M&Aの実施件数は年々増加傾向にあり、M&Aに興味を持つ経営者も多いのではないでしょうか。
M&Aに関する用語は専門性が高く、数も豊富にあるため、その意味を全て把握することは困難です。しかし、主要な用語を理解することでスムーズに手続きを進めやすくなります。
本記事では、M&A用語集として基礎からよく使われる言葉までまとめて解説します。
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M&Aの基礎用語
まずは、M&Aの基礎用語を紹介します。M&Aを実施する場合は、最低限の知識としてその意味を理解しておくことをおすすめします。
M&A
M&Aとは「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略称で、2つ以上の会社が1つになったり、ある会社が他の会社や事業を買収したりすることを指します。
広い意味では事業譲渡や資本提携までを含めた総称として用いられ、近年は事業承継や成長戦略の手段としても活用されています。
次項からは、M&Aの代表的な手法として頻出する用語を紹介します。
▷関連記事:M&Aとは?意味・流れ・手法・費用などゼロからわかる完全ガイド【2026年最新】
株式譲渡
株式譲渡とは、会社の株式を譲渡することで経営権(支配権)を移す手法です。経営権の移転には議決権の過半数を移す必要があります。
株式譲渡では社名や取引先、従業員などとの契約を包括的に引き継ぐことができるため、手続きが簡単かつ迅速な承継が可能です。
一方で、経営権の移行に伴う経営陣や経営方針の転換により、不満や不安を感じた従業員が離脱してしまうリスクなどが挙げられます。
▷関連記事:株式譲渡とは?メリット・デメリットや手続きの流れ、注意点や税金について徹底解説
会社分割
会社分割とは、譲渡企業が行う事業の一部または全部を譲受企業に承継させる手法です。会社法が定める組織再編の手続きの1つであり、事業に関して有する権利義務を包括的に承継できることが特徴です。
会社分割には、既存の会社に事業を承継する「吸収分割」と、新たに会社を設立して承継させる「新設分割」があります。
▷関連記事:会社分割とは?手続きの流れ・吸収分割と新設分割の期間や事業譲渡との違いを解説
合併
合併とは、2つ以上の会社を1つの会社に統合する組織再編の手法です。合併によって消滅する会社の権利義務の全部を包括的に承継できることが特徴です。
合併には、既存の会社が合併によって消滅する会社の権利義務を承継する「吸収合併」と、合併によって新設する会社が消滅する会社の権利義務を承継する「新設合併」があります。
▷関連記事:M&Aにおける合併とは?意味や手続き、種類の違いを解説
事業譲渡
事業譲渡とは、譲渡企業の事業の一部または全部を切り出して譲受企業に譲渡する手法です。
事業譲渡には、譲受企業が譲渡企業の特定の事業を選んで承継できるメリットがありますが、資産や契約などを個別に移転する必要があり、手間と時間がかかる傾向があります。
▷関連記事:事業譲渡とは?メリット・デメリットや流れ、具体的な手続き、税金について徹底解説
M&Aでよく使われる用語
M&Aの実施にあたり、よく使われる用語を紹介します。M&A成約までのプロセスで使われる用語も含まれているため、基礎用語と一緒に覚えておくことをおすすめします。
企業価値評価(バリュエーション)
企業価値評価(バリュエーション)とは、その名のとおり企業の経済的価値を算定することです。M&Aで譲渡価額を決める際の1つの目安として取り扱われます。
算定手法には大きく分けてコストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチが存在します。
| 算定手法 | 特徴 |
| コストアプローチ | 主に評価対象会社の貸借対照表に記載された純資産に着目して企業価値・事業価値を評価する方法です。 |
| マーケットアプローチ | 上場済みの同業他社や類似取引事例などから企業価値・事業価値を推定計算する方法です。 |
| インカムアプローチ | 企業や事業が将来生み出すと期待されるキャッシュフローや利益から企業価値・事業価値を算定する手法です。 |
なお、中小企業のM&Aでは、主にコストアプローチが用いられる傾向があります。
▷関連記事:M&Aのバリュエーション(企業価値評価)とは?算定方法やメリット・デメリットを解説
