
M&Aは、M&A仲介会社などの専門家に依頼して手数料を払って進めることが一般的です。
しかし、M&Aアドバイザーに支払う手数料は細かく分かれているうえ、会社によって料金体系が異なるため、相場を明確に把握している方は少ないのではないでしょうか。
M&Aに関しては中小企業庁が定めるガイドラインはあるものの、手数料についての法規制はなく、仲介会社によって金額に幅があります。手数料が高い仲介会社もあれば安い仲介会社もあるため、依頼先を選ぶ際は複数の会社を比較する必要があります。
本記事では、M&Aアドバイザーへ依頼する前に確認しておきたい「M&Aの手数料」の相場や、成功報酬の計算で使われるレーマン方式について解説します。
なお、M&Aアドバイザーが結ぶアドバイザリー契約に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
▷関連記事:アドバイザリー契約とは?専任契約、非専任契約の違いと規定内容

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年間3,000回の面談をこなすアドバイザーの声をもとにまとめた、譲渡を検討する前に知っておくべき5つの要件を解説。

・企業価値の算出方法
・M&Aの進め方や全体の流れ
・成約までに必要な期間
・M&Aに向けて事前に準備すべきこと
会社を譲渡する前に考えておきたいポイントをわかりやすくまとめました。M&Aの検討をこれから始める方は是非ご一読ください!
目次
M&A仲介会社に支払う手数料の種類と相場
前提として、規模の大きなM&Aほど手続きの負担が増えるため、手数料も高くなります。また、手数料以外にも、手数料を支払うタイミングや契約上の注意項目などは、各M&A仲介会社によって異なるため、事前に確認しておく必要があります。
ここでは、押さえておくべきM&Aにかかる手数料の種類や相場について解説します。
手数料の種類 | 相場 |
---|---|
相談料・着手金 | 無料~数百万円 |
月額報酬(リテイナーフィー) | 無料~数百万円 |
中間報酬 | 成功報酬の10~30% |
成功報酬 | レーマン方式によって算出 |
デューディリジェンス費用 | 数十万円~数百万円 |
報酬以外の費用 | 内容により様々 |
M&Aの具体的な流れと手順は、こちらの記事で解説しています。
▷関連記事:M&Aの流れは?売却の検討からクロージングまで進め方を徹底解説
▷M&A仲介の手数料①:相談料
M&A仲介会社にサポートを依頼する際、最初に発生する手数料が「相談料」です。M&Aへの意向の有無にかかわらず、M&Aアドバイザーに相談すると発生する費用です。
相談料は、アドバイザーの専門的な知見や経験から導き出される助言や判断に対して発生する費用ですが、近年では無料で相談を受ける仲介会社も増加しています。
▷M&A仲介の手数料②:着手金
「着手金」は、M&Aアドバイザーが企業のニーズに基づいて該当する相手先を探す際に発生する費用です。相談料や着手金は、最終的にM&Aが成約しなかったとしても、多くの場合は返金されません。
相談料・着手金はM&Aを進めるための様々な準備にかかる費用ですが、近年の傾向では着手金が無料の仲介会社も多くあります。金額的には無料~数百万円と大きな幅があります。
▷M&A仲介の手数料③:月額報酬(リテイナーフィー・コンサルタント料)
M&Aが成立するまで毎月支払う手数料が「月額報酬(リテイナーフィー)」です。
月額報酬は、毎月定額の場合もあれば、業務内容に応じて支払う場合もあります。アドバイザリーやコンサルタントへ支払う報酬のため、「コンサルタント料」とも呼ばれます。
M&A成約までの期間が長引くほど高額になる傾向がありますが、月額報酬のかからない仲介会社もあります。金額の目安は無料~数百万円と幅があるので、依頼前に確認しましょう。
▷M&A仲介の手数料④:中間報酬(基本合意締結によって発生)
相手先が見つかり、M&Aの基本合意を結んだ時に支払う手数料が「中間報酬」です。一般的には、成功報酬の10~30%程度の費用が発生します。
中間報酬を支払った後はデューディリジェンス、最終合意、クロージングなどの最終局面に進み、その中で大きな問題が発覚しなければ、M&Aの成約へと進みます。
中間報酬はM&Aが成約しなかった場合でも返金されません。しかし、M&Aが成功した場合には、成功報酬に充当されるケースが多いです。
▷M&A仲介の手数料⑤:成功報酬
M&Aが成約し、M&Aの最終契約を締結した時点で発生する手数料が「成功報酬」です。成功報酬の金額は、レーマン方式という計算方法で算出するケースが一般的です。
レーマン方式の場合、譲渡金額が高いほど成功報酬として支払う額が増大します(詳細は後述)。
また、中間報酬や月額報酬は成功報酬に充当されることも多いです。
