個人でもM&Aができる案件はどのように探せば良いのでしょうか。
2021年の国内のM&Aの件数は過去最高の4,280件となっており、2020年から14.7%増加しています。
また、昨今では個人でも小規模な会社や事業を買いたいという人が増えています。コロナ禍による影響で大企業にいても安定した雇用の継続が保証されなくなってきている、企業に雇われるよりも自分で事業を行いたい、0から起業をするよりもリスクが低いなどの理由から、退職金などを利用して個人でM&Aを行うケースも増えています。
このような状況の中、M&A案件の探し方がわからない、個人でも譲り受けられる案件はあるのか知りたい方も多いのではないでしょうか。
本記事では中小企業、個人でも買いやすいM&A案件の探し方やM&Aの流れ、注意点、個人でも買える業種はどのようなものがあるのかを紹介します。
M&Aを体系的に理解したい方はこちらもご参照ください。
▷関連記事:M&Aとは?M&Aの手法や流れ、メリットを解説【分かりやすい動画・図解付き】
年間3,000回の面談をこなすアドバイザーの声をもとにまとめた、譲渡を検討する前に知っておくべき5つの要件を解説。
・企業価値の算出方法
・M&Aの進め方や全体の流れ
・成約までに必要な期間
・M&Aに向けて事前に準備すべきこと
会社を譲渡する前に考えておきたいポイントをわかりやすくまとめました。M&Aの検討をこれから始める方は是非ご一読ください!
小規模の譲渡案件の探し方
M&Aは様々な目的によって行われます。会社に所属しているのか個人でM&Aを検討しているのか、探したい案件の規模などによっても探し方は異なります。
ここでは、個人でも買いやすい小規模の譲渡案件の探し方を紹介します。
一般的に、個人が小規模の譲渡案件を探す方法は下記の4つです。
①M&A仲介会社
1つ目は、M&A仲介会社を利用する方法です。
M&A仲介会社は譲渡企業、譲受企業双方の間に立ってM&Aをサポートします。
仲介会社に依頼するメリットとしては、M&Aアドバイザーがニーズをヒアリングして理想の譲渡案件を紹介してくれる点です。そのため、納得のいく譲渡企業を紹介してもらえる可能性があります。また、譲渡企業との交渉事においても、M&Aアドバイザーが間に入ってくれるのでスムーズに進行してくれるでしょう。
デメリットに関しては、紹介される案件がM&Aアドバイザーの属人的な選定になってしまう恐れがあるという点です。
fundbookはプラットフォームとM&Aアドバイザリーサービス両方を提供しています。専門のM&Aアドバイザーが厳選した案件をプラットフォームで閲覧し、希望する案件が見つかればすぐに担当者に相談できる機能もついており、マッチングから成約までをサポ
ートいたします。
詳しくはこちらをご参照ください。
▷参考:fundbookのサービス(譲受を検討の方)はこちら
②金融機関(銀行、証券会社)
2つ目は、銀行や証券会社などの金融機関から直接譲渡案件を紹介してもらう方法です。
銀行や証券会社によってはM&A専門の部署を設けており、サポートを受けられるでしょう。また、普段から付き合いがある場合、相談しやすいこともメリットの一つといえます。
デメリットは、仲介手数料が比較的高額になりうる点です。
というのも銀行や証券会社のような金融機関は大企業を対象としていることが多いです。そのため、仲介手数料が高く設定されており予想以上のコストがかかる恐れがあります。実際に相談する前に、仲介手数料や着手金などの報酬体系については入念に確認される
ことをおすすめします。
M&A仲介会社、金融機関の利用もできますが、個人でM&Aを検討されている方には特に下記の2つがおすすめです。
③事業引継ぎ支援センター
個人がM&Aの譲渡を希望している案件を探すなら事業引継ぎ支援センターの利用がおすすめです。
事業引継ぎ支援センターは、後継者のいない中小企業・小規模事業者の「事業引継ぎ」を支援する機関です。全国47都道府県にセンターが設置されており、円滑な事業のバトンタッチ、次世代への経営資源のスムーズな承継を促進しています。
譲渡側企業の約7割が小規模事業者となってるため、今後の創業(起業)の手段として買収を検討している方は一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。
▷参考:譲受(買収)をご希望の方|東京都事業引継ぎ支援センター
④M&Aマッチングサイト
次に、M&Aマッチングサイトを利用する方法です。
M&Aマッチングサイトは、会社や事業を譲り渡したい人(企業)と会社や事業を譲り受けたい人(企業)がマッチングできるサイトのことです。
