よくわかるM&A

2023/10/03

中小企業のM&A|目的や手法、成功するためのポイントを分かりやすく解説

中小企業のM&A|目的や手法、成功するためのポイントを分かりやすく解説

近年、後継者不足の中小企業が増えていることが社会問題の1つになっています。
このような背景の中でも、M&Aは事業承継の手段あるいは事業拡大の手段として考えられ、ポジティブなイメージを持つ中小企業の経営者が増えてきています。そのため、中小企業でもM&Aを検討する企業が増加しています。

本記事では、中小企業のM&Aの主な目的や方法、成功させるためのポイントなどを詳しく解説していきます。

樋口 一磨
この記事を執筆した専門家
弁護士 樋口 一磨
弁護士(日本・ニューヨーク州)。弁護士法人樋口国際法律事務所代表。M&Aを含む企業法務全般を扱い、国際取引にも強い。中小企業の法務支援に注力している。メディアでのコメント、出演も多数。
\資料を無料公開中/
年間3,000回の面談をこなすアドバイザーの声をもとにまとめた、譲渡を検討する前に知っておくべき5つの要件を解説。
資料
【主なコンテンツ】
・企業価値の算出方法
・M&Aの進め方や全体の流れ
・成約までに必要な期間
・M&Aに向けて事前に準備すべきこと

会社を譲渡する前に考えておきたいポイントをわかりやすくまとめました。M&Aの検討をこれから始める方は是非ご一読ください!
1分で入力完了!

中小企業M&Aとは

中小企業の定義から確認しましょう。
法的な中小企業の定義は、中小企業基本法により業種や資本金、従業員数によって定められています。
定義は下記の通りですが、こちらは中小企業政策における基本的な政策対象の範囲を定めた「原則」であり、法律や制度によって「中小企業」として扱われている範囲が異なることがあります。

①製造業、建設業、運輸業その他の業種(②~④を除く)・・・資本金の額もしくは出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
②卸売業・・・資本金の額もしくは出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
③小売業・・・資本金の額もしくは出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
④サービス業・・・資本金の額もしくは出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

中小企業M&Aとは、原則として、上記の定義により中小企業とされている会社のM&Aを指します。

中小企業M&Aの現状

中小企業M&Aの市場規模は年々拡大しており、2018年の時点で市場規模20兆円を超え、今後は30兆円規模にまで成長すると言われています。中小企業庁の調べによると、日本企業のM&A件数は2019年に過去最高となる4,088件になっています。2020年は新型コロナウィルスの影響もあり、3,730件と前年を下回ったものの、それでも高水準をキープしている状況です。(2021年度中小企業白書)

また、自社譲渡の意向がある中小企業と他社譲受を検討する企業のマッチングの支援を行っている「事業引継ぎ支援センター」では、2011年の設立以降、M&Aの相談社数、成約件数共に大幅な増加が見られます。

特に、成約件数に関しては2020年に1,234件となっており、2015年の209件から約6倍になっています。そのため、中小企業のM&Aは今後も増加していくと考えられるでしょう。(独立行政法人中小企業基盤整備機構リリース)

中小企業M&Aの目的

ここでは中小企業がM&Aを行う目的について紹介します。

●譲渡企業の目的①:事業承継を存続させるため

中小企業では、後継者がいない、見つからないということが近年の社会的な問題になっています。M&Aを活用して第三者に自社譲渡をすれば、会社を廃業させることなく、第三者に事業を承継することが可能です。またオーナーは、自社譲渡による利益を得たうえで会社を手放せるといったメリットもあります。

●譲渡企業の目的②:事業や関連会社を現金化することで資金調達するため

M&Aは会社全体だけでなく、一部の事業だけを譲渡することも可能です。例えば事業譲渡を行い、不採算事業を切り離せば会社の中核事業に集中することができます。また、関連会社や事業を譲渡することによって、新たな事業を立ち上げるための資金調達を行うことも可能です。

●譲受企業の目的③:規模拡大や新規事業立ち上げなど成長戦略のため

譲受企業は、M&Aによって譲渡企業の資産や従業員、ノウハウなどをそのまま引き継ぎ、会社の規模の拡大を図ることが可能です。新規事業への参入を行う場合、一から事業を立ち上げるのは人材の確保やノウハウの習得などに手間やコストがかかります。一方、M&Aを活用すればすでにその事業に参入している会社のノウハウや技術、人材などを譲り受けることができるため、リスクやコストが軽減されます。