例えば、M&A成立までの全体の報酬が4,000万円、中間報酬や月額報酬の合計が1,000万円の場合、M&Aが成約した際に3,000万円の支払いで済む場合もあります。
中間報酬や月額報酬が充当されるのかは仲介会社によって異なるため、契約前に確認することをおすすめします。
▷M&A仲介の手数料⑥:デューディリジェンス費用
譲渡候補の企業の財務や税務、法務に関して譲受企業側が調査を行うデューディリジェンスでは、依頼するコンサルタントや専門家、M&Aの規模によって、発生する金額に大きな幅があります。
また、デューディリジェンスを行う範囲によっても金額は異なり、総額が数十万円程度の場合もあれば、数百万円以上の場合もあります。小規模なM&Aではデューディリジェンスを行わないケースもありますが、潜在的なリスクを負うことにご注意ください。
デューディリジェンスにかかる費用は、着手金や成功報酬に含まれるケースもあります。なお、デューディリジェンスは譲受企業が行うため、費用は基本的に譲受企業が支払います。
M&Aのデューディリジェンスについては、こちらの記事を参考にしてください。
▷関連記事:M&Aで重要なデューディリジェンス(DD)とは?種類や手順・費用や注意点を解説
▷M&A仲介会社への報酬以外の費用
M&Aには報酬以外の費用が発生することがあります。
例えば、M&Aでは調査や契約時など様々な手続きで書類が必要とされるため、基本的に書類作成費用がかかります。
その他、M&Aを行った後の法人税などの負担も考慮する必要があるでしょう。M&Aの予算を決める時は、M&A仲介会社に支払う手数料だけでなく、諸費用全てを計算する必要があります。
M&A仲介の成功報酬計算に使われる「レーマン方式」とは

上述したように、M&Aの成功報酬の計算方法では、レーマン方式が活用されるケースが多いです。
「レーマン方式」とは、取引金額に応じて報酬料率が変わる報酬体系で、多くのM&A仲介会社が採用しています。譲渡金額が大きい部分については手数料率が低く、譲渡金額が少ない部分については手数料率が高くなります(具体的な計算方法は後述)。
また、仲介会社によっては最低報酬金額を設定する場合もあり、相場は500万円~2,500万円程度です。
レーマン方式では算定基準が仲介会社によって異なるため、契約する際は何に対して成功報酬料率を定めているのか確認することが重要です。取引金額の算定基準は、主に以下の4種類が用いられます。
・株式価額
・オーナー受取額(株式価額+役員借入金)
・企業価値(株式価額+有利子負債)
・移動総資産(株式価額+有利子負債+その他の負債)
この他、例えば、譲渡企業の資産と営業権(のれん代)をもとに成功報酬を算出する場合など、上記以外の基準が用いられるケースもあります。
下表に、レーマン方式における取引金額(算定基準額)と報酬料率の関係をまとめました。報酬料率は典型的な例であり、下表に記載のない料率が用いられるケースもあります。
取引金額(起算基準額) | 報酬料率の一例 |
---|---|
5億円までの部分 | 5% |
5~10億円の部分 | 4% |
10~50億円の部分 | 3% |
50~100億円の部分 | 2% |
100億円超の部分 | 1% |
M&Aに詳しい人材が在籍していない企業では、レーマン方式による報酬金額の算定プロセスについて正しく把握できないかもしれません。不明な点がある場合は、M&A仲介会社に質問しましょう。
なお、経済産業省は2024年8月に「中小M&Aガイドライン」を改訂し、M&A仲介会社に対して、手数料の算定基準や最低額などを公表することを求めました。2024年8月以降は、中小企業庁の「登録支援機関データベース」で登録支援機関の手数料体系が公表されています。
2024年9月には、M&A仲介会社が加盟する業界団体「M&A支援機関協会」の自主規制ルールも改訂されました。買い手と売り手から受け取る仲介手数料の総額を双方に説明することが会員企業に義務付けられたため、今後、透明性の向上が期待されます。
▷レーマン方式による成功報酬の具体的な計算方法
ここでは、レーマン方式によって報酬料率を定める場合の具体的な計算方法を紹介します。例えば、起算基準額が11億円で、報酬料率が5億円部分までが5%、5億円~10億円部分が4%、10億円~50億円部分が3%のケースを想定しましょう。この場合、下表に示すように足し合わせることにより、成功報酬額は4,800万円と算出されます。
区分 | 計算式 | 金額 |
5億円までの部分 | 5億円×5% | 2,500万円 |
5~10億円の部分 | 5億円×4% | 2,000万円 |
10~11億円の部分 | 1億円×3% | 300万円 |
合計 | 2,500万円+2,000万円+300万円 | 4,800万円 |
なお、のれん代については、こちらの記事で詳しくまとめています。
▷関連記事:M&Aの「のれん」とは?償却期間や会計処理、注意点を分かりやすく解説
M&A仲介の手数料は誰が払う?
