よくわかるM&A

2023/09/26

M&Aがクロージングするまでの手続きや期間とは?クロージング条件のポイントも解説

M&Aがクロージングするまでの手続きや期間とは?クロージング条件のポイントも解説

M&Aの「クロージング」とは

「クロージング」とは、最終契約書に基づく最終的な手続きを行うことです。M&Aが成約するまでの期間は短くて3ヶ月、長くて1年以上というように長期に及ぶことがあります。クロージングは最終譲渡契約書が締結された後に行われるもので、これにより経営権の移転は全て完了となります。

「close=閉じる」という言葉から、M&Aの手続きの最終局面であることは想像できると思います。しかし、実際にどのような流れで手続きが行われているのかは、M&Aを初めて検討している方にはわかりにくい部分もあります。さまざまな疑問を一つひとつチェックして解決できるよう、ポイントごとにまとめていきます。

\資料を無料公開中/
年間3,000回の面談をこなすアドバイザーの声をもとにまとめた、譲渡を検討する前に知っておくべき5つの要件を解説。
資料
【主なコンテンツ】
・企業価値の算出方法
・M&Aの進め方や全体の流れ
・成約までに必要な期間
・M&Aに向けて事前に準備すべきこと

会社を譲渡する前に考えておきたいポイントをわかりやすくまとめました。M&Aの検討をこれから始める方は是非ご一読ください!
1分で入力完了!

クロージングの手続きを正しく進める重要性

ここではまず、M&Aを行う上でなぜクロージングという手続きを正しく進めることが重要なのかを解説します。

クロージングの内容を、株式譲渡の場合を例にとっておおまかに説明すると、譲渡企業の経営者から株式の譲渡により経営権の移転が行われ、譲受企業から譲渡対価の決済が行われます。

譲渡対価の決済、および株券や会社代表印の引渡しなどが全て完了する日がクロージング日(Closing Date)となり、クロージングが完了した時点で正式に譲渡企業の経営権が譲受企業に移行し、M&Aの成約となります。

また、クロージングは法律に基づいた手続きが必要となり、非常に重要な手続きです。もしクロージングで手続きに漏れがあったり、不適格だったりすると、法的にM&Aの有効性を証明できなくなってしまうので注意しましょう。

▷関連記事:株式譲渡とは?中小企業のM&Aで最も活用される手法のメリットや手続き、事前に確認しておくべき注意点を徹底解説

クロージングの重要ポイント。クロージング条件とは

クロージングを行う上では、「クロージング条件」が重要なポイントになります。ここでは、クロージング条件についての解説、また重要となる理由についてを説明します。

クロージング条件の解説とその重要性

クロージング条件とは、M&Aが実行される前提となる譲れない一定条件のことで、「クロージングの前提条件」とも言われます。この前提条件が全て整わなければ、クロージングの手続きが進められないという点で、M&Aの成約に際して非常に重要なものになります。その内容は、譲渡企業と譲受企業の間で合意した最終契約書(株式譲渡契約書等)によって定められ、その条件はM&Aの内容や双方の要望によって異なってきます。

一例をあげると、双方の企業はM&Aの取引において、財務や税務などに関する情報や契約の目的などが、一定時点の一定事項に対し真実かつ正確であることを表明し、その内容を保証する必要があります。これは「表明保証の対象がクロージング日において正確であること」といった条件になり、表明した内容との相違が一定時点までに発覚した際には、交渉がストップすることになります。

他には「誓約事項の義務がすべて履行されていること」「クロージングに必要な手続き(機関決定、承認手続、組織再編など)の完了」「重要な取引先の企業から取引継続の同意を取得」「業務上の許認可の取得」などが条件としてありますが、基本的には『虚偽事項がなく、事前に取り決めしたことはちゃんと実行すること』という保証や約束事に関する条件のことです。

条件は両社が譲れないものとして提示したものなので、前提条件が満たされないとM&Aの目的が果たせなくなる可能性もあります。この段階において条件が整わず破談になってしまったケースも存在するため、双方にとって大事な要件になります。

契約締結や価格調整、クロージングまでのM&Aの手続き

契約締結や価格調整、クロージングまでのM&Aの手続き

ここまでは、クロージングの概要や重要性について紹介してきました。最後に、クロージングに至るまでのM&Aの手続きと、クロージングまでにかかる期間について説明していきます。

▷関連記事:M&Aの期間はどれくらい見ておくべき? 概ねの期間と最短で行う条件

M&A全体の手続きの流れ

M&Aでは、まず譲渡企業と譲受企業でそれぞれ動きが異なります。

譲渡企業は、M&Aアドバイザーなどの専門家に相談や問い合わせを行い、どのような希望でM&Aを行いたいかを明確にします。その際、M&Aアドバイザーに自社の機密情報を開示する場面も増えます。そのため、このタイミングで自社の機密情報を外部に漏洩させないことを約束する契約(秘密保持契約)を結びます。

そして自社にどれくらいの価値がつくのかを算出する(企業価値評価)ための資料の提出をして、M&Aアドバイザーや公認会計士などの専門家が企業価値評価などを行います。並行して、譲受企業にM&Aの打診を行うため、自社を特定されない粒度の情報をまとめたノンネームシートを作成します。

