よくわかるM&A

2023/09/14

M&AにおけるFAの役割とは?M&A仲介とFAの違い

M&AにおけるFAの役割とは?M&A仲介とFAの違い

M&AにおけるFA(ファイナンシャル・アドバイザリー)とは?役割・業務内容について

M&AにおけるFAとは?

FAとはファイナンシャル・アドバイザーの略で、M&Aを検討している企業に、M&Aにおける計画の立案から、クロージング(成約)に至る一連の助言業務を行う者のことを指します。

FAは譲渡企業もしくは譲受企業のどちらかと個別に契約を結び、一方のみのM&Aをサポートすることが特徴です。

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M&AにおけるFAの担い手

FAを主に担う会社として外資系投資銀行、証券会社、メガバンクが挙げられます。外資系投資銀行はグローバルに展開しているため、クロスボーダーのM&Aに強みを持つことが多いといえます。

証券会社、メガバンクもFA業務を行っていますが、全ての証券会社が行っている訳ではない点と、基本的にメガバンクは自社がメインバンクになっている会社同士のM&Aを取り扱うという特徴があります。

M&AにおけるFAの役割・業務内容

そしてM&AにおけるFAの役割は、契約を結んだ譲受側もしくは譲渡側の利益の最大化のサポートです。

その他にも、M&Aの専門家としての詳細な分析やデューディリジェンス(DD)、専門知識を生かした法務・財務・税務面への助言や戦略立案、交渉への参加などもFAの役割です。

FAとの契約、M&A仲介会社との契約はどちらもアドバイザリー契約とよばれ、業務内容や範囲、そして報酬額について取り決めを交わします。契約期間は基本的にはM&Aの検討開始からクロージングのプロセスまでです。

FAの活用は、上場企業同士のM&Aや、クロスボーダーでのM&Aなど、大型の取引において一般的とされています。経営陣が不特定多数の株主に訴えられないように、M&Aの手続きが適正か、譲渡の条件が妥当であったかを厳密に求めるため、自社の利益の最大化と法的リスクの回避をFAに委託するということが主な理由として挙げられます。

また、会計士や弁護士などの専門家もFAとして同様の依頼を受けていることがあります。

M&A仲介会社とFAの違い

M&A実施時のFA(ファイナンシャルアドバイザー)の立ち位置

M&A仲介会社とFAは、どちらもM&Aを行う際に業務を依頼できる専門業者ですが、M&A仲介会社が譲受企業と譲渡企業の間に入るのに対し、FAは基本的に譲渡企業か譲受企業のどちらか一方の専属になるという点で異なります。M&A仲介会社が双方の利益の最大化、バランスを重視するのに対し、FAはそれぞれの契約する会社の利益が最大になるように尽力します。

実際の交渉では相手企業の事情や目的や意向も考慮しますが、原則としては契約している会社のことをメインに考慮しサポートするため、パートナーとして戦略コンサルタントのように助言を受けられます。このようにFAが自社の意向を最大限に反映してくれることは大きなメリットです。

M&A仲介会社とFAでは、それぞれの仕事内容や契約内容、手数料の相場なども異なるため、その違いについて詳しく解説します。

▷関連記事:M&Aの業務とは?アドバイザーはM&Aの成功を支援する

M&A仲介会社とは

M&A実施時のM&A仲介会社の立ち位置

M&A仲介会社は譲渡企業と譲受企業の間に入ってさまざまな業務を行います。M&Aを希望する譲渡企業と数多くの譲受候補企業の中から、どのようなM&Aの手法で、どういった相手企業を希望し、譲渡価額の規模はどの範囲で検討するのか、といったさまざまな希望・要望を考慮して譲渡企業と譲受企業をマッチングしていきます。

そして、複数の候補から希望する条件の相手が見つかればトップ面談を行い、基本合意の締結、最終契約、クロージングへとM&Aの成約に向けて進めます。

また、譲渡企業と譲受企業の双方代理であるため、FAに比べてM&Aが成約しやすいというメリットもあります。

M&A仲介会社との契約に関して、譲渡企業はM&Aの方向性や仲介会社の方針などに納得すれば、仲介業務を依頼するアドバイザリー契約を結びます。また、このタイミングで秘密保持契約も締結することになります。その後、譲受企業へのネームクリアやノンネーム検討、トップ面談などを経た後、譲受企業と基本合意を締結することが一般的です。

