中小企業の経営者の方は、「そろそろ引退したいけれど、会社を継いでくれる後継者がいない」「M&Aで事業を譲渡したいけれど、具体的な方法がわからない」といった悩みを持たれる方も多いのではないのでしょうか。

また、後継者不足などを背景に、近年ではM&Aの希望者を対象とした専門の「M&Aマッチングサイト」も数多く登場しています。しかし、実際にM&Aを成功させるには「優良なマッチングサイト」を見分けるとともに、マッチングサイトを利用するリスクについてもあらかじめ知っておくことが必要です。

本記事では、近年のM&A市場の動向をはじめ、パートナーとなる企業とのマッチングの重要性、M&Aマッチングサイトのメリットとデメリット、適切なM&A仲介会社を選択する方法について説明していきます。

M&Aを考えている方、特にマッチングサイトの利用を検討している方にとって有益な情報をご紹介します。

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活性化する市場とマッチングサービスの拡充

事業承継

経営者の高齢化と後継者不在に悩む中小企業は、近年増加傾向にあります。帝国データバンクの調査「全国社長年齢分析」によると、2018年の経営者の平均年齢は59.7歳であり、1990年の平均である54歳と比べ、年齢が高くなっています。

また、中小企業庁が発表した「中小企業の経営者年齢の分布」では、2015年の経営者年齢は66歳が最多となり、1995年の最多記録である47歳から高齢化していることも明らかになっています。

加えて、日本政策金融公庫総合研究所のアンケート調査では、2015年時点で後継者が決定している中小企業は全体の12.4%ととなり、21.8%が未決定、50%が廃業予定となっており、事業承継が難しい課題であることを示しています。

活発化する中小企業のM&A

前述のような背景もあり、事業承継の手段としてM&Aを実施する中小企業の数はここ数年で大きく増加しました。中小企業庁の発表によると、中小企業のM&A仲介を手掛ける東証1部上場3社の成約組数合計は、2012年の157件に対して2017年には526件と3倍以上の値です。

また、中小企業庁が発表した2017年までに成立したM&Aの実施時期の内訳も、2015年以降の件数が全体の44%を占めるなど、近年M&Aが活発化してきたことを示しています。加えて年齢別のM&Aの目的では、60歳代と70歳以上の経営者のM&Aの目的は「事業の承継」が67.5%に至る結果となり、多くの経営者が事業承継を検討していることがわかります。

なお、具体的なM&Aのスキームとしては、「事業譲渡」が41%、「株式譲渡」が40.8%と大多数を占めています。

事業譲渡

事業譲渡とは、会社の一部または全ての事業を譲渡する方法です。この場合、会社そのものの経営権は譲受企業に移動せず、譲渡企業に残るという特徴があります。

株式譲渡

株式譲渡

また株式譲渡とは、譲渡企業の株主が譲受企業に対して50%超の株式を対価に引換えに譲渡することで、経営権を譲受企業に移動させる方法です。

株式譲渡が中小企業で多く選ばれる理由は、「手続きが比較的簡易」であることや「譲渡企業の従業員や取引先に対して個別の承諾が不要」といったことが挙げられます。

一方、事業譲渡が多く選ばれている理由は主に2つあります。1つは契約によって個別の財産、負債、権利関係を移転できるため、会社全体から一部の事業のみを譲渡できるといった選択肢の多さです。

2つ目は事業の選別ができるため、「譲受けたい資産や従業員、取引先との契約を選別」が可能であることなど、M&Aに伴うリスクのコントロールが挙げられています。また、中小企業では経営者が自社の株式の大部分を保有していることが多いため、中小企業ではこの2つの手法が主流となっています。

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M&Aにおけるマッチングの重要性

M&Aの成功は「適切なパートナーを選択できるかどうか」にかかっているといっても過言ではありません。つまり、最適な相手を見つける「マッチング」が重要です。

M&A案件の探し方

実際にM&Aの案件を探す場合の相談先は複数存在します。

M&A仲介会社

譲渡企業と譲受企業の間に入り、M&Aの仲介を行う会社です。譲渡側と譲受側の双方が納得するようなM&Aを目指すため、利害関係者から理解が得られるような助言を行い、M&Aを成約に導きます。M&Aの専門的な知識を持ったM&Aアドバイザーによって、M&Aの相談から成約まで一貫したサポートを得られるというメリットがあります。