中小企業M&Aの手法

M&Aにはさまざまな手法があり、企業規模や目的などによってどの手法を取るのかが異なります。一般的な中小企業のM&Aは以下のような手法が用いられることが多いです。

・株式譲渡
・事業譲渡
・会社分割
・株式交換や株式移転

中小企業のM&Aで用いられる主な手法の特徴や
メリット・デメリットを紹介していきます。

●株式譲渡

株式譲渡は、中小企業のM&Aでよく用いられる手法です。
譲渡企業の株主が譲受企業または個人に対して、保有株式の対価(原則として現金)と引き換えに譲渡企業の株式を譲渡し、会社の経営権を移転させます。

株式譲渡には、以下の3つの手法があります。

・相対取引:特定の株主から直接株式を買い取る方法
・市場買付:上場企業の株式を証券取引所などで買い入れる方法
・公開買付(TOB):予め買付の「期間」、「価格」、「予定株数」などを公表し、不特定多数の株主から市場外で株式を買い集める方法

株式譲渡のメリット
・中小企業M&Aの場合、事業承継を目的としてM&Aが行われるケースが非常に多く、この株式譲渡のスキームを選択すると、売り手である株主側の利益を最大化することが可能となる

・売り手である株主が個人の場合、株式譲渡による対価は分離課税により約8割が売り手である株主の手元に入り、各人のその他の所得に合算されず累進課税の対象とならない

・事業譲渡や会社分割の手法を採用した場合、譲渡企業が売り手となり、その対価は譲渡企業に入る

・資産や契約などについて個別の承継手続を経ることなく、包括的に企業を譲り受けられる

※なお、買収後に少数株主などとの利害衝突を防ぐため、できるだけ全ての株式を譲り受けることが望まれます。

株式譲渡のデメリット
・譲渡企業の帳簿外負債や株に関する問題などもそのまま承継してしまう
・負債などが金銭的に見積もり可能である場合、M&Aの対価から差し引くことで対処できるが、金銭に換算できない問題が発覚した場合は、株式譲渡以外のスキームを検討することになる

▷関連記事:株式譲渡とは?株式譲渡のメリット、デメリットについて

●事業譲渡

事業譲渡は、譲渡企業の事業の全部又は一部を譲渡する手法です。
株式譲渡とは異なり、売り手は譲渡企業となります。一部の事業だけを譲渡する場合には、譲渡企業は残った事業を継続して行うこととなり、会社の経営権は移転しません。
譲渡企業の経営者が特定の事業だけを譲渡したい場合や、譲受企業が赤字の事業の承継をしたくない場合、簿外債務のリスクを回避したい場合などに用いられます。

事業譲渡のメリット

・譲受企業は必要な資産や負債のみを選んで買収できる
・簿外債務を引き継ぐリスクが低い
・譲渡企業にとって経営権が移転しない
・譲渡企業は残したい資産や従業員の契約を選べる

事業譲渡のデメリット
・承継する資産や契約等の移転手続きに手間と時間、費用が必要
・税務上の優遇措置がなく、税負担が重い

▷関連記事:M&Aの事業譲渡とは?株式譲渡との違いやメリット・デメリットを徹底解説

●会社分割

会社分割は、譲渡企業の特定の事業を包括的に他の会社に承継させる手法です。譲渡企業が有する事業を新たに設立した会社に承継する「新設分割」と、既存の会社に承継させる「吸収分割」の2種類があります。

会社分割のメリット
・譲受企業は、自社株式を対価として交付すれば、買収資金が不要
・包括承継のため、事業譲渡に比べると手続きが簡易
・移籍させる従業員からの個別の承認が不要

会社分割のデメリット
・譲受企業が上場企業の場合であって、分割の対価として譲受企業の株式が交付された場合、1株あたりの利益が下がり株価下落リスクが発生する恐れがある
・分割の対価として譲受企業の株式が交付された場合、譲渡企業の株主が譲受企業の株主になり、株主構成が変化してしまう

▷関連記事:会社分割とは?メリットから意味や種類、類型までを解説

●株式交換・株式移転

株式交換は、基本的に譲受企業が上場企業の場合に用いられる手法です。譲渡企業の株主が保有する全ての株式を譲受企業が取得し、対価として譲渡企業の株主は譲受企業の株式等の交付を受けます。譲受企業が譲渡企業の100%の株式を保有することにより、完全な親子会社関係を築くことができます。

株式移転は、既存の株式会社が新たに親会社を設立して、発行済株式を全て取得させるもので、これも完全な親会社子会社の関係が構築する手法です。

株式交換・株式移転のメリット
・譲渡企業の株主の3分の2(議決権ベース)以上の合意のもと、100%の株を取得可能
・譲受企業の株式が対価の場合は、買収のための資金調達が不要
・M&A後も譲渡企業は別法人扱いのため、経営統合を急ぐ必要がない