キャピタルゲイン
キャピタルゲインとは、株式や債券などをはじめとする保有資産の価値が変動することで得られる売買差益のことです。例えば、創業時に1株50万円で取得した株式を200万円で売却した場合、差額の150万円がキャピタルゲインとなります。
▷関連記事:キャピタルゲインとは?メリット・デメリットやインカムゲインとの違い
基本合意書
基本合意書とは、M&Aの基本的な事項(M&Aの対象範囲や取引形態、譲渡価額など)に関する合意を行い、締結する書面のことです。一般的に、基本合意書には一部の条項を除いて法的拘束力がありません。
なお、譲受企業が譲渡企業に対して希望条件などを提示する書面を「意向表明書」と呼び、基本合意の前段階で譲渡額やM&Aの目的、前提条件などを提示します。
▷関連記事:M&Aの意向表明書とは?基本合意書との違いや記載内容、注意点を解説
クロージング
クロージングとは、最終契約書に基づき、重要物品の引き渡しや譲渡代金の全部または一部の支払いを行う手続きのことです。
必要な工程はM&Aの手法によって異なりますが、例えば、株式譲渡の場合には譲渡対価の決済と株式、会社の代表印、預金通帳などの引き渡しを行います。
▷関連記事:M&Aのクロージングとは?前提となる条件や流れ、手続きをわかりやすく解説
最終契約書
最終契約書とは、譲渡企業と譲受企業の双方の合意に基づき、譲渡内容や譲渡価額などを定めた最終的な契約書のことです。最終契約書はM&Aに関する最終的な意思を双方が確認したものとなり、法的な拘束力が発生します。
▷関連記事:M&Aで必要な契約書は?種類や最終契約書(DA)の項目を解説
デューディリジェンス(買収監査)
デューディリジェンス(買収監査)とは、譲渡企業に対して企業の価値や将来性、リスクなどを調査・分析する事前調査のことです。
デューディリジェンスは譲受企業が行い、財務・税務・法務などの様々な観点から譲渡企業の経営環境や事業内容などを調査します。
M&Aスキームの検討や譲渡価額の見直し、対処方法の決定など、M&Aの最終段階における問題の洗い出しや解決を行うための重要な工程です。
▷関連記事:M&Aで重要なデューディリジェンス(DD)とは?目的や種類別の費用・特徴を解説
ノンネーム
ノンネームとは、譲渡対象企業名を明かさず、業種や地域、売上規模など、企業が特定されない情報に絞って概要をまとめたものです。譲受企業の関心を引き、マッチングを行うために使用されます。
▷関連記事:M&Aの交渉において重要となる「ノンネームシート」とは
秘密保持契約
秘密保持契約とは、M&Aの検討過程で開示される財務や技術、交渉の事実などを第三者に開示しない、または目的外で使用しないことを約束する契約のことです。譲渡企業や譲受企業がM&A仲介会社との間で締結する場合があります。
なお、秘密保持契約は「NDA(Non-Disclosure Agreement)」と呼ばれることもあります。
▷関連記事:M&AのNDA(秘密保持契約)とは?ひな形や締結の目的・タイミング・内容を解説
ロングリスト/ショートリスト
ロングリストとは、譲受企業の候補を列挙したリストのことです。ロングリストを基に、さらに条件に合った譲受候補先企業を絞り込んだものをショートリストと呼びます。
▷関連記事:M&Aにおけるソーシングの重要性とは?具体的な業務内容も解説
PMI
PMIとは「Post Merger Integration」の略称で、経営統合作業のことです。
M&A成功の鍵はPMIにあるとも言われ、M&A成立後に譲渡企業と譲受企業の経営方針や業務ルール、社員の意識を融合し、スムーズにM&Aの目的を実現するための重要なプロセスです。
▷関連記事:M&AのPMIとは?重要な理由や準備のタイミング、成功のポイントを解説
その他の主なM&A用語
M&Aでは、基礎用語やよく使われる用語以外にも様々な用語が使われます。以下では、その他の主なM&A用語を紹介します。
アーンアウト
アーンアウトとは、M&Aの成立時に一定の譲渡価額を支払い、一定期間後に要件を満たした場合にのみ追加で譲渡価額を支払う手法です。M&Aの交渉を行う上で必要不可欠な対価の調整方法の1つとなります。
一般的に、企業の買収にかかる金額は一括で支払いますが、アーンアウトを取り入れることで業績連動型の後払い形式で支払いが可能です。
▷関連記事:アーンアウトをM&Aで活用するメリット・デメリットとは?買い手側・売り手側の視点から解説!
