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2026年8月4日

業務提携とは?種類や資本提携・M&Aとの違い、メリット・デメリットを解説

業務提携とは?種類や資本提携・M&Aとの違い、メリット・デメリットを解説

企業の成長や事業拡大を目指す上で、他社と協力関係を築く「アライアンス」は有効な戦略です。

中でも「業務提携」は、独立した企業同士が資本関係を結ばずに経営資源を持ち寄る手法であり、コストを抑えながらシナジー効果を生み出せるという特徴があります。

一方で、M&Aや資本提携、業務委託といった類似手法との違いが明確にわからないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、業務提携の定義や種類、資本提携・M&Aとの違い、メリット・デメリット、具体的な事例などを解説します。自社に最適なアライアンス手法を検討する際の参考にしてください。

業務提携とは?

業務提携とは、独立している企業同士が資本関係を築かずに業務上で協力関係を築くことで、複数の企業が協力し合う「アライアンス」の一種です。アライアンスには、業務提携のほか、資本の移動を伴う「資本提携」、両者を同時に行う「資本業務提携」があります。

技術や人材などの経営資源を持ち寄り、技術協力による共同開発などを行うことで、コスト削減や新商品の開発など、様々なシナジー効果を生み出すことを目的としています。相手企業のノウハウや販売網などを低コストで活かせることが特徴です。

英語ではBusiness partnershipと表記します。業務提携を実施した経験がなくても、他社から打診されたことがある方もいるかもしれません。しかし、業務提携の概要やメリット・デメリットなどの基礎知識を理解していることが重要です。

▷関連記事:「M&Aとは?意味・メリット・流れ・手法・費用をやさしく解説【2026年版】

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業務提携の種類

業務提携とは、独立している企業同士が業務上での協力関係を築くことを指します。
それぞれの企業は独立性を保っているため、協力体制の構築も、プロジェクト終了に伴う解散もスムーズに実施可能です。

業務提携には大きく3種類があります。

・生産提携
・販売提携
・技術提携

以下では、その他の主な業務提携とあわせて特徴を解説します。

生産提携

生産提携とは、提携先企業に生産・製造工程の一部を委託し、自社の生産能力を補う業務提携の一種です。生産提携の代表的な契約形態には以下が挙げられます。

契約形態概要
OEM契約・委託者の仕様や設計方針に沿って、受託者が製品を製造する契約・製造機能を外部で補える点が特徴
ODM契約・受託者が設計から製造まで担い、委託者のブランドとして製品を供給する契約・開発や製造のノウハウを外部から活用しやすい

自社で生産体制を拡充するには、設備や人員への先行投資が欠かせません。生産提携を活用すれば、すでに生産体制を備えた企業に製造を任せられ、投資負担を抑えながら需要に応じた供給を実現できます。

販売提携

販売提携とは、提携先企業が持つ販売網や営業力を活用し、自社商品の販売拡大を目指す手法です。販売提携の代表的な契約形態は以下のとおりです。

契約形態概要
販売店契約・販売店が商品を仕入れ、自社の責任で顧客に販売する契約・販売価格の設定や代金回収なども基本的に販売店側が担う
代理店契約・代理店がメーカーや商社などの代わりに商品を紹介し、販売拡大を支援する契約・代理店は原則として売買契約の当事者にはならず、成果に応じて手数料を受け取る
フランチャイズ契約・本部が提供するブランドや商品を加盟店が利用し、事業を行う契約・契約期間や初期投資を伴う場合もあり、契約内容の確認が重要

販売提携は、優れた商品を持ちながら販路が十分でない企業にとって、新たな市場や顧客層に商品を届ける有効な手段です。

技術提携

技術提携は、他社が所有している技術を自社の技術開発などに活用する手法です。

すでにある技術の提供を受ける場合と、相手企業と協力して研究開発を進める場合があり、それぞれ以下の契約形態があります。

契約形態概要
ライセンス契約特許技術・実用新案などの知的財産の利用を相手企業に認める契約
共同研究開発契約各社が自社の技術や開発資源を出し合い、特定分野の技術や製品を一体となって開発する契約

