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2026年3月6日

事業承継・M&A補助金とは?対象者や対象経費、採択結果までわかりやすく解説

事業承継・M&A補助金とは?対象者や対象経費、採択結果までわかりやすく解説

事業承継・M&A補助金とは、事業承継にかかる設備投資費用やM&A・PMIの専門家活用費用などの一部を補助する制度です。中小企業だけでなく一定の要件を満たす個人事業主や親子間事業承継も補助を受けられます。

事業承継M&Aでは様々な費用がかかるため、補助金をうまく活用して費用負担を少しでも抑えたいところです。補助金を利用するためには、対象者や対象となる経費など具体的な要件や手続きの内容・期限を確認しておく必要があります。

本記事では、事業承継・M&A補助金を活用するとどのような費用を対象としていくら補助を受けられるのか、要件や対象経費の種類、採択結果までわかりやすく解説します。

なお、本記事は2026年1月時点で中小企業庁などから公表されている情報をもとにしています。要件やスケジュールなど最新情報は公式サイトで公募要領を確認するようにしてください。

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事業承継・M&A補助金とは?

「事業承継・M&A補助金」とは、M&Aや事業承継などの際に活用できる国の補助金制度です。以下のような費用がかかった場合に補助を受けられます。

・5年以内に事業承継を予定している場合の設備投資などに係る費用
・M&A時の専門家活用に係る費用
・M&A後の経営統合(PMI)に係る費用
・事業承継・M&Aに伴う廃業などに係る費用

事業承継時の設備投資費用やM&A・PMIの専門家活用費用などを補助することで、中小企業の生産性向上や持続的な賃上げを図ることを目的としています。

事業承継・M&A補助金は、費用の一部を補助することでM&Aや事業承継を促進し、経済活性化を図るための補助金制度です。

2024年までの「事業承継・引継ぎ補助金」の内容を一部変更する形で事業承継・M&A補助金が2025年からスタートしました。旧補助金とは違い、事業承継・M&A補助金ではPMI推進枠が新設されて補助対象が拡大するなど、使い勝手のよい制度になっています。

対象者・対象経費をはじめとした詳細な要件や補助金の活用事例は公式HPで確認できます。2025年には5月・8月・10月にそれぞれ第11次・第12次・第13次の公募申請受付が開始され、2026年1月には第14次の公募要領が公開されました。

事業承継・M&A補助金の種類・対象経費・補助額

事業承継・M&A補助金は4種類に分かれています。どのような経費が補助対象になり、補助金をいくら受け取れるのか、要件や補助上限、補助率、対象経費は次の表のとおりです。

事業承継・M&A補助金とは?対象者や対象経費、採択結果までわかりやすく解説
出典:中小企業基盤整備機構「事業承継・M&A補助金のご案内

以下では、4つの補助金枠について詳しく解説します。

1. 事業承継促進枠

事業承継促進枠は、「5年以内に親族内承継または従業員承継を予定している者」を対象とした制度です。

原則として補助上限は800万円、補助率は1/2です。ただし、一定の賃上げを実施する場合、補助上限は1,000万円に引き上げられ、中小企業者などのうち小規模事業者に該当する場合、補助率は2/3に引き上げられます。

補助対象経費になるのは、設備費・産業財産権等関連経費・謝金・旅費・外注費・委託費などです。

2. 専門家活用枠

専門家活用枠は、M&A実施に際して専門家を活用する場合に利用できる制度です。M&Aの買い手・売り手いずれも要件を満たせば利用できます。

補助対象経費になるのは、謝金・旅費・外注費・委託費・システム利用料・保険料です。ただし、M&A仲介業者フィナンシャル・アドバイザー(FA)の費用はM&A支援機関登録制度に登録された業者のみ対象です。

専門家活用枠には買い手支援型と売り手支援型の2種類あり、補助上限と補助率が異なります。

▷買い手支援類型

買い手支援類型では、事業再編・統合に伴う経営資源の引継ぎを行う予定の人が対象です。

原則として補助上限は600~800万円、補助率は2/3です。ただし、要件を満たす100億企業を目指す事業者では、補助上限は2,000万円に引き上げられ、補助率は1,000万円以下の部分は1/2、1,000万円超の部分は1/3になります。

また、デューディリジェンス費用を申請する場合、800万円を上限として補助額が200万円加算されます。

▷売り手支援類型

売り手支援類型では、事業再編・統合に伴って自社が有する経営資源の引継ぎが行われる予定の人が対象です。

原則として補助上限は600~800万円、補助率は1/2です。ただし、「赤字」または「営業利益率の低下(物価高影響等)」のいずれかに該当する場合、補助率は2/3に引き上げられます。

