よくわかるM&A

2024/07/04

スモールM&Aとは?メリット・デメリットや事前に検討したい2つのポイントを解説

スモールM&Aとは?メリット・デメリットや事前に検討したい2つのポイントを解説

昨今、「M&A」はよくニュースなどでも耳にしますが、「スモールM&A(マイクロM&A)」という言葉は初めて聞いたという方が多いかもしれません。一般的にスモールM&Aとは、「譲渡対価が1,000万円以下」のM&Aを意味します。個人経営の店舗などの事業承継には、このスモールM&Aは有効な手段の1つです。

ここではスモールM&Aの目的や、事前準備、M&Aアドバイザー選びなどについて、譲渡企業(売り手)向けに詳しく解説します。

※金額規模が比較的小さいスモールM&Aでは、企業ではなく個人が譲渡・譲受する場合もあります

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・M&Aの進め方や全体の流れ
・成約までに必要な期間
・M&Aに向けて事前に準備すべきこと

会社を譲渡する前に考えておきたいポイントをわかりやすくまとめました。M&Aの検討をこれから始める方は是非ご一読ください!
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スモールM&A(マイクロM&A)とは

スモールM&Aとは、1,000万円以下の金額で会社や事業、店舗などの資産を譲渡、譲受することです。

一般的なM&Aと異なる点として、スモールM&Aで主に扱われるのは以下の2つです。

・後継者がいない個人経営の会社や事業
・赤字状態の小規模な会社や事業

前者は、相当の年月に渡り事業を継続的に経営し、利益が出ている会社だと考えられます。M&A後もこれまでのやり方を踏襲すれば、安定的に収益を得られるでしょう。

一方、後者は赤字となっている理由や問題点をしっかりと突き止め、改善策を講じなければ事業として成立しない可能性があります。しかし、それさえ解決できれば、赤字を脱し経営を軌道に乗せられることも期待できます。譲受企業は事業をゼロからスタートさせるより容易に、新規事業に参入できるというメリットがあります。

▷関連記事:後継者がいない! その時に社長や会社経営者の取るべき選択とは?
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スモールM&Aが注目されている背景

これまでスモールM&Aがあまり注目されていなかったのは、案件規模が小さいことなどを背景に既存のM&Aの仲介会社が取り扱わなかったことが一因です。
しかし、零細企業や中小企業の後継者問題が叫ばれる昨今、小規模なM&Aに関しても取り扱う仲介会社が出てきています。スモールM&Aを扱う仲介会社は、M&Aを専門で行う仲介会社(独立系)がほとんどで、他には会計事務所、税理士事務所などがあります。

また、インターネットの普及を反映し、M&Aの相手先企業とオンラインでマッチングできるプラットフォームサービスも確立しました。そういったことも、スモールM&Aが注目される一因となっています。

▷関連記事:中小企業M&Aのカギを握るマッチング。成功に導くコツとは

スモールM&Aのメリット・デメリット

それでは、スモールM&Aを実施したい譲渡企業の視点で、そのメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。

スモールM&Aのメリット事業継承や引継ぎ問題の解決
個人保証や担保からの解放
会社基盤の強化による従業員の満足度の向上
スモールM&Aのデメリット経営の意思決定を単独で行えない
全ての希望を満たしてくれる譲受企業を見つけるのは難しい

スモールM&Aのメリット

メリットについて

まずは、スモールM&Aを行う譲渡企業のメリットについて1つずつ、説明します。

1. 事業継承や引継ぎ問題の解決
2. 個人保証や担保からの解放
3. 会社基盤の強化による従業員の満足度の向上

1.事業継承や引継ぎ問題の解決

オーナー自身で事業を継続していくことが困難になった、継承してくれる親族がいないなど譲渡を検討する会社には様々な理由があります。
しかし、M&Aにより会社や事業を譲渡すれば、これらの問題の解決が見込めます。

2.個人保証や担保からの解放

小規模事業者は個人保証や担保を背負っているケースも多々あります。M&Aを行うことで、譲受企業に個人保証や担保などを引き継ぐことも可能です。
さらに、M&Aにより事業(株式)を売却すれば、創業者利益を得られる可能性もあります。

3.会社基盤の強化による従業員の満足度の向上

譲渡企業のオーナー自身以外へのメリットは、従業員がM&Aによる恩恵を得られることです。
M&Aによって会社や事業が承継され、さらなる発展が見込まれる場合、従業員やその家族の生活は経済面で安定することが期待できます。場合によっては大手企業が譲り受けることで社会的な信用力が向上したり、賃金などの待遇が改善されたりすることもあります。

