取っています。結果として、ソニー株式会社から独立して2年で黒字を達成し、現在は海外事業も展開しています。

株式会社富士通研究所と株式会社QDレーザの事例

株式会社QDレーザは、2006年に株式会社富士通研究所からカーブアウトした会社です。独立後は、世界で初めて-40~100℃で動作する光通信用量子ドットレーザーを開発したり、光通信用10Gbpsの量子ドットレーザーを世界で初めて実用量産化したりと、広い分野で半導体レーザーの技術力を発揮しています。
カーブアウトしたことで、東京大学との共同研究契約を締結し、総額7億円もの資金調達を実現しています。

株式会社NTTドコモと株式会社JTOWERの事例

最近の事例では、2022年に株式会社JTOWERが株式会社NTTdocomoの通信鉄塔をカーブアウトしました。カーブアウトの目的は、インフラシェアリングの活用です。インフラシェアリングとは、違う通信会社同士が通信設備を共有する取り組みのこと。株式会社JTOWERは、楽天モバイルやKDDIとも資本・業務提携を結んでおり、通信鉄塔移管を本格化し、他携帯キャリアの利用を強化することが今後の目標です。

まとめ

本記事では、カーブアウトについて紹介しました。親会社が軸となる事業に集中し、新会社に事業を継承するための方法であるカーブアウトは、双方の事業の活性化につながります。
カーブアウトの中にも種類があり、契約の手順や内容を確認し自分の事業に合った方法で進めることが大切です。

カーブアウトを検討する方は、専門家に相談しながら進めましょう。

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