業界毎の事例

2026年3月10日

運送・物流業界のM&A・事業承継とは?メリットや事例、相場までわかりやすく解説

運送・物流業界のM&A・事業承継とは?メリットや事例、相場までわかりやすく解説

運送・物流業界では近年、M&Aによって人手不足・後継者不足の問題の解決を図る事例や事業拡大を図る事例が見られます。

ドライバーの高齢化や燃料費の高騰、人材難など、様々な課題を抱える運送・物流業界では、M&Aが経営戦略上の重要な選択肢の1つとなっています。

本記事では、運送・物流業界の現状やM&Aによって会社を売却・買収するメリットを解説します。売却価格の相場や企業価値評価額の計算方法、運送業界・物流業界における実際のM&A事例も紹介するので、M&Aを検討中の方は参考にしてください。

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運送業界・物流業界とは?最新の業界動向を紹介

運送業界・物流業界とは、その名のとおり、商品を運んだり流通させたりする業界のことです。商品を保管しておく倉庫事業も物流業界に分類されます。

運送業界は、陸上、海上、航空運送のうち、主に陸上運送を指すものとされます。そのため本記事では、陸上運送である車(トラック)での運送を運送業界と定義します。

トラック運送業は、運送コストに占める費用の中で人件費が最も高く、典型的な労働集約型産業です。全日本トラック協会が行った調査結果(2023年度)によれば、営業費用に占める割合は人件費が37.7%、次いで燃料油脂費が14.9%と高くなっています。

「2024年問題」によってドライバーの待遇改善が必要となったことなどもあり、営業費用に占める人件費の割合は約4割弱と高い割合で推移しています。

出典:全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業現状と課題2025

市場規模

全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業 現状と課題2025」によると、日本の物流事業全体の市場規模(2022年度)はおよそ32兆円です。このうち、トラック運送事業の市場規模は20兆3,844億円で、物流市場の62.7%を占めています。

2023年度のトラック運送事業者数は62,848事業者、トラックが扱った宅配便取扱個数は4,914百万個です。トラック運送事業者数は2007年度以降ほぼ横ばいで推移する一方で、宅配便取扱個数は増加傾向にあります。以下は国土交通省が公表している資料です。

ECサイトが普及し、ネットショップで物を買う人が増えたこともあり、運送業界・物流業界の需要が以前よりも増している状況です。

業界の現状と課題

運送業界・物流業界が直面している課題として、以下のような点が挙げられます。

・人手不足、高齢化
・宅配個数の増加
・規制強化
・燃料費高騰

運送業では賃金水準が全産業平均に比べて低く、トラックドライバーの長時間労働が問題になっています。道路貨物運送業における年齢階級別の就業者構成比を見ると、50歳以上の割合は過半数を超えています。若い人材が集まりにくく高齢化が進む一方で、宅配個数は増加しており、人材の確保が課題です。

また、ドライバーの労働環境の改善を目的に法改正が行われ、規制が強化された結果、経営環境が厳しさを増しています。いわゆる「2024年問題」と呼ばれた「働き方改革関連法」改正や、物流の持続的な成長を図るための「物流効率化法」改正により、運送業界・物流業界では規制強化に対応して事業経営の見直しを迫られるケースもあります。

運送・物流会社がM&Aを活用するメリット

運送・物流会社のM&Aには様々なメリットがあります。以下では、売り手側(譲渡企業)と買い手側(譲受企業)のそれぞれについてM&Aのメリットを見ていきます。

売り手側(譲渡企業)のメリット

売り手側(譲渡企業)にとって、M&Aには次のようなメリットがあります。

・後継者問題を解決できる
・廃業・倒産を回避できて雇用や取引先との関係を維持できる
・事業を拡大できる
・売却益を確保でき、個人保証を解除できる

親族や社内に後継者候補がいない場合でも、M&Aであれば社外から後継者候補を探すことができます。後継者を見つけられれば事業を継続でき、廃業や倒産を回避できて雇用や取引先との関係を維持できる点がメリットです。

また、他の企業と統合すれば事業規模を拡大でき、販路や物流ネットワークを統合できて事業を効率化できる可能性があります。会社を売却して売却益を得ればその資金を活用して他の事業を始めることもでき、個人保証を解除できる点もメリットといえるでしょう。

買い手側(譲受企業)のメリット

買い手側(譲受企業)にとって、M&Aには次のようなメリットがあります。

・人材や車両、ノウハウを獲得できる
・事業を拡大できる
・シナジー効果を期待できる

運送・物流会社が同業他社を買収すれば、トラックドライバーをはじめとした人材や車両、ノウハウを獲得できて事業を拡大できます。自社で新規に従業員を採用したり車両を購入したりする手間をかけずに済み、事業拡大にかかる手間や時間を短縮できる点がメリットです。

