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2023/10/03

会社の買収とは?会社売買において買収の弊害になるポイントと注意点

会社の買収とは?会社売買において買収の弊害になるポイントと注意点

会社の買収は、成長戦略として近年盛んに行われています。実際、会社を買収しようと考えている経営者の方も多いと思いますが、会社買収の流れや注意点についてご存知でしょうか。

本記事では、会社買収のメリット・デメリットや流れ、注意点について解説し、また売手企業(譲渡企業)の立場から社員の待遇の変化についても説明します。

▷関連記事:M&Aとは?M&Aの目的、手法、メリットと流れ【図解付き】

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会社買収とは?既存の会社を買い取って会社の成長を狙う戦略

会社の買収(M&A)とは

会社の買収とは、主に経営権を得ることを目的として、対象会社の発行済株式のうち過半数以上を獲得し、子会社化したりグループの傘下に入れることです。

会社買収のメリット・デメリット

会社買収のメリットとしては、主に以下のものが挙げられます。

新規事業への効率的な参入(事業の多角化)


自社で一から新規事業を始めようとした場合、市場の開拓やノウハウの蓄積には金銭的、時間的に多くのコストがかかります。そこで、既に事業を行っている会社を買収することで、時間をかけずに新規事業に参入することが可能であり、また安定している事業を獲得するため、新規事業が失敗するリスクを低減させることができます。

スケールメリットの享受


会社買収により、不動産や設備などの有形資産や、技術やノウハウ、取引先、顧客、流通網といった無形の資産を獲得し、事業規模を拡大することができます。事業規模が拡大することで、販売する商品やサービスの1単位あたりの費用が小さくなる、といったスケールメリットを享受することができます。

上記のように、買収には多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。

PMI(M&A後の統合プロセス)の負担


PMIとは、「Post Merger Integration」 の略であり、M&A後に行われる、経営方針や業務ルール、社員の意識を統合するプロセスのことです。買手企業(譲受企業)と売手企業の間では、労働条件や業務ルール、社内システム、社風などさまざまな面で違いがあります。これらを統合するには多くの時間がかかり、またPMIが上手く行かない場合には人材が流出したり、M&A前に見込んでいたシナジーを得られない可能性があります。

▷関連記事:PMIとは?M&A成立後の統合プロセスについて株式譲渡を例に解説

のれん代の減損リスク


買収価格と会社の純資産(簿価)との差額であるのれん代は、会社買収後に損失となってしまう場合があります。買収後に想定していたシナジーが得られなかったり、優秀な人材が流出したりすると、買収時に見込んだほどの企業価値は得られず、のれん代を損失として計上する必要が出てきます。

▷関連記事:買収とは?友好と敵対による違いや手法、進め方、買収防衛策を徹底網羅
▷関連記事:買収側における企業買収のメリットや目安価格の算出方法

会社の買収とは?会社売買において買収の弊害になるポイントと注意点

会社買収の流れと種類

会社買収の流れ

ここでは、M&A仲介業者の選定、契約から、会社の買収完了までの流れを説明します。

M&A仲介業者の選定、契約締結


会社を買収する場合には、税務、法務の面で専門性の高い手続きが多く、専門家と共に買収を進めることが一般的です。そのため、M&A仲介会社やM&Aアドバイザー、金融機関や税理、会計、法律事務所などとM&Aの委託契約を締結します。

ノンネームシートでの買収先の検討、ネームクリア


M&A仲介会社などとの契約締結後、買手企業はノンネームシートとよばれる、会社が特定されない範囲の売り手企業の情報をまとめたものを用いて買収先を検討します。ここで売手候補企業に興味を持った場合、より詳細な企業情報の開示を求めることができます。また、情報開示の前には情報の漏洩を防ぐために、秘密保持契約を締結します。

▷関連記事:M&Aの交渉において重要となる「ノンネームシート」とは
▷関連記事:秘密保持契約書(NDA)の解説とひな形使用時の注意点 M&Aの情報漏洩対策のために

トップ面談


買手企業と売手企業の経営者同士での面談を行います。ここでは基本的に買収価格の交渉などはせず、お互いの企業の経営ビジョンや、買収後の経営方針などを話し、理解を深める場となります。

▷関連記事:M&Aのトップ面談の事前対策や最終契約までの流れを解説

条件交渉、基本合意の締結


トップ面談を行い買収する会社が決まった場合、買収価格やM&Aの条件交渉を行い、基本合意を締結します。基本合意では、これまでの交渉で合意した内容を整理し、買収価格やM&A成立までのスケジュールなどを定めます。

▷関連記事:M&A契約における「基本合意書」とは?