また、デューディリジェンス費用を申請する場合、800万円を上限として補助額が200万円加算されます。

3. PMI推進枠

PMI推進枠は、M&Aの目的実現に向けて取り組む中小企業者等を対象とした制度で、PMIの取り組みの中でかかった費用に対して利用できる制度です。

PMI推進枠にはPMI専門家活用類型と事業統合投資類型の2種類あり、補助対象経費や補助上限、補助率が異なります。

▷PMI専門家活用類型

PMI専門家活用類型の対象になるのは中小企業・小規模事業者等で、事業再編・事業統合等に伴う経営資源の引継ぎを行う予定の者です。

補助上限は150万円、補助率は1/2、補助対象経費になるのは謝金・旅費・外注費・委託費です。

▷事業統合投資類型

事業統合投資類型の対象になるのは、中小企業・小規模事業者等であって事業再編・事業統合等に伴い自社が有する経営資源の引継ぎが行われる予定の者です。

原則として補助上限は800万円、補助率は1/2です。ただし、一定の賃上げを実施する場合、補助上限は1,000万円に引き上げられ、中小企業者などのうち小規模事業者に該当する場合、補助率は2/3に引き上げられます。

補助対象経費になるのは、店舗等借入費・設備費・原材料費・外注費・委託費です。

4. 廃業・再チャレンジ枠

廃業・再チャレンジ枠では、事業承継や事業再編の際、廃業によって発生する経費の一部を補助します。

補助上限額は150万円、補助率は1/2または2/3です。ただし、事業承継促進枠・専門家活用枠・事業統合投資類型と併用申請する場合は、それぞれの補助上限に加算されます。また、事業承継促進枠・専門家活用枠・事業統合投資類型と併用申請する場合は、各事業における事業費の補助率が適用されます。

補助対象経費になるのは、廃業支援費・在庫廃棄費・解体費・原状回復費・リースの解約費・移転・移設費用(併用申請の場合のみ)です。

事業承継・M&A補助金の対象者

事業承継・M&A補助金の対象者は、中小企業基本法第2条が定める中小企業者の定義に準じて判断されます。資本金額・出資総額に関する要件と従業員数に関する要件、いずれかを満たす中小企業や個人事業主が対象です。

業種資本金額または出資総額常勤従業員数
製造業その他3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
小売業5000万円以下50人以下
サービス業5000万円以下100人以下
注:ゴム製品製造業(一部を除く)やソフトウエア業・情報処理サービス業、旅館業では資本金額・出資総額や従業員数の要件が異なります。

事業承継・M&A補助金では、4つの枠ごとに対象者の要件が定められています。以下では、第14次公募要領の記載内容をもとに、主な要件を紹介します。

中小企業

事業承継促進枠では、以下の要件を満たす中小企業が対象です。

・承継予定者が以下のいずれかに該当すること
― 対象会社の会社法上の役員として3年以上の経験を有する 
― 対象会社に継続して3年以上雇用され業務に従事した経験を有する
― 対象会社の会社法上の役員及び雇用され業務に従事した経験を通算3年以上有する
― 被承継者の親族であり、対象会社の代表経験が無い

事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠では、「申請時点で3期分の決算及び申告が完了していること」も要件です。ただし、開業してから法人化をして3年が経過していない場合、事業承継促進枠では例外規定があります。

専門家活用枠では、M&Aの形態に関する要件も定められています。補助金の対象になるM&Aの形態は以下のとおりです。

類型補助対象者M&Aの形態
買い手支援類型(Ⅰ型)承継者(法人)株式譲渡・第三者割当増資・株式交換・吸収合併・吸収分割・事業譲渡
売り手支援類型(Ⅱ型)被承継者(法人)第三者割当増資・株式交換・株式移転・新設合併・吸収合併・吸収分割・事業譲渡・事業再編等+廃業

個人事業主

事業承継促進枠では、以下の要件を満たす個人事業主が対象です。

・承継予定者が以下のいずれかに該当すること
― 個人事業に継続して3年以上雇用され業務に従事した経験を有する 
― 被承継者の親族であり、承継対象事業の代表経験が無い

事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠では、「個人事業の開業届出書・所得税の青色申告承認申請書を税務署に提出した日付から5年が経過していること」も要件です。

専門家活用枠では、M&Aの形態に関する要件も定められています。補助金の対象になるM&Aの形態は以下のとおりです。

類型補助対象者M&Aの形態
買い手支援類型(Ⅰ型)承継者(個人事業主)株式譲渡・第三者割当増資・事業譲渡
売り手支援類型(Ⅱ型)被承継者(個人事業主)事業譲渡・事業再編等+廃業

親子間事業承継

事業承継促進枠では、「承継予定者が被承継者の親族であり、対象会社・承継対象事業の代表経験が無い場合」は対象です。他の要件を満たせば、中小企業・個人事業主が親子間事業承継を行うケースでも事業承継・M&A補助金を活用できます。
一方で、専門家活用枠・PMI推進枠では「親族間の事業承継」は対象外です。この2つの枠では、「承継者と被承継者による実質的な事業再編・事業統合が行われていること」が要件の1つとなっています。グループ内の事業再編や親族内の事業承継は「実質的な事業再編・事業統合」とは見なされません。