▷関連記事:M&A仲介会社とは?業務内容をFAと比較しながら紹介

M&AにおけるFAの役割とは?M&A仲介とFAの違い

仲介会社とFAの報酬体系は基本的に同じ

M&Aで支払う報酬には、複数の支払項目があります。

M&A仲介会社に支払う主な報酬や手数料の相場は下記のようになります。

・相談料(無料~数百万円)
・着手金(無料~数百万円)
・中間金(成功報酬の10~30%)
・月額報酬(リテイナーフィー)(30~200万円)
・成功報酬(譲渡価額額に一定の料率を掛けるレーマン方式が一般的)

この他にも企業価値評価の費用などを設定しているM&A仲介会社もあります。また、最近ではM&Aが成約するまで、相談料から、着手金、中間金、月額報酬まで、アドバイザリー業務に関するあらゆる報酬が発生せず、譲渡価額に応じた成功報酬のみを支払いする「完全成功報酬型」を採用する会社も少なくありません。

FAに対する報酬の支払いも基本的にはM&A仲介会社への報酬と同様です。しかし、M&A仲介会社は譲渡企業と譲受企業の両方から報酬を得られるのに対し、FAは譲渡企業、もしくは譲受企業のどちらかからの報酬となります。

▷関連記事:M&Aアドバイザーに支払う料金・報酬の相場は?成果報酬・レーマン方式などの種類と確認のポイント

M&AでFAは必要?中小企業のM&Aと注意点

M&Aを自社で行い、複雑な手続きは専門家に依頼すれば、少ない費用でM&Aを進められるのでは、と考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、適切な相手先候補を見つけること、機密情報を守りつつ手続きや交渉を進めることや、デューディリジェンスを行うことは、書籍やネットで調べた情報だけでは実行が難しいのが実際です。また、専門家が不在の状態で交渉を進めると、専門知識にもとづく交渉において不利になったり、自社にとって条件の優れない契約になる可能性もあります。

つまり、各フェーズで必要な知識やノウハウを持つFAに依頼するのはM&Aをスムーズに進める点において重要であるといえるでしょう。

▷関連記事:M&Aアドバイザーとは?その業務内容と必要性について

M&AにおけるFAの役割とは?M&A仲介とFAの違い

中小企業のM&Aでは検討段階から支援を受けるとスムーズ

特に、後継者不在の解決策として事業承継などを考えている中小企業では、多くの場合で専門知識を有する相談相手が社内にはいないため、専門家の助言は必須ともいえます。

FAは譲渡企業や譲受企業の状況や抱えている悩みなどを汲み取り、最適な相手を見つけ出し、M&Aの交渉をまとめます。独力でM&Aを進めるには、会計や法律、税金などの専門的な知識が必要で、細かな手続きに関してもしっかりと把握しなければなりません。

相手探しや専門知識の把握に時間やコストがかかることも多いため、検討段階からFAやM&Aアドバイザーによるアドバイスやサポートを受けることで、納得のいくM&Aを実現できる可能性が高まるでしょう。

▷関連記事:中小企業のM&A

FAを選ぶ時の注意点

M&Aの成約までの期間は、半年〜1年以上かかるケースも多いため、長期に渡って信頼できるFAを選ぶことが重要です。FAの選定においては、自社の希望にあった得意分野を持つかどうか、コミュニケーションの相性はどうか、報酬が想定内に収まるかどうか、といった観点で選ぶと良いでしょう。

一度「このFAに決めた」と思っても、他のM&A仲介業者の話を聞いてみるなど、複数のアドバイザーを比較して依頼するのも有効でしょう。

その他にも、助言の範囲やスキーム立案、マッチング、デューディリジェンスなど業務の範囲について明確で具体的に説明をしてくれているかどうか、着手金や相談料といった報酬の料金体系、支払い条件についての説明が明瞭かどうか、といった点も選定の理由になります。

▷関連記事:M&Aの相談は銀行、証券会社、税理士、弁護士、M&A専門家など、どこにすればいいのか?費用の違いは?

まとめ

M&AにおけるFAの仕事内容や報酬の相場、M&A仲介会社とFAの違いについて解説しました。専門的な知識を持ち、M&Aの専門家として業務を行うFAは、自社の目的に沿ってM&Aを進め、トラブルの解決も行う心強い味方です。

しかし自社のM&Aの目的によっては、M&Aの仲介会社のサービスの活用が有効な場合もあるため、金額やニーズなど状況に応じてさまざまな相談先を選択肢に入れ、幅広い視野で依頼するパートナーを探しましょう。

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