経営・ビジネス

2024/11/08

合弁会社とは?メリットと設立の手順や事例をわかりやすく解説

合弁会社とは?メリットと設立の手順や事例をわかりやすく解説

合弁会社とは、2つ以上の企業が共同出資して設立または取得する会社のことです。海外進出や新規事業立ち上げなどに活用される方法ですが、他の法人形態と混同されることもあります。

本記事では、合弁会社の概要、株式会社や合同会社などの法人形態との違い、メリット・デメリットを解説します。
合弁会社を設立すべきか迷っている方にとって、専門家に相談する前の知識としても欠かせないので、ぜひ参考にしてください。

▷関連記事:M&Aとは?M&Aの目的、手法、メリットと流れ【図解付き】

【無料資料】
上場企業に負けない 「高成長型企業」をつくる資金調達メソッド
資料
会社が成長している今、「次の打ち手」にお悩みではありませんか?
本資料では自社をさらに成長させるために必要な資金力をアップする方法や、M&Aの最適なタイミングを解説しています。

・縮小する日本経済市場を生き抜くために必要な戦略とは?
・まず必要な資金力を増強させる仕組み
・成長企業のM&A事例4選

M&Aをご検討の方はもちろん、自社をもっと成長させたい方やIPOをご検討の方にもお役立ていただける資料ですので、ぜひご一読ください。
1分で入力完了!

合弁会社(ジョイントベンチャー)とは

M&Aにおける合弁会社とは

合弁会社とは、2つ以上の会社が共通の利益を目的とし、必要な事業を遂行するために、契約などに基づいて共同で設立または取得した会社のことです。
公正取引委員会の企業結合ガイドラインでは、「共同出資会社」と呼ばれています。また、「ジョイントベンチャー(JV)」と呼ぶこともあります。

設立の目的は、以下のように様々です。

・共同事業によってコスト・リスクを分散したい
・技術や知識、ノウハウを吸収したい
・海外進出を図りたい
・市場シェアを拡大したい

日本で合弁会社が導入されたきっかけは、外資企業の日本進出にあります。かつて日本では資本自由化を進める過程において、外資企業に関する法律(外資法・1950年)を定め、100%外資の出資による市場参入(新会社設立)を認めていませんでした。

そのため、外資企業は日本に進出するために日本企業と手を組み、共同出資という形で合弁会社が設立されたのです。

また、日本以外の国において、100%外国企業の進出が禁止されているなど、単独出資での参入が不可能な場合、現地企業と協力して合弁会社を設立し、海外での経営活動を行うこともあります。

日本で合弁会社が導入されたきっかけは、外資企業の日本進出にあります。かつて日本では資本自由化を進める過程において、外資企業に関する法律(外資法・1950年)を定め、100%外資の出資による市場参入(新会社設立)を認めていませんでした。

そのため、外資企業は日本に進出するために日本企業と手を組み、共同出資という形で合弁会社が設立されたのです。

また、日本以外の国において、100%外国企業の進出が禁止されていたり、単独出資での参入が不可能な場合、現地企業と協力して合弁会社を設立し、海外での経営活動を行うこともあります。

合弁会社と他の法人形態(株式会社や合同会社など)の違い

「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」は、会社法で定められている法人形態です。一方、合弁会社は共同出資によって作られた会社を呼称する言葉であり、株式会社などの会社法で定められた法人形態とは概念が異なります。

つまり、「合弁会社」を設立する際の形態は、会社法に基づき「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」に分類されます。

合弁会社と合併の違い

合併は、2つ以上の会社を1つに統合することです。当事会社の一方のみを残す(吸収合併)、または両方を消滅させて新たに合併会社を設立します(新設合併)。

一方、合弁会社は2つ以上の会社が共同で出資して設立するもので、出資した元の会社は消滅しません。組織面・資本面の両方で1つになる合併に対し、合弁会社の場合、元の会社の資本とは区別されます。