会社を売りたい人が案件を無料で掲載でき、買いたい人は自分が興味のある案件に直接お問い合わせができる点が特徴です。メリットとしては、比較的安価に案件を探せる点です。また、直接交渉できるようなサイトだと時間の短縮も期待できます。
デメリットとしては、M&Aの具体的な支援は行っていない点です。マッチングサイトの多くはマッチングのみの支援がサービスなので、自分で交渉を進めなければならない可能性もあります。M&Aは専門的な知識と経験が必要になるので、自力でM&Aを成約まで行うのは非常に困難です。
スムーズにM&Aを行うためには信頼できるアドバイザーに相談するのがよいでしょう。
▷関連記事:M&Aアドバイザーとは?業務内容と手数料、その必要性について
個人でも買いやすい業種一覧
参考として個人でも比較的買いやすい、譲渡価額が300万円〜500万円の業種の一覧をまとめました。
・Webサイト、ECサイト
・1棟マンション
・旅館
・飲食店
・パーソナルジム
・学習塾
・デイサービス
・脱毛、エステサロン
上記以外にも、レンタル会議室やYouTubeチャンネル、SNSアカウントなど、業種に限らず様々な事業や媒体が譲渡案件として掲載されています。
もちろんこの業種の全案件の譲渡価額が300万円〜500万円以内というわけではありません。ですが、他業界と比較すると、譲渡価額が抑えられる傾向にあります。
地域別の案件の探し方
地域別のM&A譲渡案件の探し方を紹介します。地域別にM&A譲渡案件を探す方法は大きく下記の3つです。
・地域に特化したM&A仲介会社を利用する(地方に拠点があるM&A仲介会社)
・事業引継ぎ支援センターを利用する
・マッチングサイト(プラットフォーム)を利用する
先述の通りですが、地域別に特化して譲渡案件を探したい場合、対象の地域に拠点を置くM&A仲介会社や全国47都道府県に設置されている、事業引継ぎ支援センターを利用すると良いでしょう。
また、マッチングサイトやプラットフォームを保有しているM&A仲介会社を利用することで、希望する地域の譲渡案件を探すことができます。
M&Aの流れ、注意点
最後にM&Aの流れと注意点をご紹介します。特に個人でM&Aを検討している場合は、注意が必要です。
M&Aの流れ
中小企業も個人もM&Aの流れは大きく変わりません。一般的なM&Aの流れは大きく分けて下記です。
1.準備フェーズ
2.交渉フェーズ
3.最終契約フェーズ
準備フェーズではM&Aの目的や希望する条件を明確にし、適切な相手企業を選定します。
交渉フェーズでは、希望する譲渡企業の企業概要書を見て、具体的にM&Aを進めていくかを判断します。対象企業が決まったら、M&A仲介会社と基本合意を締結し、デューディリジェンスと呼ばれる企業調査を行います。
最終契約フェーズでは、M&Aに関する最終的な合意内容を契約として締結し、経営権を移転する手続きを行います。
下記で、M&Aの流れについてより詳細に説明しています。興味のある方はぜひご参照ください。
▷関連記事:M&Aの一般的な手続きの流れ 検討~クロージングまで
▷関連記事:個人事業M&Aを成功させる方法や具体的なM&Aの手続きの流れ
M&Aの注意点
M&Aは成約までに様々な契約の締結から会社の統合まで、多額の費用と半年〜2年ほどの時間がかかります。そのため様々な注意点があります。
・契約の確認
M&Aを進める上で、譲渡企業と譲受企業との間やM&A仲介会社との様々な契約を締結します。専門的な知識が必要なものや事前に準備して置かなければならないものもあるので、契約書の内容や必要な書類などを事前に確認しておいた方がよいでしょう。
M&Aのプロセスに精通し、交渉や手続きのサポートを行ってくれるM&A仲介会社のような専門家の協力が不可欠となります。
・M&A成約後に事前の話と異ならないか確認
M&A成約後に、事前に聞いていた話と異なる場合も考えられます。特に個人でM&Aを行う場合は、小規模な案件がほとんどなので、事前に事業リスクを判断するための情報も少ないケースがあります。
譲渡企業の話やマッチングサイトに掲載されている情報だけでなく、しっかりと専門のM&Aアドバイザーの意見も取り入れることで、M&A成約後のトラブルを防ぐことができるでしょう。
▷関連記事:備えあれば憂いなし!M&Aの注意点
まとめ
国内でのM&A件数は年々増加しており、中小企業だけでなく個人でも小規模なM&Aを行う時代になっています。
M&A案件の探し方も様々ですが、目的や希望する条件に合った探し方をすることで、M&A成約後もトラブルを防ぐことができます。中小企業、個人に関わらず、M&Aには多額の金額と膨大な時間がかかり、専門的な知識が必要となります。
そのため、専門のM&Aアドバイザーなどに相談することをお勧めします。