売り手と買い手が同じM&A仲介会社に依頼する「両手取引」では、売り手と買い手の双方が手数料を支払います。
一方、売り手と買い手のどちらか一方とだけ契約する「片手取引」では、依頼した一方(売り手または買い手)が支払います。
両手取引の利点は、M&A仲介会社が売り手と買い手の両方と契約するため、交渉がスムーズに進むことです。ただし、「売り手の利益と買い手の利益が衝突する場合、M&A仲介会社が中立的に対応するとは限らない」というリスクがあります。
なお、現在日本では、両手取引に関する規制がありません。そのため、M&A業界の他、不動産業界でも両手取引が幅広く実施されています。
M&A仲介会社手数料の税務・会計処理方法
成約前に発生する手数料に関しては、「仮払金」などの勘定科目で計上することが一般的です。そのうえで、成約が決定してから「子会社株式」などの勘定科目に買収の取得原価として含めるケースが多く見受けられます。
成約後に発生する手数料については、付随費用としてM&Aの対価に加算し計上するケースの他、契約内容によっては異なる処理方法を採用するケースもあります。社内の判断で処理するのではなく、外部の税理士や会計士など、税務・会計の専門家に相談するのが安心です。
M&A仲介会社の役割
M&A仲介会社の役割は、以下のとおりです。
・スケジュールと戦略の決定
・M&Aの手続きの全般的な支援
・弁護士や会計士などの専門家の紹介
それぞれ解説します。
▷スケジュールと戦略の決定
M&Aを行う場合、実施期間として最短でも半年程度はかかり、1年以上かかるケースもあります。
M&A仲介会社は、依頼主の経営状況や希望を考慮したうえでスケジュールを管理してくれます。
▷M&Aの手続きの全般的な支援
M&A仲介会社は、以下のようにM&A成約までの様々な業務の支援を行います。
・M&Aの相手探し
・企業価値の算定
・交渉
・デューディリジェンスの支援
・書類作成
M&Aの手続きは専門性が高いため、自社だけで行うのは困難です。そのため、M&A仲介会社のサポートを受けながら手続きを進めることが一般的です。
▷専門家(弁護士や会計士など)の紹介
M&Aは法律に従った手続きや会計の処理、業界の動向など、様々な専門知識が求められます。
しかし、全ての弁護士や会計士がM&Aの専門知識を有するわけではありません。そのため、M&A仲介会社がM&Aの専門知識を有する弁護士や会計士を紹介する場合もあります。
特に譲受企業となる場合は、一般的にデューディリジェンスを行う必要があるので、M&Aの専門知識を持った弁護士や会計士の紹介は大いに役立ちます。
なお、M&A仲介会社については以下の記事で詳細に触れていますので、参考にしてください。
▷関連記事:M&A仲介会社とは?FAとの違いや選び方・メリット、手数料の相場を解説
M&A仲介会社を活用するメリット

M&A仲介会社に依頼すると手数料はかかりますが、以下のような様々なメリットがあります。
・専門的な知識・経験でサポートしてもらえる
・本業に集中できる
・取引相手の選択肢を拡大できる
・仲介会社が交渉役となりM&Aを円滑に進められる
・譲受候補企業が欲しい情報を提供してもらえる
・トラブルを回避できる
M&Aを検討している場合は、これらのメリットを把握しておきましょう。
▷専門的な知識・経験でサポートしてもらえる
M&Aには、複雑で専門的な手続きが多数あります。M&A仲介会社は、専門的な知識や経験を有するため、サポートを受けることでM&Aをスムーズに進めることができます。
▷本業に集中できる
M&A仲介会社を利用することで専門的な手続きをサポートしてくれるため、M&Aを検討中もしくは実行中の場合でも、依頼主は本業に集中できる環境がつくれます。
譲渡企業は本業の業績が下がってしまうと、M&Aが破談になる可能性があります。そのため、本業に集中しながらM&Aの手続きを進められることは、大きなメリットです。
▷取引相手の選択肢を拡大できる