株式交換・株式移転のデメリット
・手続きが複雑
・費用や時間がかかる
・譲受企業が上場企業の場合、株価下落のリスクがある
・譲受企業の株主構成が変化してしまう

▷関連記事:株式交換とは?メリットから株式交換比率、株価の変動と注意点までを徹底解説

売り手から見たM&Aの流れ

中小企業M&Aが実際にどのような手順で進んでいくのか、おおまかな契約までの流れについて概要をご紹介します。M&Aのプロセスは長期間に渡りますが、大きなくくりでまとめると3つのフェーズに分けることが出来ます。

1)準備フェーズ
2)交渉フェーズ
3)最終契約フェーズ

●準備フェーズ

M&Aの初期的なプロセスが「準備フェーズ」に当たります。

①M&Aの相談/検討
M&Aを行うにあたって、最初に行う事は「M&Aを行うことが自社にとって最も適した選択か」を考えることです。また併せて「M&Aを行う目的」や「自社にとって譲れない条件は何か」などの洗い出しを行いましょう。

②自社の経営状況/純資産/負債などの状況把握
M&Aの交渉を行う前に、交渉を行う際の好条件となる「自社の独自ノウハウや特許」、反対にトラブルとなり得る「簿外債務」などを含め、正確に自社の経営状況を洗い出しましょう。

③M&A仲介業者選定/アドバイザリー契約
M&Aが自社にとって適した選択であるか、またM&Aの目的や自社の経営状況の把握を行った後、M&Aの仲介を依頼する業者を選択します。M&AはM&A仲介会社に依頼することも多いですが、FA(ファイナンシャルアドバイザー)や銀行、士業事務所のサポートも有益です。

その後、M&Aアドバイザーに依頼する場合には、M&A仲介会社に仲介業務を依頼する「アドバイザリー契約」を締結します。M&Aのプロセスは長期に渡るため、実務を滞りなくこなすだけでなく、しっかりと自社に寄り添ってくれる、信頼のおけるアドバイザーを見つける様にしましょう。

●交渉フェーズ

準備フェーズが完了したら「交渉フェーズ」です。

①ノンネームシートや企業概要書などの資料の作成
ノンネームシートは企業が特定されない範囲の情報をまとめたもので、M&Aアドバイザーが譲渡企業の紹介を譲受企業に行う際に使用されます。
ノンネームシートを見て譲受を希望した企業に対しては、秘密保持契約を締結したうえで、より詳細な企業概要や財務状況などをまとめた企業概要書が開示されます。譲受企業はこの企業概要書などを基にM&Aを進めるか否かを判断することになります。

②M&Aスキームの選択
M&Aを進める際にどういったスキームを用いるかを検討するのも、交渉フェーズです。
前述したようにM&Aのスキームには株式譲渡以外にも事業譲渡や会社分割などさまざまな種類があるため、M&Aの目的に合わせた選択が必要です。M&Aスキーム次第でM&Aで得られる効果や財務会計面でも違いが生じるため、最も効果的なスキームを選択できるよう熟慮してください。

③トップ面談
M&Aを進めたいパートナー企業が見つかった後は「トップ面談」を行います。
多くの場合、候補先企業が2~3社ほどになったタイミングで実施され、主に譲渡企業と譲受企業の経営ビジョンや譲渡後の運営方針など、お互いの理解を深める場となります。

④M&A基本合意/デューディリジェンス
トップ面談後、M&Aを進める相手企業が決定したら「基本合意書」を締結します。
基本合意書では、これまでの条件を整理し暫定的な譲渡価格やスケジュールなどを定めます。
また基本合意書締結後には「デューディリジェンス」と呼ばれる企業調査を譲受企業が譲渡企業に対して行います。デューディリジェンスでは、譲受企業が選定した第三者の専門家が法務や税務、財務などの観点から譲渡企業を調査します。

●最終契約フェーズ

最後に、「最終交渉フェーズ」に移ります。

①M&Aの最終契約締結
「最終契約」はM&Aに関する最終的な合意内容になり、主に取引金額や表明保障、補償条項や解除条件などが含まれます。基本合意の内容を基に作成されることも多いため、基本合意時に内容の確認を行うことが重要です。

②クロージング
「クロージング」は最終契約に基づいたM&Aの実行を指します。このクロージングを行う事でM&Aの契約手続きは完了、成約となります。

③M&Aの事後処理
クロージング後には「M&Aの事後処理」を行います。
新体制発足に伴い、新たな役員の選任や定款の変更を行う必要がある場合には臨時株主総会を開催します。
また、代表取締役を新任する場合には、定款の定めによっては取締役会も開催する必要があります。