エスクロー
エスクローとは、物品などの売買において、信頼の置ける中立的な第三者が契約当事者の間に入り、代金決済など取引の安全性を確保するサービスのことです。支払い後に商品が届かない、商品を渡しても代金が支払われないなどのトラブルを回避できます。
M&Aの場合、譲渡企業と譲受企業の間に第三者(金融機関など)を介入させ、条件付きで決済資金を譲渡企業に支払う仕組みを指し、主に大規模なM&Aで用いられる傾向があります。
▷関連記事:なぜエスクローはM&Aで利用されるのか?仕組みやメリット・デメリットを解説
エグゼキューション
エグゼキューションとは、基本合意から最終契約・クロージングに至るまでの一連の手続きのことです。デューディリジェンス、バリュエーション、最終交渉、契約書作成などが主な業務であり、売手・買手双方の専門家が協力して案件の完了を目指す実行段階を指します。
▷関連記事:オリジネーションとは?ソーシングとの違いや進め方、重要性について
カーブアウト
カーブアウトは戦略的な事業の切り出しを指し、親会社が戦略的に子会社や事業の一部を切り離して、新しく会社を立ち上げることを指します。
新会社は外部からの融資や技術力を得て事業価値を伸ばし、親会社は軸となる事業に集中して取り組むことが可能です。
▷関連記事:カーブアウトのメリット・デメリットとは?スピンオフ・スピンアウトとの違いも解説
株式交付
株式交付とは、他社を子会社化するために支払う対価として、自社の株式を交付することを認める組織再編の手法です。
対象会社の株式を100%取得して完全子会社化する株式交換とは異なり、株式交付は過半数の取得(部分的な子会社化)でも利用可能です。自社の持株を対価に対象を子会社化できるため、資金を抑えたM&Aを行えます。
2021年3月施行の改正法において創設された制度で、M&Aの新たな手法として注目されています。
▷関連記事:株式交付とは?株式交換・現物出資との違いやM&Aで活用するメリット・デメリットを詳しく解説
事業再生ADR
事業再生ADRとは、過剰債務を抱えた企業を債権者との話し合いによって経済的に再生させる手法のことです。事業再生の私的整理と法的整理を組み合わせた手法であり、手続きの透明性・公平性を担保しやすく、商取引の継続や第三者の介入による迅速な手続きが可能です。
▷関連記事:事業再生ADRとは?メリット・デメリットや手続きの流れ
チェンジオブコントロール(COC)条項
チェンジオブコントロール(COC)条項とは、M&Aなどを理由として経営権の移動が生じた場合、契約内に何らかの制限がかかることや、他方の当事者による契約の解除が可能となる規定のことです。資本拘束条項と呼ばれる場合もあります。
▷関連記事:チェンジオブコントロール条項(COC)とは?目的や注意点
事業承継税制
事業承継税制とは、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(円滑化法)」に基づく認定を受けた会社や個人事業が事業承継を行う場合に利用できる制度です。
後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税に対して猶予を受けられることが特徴です。
事業承継税制には、会社の株式などを対象とする「法人版事業承継税制」と個人事業主の事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」があります。
なお、法人版事業承継税制については、2018年1月1日から2027年12月31日までに贈与・相続により会社の株式を取得した場合でも、特例措置の適用には2026年3月31日までに特例承継計画を都道府県庁へ提出し、確認を受けている必要があります。
▷関連記事:事業承継税制はデメリットの把握が大切!制度を活用する時のポイントも解説