パートナー企業の技術や人材を活用することにより、新たな技術開発の可能性が高まります。その他にも、複数の企業が協力し合うことによる開発速度の向上や開発リスクの分散が可能となります。

その他の提携

業務提携には、生産提携や販売提携などの形態以外にも、事業効率化やコスト削減を目的とした様々な種類があります。

種類概要
購入提携・原材料や資材を複数の企業が共同で調達する提携・仕入れコストの削減やスケールメリットの追求が目的
物流提携・共同配送や物流施設の共有など、物流業務を共同で実施する提携・輸送コストの削減や効率化を図る
標準化提携・複数の企業が共同で製品や技術の規格を策定する提携・市場での普及や需要拡大を目指す

上記のように業務提携は目的に応じて多様な形態があり、組み合わせて活用されることもあります。

業務提携と資本提携・M&Aとの違い

業務提携とはお互いの利益や目的の達成のために、会社同士が技術開発や販売・営業活動などで協力することです。お互いの事業内容に類似する部分が多い場合には、経費削減につながることもあります。

業務提携と資本提携は、企業同士が協力関係を築く点では共通しています。ただし、業務提携は原則として株式の移転を伴わないのに対し、資本提携は経営権を移転しない範囲で、一方の企業が相手企業の株式を取得したり、企業同士が株式を持ち合ったりする点が異なります。

また、業務提携とM&Aも、他の企業と協力して事業上の目的を達成する点では共通しています。

ただし、M&Aでは株式譲渡などを通じて経営権が移転する場合がある一方、業務提携では各企業の独立性を保ったまま協力関係を築く点が異なります。

業務提携では各企業の独立性を保てるため、プロジェクト単位で柔軟に提携できることや、不測の事態が起きた際に提携を解消しやすく、リスクを抑えやすいことがメリットです。

また、組織を統合しないため、基本的に組織運営や社内システムなどを大きく調整する必要がありません。

ただし、共同事業などで得られた収益は、一方の企業が独占するのではなく、契約に基づいて分配されるのが一般的です。どれくらいの比率になるかは、事前に契約で定めます。

一方、M&Aの代表的な手法である株式譲渡では、売り手である株主が保有する株式を譲受企業に譲渡し、会社の経営権を譲受側に移転します。過半数の株式を取得するケースも多く、業務提携や資本提携に比べて簡単には資本関係を解消できません。

また、対象会社の議決権の過半数を保有している場合や、実質的に意思決定を支配しているとみなされる場合には、連結の対象となります。

そのため、M&Aでは対象会社の経営権を取得し、対象会社の売上や利益をグループ全体の業績に反映できる点がメリットです。

業務提携と業務委託の違いも確認

業務提携は、複数の会社が特定の業務に協力して取り組むことを指すのに対し、業務委託は原則として特定の業務を外部の会社や個人に委託する点が異なります。

業務を外部の会社や個人に委託する際に締結する契約を、業務委託契約といいます。

業務委託を活用すれば、社内に特定の業務を行える人員がいない場合でも、その業務に対応することが可能です。人件費の削減や新規事業の立ち上げコストを抑えながら、ビジネスを展開でき、自社の業務に集中できることも大きなメリットです。

注意すべき点としては、業務委託は受託した企業が作業を行うことになるため、その分の責任も大きくなる点が挙げられます。業務提携では双方に責任がかかりますが、業務委託では主に業務の受託者になります。

個人事業主や中小受託事業者が業務委託の受託者となる場合、取引内容や事業者の規模によっては、製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(通称:取適法)が適用されます。適用の有無は、委託する業務の内容に加え、資本金または従業員数などの基準によって判断されます。