M&A仲介会社によっては、譲受企業や譲渡企業の候補となる企業のネットワークを有することがあります。そのため、取引相手の選択肢が広がり、より理想に近い企業とM&Aの取引ができる可能性が高まります。
▷仲介会社が交渉役となりM&Aを円滑に進められる
譲渡企業と譲受企業双方の希望や条件をM&Aアドバイザーがすり合わせることで、M&Aを円滑に進められることもメリットです。
また、M&Aアドバイザーがつくことで、自社にとって不利な条件が契約に盛り込まれることを避けられるなど、リスクの防止も期待できます。
▷譲受候補企業が欲しい情報を提供してもらえる
譲受候補企業が希望する情報を提供してくれることも、M&A仲介会社を利用するメリットです。譲受候補企業が納得しないとM&Aは成立しませんが、譲受候補企業を納得させる方法を見出すことは容易ではありません。
M&A仲介会社は、企業概要書(IM:インフォメーション・メモランダムともいう。譲渡企業の詳細な情報を記載した資料を指す。)の作成をサポートしてくれます。この企業概要書の内容に納得すれば、M&Aが成約する可能性が高まります。
企業概要書については、以下の記事で解説しています。
▷関連記事:企業概要書(IM)の作成方法|M&Aを成功させるために
▷トラブルを回避できる
M&A仲介会社を利用することで、以下のようなトラブルを回避できます。
・M&Aに必要な手続きを把握しておらず破談になった
・相手企業が反社会的勢力の企業だった
・契約書の内容に自社が不利になる内容が盛り込まれていた
・適正価格から大きく外れた買収金額となった
M&A仲介会社を活用するデメリット
M&A仲介会社を活用することにはメリットがある反面、以下のようなデメリットもあります。
・利益相反になる可能性がある
・着手金や中間報酬の返金がない
・手数料が高い場合がある
M&A仲介会社への依頼検討の際は、依頼するメリットだけでなくデメリットも考慮する必要があります。
▷利益相反になる可能性がある
M&Aでは、譲渡側はできるだけ高い金額で売却したいと考えますが、一方、譲受側はできるだけ安く購入したいと考えます。
仲介業者が両者を仲介する場合、一方の企業の要望を優先すれば、もう一方の企業の利益に反する形(利益相反)になる可能性があります。M&A仲介会社が自社ではなくM&A候補先の企業の利益を優先する可能性がある点はデメリットです。
利益相反のリスクがある点については、中小企業庁が公表している中小M&Aガイドラインでも指摘されています。譲渡企業と譲受企業との間で利益相反の恐れがあるものと想定される事項について、M&A仲介会社が双方に対して明示的に説明を行うなど、利益相反のリスクを最小限にする措置を講じることがM&Aの仲介者に求められています。
▷着手金や中間報酬の返金がない
M&A仲介会社の手数料として着手金や中間報酬を支払うケースでは、M&Aが不成立に終わった場合でも、支払済の着手金や中間報酬は返還されない場合が多くあります。
M&Aは必ず成立するとは限らないため、M&A仲介会社に依頼してもM&Aが成立せず費用だけかかって終わる可能性がある点はデメリットです。M&A仲介会社に依頼する際には、着手金は必要なのか、中間報酬は設定されているのかなど、報酬体系をよく確認する必要があります。
▷手数料が高い場合がある
報酬体系や手数料の項目ごとの料金設定はM&A仲介会社によって様々ですが、一般的には、買収価格の5%程度が成功報酬としてかかります。
前述のレーマン方式の算出例で紹介したように、起算基準額が11億円のケースであれば成功報酬額は4,800万円になる計算です。レーマン方式では成約価額が高いほど成功報酬も高額になる仕組みであり、手数料が高額になる場合があります。
また、手数料体系によっては成功報酬以外に着手金や中間報酬、月額報酬などもかかり、費用がかさむことがあります。
M&A仲介会社の選び方
仲介の方法や手数料体系、契約形態など、M&A仲介会社によって特徴が異なります。M&Aを成功させるためには自社に最適な依頼先を見つけることが大切です。以下では、様々な視点からM&A仲介会社の選び方を紹介します。
▷M&A仲介会社の種類