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スモールM&Aのデメリット

スモールM&Aをおこなう場合は、メリットだけでなくデメリットについてもきちんと把握しておくことが大切です。

1. 経営の意思決定を単独で行えない
2. 全ての希望を満たしてくれる譲受企業を見つけるのは難しい

1.経営の意思決定を単独で行えない

M&Aにより会社や事業を譲渡すると、これまでと同じように独断で会社の意思決定をすることができません。M&Aによって株式の過半数を譲渡した場合には、経営権が譲渡企業から譲受企業に移動するためです。

2.全ての希望を満たしてくれる譲受企業を見つけるのは難しい

スモールM&Aは通常のM&Aと比べて金額面での成約のハードルは低いですが、譲受企業との一定の交渉が必要になります。譲渡価格、会社譲渡後の経営者の処遇、従業員の雇用など、何を最優先し、どこまで妥協するか、事前にしっかり優先順位をつけてM&Aを進めることが大切です。

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スモールM&Aの検討前にやるべきこと

実際にM&Aを検討する場合、事前に何をすべきなのでしょうか。まずは具体的に何を譲渡したいのか、どういった理由で譲渡したいのか、この2点を明確にしておく必要があります。また、いつまでに成立させたいか、スケジュール感をしっかり念頭に置いておくことも重要です。

▷関連記事:M&Aの一般的な手続きの流れ 検討~クロージングまで
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しかし、これらを明確にしたからといって経営者自身でM&Aを行うのは難しいでしょう。実際のところ、M&AはM&Aアドバイザーと進めることが一般的です。この項ではM&Aアドバイザーと譲受企業の選び方のポイントを紹介します。

M&Aアドバイザーを選ぶポイント

M&Aを成約させるために重要なM&Aアドバイザーを選ぶ際は、以下のポイントを意識しましょう。

・スモールM&Aの案件実績や経験
・譲受候補企業の紹介数
・法律や会計税務、経営などの専門知識

第一のポイントは、「個人経営などの小規模M&Aの案件の実績が豊富か」「十分な経験を積んでいるか」という点です。大規模なM&Aの取引やそれよりやや小規模の取引など、M&Aアドバイザーによって得意分野は異なります。規模の違いによってM&A進行の調整なども異なるため、スモールM&Aに関する実績や経験が豊富なアドバイザーを選ぶことをおすすめします。

次に、「M&Aアドバイザーが譲受候補企業をいかに多く紹介してくれるか」が重要です。1~2社の提示件数では十分に比較検討することが難しいでしょう。そのため、多くの譲受候補企業から検討できるように、企業のマッチングを行うプラットフォームを有するM&A仲介会社に依頼することが有効な手段です。

最後に、「法律や会計税務、経営などの専門知識に秀でているかどうか」も、選ぶポイントの1つです。HPなどに情報が公開されている場合もあるため、M&Aアドバイザーの実績や経験などを確認しましょう。

▷関連記事:M&A仲介会社とは?仲介会社選定方法や利用のメリット、業務内容をFAと比較しながら紹介
▷関連記事:M&AのFA(アドバイザリー)とは?M&A仲介とFAの違い

譲受企業を選ぶポイント

ここからは譲受企業の選定基準について解説します。

・譲受企業が信頼できるかどうか慎重に判断する
・譲受企業のM&Aの目的や譲受後の経営方針を確認する
・譲受企業の選定を焦りすぎない

譲受企業が信頼できるかどうか慎重に判断する

一般的に規模の大きなM&Aの場合であれば、相手先がどんな会社で現況がどうなのか、事前の判断にしっかり時間をかけます。

一方、スモールM&Aでは譲渡額が少額となるため、M&Aがスピーディーに進むこともあります。しかし、相手がどういった事業を展開しているのか、実績などを誠実に伝えてくれて信頼に足る会社かどうか、といった点を事前にしっかりと確認してから決断しましょう。

譲受企業のM&Aの目的や譲受後の経営方針を確認する

M&A後に譲渡した会社や事業がどうなるかは気になるものです。これらの疑問解決のためにも、譲受企業にM&Aの目的やM&A後の経営ビジョンを聞き、当面の課題などに真摯に向き合ってくれる譲受企業を選ぶべきです。