▷関連記事:事業承継税制を賢く活用するには?利用の流れ、メリット・デメリットをわかりやすく解説
二段階買収
二段階買収は株式を利用した会社の買収方法の1つで、買収対象となる会社の全ての株式を一度にではなく、二段階に分けて取得する手法です。
複数の株主が存在する上場企業や、従業員が株式を保有する非上場企業など、一段階目の買収により対象会社の全ての株式を取得できない場合に用いられることが多いです。
▷関連記事:二段階買収とはどんな手続き?流れや事例、スクイーズアウトの方法を解説
表明保証
表明保証とは、譲渡企業が譲受企業に対して法務や財務に関する事項が正確であることを表明し、その内容の保証を行うものです。
譲受企業はデューディリジェンスを実施し、M&Aの最終的な契約条件の交渉を行いますが、短期のデューディリジェンスで全ての問題点を把握することは困難です。そのため、M&Aの実務では、一般的に最終契約書内で表明保証を行います。
▷関連記事:M&Aの表明保証保険とは?仕組みやメリット、注意点を解説
EBITDA
EBITDAは「Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization」の略称で、利払前・税引前・償却前利益を意味します。企業の「本業で稼ぐ力」や「本業からキャッシュを生み出す力」を示す指標であり、主にM&Aや国際的な企業比較を行う際に用いられます。
▷関連記事:EBITDAとは?意味と計算方法やM&Aとの関連性をわかりやすく解説
EBO
EBOは「Employee Buy Out」の略称で、バイアウトの中の1つの手法です。会社の従業員が株式を取得して経営権を得る方法であり、経営者から従業員への社内承継を行う場合などに活用されます。
なお、従業員が自身の資金力でM&Aを実行するのは非常に困難であるため、一般的には金融機関から融資を受けたり、ファンドから投資を受けたりしてEBOを行います。
▷関連記事:EBOとは?各バイアウトとの違いや目的、メリットなど押さえておきたい基礎知識
LBO
LBOは「Leveraged Buyout」の略称で、譲渡企業の資産や今後期待されるキャッシュフローを担保として譲受企業が金融機関などから資金調達を行い、買収する手法です。
譲受企業は手元の資金が少なくてもM&Aを実施できるメリットがありますが、一般的に多額の借入が必要となり、金利も高くなる傾向があります。
▷関連記事:LBOとは?手法・MBOとの違い・メリット・事例
MBO
MBOは「Management buy out」の略称で、買収対象会社の経営陣が投資ファンドや金融機関から資金調達を行い、既存の株主から株式を買って自社の事業部門を取得し、経営権を得る手法です。
▷関連記事:MBO(マネジメント・バイアウト)とは?目的やメリット、導入の流れなどをわかりやすく解説
TOB(株式公開買付)
TOBは「Take-Over Bid」の略称で、「株式公開買付」と呼ばれるM&Aの手法の1つです。
買収対象企業に対して経営権の取得や子会社化を目指して行われ、買収企業が事前に買付期間・買付株数・買付価額を公告し、買収対象企業の株式を保有する株主に株式の買付を呼びかけます。
TOBには、買収対象企業の経営陣から事前に同意・賛同を得て行う「友好的TOB」と、同意・賛同を得ずに行う「敵対的TOB」の2種類があります。
▷関連記事:TOB(株式公開買付)とは?目的やメリット・デメリット、LBO・MBOとの違い
まとめ
M&Aを検討する場合、ある程度の用語の意味を把握しておくとスムーズに手続きを進められます。
しかし、M&Aに関する言葉は専門用語が多く、その意味を全て把握することは困難です。そのため、M&Aを検討する場合は、専門家に相談することをおすすめします。
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