▷関連記事:M&Aにおける合併とは?意味や手続き、種類の違いを解説

合弁会社と提携の違い

提携には、資本の移動を伴う「資本提携」と、資本の移動を伴わない「業務提携」があります。

資本提携とは、経営権を取得しない範囲で他の企業に出資し、協力関係を築く手法です。共同で出資する合弁会社とは仕組みが異なります。

また、業務提携は企業同士が業務上で協力関係を築く手法のことで、そもそも資本の移動が生じません。

合弁会社と子会社化の違い

子会社化とは、A社がB社の株式の50%超を保有し、自社の傘下に入れることです。親会社と子会社との間には支配関係があります。

一方、合弁会社は2つ以上の企業が共同出資して設立するもので、出資した企業間に支配関係はありません。

ただし、合弁会社においても、出資比率や実質的な支配力によっては子会社として扱われる可能性があります。

合弁会社のメリット

2つ以上の企業が合弁会社を設立すれば、お互いの強みを活かすことで新規事業の立ち上げがしやすくなるなどの効果が期待できます。

この章では、合弁会社を設立する主なメリットを解説します。

・コスト・リスクを抑えて設立できる
・お互いの強みを活かせる
・海外進出がしやすくなる

コスト・リスクを抑えて設立できる

合弁会社は複数の会社が出資する会社です。1社で1億円出資するより、2社で5,000万円ずつ出資するほうが、低コストで新会社を設立できます。

また、パートナー企業と分担して出資するため、合弁会社の経営を続けることが難しくなった場合のリスクを抑えることが可能です。

お互いの強みを活かせる

合弁会社を共同で設立すると、ブランドやノウハウ、インフラなどパートナー企業が持つ様々なリソースを活用できます。

また、自社が持つ技術と相手が持つ特許などを組み合わせることで、単独で行うよりもスピード感のある開発が可能になることもあります。このように、合弁会社を設立することで、お互いの得意分野や強みをより効率よく活かせるのです。

海外進出がしやすくなる

海外進出がしやすくなることも合弁会社を設立するメリットの1つです。

国によっては、外資企業による企業設立に規制を設けている場合があります。こうした場合、現地企業と協力して合弁会社を設立することで、海外進出が可能となります。

また、現地のパートナー企業がすでに持つその国独特の法律・ルールへの対応、トラブルの対処などのノウハウが役立つでしょう。

合弁会社のデメリット

合弁会社を設立すると、パートナー企業とのシナジー効果などが期待できる一方で、2社以上が共同で経営することから以下のようなデメリットも生じ得ます。

・方針をめぐるトラブルが発生した際の対処が難しい
・技術やノウハウが流出するリスクがある
・パートナー企業の社会的信用が自社に悪影響を及ぼす可能性がある

方針を巡るトラブルが発生した際の対処が難しい

上述したように、出資比率を高め・低めに設定しても、合弁会社を共同で設立するパートナー企業の方針、意向を汲むことは欠かせません。

合弁会社では、親会社と子会社のように支配関係があるわけではないため、経営や開発、事業展開などにおいて方針を巡る不一致が発生した際に、意思決定が遅れる、あるいは対立状態になってしまうこともあります。

技術やノウハウが流出するリスクがある

パートナー企業のリソースを活用できるメリットがある一方で、自社の技術や蓄積してきたノウハウ、活用している情報などが流出してしまう可能性があります。

このようなリスクに備え、法的なリスクマネジメント体制の整備やパートナー企業に対する入念な事前調査を行うことが重要です。

パートナー企業の社会的信用が自社に悪影響を及ぼす可能性がある

パートナー企業が何らかの理由で社会的信用を失ってしまうと、自社にも悪影響が及ぶリスクがあります。
情報流出のリスクと併せて、しっかりと事前調査を行うことが重要です。

合弁会社設立の手順

合弁会社とは?メリットと設立の手順や事例をわかりやすく解説

合弁会社の設立においては、手続きという実務的な部分だけではなく、「パートナー選び」が重要になります。ここでは、パートナー企業選びから合弁会社設立までの流れを解説します。

1 パートナー企業のリサーチ・選定

まずは、ともに出資するパートナー企業についてリサーチ、選定を行います。M&Aや合弁会社設立において、失敗の主要な原因の1つに調査不足が挙げられます。それだけに、パートナーとなる企業に対する事前の調査は重要です。

すでに取引がある場合は、現場の声などからパートナー企業の社風や技術力、決済の正確性などを把握できます。また、会社四季報や東洋経済などの企業情報誌、上場企業なら投資家向けのIR情報など、一般に公開されている情報源から調べることも可能です。

2 基本合意の締結

パートナー企業の情報を得たうえで、合弁会社設立を進める場合、交渉を行い、基本的な戦略・ビジョンのすり合わせ、ルールの共有などを行います。

その際には、現実的な目標を掲げているか、双方にとって不利になる制約が設けられていないか、想定されるトラブル、そして対処法の確認などを行い、基本合意を締結します。

3 締結条件の確認

基本合意の締結後、出資の比率や利益の受け取り方、取締役の選定、少数株主の拒否権の設定、株式の譲渡制限など、主要条件をすり合わせます。

この段階では、自社とパートナー企業の負担が公平か、不平等になる条件がないかどうかなど、専門家に依頼して判断するようにしましょう。

4 合弁会社設立契約の締結

契約内容の検討を行い、双方が納得したら合弁会社設立契約(ジョイントベンチャー契約)を締結します。契約書には、合弁会社設立についての「目的」「概要」「株式の保有比率」「取締役会役員」「重要事項」「経費負担」「剰余金の配当」などを定めます。