例えば、譲受企業は大規模な日本酒の醸造メーカー、譲渡企業はあるブランド日本酒で有名な地方の小さな酒蔵としましょう。譲受企業は海外にECサイトを通じて日本酒を販売していますが、どうしても譲渡企業のブランド日本酒をラインアップとして加えたい戦略があるとします。
この場合、譲受企業はラインアップの拡充、譲渡企業は自社ブランドの拡大という大きなシナジー効果を期待できます。

▷関連記事:譲渡企業側こそ意識しよう。企業選定で欠かせないポイント「シナジー効果」とは

譲受企業の選定を焦りすぎない

M&Aにおいて譲受企業選びを焦ってはいけません。譲受企業が本当に譲渡企業にとって理想的なのか、M&Aアドバイザーが提示してくれる候補先のメリット・デメリットを、一件一件比較検討しながら決めることが大切です。

スモールM&Aの手法

M&Aには様々な手法が採用されていますが、スモールM&Aでは「株式譲渡」と「事業譲渡」が一般的です。
以下では、株式譲渡と事業譲渡の詳しい内容を解説します。

スモールM&Aの手法①株式譲渡

株式譲渡は、譲渡企業の株式を譲受企業(または個人)に譲渡することで経営権を移転させる方法です。譲渡企業の株主は、株式を譲渡する代わりに譲受企業から対価(原則、現金)を受け取ります。

株式譲渡では、株主の変更だけで会社組織が変わるわけではないため、譲渡企業にとっては法的な手続きが比較的簡便な点がメリットです。

一方、譲渡の際には基本的に株主全員の同意が必要となる点や、特定の資産を譲渡除外にする際に別途手続きが必要な点などはデメリットでしょう。

株式譲渡の詳細は以下の記事で詳しくまとめています。併せてご確認ください。
▷関連記事:株式譲渡とは?株式譲渡と事業譲渡の違いや注意事項を解説

スモールM&Aの手法②事業譲渡

事業譲渡は、譲渡企業が保有する事業の全部または一部を引き継ぐ手法です。株式譲渡と異なり、譲渡の目的物は「事業」となります。

事業譲渡では、資産や負債、従業員や許認可を個別に引き継ぎます。譲渡側にとっての大きなメリットは、経営権が残る点でしょう。また、株主全員の同意は得られなくても譲渡可能であるため、株式譲渡より比較的容易にM&Aを行うことができます。

一方、譲渡した事業と同一の業務について、同一および隣接した市町村区域内では20年間不可になるので、完全にその事業をやめる認識でなければ譲渡が難しい点は、デメリットとなりえます。

事業譲渡の詳細は以下の記事で詳しくまとめています。併せてご確認ください。
▷関連記事:事業譲渡とは?株式譲渡との違いやメリット・デメリットを徹底解説

スモールM&Aでかかる費用

スモールM&Aで売り手の譲渡企業側にかかる主な費用は次のとおりです。

・仲介手数料やアドバイザリー費用(M&A仲介会社やM&Aアドバイザーへ)
・税金

スモールM&Aに限らず、M&Aに際してM&A仲介会社やファイナンシャル・アドバイザー(FA)、M&Aプラットフォームや士業事務所を利用した場合は、その手数料がかかります。手数料については以下の記事で詳しく紹介しています。

▷関連記事:M&Aの手数料相場は?成功報酬の計算方法や仲介会社の報酬体系も解説
▷関連記事:M&Aアドバイザーとは?業務内容・手数料やメリットを解説

また、譲渡方法によっては税金(法人税や消費税など)が発生する点に注意しましょう。税金について詳しくは以下の記事をご覧ください。
▷関連記事:M&Aにかかる税金は?株式譲渡・事業譲渡にわけて節税方法も紹介
▷関連記事:株式譲渡の税金は?課税内容や計算方法、特例

なお、デューデリジェンス費用や株式・事業用資産の取得に伴う資金など、譲受企業に必要な費用については以下の記事をあわせてご覧ください。
▷関連記事:M&Aの費用の相場・目安は?会計処理や仕訳、税務面
▷関連記事:M&Aで重要なデューディリジェンス(DD)とは?種類や手順・費用や注意点を解説

まとめ

スモールM&Aは、譲渡対価が1,000万円以下の小規模事業者が対象のM&Aです。成立すれば、後継者問題を解決できるだけでなく、創業者利益を得られる可能性もあり、経営者にとってはメリットも大きい選択肢です。
ただし、相手先が誠実で信頼に足る会社であるかを見極めるなど課題もあります。不安や疑問に思うことがあったら、M&Aに詳しいアドバイザーに依頼することをおすすめします。

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