一方、譲受企業は、M&Aアドバイザーに相談・問い合わせを行い、どのような企業を譲り受けたいかというニーズを伝えます。そして譲渡企業のノンネームシートを検討して譲り受けを希望する会社が見つかった場合には、より詳細な情報を得て(ネームクリア)、譲渡企業の経営者と譲受企業の経営者の最初の顔合わせの場であるトップ面談へと進みます。

基本合意デューディリジェンス(調査)、最終合意、最終契約の締結と進み、最後にクロージングを行ってM&Aの成約となります。

▷関連記事:M&Aの一般的な手続きの流れ 検討~クロージングまで
▷関連記事:M&Aの実務フローと成功のための事前準備や心構え

クロージングの手続き

M&Aの最終契約の締結からクロージングまでは、クロージングの前提条件を満たすために必要な手続きを行う必要があるため、それに要する一定期間を空けるのが一般的です。ただし、最終契約締結日までにクロージングに必要な全ての手続きが完了している場合は、同日に実施することもあります。

クロージングと一口に言っても、実際にはさまざまな手続きが必要になります。具体的には、重要な取引先との契約を承継するための同意の取得、事業に必要な許認可の取得、役員に対する借入金の返済などを行ったりします。

そのほかにも、譲渡企業の経営者が個人的に購入していた資産を経営者が買い取ったり、株券を引き渡す替わりにM&Aの対価となる代金を決済したりします。これらの最終契約で定めた手続きが完了した段階で、譲渡企業から譲受企業に経営権が移り、正式にM&Aが成約したことになります。

そのため、クロージングでは、これらの全ての手続をまとめて確認し、正確に抜け・漏れが無いように行う必要があります。つまり、事前に譲渡企業と譲受企業でクロージングに必要となる項目を洗い出し、チェックしながら作業を進めることになります。

M&Aの後に従業員の離脱を防ぐ方法

クロージングによって、M&Aの手続きは完了しますが、M&A成立後は譲渡企業と譲受企業の融合を指す「PMI(Post Merger Integration)」が欠かせません。

クロージング後のリスク

PMIとは、M&A成立後に経営方針や社員の意識などを融合するプロセスのことです。このPMIを適切に進めることが、M&Aの目的を達成するために欠かせません。適切に進められなかった場合、従業員の退職などが発生することもありM&Aのシナジーを得ることが難しくなります。

▷関連記事:M&Aの成功を左右する「シナジー効果」とは。種類や事例と評価方法を紹介

クロージング後のリスク

クロージング後のリスクの減らし方

適切なPMIを達成するためには、M&A検討段階からPMIの計画を立てるようにしましょう。また、PMIでは会計システムなどの業務面と企業文化などの意識面の両方の融合を意識しましょう。

業務面ではM&Aによって切り替わる社内システムのオペレーションをわかりやすくしておくことや、一度にあらゆるシステムを変えるのではなく段階的に切り替えることなどがあります。一方、意識面では両社の従業員が相互理解できるような場を設けることや、M&A後の方向性を理解されるように説明を行うことなどがあります。このようにPMIを行うことで従業員の離職などのリスクを軽減することができます。

▷関連記事:M&A(企業買収)のリスクとは?成功へ導くリスク回避の極意

まとめ

クロージングは経営権の移転を全て完了させるための最後の手続きです。「これさえ終わればM&Aは終わり」といったものではなく、M&Aが成約となった後も両社の関係は続いていくので、慎重に進めていく必要があります。

また、M&Aの一連の手続きは数ヶ月から1年以上に及ぶものになり、クロージングを含めてそれぞれの流れごとに計画を立てて進めることが重要になります。そのためには、M&Aを手がける仲介会社や、M&Aアドバイザーなどの専門家への相談やサポートを得て手続きを行いましょう。

    【無料ダウンロード】自社の企業価値を知りたい方へ

    企業価値100億円の条件

    企業価値100億円の条件 30の事例とロジック解説

    本資料では実際の事例や企業価値評価の手法をもとに「企業価値評価額100億円」の条件を紹介します。
    このような方におすすめです。

    自社の企業価値がいくらなのか知りたい
    ・企業価値の算出ロジックを正しく理解したい
    ・これからIPOやM&Aを検討するための参考にしたい

    は必須項目です。

    貴社名

    売上規模

    貴社サイトURLもしくは本社所在地をご入力ください

    お名前

    フリガナ

    役職

    自社の株式保有

    電話番号(ハイフンなし)

    メールアドレス

    自社を譲渡したい方まずはM&Aアドバイザーに無料相談

    相談料、着手金、企業価値算定無料、
    お気軽にお問い合わせください

    他社を譲受したい方まずはM&A案件情報を確認

    fundbookが厳選した
    優良譲渡M&A案件が検索できます

    M&A・事業承継のご相談は
    お電話でも受け付けております

    TEL 0120-880-880 受付時間 9:00~18:00(土日祝日を除く)
    M&A案件一覧を見る 譲渡に関するご相談