経営・ビジネス

2023/09/14

経営権とは?経営者が知っておきたい支配権や承継方法

経営権とは?経営者が知っておきたい支配権や承継方法

M&Aでは企業間で株式や資金が移動し、手法によっては経営権についても譲渡側から譲受側へと移転することになります。そのため、経営権や支配権は、M&Aや事業承継を検討している方は押さえておくべき重要なポイントの一つです。今回の記事では、経営権に関する基本的な知識から注意点を詳しく解説します。

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経営権とは?承継のための基礎知識

経営権は法律で定められていませんが、一般的には議決権の割合で判断することが多く、議決権のある株式の1/2超を保持している際に経営権を保持しているとみなされます。上記の条件を満たした場合には、株式総会の普通決議を自身の判断で成立させることができます。

株主総会の普通決議には「取締役、監査役の選任」、「役員報酬」、「剰余金の配当」、「準備金の減少」などが含まれます。また、株式の譲渡を行って経営権を移動することで、企業・事業を承継することができます。

支配権とは?株式の保有比率による違い

支配権とは、議決権のある株式の2/3以上を所有している状態を指します。支配権を有していると、株主総会の特別決議を成立させることができるため、実質的に会社を支配することができます。

特別決議では「定款の変更」、「合併会社分割株式交換株式移転」、「合意による特定の株主からの自己株式の取得」など会社の重要な意思決定ができます。定款を変更できるため、社名の変更を行うことも可能です。

会社の経営権と支配権のために必要な株式の割合と可能な決議

議決権のある株式を一定数所有することで、経営権や支配権の他に拒否権などの決議を阻止する権利も行使することができます。ここでは、経営権や支配権などの権利のために必要な株式の割合と可能な決議について説明します。

経営権

必要な株式の割合

議決権のある株式の1/2超

可能な決議

・取締役・監査役の選任
・役員の報酬などの決定
・剰余金の配当
・準備金の減少
・剰余金についてのその他の処分(利益準備金、繰越利益剰余金、別途積立金など)


支配権

必要な株式の割合

議決権のある株式の2/3以上

可能な決議

・定款の変更
・合併・会社分割・株式交換・株式移転の承認
・合意による特定の株主からの自己株式の取得
・相続人など(特定株主)に対する売渡請求
・株式の併合
・資本金の額の減少
・全部取得条項付種類株式の取得

拒否権

必要な株式の割合

1/3超

可能な決議

・拒否権の行使

会社法において、株主総会の特別決議は過半の議決権を持つ株主が出席し、出席者の2/3以上の賛成数で決議されます。そのため議決権のある株式の1/3超を保持していれば、他の株主はその特別決議において決議ができなくなるため、拒否権を有していることになります。

つまり、この拒否権は重要な決議を阻止できる権利です。また、1株だけでも拒否権を発動できる「拒否権付株式」も存在します。

単独株主権と少数株主権、完全経営支配権

単独株主権

単独株主権とは、1株以上の株式を所有していれば主張できる権利のことです。例えば、取締役の違法行為をやめるように請求できる違法行為差止請求権があります。

少数株主権

少数株主権とは一定割合の株式を保持する株主が行使できる権利のことです。所有する株式の数や所有期間によりその権利が異なります。例えば、会計帳簿閲覧請求権は3%以上の株式を有する株主に認められています。

完全経営支配権

完全経営支配権は100%の株式を所有している株主が行使できる権利を指します。株主にとって一切の制約がない状態です。完全経営支配権を持つことで、少数株主などによる経営への介入を防ぐことが出来ます。

経営権の譲渡による問題

M&Aなどによって経営権を譲渡する場合、気をつけるべきいくつかの問題があります。ここでは経営権の譲渡を行う際の注意点について説明します。

中小企業における事業承継

中小企業の経営者は、万が一のときのために前もって相続先を決めておく必要があります。もし経営者が株式の相続先やその比率を明示していなかった場合、スムーズな経営権の移転が難しくなるためです。また、実際の運営者と経営権を持つ人が別になる可能性もあり、混乱を招くこともあり得ます。

上場企業の経営権を獲得する「敵対的買収」

株式を取得して経営権の移転を行う場合、その方法によって大きく「友好的買収」と「敵対的買収」の2つに分けられます。

友好的買収

友好的買収とは、譲受側が対象会社の経営陣から賛成を得た上で、企業を譲受けることを指します。多くの場合で譲渡側と譲受側の利害が一致し、従業員の雇用や事業などが継続しやすいというメリットがあります。

