よくわかるM&A

2023/10/02

M&Aにおけるソーシングの重要性とは?具体的な業務内容も解説

M&Aにおけるソーシングの重要性とは?具体的な業務内容も解説

M&Aにおけるソーシングとは


M&Aにおけるソーシングとは、「自社の希望の条件に合う候補企業を見つけ、交渉を進めて行くプロセス」を意味します。

M&Aを検討する際に、「自社の希望に合った譲受企業を見つけられるか」「交渉をスムーズに進めることができるか」という点について、不安を抱いている経営者の方も多いと思います。ソーシングは、自社にとって納得のいくM&Aを行うためにとても重要なプロセスです。

ここでは、M&Aにおけるソーシングのプロセスや該当するフェーズ、具体的な業務内容などについて解説します。

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M&Aにおけるソーシングのステップ

M&Aにおけるソーシングは、M&Aを実施する上で最初のプロセスであり、以下の2つのステップで構成されます。

1.ターゲット企業の選定
譲渡企業、譲受企業双方の希望や条件を受け、M&Aアドバイザーが適切な相手先の選定を行います。取引先やグループ企業など、あらかじめM&Aを行う相手先が決まっている場合を除き、M&Aの候補先の企業の選定はM&Aのプロセスにおいて必須となるものです。

2.ターゲット企業との交渉
M&Aアドバイザーが、選定した候補先の企業との間に入り、M&Aをスムーズに進めるための交渉を行います。譲渡企業には譲渡企業の、譲受企業には譲受企業の希望があるため、双方の細かな希望に100%添う条件でM&Aを行う、というわけにはなかなかいかないものです。

M&Aを行う時期や会社の規模、もっとも優先するべき条件などについて交渉を進める際に、交渉のプロであるM&Aアドバイザーにソーシングを委託してすり合わせを行うことが、強力な後押しとなります。

ソーシングに該当するフェーズ

M&Aを検討し始めてから実施までの期間中、どのフェーズでソーシングのプロセスが必要となるのでしょうか。

M&Aの流れ(譲渡企業と譲受企業、M&A仲介会社)

ソーシング業務は、M&Aの準備フェーズから交渉フェーズまで及びます。

まずは準備段階として、譲渡企業がM&Aの実施を考え、M&A仲介会社へ相談や問い合わせをします。M&A仲介会社は、相談を受けたタイミングから双方にとってシナジーが見込める譲受企業の候補先について検討し、譲渡企業の条件に応じてアドバイスや提案を行います。

M&Aを進めていく上では、税務や財務、法務などの専門的な知識はもちろん、自社の条件に合う適切な譲受企業の選定や交渉まで幅広い知識が必要となります。細やかなやり取りが求められることになるため、専門分野での手腕が大切であることはもちろんですが、自社に寄り添い、親身になってアドバイスをしてくれるかどうかも大切なポイントです。

相談やアドバイスの内容で「このM&Aアドバイザーに依頼したい」と判断したら、M&Aアドバイザーが所属しているM&A仲介会社と「秘密保持契約」「アドバイザリー契約」を締結します。前者は、M&Aを進めていく上で、自社の機密情報が外部に漏れてしまうことを防ぐために、M&A以外の目的で使用しないことを約束する契約です。後者は、M&A仲介会社に仲介業務を依頼するための契約です。

次にM&A仲介会社に、M&Aを進める上で必要となる各種資料を提出します。M&A仲介会社はその資料をもとに、自社にどのくらいの価値がつくのかを算出する企業価値評価を行います。並行して、後述する「ノンネームシート」の作成や、「企業概要書」の作成を行い、先にリストアップした譲受候補企業への打診を進めていきます。

基本的には、M&Aは上記の流れで進んでいくことになります。ソーシングはその初期段階で行われるもので、以降のステップに進むために必ず通ることになる、非常に重要なプロセスです。

ソーシングの具体的な業務内容

M&Aにおけるソーシングの重要性とは?具体的な業務内容も解説

次に、ソーシングの具体的な業務内容について解説します。

譲受候補企業の選定

M&Aを行う際には、「どのような目的のためにM&Aを行うのか」を明確にしておくことが大切です。自身のセカンドライフを充実させることが大切なのか、従業員の雇用を継続させることを何よりも重視するのかなど、優先順位によってM&Aの手法も、選定する譲受候補企業も変わってきます。

M&Aアドバイザーと譲受候補企業を選定する際に、自社にはどのような条件や希望があるのかといった点についてすり合わせを行い、それによって譲渡する際の明確な基準を設定します。

ロングリスト・ショートリストの作成

M&Aの目的が明確になったところで、ロングリストやショートリストを作成します。ロングリストとは、譲受企業の候補を一定の条件に沿ってリストアップしたものです。

そこから、M&Aアドバイザーとの話し合いを重ね、より条件に合った譲受候補企業を更に絞り込んだものがショートリストです。ショートリストでリストアップした企業から、相手先の候補としてより具体的に検討を重ね、最終的な譲受候補企業を選定して打診を
行っていきます。

ロングリストやショートリストの作成は、M&Aを交渉の段階へと進めるための重要な資料となります。そのため、ロングリストやショートリスト作成時には、現在の自社の状況について正確な情報をM&Aアドバイザーに伝えることが大切です。M&Aを行う上で譲受企業にアピールしたいポイントや達成したい目的、自社の強みと弱みについて伝えるとよいでしょう。

譲受候補企業との交渉

譲受候補企業の選定が完了したら、交渉フェーズへと進みます。M&Aアドバイザーが自社を特定されない粒度で事業内容や譲渡理由などを記載した、ノンネームシートによる打診をまず行います。情報を受けて「具体的な検討を行いたい」という企業に対して、ノンネームシートよりもより詳細な内容を記した企業概要書を開示して、M&Aを進めていきます。

▷関連記事:M&Aにおける条件交渉のチェックポイント。契約の前に確認したいこと

まとめ

自社にとって納得の行くM&Aを行う上で、譲受候補企業の選定や交渉は重要なプロセスとなります。M&Aによるソーシングでは、譲受候補企業を選定する前の「M&Aの目的は何か」という段階から、実際の譲受候補企業の選定、基本合意までの交渉を行います。
専門的な知識を有し、交渉に長けたプロのM&Aアドバイザーを頼ることが、M&Aを成功させるための近道となるでしょう。

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