マッチングサイト

M&Aの相手企業を見つけることに特化としたマッチングサイトは、サイトを運営する企業は基本的には交渉や手続きに介入しないため、手数料が安価であり、企業同士の直接交渉ができるメリットがあります。一方で、専門のM&Aアドバイザーが付かないことも多いため、交渉や手続きなどを自社で行う必要があるため、法律、税金などの専門知識が必要となります。

事業引継ぎセンター

中小企業庁が各都道府県に設立している事業引継ぎセンターでは、金融機関やM&A支援サービス会社などでの勤務経験のあるスタッフに基本的に無料で相談できます。場合によっては、相手企業が決まった後も契約書の作成など手続きの面で支援してもらえることもありますが、ほとんどの場合において成約までの一貫したサポートを受けることはできません。

商工会議所

商工会議所にも、事業承継の相談機関が設けられていることがあります。地元企業のネットワークを持っているため、地域の企業に強い相談先として活用できます。一方で全国すべての商工会議所に設けられているわけではない点や、多くの場合で相手探し後の登記や税金の処理を始めとした手続きなどは相談することができない点は注意が必要です。

M&Aの手続きは税金や会計、法律などの専門的な知識を必要とすることが多く、適切な相手先とのマッチングを成立させても、その後の交渉や手続きが難航する場合があります。M&A仲介会社にはM&Aに精通したアドバイザーが数多く在籍し、複雑な契約や手続き、交渉の支援を行うためマッチング後も円滑にM&Aを進めることができます。

そのため、相談から成約まで一貫したサポートが得られる、M&A仲介会社への相談をお勧めします。

M&Aの成功はパートナー次第

M&Aの「成功」とは何を指すのかをはじめに説明します。まず、譲渡企業(売り手)側としては後継者問題の解決と事業の継続、創業者利益の獲得や譲渡後の成長などが達成されることで成功とすることが一般的です。

一方、譲受企業(買い手)側としては、事業の拡大や多角化、それを可能にする人材の確保や、会社文化が異なる従業員同士が一緒になることで生まれるシナジー効果を達成することで成功したといわれます。

言い換えれば、M&A後に主力となる従業員が退職する、期待したシナジー効果が生まれないといった場合などは、M&Aの失敗といえます。こうした失敗を避け、M&Aを成功に導くためには、M&Aのパートナーを慎重に選ぶことが重要です。

M&Aの目的を明らかにし、戦略を事前に計画することに加えて、候補となるパートナーとのシナジーを明確にすることが成功のために重要となります。

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多くの譲渡・譲受企業から最適な相手が探せるマッチングプラットフォーム

M&Aのパートナーとして最適な相手を探すには、多くの情報が集まるM&Aマッチングサイトの活用がお勧めです。

マッチングサイトを活用するメリットとしては、全国の幅広い業界・地域にまたがる企業情報を参照できること、そしてマッチングサイトを介して、相手企業と迅速に出会えることが挙げられます。

マッチングサイトを運営する会社の中には、幅広い企業情報を1,000件以上収集・提供している企業もあります。こうしたマッチングサイトは近年増加していて、これからM&Aを検討していく経営者にとっては、比較や検討が行いやすい環境が整いつつあるといえるでしょう。

また、マッチングサイトは仲介会社やアドバイザリー会社に比べ手数料が安いことや、会社によっては直接交渉が可能なため、交渉をスピーディーに進めることができるメリットがあります。

一方でマッチングサイトにはデメリットもあります。基本的にマッチングサイトの機能は、M&Aを希望する企業の情報を収集・蓄積し提供する「プラットフォーム」です。そのため、膨大な情報の中から理想的な相手を見つけること、そしてその相手との交渉や手続きをすることは、基本的に経営者自身の手で行わなくてはなりません。

多忙な経営者にとって、こうした作業は時間的にも精神的にも大きな負担です。また、法律、会計、税金などの専門知識を持たない経営者の場合、外部からの助言なしにM&Aの交渉を進めることは非常に困難です。

交渉相手となる企業がM&Aに関連する各種専門知識を持っている、もしくはM&Aの専門チームを持っている場合には、相手側の主導によって交渉が行われ、結果として不利な条件で契約を結ぶことにもなりかねません。