M&A仲介会社には主に3つの種類があります。それぞれ特徴が異なるため、確認しておきましょう。
種類 | 特徴 |
プラットフォーム型 | 譲渡企業と譲受企業の候補がマッチングするプラットフォームを運営するM&A仲介会社 |
アドバイザー型 | M&Aの専門知識を持った担当者がついて、M&Aを成約まで支援するM&A仲介会社 |
ハイブリッド型 | プラットフォームとM&Aの専門知識を持つ担当者のどちらも提供するM&A仲介会社 ハイブリッド型のM&A仲介会社は少ないが、他の2つに比べて、理想のM&Aを実現しやすい |
▷関連記事:M&A仲介会社とは?FAとの違いや選び方・メリット、手数料の相場を解説
▷関連記事:M&Aマッチングサイトとは?メリットや選定方法など成功のポイント
▷M&Aサービスの種類(契約の種類)
M&Aのサポートを受ける場合、契約の種類はM&Aの依頼先によって「仲介契約」と「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)契約」の2つに分かれます。
契約の種類 | 仲介契約 | FA契約 |
依頼先 | M&A仲介会社 | 大手銀行や証券会社など |
立ち位置 | 譲渡企業と譲受企業の両方をサポートする | 譲渡企業または譲受企業のどちらか一方をサポートする |
主な依頼案件 | 中小企業のM&A | 大規模なM&A、クロスボーダーM&A |
仲介契約は、譲渡企業と譲受企業の双方の間に立ってM&A成約までをサポートします。中立的な立場から双方の利益のバランスを考慮した交渉を行います。
M&A仲介会社との契約や中小企業のM&Aでは、仲介契約となるケースが多いです。
一方、FA契約は、譲渡企業と譲受企業のどちらか一方のサポートを行います。クライアントの利益を最大限に考えた交渉を行うことが大きな特徴です。大規模案件やクロスボーダーM&Aを取り扱う大手銀行や証券会社などに多い契約形態です。
仲介契約とFA契約は、どちらも手数料(成功報酬)の計算方法に違いはありませんが、内容が大きく異なるため最適な契約方法を選択することが大切です。
▷M&Aの着手金や中間報酬
M&A仲介会社の手数料には相談料や着手金、中間報酬、成功報酬などがありますが、会社により報酬体系は異なります。どのような費用が発生するのか事前に確認しておきましょう。
M&Aアドバイザーに相談する際に発生する相談料は、時間ごとに細かく設定される場合もありますが、最近では相談料を無料にするM&A仲介会社も存在します。
その後、具体的にM&Aの話が進むと、M&Aアドバイザーは各種調査を開始するため、着手金が発生します。
そして中間報酬は、M&Aの基本合意を締結した際に発生します。「第1次成功報酬」と呼ぶ会社もあります。
また、これらの相談料や着手金、中間報酬はM&Aが成立しなかった場合でも、一般的に返金はされません。
▷M&A仲介会社の報酬体系の違い
M&A仲介会社の中には、M&Aの成約時にのみ報酬を請求する「成功報酬型」を採用する場合があります。
成功報酬は、一般的に譲渡価額に一定の手数料率を乗じて算出します。着手金や月額報酬を請求しないM&A仲介会社も数多く存在します。
しかし、成功報酬の金額は、計算方法や料率の設定によって大きく変動するため、着手金、月額報酬、中間報酬、成功報酬の総額と、成功報酬だけのケースでどちらが費用を抑えられるのかは一概に判断することができません。
M&Aアドバイザーを選択するうえで重要な点は、優良なパートナー企業とのM&A成約に導いてくれるかどうかです。「信頼できる相談相手であるか」をじっくり見極めることが重要です。
また、中には、譲渡企業と譲受企業の双方が納得できるM&Aが行えない可能性があるにもかかわらず、M&Aを進めてしまう仲介会社もあります。そうした状況を避けるためにも、親身に寄り添ってくれるM&Aアドバイザーであるか、相談時に判断するようにしましょう。
M&Aを相談するタイミングで、料金や報酬体系についても事前にしっかりと確認しておきましょう。
▷M&A仲介会社の得意分野