事業承継・M&A補助金の申請から交付までの手続きの流れ

事業承継・M&A補助金を利用するためには、公募申請期間中に申請して審査を受ける必要があります。申請手続きの流れは以下のとおりです。

1. 本補助金の公募要領やWebサイトを確認し、補助事業への理解を深める
2. GビズIDプライムのアカウントを取得する(未取得の場合)
3. 公募申請に必要な各種書類の取り寄せ・準備を行う
4. オンライン申請フォーム(jGrants)に申請情報を記入し、提出書類を添付する
5. 提出処理を行い、提出完了を確認する
(提出完了後)事務局から申請の差し戻し・再提出依頼が来たら速やかに対応する

本補助金の事務局・審査委員会が申請書類等をもとに審査を行い、事務局からjGrantsを通じて採択・不採択の通知が届きます。審査に通過して採択を受けた者は交付申請手続きを行い、交付決定通知書を受理した後、補助事業に着手する流れです。

補助金の交付を受けるには、次のいずれか早い日までに実績報告書等を提出する必要があります。実績報告書等を提出すると、事務局が交付金の額を決定して交付されます。従って、事業承継・M&A補助金では対象事業の完了後に補助金が振り込まれる後払いです。

・補助対象事業の完了日から起算して30日を経過した日
・交付決定通知書記載の補助事業完了期限日より10日を経過した日

また補助金を受けた事業者は、補助事業が完了した後、一定期間に渡って事務局に対して「事業化状況報告」を行う必要があります。事業化状況報告が義務付けられている期間は事業承継促進枠、専門家活用枠、PMI推進枠、廃業・再チャレンジ枠で異なり、それぞれ5年・3年・3年・1年です。

事業承継・M&A補助金の公募スケジュール

事業承継・M&A補助金とは?対象者や対象経費、採択結果までわかりやすく解説

事業承継・M&A補助金の公募スケジュールは公式サイトで公開されています。2025年5月に申請受付を開始した第11次では、以下のスケジュールで採択結果の公表や補助金交付手続きが行われています。

事業スケジュール(第11次)
公募申請受付期間2025年5月9日(金)~2025年6月6日(金)17:00
採択日2025年7月11日(金)
交付申請受付期間2025年7月18日(金)~2025年12月19日(金) 17:00
交付決定日2025年7月18日(金)以降 順次
事業実施期間交付決定日~2026年7月25日(土)
実績報告期間2025年12月19日(金)~2026年8月4日(火)17:00
補助金交付手続き2026年3月中旬以降 (予定)

第11次~第13次の事業承継・M&A補助金では、公募申請受付期間が約1ヶ月間あり、公募申請受付終了日から1ヶ月〜1ヶ月半ほど経った後、採択率や採択事業者などの採択結果が公表されています。

採択日の1週間ほど後から交付申請受付が開始され、補助対象事業を実施した後に実績報告や補助金交付手続きを行う流れです。

事業承継・M&A補助金の採択結果・採択率

事業承継・M&A補助金の採択結果は公式サイトで公表されています。採択率は以下のとおりです。

採択結果公表日採択結果/採択率
第12次2025年10月27日・事業承継促進枠:152/250件(60.8%)
・専門家活用枠:266/436件(61.0%)
・PMI推進枠:34/55件(61.8%)
・廃業・再チャレンジ枠:1/1件(100.0%)
第13次2026年1月15日・事業承継促進枠:111/182件(61.0%)
・専門家活用枠:163/267件(61.0%)
・PMI推進枠:19/32件(59.4%)

申請件数が少ない廃業・再チャレンジ枠を除くと、事業承継・M&A補助金の採択率はおよそ6割です。

2024年まで実施されていた旧補助金(事業承継・引継ぎ補助金)から制度が変わりましたが、採択率に関しては旧補助金も現補助金も約6割で、大きな違いは見られません。

補助金の中には採択率が3割など低いものもありますが、事業承継・M&A補助金の場合は採択率が極端に低いわけではなく、2社に1社以上の割合で採択される結果となっています。

出典:事業承継・M&A補助金

まとめ

中小企業や個人事業主が事業承継やM&Aを行う際、相当な費用がかかるため資金を準備できず困るケースも見られますが、補助金を活用すれば費用負担を軽減できます。

事業承継・M&A補助金には4種類あり、対象者や対象経費、補助上限などが種類ごとに異なります。具体的な要件や申請スケジュールなど、本補助金の詳細な内容は中小企業庁や運営事務局のサイトで最新情報を確認するようにしてください。公式サイトでは公募要領や採択結果・採択率、活用事例などが掲載されています。

また、事業承継やM&Aでは、補助金に関する知識や法務・税務・会計に関する知識など、専門的な知識が必要です。専門家に相談すれば事前の検討や手続きをスムーズに進められます。事業承継やM&Aを検討中の方はfundbookにお気軽にご相談ください。

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