敵対的買収

敵対的買収とは、譲受側が対象会社の取締役会などの同意を得ないでM&Aを仕掛けることです。TOBのスキームを活用する場合、敵対的TOBとよばれます。譲渡側の経営陣の同意なく譲受けるため、情報提供を得られない上、対抗措置が取られることもあり、友好的買収に比べて時間やコストがかかります。

買収防衛策

買収防衛策とは、敵対的買収を成立させないための防衛策のことです。自社の経営権の移転を防ぐ方法は、敵対的買収の予防策と敵対的買収をかけられてからの防衛策があります。

買収防止策の一例

黄金株(拒否権付種類株式)

合併や取締役解任など重要議案に対し拒否権がある種類株式を一部の株式に付与しておくことで、経営権の移転を防ぐことを指します。この拒否権付種類株式を黄金株を呼びます。

ポイズンピル(毒薬条項)
一定割合の議決権取得者が現れた場合に、その他の株主が市場より安い価格で株式を取得できる権利(新株予約権)をあらかじめ付与し、譲受側の持株比率を下げる防止策です。一方で既存の株主を巻込む側面があるため、株主は新株発行の差止めを請求する権利を持っています。

パックマン・ディフェンス
敵対的買収がかけられた場合、逆に譲受側に対して敵対的買収を仕掛け、会社法、商法の規定で譲受側の議決権が無効になる25%以上の株式の持ち合いを目指す防止策です。

ホワイトナイト
友好的な第三者に敵対的買収者よりも高い価格など有利な条件でTOBをしてもらい敵対的買収者を退ける防止策です。

▷関連記事:TOB(株式公開買付)とは?友好的・敵対的TOBの意味や防衛策を解説

経営権の譲渡はM&Aの「株式譲渡」で行うことが多い

経営権の譲渡は株式譲渡のスキームで行うことが一般的です。ここではM&Aの株式譲渡について、基本的な説明を行います。

経営権の承継には株式譲渡(会社譲渡)が有効

株式譲渡とは

株式譲渡とは、譲渡企業の既存株主がその保有株式を譲受企業に譲渡し、譲受企業はその対価を支払う手法を指します。特に中小企業の事業承継では、株式譲渡のスキームを活用することが一般的です。


▷関連記事:株式譲渡とは?中小企業のM&Aで最も活用される手法のメリットや手続き、事前に確認しておくべき注意点を徹底解説

株式譲渡のメリット


後継者問題(承継問題)の解決

M&Aによって自社の経営権を譲渡するため、自社を存続させられます。そのため、後継者不在の解決策になります。

会社・事業を切れ目なく存続できる

譲渡企業の株式が譲受企業に移動するだけなので、原則として譲渡企業の従業員や取引先、顧客に個別に承諾を得る必要がなく、事業を継続したまま承継できます。

手続きが比較的少ない

株式譲渡はM&Aの手法の中で比較的、手続きが簡易なのが特徴です。また、原則として会社が保有する資産や負債、契約などについて個別に引継ぐ手続きは不要です。

創業者利益の確保

多くのケースで、株式譲渡によって株式の対価を得られます。子の対価をセカンドライフの資金にあてることや、新たな事業を起こす資金にすることなどができます。

株式譲渡と事業譲渡、営業譲渡の違い

株式譲渡と事業譲渡の違い

株式譲渡とは、株式を譲渡することによって会社の経営権を移転する方法です。一方、事業譲渡とは、企業の事業の一部またはすべてを譲渡する方法で、株式譲渡とは手続きや譲渡の対象が異なります。

▷関連記事:株式取得の意味とは?M&Aにおけるメリットから事業譲渡との範囲や契約の違いまで解説

事業譲渡、営業譲渡の違い

2006年に会社法と商法の大改正がありました。その際、旧会社法で使用していた「営業譲渡」が、新会社法で「事業譲渡」という呼称に改められました。呼称が変更しただけで事業譲渡と営業譲渡はほぼ同義です。

株式譲渡と事業譲渡の異なるポイント

まとめ

経営権の承継は、事前に譲渡する株式の比率などを決めておくことが大切です。また、株式の保有率によって会社に及ぼす影響や反応も大きく異なります。M&Aを実施する際には、経営権と支配権の違いや買収防止策などの知識も持っておくべきです。不明点がある場合は、専門家に相談してみましょう。

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