M&Aでは幅広い分野についての高度な知識が必要ですが、M&A仲介会社によって、在籍するアドバイザーの得意分野や経験値は異なります。
そのため、手数料や報酬の内容だけでなく、M&A仲介会社の実績も確認し、得意な案件の傾向を確認しておきましょう。
自社がM&Aを希望する業界に強く、信頼できるアドバイザーが在籍する仲介会社であれば、M&A成約まで安心して任せることができます。
M&A仲介手数料が高い理由と安く抑えるコツ
M&A仲介会社に依頼する際の手数料が高い理由は、人件費です。
M&A仲介業務には法律・会計・税務などのハイレベルな専門知識が必要であり、必要に応じて弁護士や公認会計士などのサポートを受けることになります。助言や手続きのサポートなどを専門家に依頼すると費用がかかるため、M&A仲介手数料は高くなる傾向にあります。
M&A仲介会社の報酬体系や手数料の金額は会社ごとに幅があるため、1社のみの相談で契約するべきではありません。複数の仲介会社に見積もりを依頼して、手数料を比較することが重要です。
報酬体系をWebサイトで公開しているM&A仲介会社もあるので、まずは仲介会社のWebサイトをチェックして、報酬体系が開示されているか確認することをおすすめします。
報酬体系の詳細がWebサイトに記載されていない場合は、仲介会社に直接問い合わせて確認するか、無料相談を実施している仲介会社であれば無料相談を利用して手数料を確認しても良いでしょう。
中小企業庁の「登録支援機関データベース」で手数料が割安なM&A仲介業者を探すことも有効的です。「最低手数料の金額」「成功報酬の算定方法」「着手金の有無」などの条件で絞り込み検索し、自社に適したM&A仲介会社を見つけてください。
事業承継・引継ぎ補助金の「専門家活用」事業では、M&A仲介の手数料も補助対象とされるケースがあります。予算に余裕がない場合は、補助金の活用も検討しましょう。
上述したように、安心してM&A仲介会社を利用できる環境を整えるために、経済産業省は2024年8月に「中小M&Aガイドライン」を改定しました。改訂されたガイドラインでは、M&A仲介業者が契約者に対して、手数料の詳細を説明することを求めています。
今後、算定基準がオープンになれば、過大な手数料を請求されるトラブルの発生が抑制されるでしょう。そして、事業承継の件数が増加し、有力企業への事業集約につながることが期待されます。
まとめ
M&A仲介会社を利用すると、様々な料金や報酬が発生します。
M&Aを成功させることができれば、支払った料金や報酬以上のリターンを得ることができるでしょう。また、M&A仲介会社を活用することで、M&Aに関する大きな損害の防止も期待できます。
着手金や月額報酬、中間報酬、成功報酬など、手数料の種類ごとの相場は前述したとおりですが、報酬体系や金額は仲介会社ごとに異なり、幅があります。実際にM&A仲介会社を選ぶ際は、複数の仲介会社を比較して決めることが大切です。
成功報酬は「レーマン方式」で算出されるケースが多く見受けられます。取引金額の算定基準として、主に「株式価額」「オーナー受取額」「企業価値」「移動総資産」の4種類が用いられます。なお、M&A仲介会社によっては、これら以外の手数料を抑えたい場合は、1社のみに相談するのではなく、複数のM&A仲介会社に見積もりを依頼し、報酬金額を比較しましょう。中小企業庁の「登録支援機関データベース」で、手数料が割安なM&A仲介業者を探すことも有効的な手段です。予算に余裕がない場合は、補助金(「事業承継・引継ぎ補助金」など)の活用も検討しましょう。
数あるM&A仲介会社の中でも、fundbookは「お客様がM&Aの知識を深め、納得して具体的に検討を進めて欲しい」という想いから、相談料・着手金・中間報酬・月額報酬をいただいておりません。
「後継者が不在だから今後のためにM&Aの相談をしたい」「経営戦略としてM&Aを考えたい」といった際には、ぜひご相談ください。
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