また、マッチングサイト越しに、顔の見えない相手と交渉するのは不安という懸念もあるでしょう。M&Aに不安などの懸念点を感じた場合には自社のみで進めずに、専門家に相談することも有効な手段です。

マッチングサイトを活用することで、さまざまな条件や可能性を検討するとともに、「自社と相性の良い相手」を見つける可能性が高まります。M&Aに最適な相手を見つけるには、幅広いネットワークを活用することが得策といえるでしょう。

M&A仲介会社を正しく選択するためには

相手企業との出会いに強みを持つマッチングサイトですが、M&Aを支援するのはマッチングサイトだけではありません。M&Aの「仲介会社」なども、M&Aを検討している企業にとって有効な相談先です。

中小企業のM&Aは仲介業者がお勧め

M&A仲介会社とは、M&Aの当事者である両者を仲介し、互いの条件をすり合わせたり、専門家ならではの客観的な意見やアドバイスを提供してくれたりする会社のことです。間に立って提案をしてくれることで、当事者双方が納得しやすくM&Aが成約しやすくなることが仲介会社のメリットです。

また、M&A仲介業者は中規模のM&Aに対応するケースも多く、中小企業のM&Aに特化した情報や経験にもとづくノウハウを豊富に持っているため、迅速な支援が見込めます。後継者不在を解消するためにM&Aを検討している企業にとっては、仲介会社のスピーディーなサービスは大きなメリットといえるでしょう。

また仲介会社がマッチングサイトを有している場合、M&Aアドバイザーのサポートを受けながら、マッチングサイトを通して相手企業と出会えるといったメリットがあります。

M&AアドバイザーはM&Aに関する相談から成約まで一貫してサポートを行うため、不安を解消しながら円滑にM&Aを進める助けになります。次の項目では、M&Aアドバイザーがどのような支援を行っているのか、どのように依頼することが有効かという点について説明します。

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自社の不安を解決するM&Aアドバイザーの支援はあるか

すでに説明した通り、M&Aを成功に導くにはM&Aアドバイザーの支援が有効です。

M&Aアドバイザーとは、M&Aを希望する企業経営者などの相談、アドバイス、契約成立までの取りまとめを担うM&Aの専門家です。M&Aのサポートを専門に行う仲介会社のほか、コンサルティング会社や金融機関の投資銀行部門など、さまざまなアドバイザーが存在しています。

また、アドバイザーによって支援する業務の内容や範囲もさまざまです。M&Aに最適な候補企業を提案することや両者のマッチング、デューデリジェンス(買収監査)、クロージングなどに加え、M&Aの戦略立案やPMIまでサービス範囲に含むケースもあります。

もちろんサービスが多ければ多いほど良いというわけではありません。具体的にアドバイザーに依頼する際は、求める条件や希望を踏まえたうえで、「どのような支援を受けられるのか」「どこまで支援してくれるのか」など、自社の不安を解決してくれるアドバイザーかどうかを考慮することが重要です。

経営者の方の中には、M&Aについての不安を解消するためにアドバイザーに相談したい、その上で幅広い選択肢で候補先を検討するために、マッチングサイトを活用したいと考える方も少なくないでしょう。

しかし、実際にマッチングサイトとアドバイザーをどのように組み合わせればよいかわからない、それぞれを利用するのが大変という場合には、「ハイブリッド型のM&Aサービス」がお勧めです。

ハイブリッド型のM&Aサービスとは、マッチングサイトのプラットフォームサービスとアドバイザーの仲介業務の両方を提供している会社のことです。

「FUNDBOOK」では日本中から豊富な譲渡企業が登録する、独自のプラットフォームを運営しております。オンライン上で両者のマッチングを行うと同時に、専門のアドバイザーが成約までの複雑な工程を手厚く支援しています。

▷関連記事:M&Aアドバイザーとは?その業務内容と必要性について

まとめ

経営者の高齢化と後継者不足によって、中小企業のM&Aが活発化しています。また、M&Aを成功させるには適切なパートナー選びが不可欠です。

特に中小企業のM&Aでは、適切なパートナーを探すためにも、慎重にマッチングサイトや仲介会社を利用していく必要があります。自社のみで、理想的な相手を見つけることは負担にもなりかねません。さまざまな選択肢を検討し、自社のM&Aの目的に合致したサービスの支援を受けることをお勧めします。

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