また、他業界の会社が運送・物流業界へ新規参入する場合も、既存の運送・物流会社を買収すれば最初から会社を立ち上げずに済み、スムーズに事業を開始することが可能です。

異なる会社が統合してそれぞれの強みを活かすことで、各々の会社が単独で事業活動をする場合には得られないシナジー効果も期待できます。

▷関連記事:M&Aにおけるシナジー効果とは?種類や成長戦略のための分析方法、成功事例を紹介

運送・物流業界のM&Aの相場の考え方と計算方法

M&Aで会社を売却する場合にいくらで売れるのか、売却価格の相場の計算方法には様々な方法があります。

その中でも、中小企業のM&Aで用いられることが多い代表的な計算方法の1つが「年倍法」です。年倍法とは、「時価純資産」に「営業利益の数年分」を加えて企業価値を算出する方法です。

また、取引事例法を使って企業価値評価を行うことも可能です。取引事例法とは、過去のM&A事例の中から、財務指標や事業内容などが似ている企業の売買実績を探し、類似した事例における売買価格をもとに評価額を決定する方法です。

ただし、M&Aにおける売却価格は、その企業が独自のノウハウを持っている場合や地域性を加味すべき場合など、個別の要素を考慮に入れるべきケースも少なくありません。

売却価格の相場がいくらであると一概に言えるわけではなく、事案ごとに個別に評価額の算定が必要です。運送業界・物流業界のM&Aにおける企業価値評価では専門的な知識が必要になります。M&Aを検討する場合はfundbookにご相談ください。

▷関連記事:企業価値評価(バリュエーション)とは?M&Aで使用する算出方法をわかりやすく解説

運送・物流業界のM&A事例

業界大手によるM&A事例15選

運送業界・物流業界では実際にM&Aが実施されたケースが数多く見られます。実際のM&A事例を確認することで、運送業界・物流業界におけるM&Aの活用方法やメリットを確認できます。

以下では2つのM&A事例を紹介するので、M&Aを検討中の方は参考にしてください。

セイノーホールディングス株式会社による三菱電機ロジスティクス株式会社の買収

2024年10月1日、セイノーホールディングス株式会社は三菱電機ロジスティクス株式会社の株式を取得し、議決権の66.6%を保有して連結子会社としました。

セイノーホールディングス株式会社は、貨物自動車運送事業や倉庫業などの事業を行っている企業です。三菱電機ロジスティクス株式会社は、大型機器・設備等の特殊輸送、半導体や精密機械の輸送に関するノウハウを持つ企業です。

このM&Aによってセイノーホールディングス株式会社は、三菱電機ロジスティクスが有するノウハウやロジスティクスセンター等の資産を活用することで、エレクトロニクス領域における対応力を強化することができます。

東部ネットワーク株式会社によるテーエス運輸株式会社の買収

2024年3月1日、東部ネットワーク株式会社はテーエス運輸株式会社の発行済株式総数の100%を取得して子会社とすることを発表しました。

東部ネットワーク株式会社は貨物自動車運送事業などを行っている企業であり、テーエス運輸株式会社はタンクローリーによる液化酸素・液化窒素・液化アルゴン・その他高圧ガスの輸送を行っている企業です。

このM&Aにより東部ネットワーク株式会社は、今後新エネルギーとして期待が高まる水素・アンモニア等輸送の拡大と併せて、産業用資材輸送事業の成長の一層の加速化を図ることができます。

まとめ

運送・物流業界でM&Aを行えば、売り手側(譲渡企業)には後継者問題の解決や廃業回避、売却益獲得などのメリットがあり、買い手側(譲受企業)には人材や車両の獲得、事業拡大などのメリットがあります。

運送・物流業界では宅配個数が増加して以前よりも需要が増える一方、人手不足や高齢化、規制強化、燃料費高騰などが課題です。M&Aによって異なる企業が統合すれば、スケールメリットによる事業の効率化やシナジー効果の創出を期待できます。

M&Aを検討する際は、法務や税務、財務など専門的な知識が必要になり、実際のM&A事例を踏まえながら業界特有の要素も考慮に入れながら検討する必要があります。経営者や企業の担当者がご自身でM&Aを進めることは難しいため、M&Aを検討中の方はfundbookにご相談ください。

fundbookでは、M&Aアドバイザーの専門的な知見やテクノロジー、AIなどを活かし、豊富なネットワークを活用しながら最適な相手を見つけて譲渡企業・譲受企業のマッチングを行っています。各業界に精通した業界専門チームが在籍するため、業界特有の環境や課題を踏まえたサポートが可能です。

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