また、意図しない第三者が参画することを防止するため、株式譲渡に関する条項を設けることが一般的です。

5 設立完了

契約で定めた条件どおりに新会社を運営していきます。新会社の業績などを鑑みて、追加出資や戦略の見直しなど、 その都度経営判断を行いましょう。

合弁会社設立時のポイント

合弁会社を設立する際は、どのような形態で設立するか、それぞれがどの程度出資するかなど、様々な条件について話し合い、合意しなければなりません。

そこで、合弁会社を設立する際に重要となる3つのポイントを解説します。

・法人形態
・出資比率
・撤退条件

法人形態

会社法で定められた法人形態は、「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4つです。

以下のようなポイントを踏まえ、どの形態の法人を設立するかをパートナー企業と話し合いましょう。

・事業規模に適合するか
・合弁契約で定めた事業計画を進めやすいか
・パートナー企業とフェアな会社運営ができるか

出資比率

合弁会社に対して出資する比率を決めることも重要なポイントの1つです。出資比率に応じて配当などの利益が変動するため、新会社に対する貢献度(労務、人員、特許、製造ノウハウ、取引先、仕入れ先など)、工場などの現物出資、新会社設立の目的や事業の方向性などを勘案し、合理的な出資比率を定める必要があります。

2社で新たに株式会社として合弁会社を立ち上げる場合は、持分比率(出資比率)を50%ずつにすることが基本です。

また、合弁会社設立を主導するなど、設立前にメイン企業とサポート企業というような位置づけが決まっている場合は、メイン企業が多い割合で出資することがあります。

ただし、出資比率に差があっても、拒否権付株式などの種類株式の発行によって、出資比率が低い企業も意思決定に参加する権利を得ることができます。

撤退条件

合弁会社設立後に想定されるリスクやリスクが顕在化した際、どのように対応するかをパートナー企業間で細かくすり合わせ、合弁契約に撤退条件として含めておくことが重要です。

合弁会社設立後、不採算事業が発生した、あるいはパートナー企業間での対立が解消されないなどの要因で事業が失敗する可能性もあります。撤退のタイミングを逃して損失が膨らむと、両社の業績が悪化してしまいます。

撤退条件として一般的に考えられるのは、以下のような内容です。
・パートナー企業間の対立が解決されない(デッドロック)
・一定期間内に業績が上がらない
・一定金額以上の損失が発生した
・M&Aなどによって経営権が移転した
・合弁契約への違反が発生した

合弁会社の具体的な事例

実際に、ノウハウの融合や市場シェア拡大などを目的に合弁会社が設立された事例をひとつ紹介します。

東急レクリエーション、ソニー・ミュージック、東京急行電鉄の合弁事例

2018年12月、東急レクリエーション、ソニー・ミュージックエンタテインメント、東京急行電鉄の3社は共同で、エンターテインメント施設の企画運営を目的とした合弁会社「TSTエンタテイメント」を設立しました。

この計画は、グローバルツーリストの多様なニーズに対応する地上48階、地下5階、塔屋1階の複合エンターテインメント施設を都内有数の観光拠点である歌舞伎町エリアにおいて創出することを目的としたものです。

東急レクリエーションのエンターテインメント施設運営のノウハウ、ソニー・ミュージックエンタテインメントの多様なエンターテインメントコンテンツの開発および提供のノウハウ、東京急行電鉄のまちづくりやエリアマネジメントのノウハウを融合し、歌舞伎町発の大衆娯楽文化の創出を目指すとしています。

まとめ

合弁会社とは、2つ以上の会社が共通の利益のために共同出資して設立、または取得した会社のことです。お互いのノウハウや技術、インフラなどのリソースを共有することで、スピード感のある事業拡大や立ち上げがしやすくなるなどのメリットがあります。

一方で、パートナー企業との間で方針を巡る不一致が発生した際に意思決定が遅れる、あるいは対立状態になってしまう可能性がある点を理解しておかなければなりません。

また、合弁会社を設立する際は、多くの条件を取り決める必要があります。設立後の経営を円滑に行うために、M&Aアドバイザーなどの専門家に相談しながら進めましょう。

fundbookのサービスはこちら(自社の譲渡を希望する方向け)

fundbookのサービスはこちら(他社の譲受を希望する方向け)

    【無料ダウンロード】自社の企業価値を知りたい方へ

    企業価値100億円の条件

    企業価値100億円の条件 30の事例とロジック解説

    本資料では実際の事例や企業価値評価の手法をもとに「企業価値評価額100億円」の条件を紹介します。
    このような方におすすめです。

    自社の企業価値がいくらなのか知りたい
    ・企業価値の算出ロジックを正しく理解したい
    ・これからIPOやM&Aを検討するための参考にしたい

    は必須項目です。

    貴社名

    売上規模

    貴社サイトURLもしくは本社所在地をご入力ください

    お名前

    フリガナ

    役職

    自社の株式保有

    電話番号(ハイフンなし)

    メールアドレス

    自社を譲渡したい方まずはM&Aアドバイザーに無料相談

    相談料、着手金、企業価値算定無料、
    お気軽にお問い合わせください

    他社を譲受したい方まずはM&A案件情報を確認

    fundbookが厳選した
    優良譲渡M&A案件が検索できます

    M&A・事業承継のご相談は
    お電話でも受け付けております

    TEL 0120-880-880 受付時間 9:00~18:00(土日祝日を除く)
    M&A案件一覧を見る 譲渡に関するご相談