中小企業の企業価値の算出方法

●コストアプローチ

コストアプローチとは、企業の保有している資産および負債をベースにして株式価値を算出する方法です。純資産を基にしているため客観性に優れた評価を行うことができ、中小企業のM&Aにおいてはコストアプローチを採用することが多くあります。その中でもよく用いられるのは「簿価純資産法」と「時価純資産法」の2つです。

・簿価純資産法
譲渡企業の資産・負債の帳簿価格に基づいて算出します。

・時価純資産法
時価純資産法では、譲渡企業の資産・負債を時価に直した上で、時価換算した資産合計から時価換算した負債合計をひいた額を算出します。

●マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは、株式市場やM&A市場における取引価額を基準に算定する評価方法です。非常に客観的な価値を算定することができますが、中小企業と同じビジネスモデルで同規模の上場企業を探し出すことが難しいという欠点があります。その中でもよく用いられるのは「類似企業比較法」「類似取引比準法」の2つです。

・類似企業比較法
類似企業比較法は、譲渡企業と事業内容や企業規模、収益性という観点で類似した上場会社を複数選出した上で、類似企業の企業価値と財務上の数値を基に比較し、譲渡企業の企業価値を算出します。

・類似取引比準法
類似取引比準法は、同一業界にて過去に行われた公開されているM&A事例から入手可能な譲渡価額や各財務指標を基に取引倍率を算出し、その取引倍率を基に企業価値を計算します。

●インカムアプローチ

インカムアプローチとは、譲渡企業に今後見込まれる収益やキャッシュフローから、リスクなどを考慮して企業価値を算出する評価方法です。
会社が持つ将来の収益獲得能力や固有の性質を評価結果に反映させられる点で優れていますが、未来のことを予測するという側面があることから、将来情報に対する恣意性が排除されづらいという難点もあります。その中でもよく用いられるのは「DCF法」と「配当還元法」の2つです。

・DCF法(Discounted Cash Flow =割引キャッシュフロー法)
将来的に見込まれるキャッシュフローを、リスクの大きさに合わせて設定した割引率で現在価値に割り引くことで算出します。

・配当還元法
配当還元法は、株式の配当金と資本金を基準にして企業価値を算出する方法です。

中小企業がM&Aを成功させるためのポイント

ここでは中小企業がM&Aを成功させるために覚えておきたいポイントを紹介します。

●M&Aを行う理由や動機を明確にしておく

譲渡企業・譲受企業にかかわらず、M&Aを実施する場合、事業承継や事業拡大などの理由や動機を明確にしておくことが大切です。

M&Aを行う際は、自社が目指す目的と合致した取引先を選ぶ必要があります。理由や動機が明確であれば取引先を決める基準も明確化されるため、スムーズなマッチングが可能です。また、M&Aの理由や動機を明確にすると同時に、M&Aを行うにあたって譲れない条件も固めておくようにしましょう。

●M&Aに強い相談先を見つけておく

M&Aの相談先は、M&Aアドバイザーの他にも顧問税理士や弁護士、金融機関などいくつか考えられますが、それぞれ専門分野が異なるため、M&Aの手続き全体に携わっていないケースも多くあります。

M&Aには、成功させるための基礎的な知識だけではなく、成約までの流れや税務、法務などの幅広い知識が必要です。そのため、M&Aを実施する際は、いくつかの相談先と話してみて、M&Aに強い相談先を見つけておくとよいでしょう。

●従業員への告知のタイミングに留意する

M&Aで会社を譲渡する場合、従業員へ告知を行うタイミングが非常に重要になります。M&Aを成功させるためにはこれまで以上に業績を伸ばし、譲受企業に「価値のある会社」であることをアピールすることが大切です。

下手な伝え方をしてしまうと、従業員のモチベーション低下や人材の流出に繋がり、業績が悪化してしまう可能性があります。業績が悪化するとM&Aの成約が難しくなることも考えられます。

また、従業員へ告知の際は、M&Aを実施する意図や従業員が会社の財産であること、会社としての今後の方向性などを真摯に説明し、自社に残ってほしい旨を前向きに伝えることが重要です。