デューディリジェンスの実施


基本合意の締結後、買手企業は売手企業に対してデューディリジェンスとよばれる企業調査を実施します。デューディリジェンスでは、売手企業を財務、税務、法務などさまざまな面から調査し、買収価額が適切かどうかを判断したり、M&Aの手法を決定したりします。

▷関連記事:M&Aの最後にして最大の難関。「デューディリジェンス(DD)」を徹底解説

最終契約の締結、クロージング


デューディリジェンスの後で、買収に関する最終的な合意として最終契約を締結します。最終契約の内容としては、取引価格や表明保証、補償条項や解除条件などがあります。その後、クロージングとよばれる、最終契約にもとづき経営権の移転が行われます。このクロージングをもって、会社買収の手続きは完了となります。

▷関連記事:M&Aの一般的な手続きの流れ 検討~クロージングまで
▷関連記事:M&Aの仕組みとは?企業買収の手法と種類について

会社買収の弊害は?抑えておきたいポイント・注意点4つ

会社買収は必ず成功する訳ではなく、その成功率は3割ほどであるといわれています。ここでは、会社買収を成功させるうえでの注意点を解説します。

会社買収の目的の明確化


会社を買収する目的は、「事業規模の拡大」や「新規事業への参入」「技術やノウハウの獲得」など会社によってさまざまです。しかし買収を行うことで、これらの目的が達成できるのか、またそもそもM&Aが最適な手段かどうかをしっかりと検討することが重要です。

会社買収の目的が曖昧であったり、買収をすること自体が目的となっている場合には、M&Aの効果を十分に得られないことがあります。

M&A仲介会社などの専門家を活用する


会社買収では、売手企業との交渉や企業価値評価、デューディリジェンスなど財務や税務、法務などさまざまな専門的な知識が求められます。そのため、M&A仲介会社や税理士、会計士といった専門家の力を借りるとよいでしょう。ただし、実際に買収を行うのは買手企業であるため、M&Aの途中で疑問や不安な点があれば、積極的に相談するようにしましょう。

▷関連記事:M&A仲介会社の選び方。希望を叶える最適なパートナー企業と出会うために

デューディリジェンスを十分に行う


売手企業のブランド力や技術力、社員の能力などを過剰に期待し、のれん代を高く設定することで、企業価値を過大評価してしまう場合があります。また、デューディリジェンスが不十分であることにより、簿外債務などの大きなリスクが買収後に見つかることもあります。デューディリジェンスを十分に行い、企業価値評価が適切なものか見直したり、簿外債務などのリスクをM&A成約前に把握しておきましょう。

PMIを適切に行う


買手企業と売手対象の企業は、社内規定や企業文化、従業員の価値観などが大きく異なっている場合がほとんどです。これらがうまく統合されないと、期待していたシナジーが得られない可能性があります。
そのため、会社買収が無事に完了した後でも、統合プロセスであるPMIを適切に行うことが会社買収の成功のうえで大切です。

▷関連記事:M&Aの成功率は2〜4割?企業買収が失敗する5つの理由と対応策
▷関連記事:M&Aの課題と具体的な対策。中小企業のM&Aにおける懸念点とは?

会社の買収とは?会社売買において買収の弊害になるポイントと注意点

会社買収の「友好的買収」と「敵対的買収」の違い

会社買収には、友好的買収と敵対的買収の2種類があります。

友好的買収は、買手企業と売手企業との間で十分な合意がなされたうえで行われる買収のことです。日本で行われるM&Aのほとんどがこの友好的買収であり、相手会社の協力を得られるため、株式譲渡や第三者割当増資、事業譲渡といった対象企業との契約が必要な手法を用いて行われることも多いです。

一方、敵対的買収とは、売手企業の同意を得ないまま、買収を仕掛けることを指します。敵対的買収では、売手企業の合意を得ないという性質上、主にTOB(株式公開買付)の手法が用いられます。基本的に売手企業の全株式の過半数を取得して経営権を取得したり、3分の1超を取得して、株式総会の特別決議拒否権を得ることを目的とします。

ただし、敵対的買収は株式取得のためのコストがかかり、また成功率も高くないため、実際に行われるケースは少ないといえます。

最後に、買収される側の会社の立場から、買収後の社員の待遇の変化について説明します。

▷関連記事:TOB(株式公開買付)とは?友好的・敵対的TOBの意味や防衛策を解説

会社が買収された会社の社員の待遇は?給与や役職の継続などケースごとに紹介

買収後の売手企業の社員の待遇は、基本合意書や最終契約の際に取り決めるのが一般的ですが、買収前と大きく変わることがあります。

解雇や転勤が発生するケース

M&Aでは、会社の経営資源も買手企業に引き継がれることが一般的であり、基本的には従業員が解雇されることはありません。

ただしM&A後も必ず雇用が維持されることが保証されているわけではないため、会社買収の契約の中で、売手企業の社員を引き受ける旨を明記しておくことが重要です。また、異なる場所に本社や支社がある会社に買収される時には、転勤しなければならないこともあります。

海外企業に買収されて給与や待遇に対する考えが変わるケース

海外企業の多くでは、日系企業のように年功序列ではなく、能力主義で社員の給与や処遇が決定します。そのため、能力が高い社員は買収後に給与が上がったり、良い待遇を受けることができるようになります。その一方で水準に満たない社員は、給与が下がったり、役職が下がるといった影響を受ける場合もあります。

買収されることで待遇がよくなるケース

買手企業は売手企業よりも規模が大きく、買収後は買手企業の社員の待遇に合わせることが多いため、待遇が良くなるケースがあります。また、専門のスキルやノウハウを持っている社員は、買手企業から重要視され良い待遇を受けられるでしょう。

▷関連記事:M&Aで譲渡された企業の社員は その後どうなる?

まとめ

会社を買収する際には、買収の流れやメリット・デメリット、注意点をあらかじめ把握しておくことで、買収が成功する可能性を高めることができるでしょう。
会社買収にはさまざまな手法があり、また会社の買収では法律や税務、財務の知識が必要となることが多いため、M&Aアドバイザリーなどの専門家の助けを借りながら進めていくことをお勧めします。会社買収を検討されている方は、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

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