中小企業がM&Aを行う際の注意点

M&Aを実施する際は、譲渡企業と譲受企業それぞれに注意点があります。ここでは中小企業がM&Aを実施する際の主な注意点を紹介します。

●譲渡企業の注意点①:情報の漏洩

M&Aを検討している譲渡企業は情報漏洩に注意が必要です。M&Aは「身売り」のイメージを持つ人もいるため、情報が漏洩すると従業員の不安や人材流出などに繋がり、M&Aの成約がスムーズに行えない可能性があります。
また、既存の取引先がある場合は、情報漏洩によって取引上の不利に繋がったり、取引自体が停止したりするケースも考えられます。M&Aの情報漏洩は、社内外に多くの影響を与える可能性があるため、細心の注意を払うようにしましょう。

●譲渡企業の注意点②:譲受企業に対しては不利な事情も伝えておく

M&Aを実施する際は、自社に不利な情報であっても早めに譲受企業へ伝えるように心がけましょう。譲受企業はM&Aの成約前にデューディリジェンス(DD)を行い、譲渡企業の経営状況や潜在リスク、問題点などを確認します。

デューディリジェンスによって会社の簿外債務や不適切な会計処理などが明らかになると、意図的でなかったとしても譲受企業の不信感を招いてしまい、M&Aがスムーズに実施されない可能性があります。また、譲渡の完了後に問題が発覚すると、損害賠償などを問われるおそれもあります。

▷関連記事:M&Aの最後にして最大の難関。「デューディリジェンス(DD)」を徹底解説

●譲受企業の注意点①:根拠のある譲渡価額の算出

企業の価値は、洋服や電化製品のように定価が決められているわけではないため、譲渡価額はバリュエーション(企業価値評価)やデューディリジェンス(DD)の結果を参考に譲渡企業と譲受企業の交渉によって決定します。

通常、譲渡企業はできるだけ高く自社譲渡を行いたいと考えますので、譲受企業は譲渡価額に懸念点がある場合、M&Aアドバイザーなどの専門家が提示する根拠のある数字を参考にして交渉を進めるようにしましょう。

●譲受企業の注意点②:人事制度やシステムの統合による混乱

M&A成約後は、譲渡企業と譲受企業の間で経営統合の作業を行います。この作業はポストマージャーインテグレーション(PMI)と呼ばれ、PMIを適切に進めることができない場合は人事制度やシステム統合などによる現場の混乱を招き、M&Aによって期待していた相乗効果(シナジー効果)を得られない可能性があります。
M&Aの成功はPMIにかかっているとも言われますので、適切に進められるように準備しておきましょう。
M&Aのメリットの1つはシナジー効果を期待できることですので、M&Aを成功させるためにもPMIを適切に進められるように準備しておきましょう。

まとめ

事業承継や事業拡大の手段の1つとしてM&Aを検討する中小企業が増えています。M&Aといってもさまざまな手法があるため、目的に合った手法を選択するようにしましょう。

また、M&Aを成功させるためには、M&Aを行う理由や動機を明確にしておくことや、M&Aに強い相談先を見つけておくことなどが必要です。M&Aを成功させるためにもポイントを把握して、適切なプロセスでM&Aを進めていきましょう。

事業承継や事業拡大の手段の1つとしてM&Aを検討する中小企業が増えています。M&Aといってもさまざまな手法があるため、目的に合った手法を選択するようにしましょう。

また、M&Aを成功させるためには、M&Aを行う理由や動機を明確にしておくことや、M&Aに強い相談先を見つけておくことなどが必要です。M&Aを成功させるためにもポイントを把握して、適切なプロセスでM&Aを進めていきましょう。

fundbookのサービスはこちら(自社の譲渡を希望の方向け)
fundbookのサービスはこちら(他社の譲受を希望の方向け)

    【無料ダウンロード】自社の企業価値を知りたい方へ

    企業価値100億円の条件

    企業価値100億円の条件 30の事例とロジック解説

    本資料では実際の事例や企業価値評価の手法をもとに「企業価値評価額100億円」の条件を紹介します。
    このような方におすすめです。

    自社の企業価値がいくらなのか知りたい
    ・企業価値の算出ロジックを正しく理解したい
    ・これからIPOやM&Aを検討するための参考にしたい

    は必須項目です。

    貴社名

    売上規模

    貴社サイトURLもしくは本社所在地をご入力ください

    お名前

    フリガナ

    役職

    自社の株式保有

    電話番号(ハイフンなし)

    メールアドレス

    自社を譲渡したい方まずはM&Aアドバイザーに無料相談

    相談料、着手金、企業価値算定無料、
    お気軽にお問い合わせください

    他社を譲受したい方まずはM&A案件情報を確認

    fundbookが厳選した
    優良譲渡M&A案件が検索できます

    M&A・事業承継のご相談は
    お電話でも受け付けております

    TEL 0120-880-880 受付時間 9:00~18:00(土日祝日を除く)
    M&A案件一覧を見る 譲渡に関するご相談