そのため、業務委託を行う際には、委託する業務の内容と、双方の資本金または従業員数が取適法の適用基準に該当するかを確認しましょう。

業務提携のメリット・デメリット

業務提携のメリット・デメリットを解説します。導入を検討する際は、両面を踏まえて判断しましょう。

業務提携のメリット

まずは業務提携のメリットについて紹介します。

・他社の経営資源を活用できる
・独立性を保ちながら他社と協力関係を結ぶことができる
・提携時に多くの資金がかからない
・リスク分散につながる

他社の経営資源を活用できる

業務提携を通して他社の人材やノウハウ、情報などを活用することができます。資本の移動は伴わず、比較的小さなリスクで他企業と協力関係を構築でき、技術開発力の向上や販路の拡大が見込めます。

独立性を保ちながら他社と協力関係を結ぶことができる

業務提携の他にも資本提携やM&Aなど、他社と協力関係を築く方法はいくつかありますが、業務提携は資本の持ち合いなどを行わないため、独立性を高く保てます。そのため、パートナー企業の業績の変化などによる影響を直接的には受けません。

提携時に多くの資金がかからない

M&Aを通して株式を買い取る時や資本提携を行う際には、多くの場合において多額の資金が必要となります。それに対して、業務提携は提携時にほとんど資金がかかりません。そのため、まとまった資金がない場合でも実施できます。

業務提携のデメリット

次に、業務提携を結ぶデメリットを紹介します。

・ノウハウや資源、情報などの流出リスクがある
・意思決定に時間がかかり、円滑な進行が妨げられる可能性がある
・資本関係がないため、関係性が解消されやすい

ノウハウや資源、情報などの流出リスクがある

自社の情報やノウハウを他社に共有するため、不適切な情報管理により不本意な情報漏洩が起こってしまう可能性があります。

対策として、万が一漏洩した際の対応を契約時点で決めておくことが重要です。

意思決定に時間がかかり、円滑な進行が妨げられる可能性がある

契約内容にもよりますが、複数社での協業となるため、自社の意思のみで迅速に決定や進行ができない場面が生じます。結果として、プロジェクトのスピード感が損なわれるリスクに注意が必要です。

資本関係がないため、関係性が解消されやすい

資本による強固な結びつきを持たない業務提携の場合、M&Aや資本提携などと比較して相互の拘束力が弱くなります。そのため、自社や相手企業の状況変化によって、提携関係があっさりと失われてしまう場合があります。

業務提携の手続きを円滑に進める方法(プロセス)

1. 業務提携を行う目的を明確にする

まず、業務提携を行う目的を明確にします。目的が不明確だと相手探しも契約書の作成も難しくなります。

2. 提携先候補を探す

目的を達成するために最適な相手企業を探します。両社の強みや弱みなどを分析した上で、期待できるシナジーを想定して候補企業を探します。

3. 提携先候補に業務提携を打診し、実施を確定する

提携先候補である企業に業務提携の実施を打診します。自社の概要や強み・弱み、業務提携の目的、お互いに期待できるシナジー効果を説明します。条件のすり合わせを行い、合意後に実施を確定させます。

4.業務提携契約書を作成する

業務提携の実施および提携内容が確定したら、合意内容をもとに契約書を作成します。

5. 業務提携を開始する

契約を締結したら実際の提携を開始します。

業務提携を行う際の注意点

手続きはもちろん大切ですが、契約を結んだ後にどのような提携を行うかが重要です。

契約書の確認を弁護士に依頼する

業務提携契約書の内容を弁護士に確認してもらいましょう。提携内容に応じて、契約書に定めるべき事項は変わります。契約が業務提携の目的に沿っているか、内容に不備がないか、自社に不利な契約が含まれていないかを確認しましょう。

特に業務提携終了後における、技術や販売のノウハウなどに関する定めは重要です。

インターネットなどにある契約書の雛形を使用する際は、提携の内容に合わせて契約内容の見直しが必要です。

相手企業の意向と利益を尊重する

業務提携はお互いの協力のもとに行うものです。協力がなければ双方の目的を達成することはできないでしょう。

相手企業の意向と利益を尊重することによって長期的で強固な関係を築けます。自社の利益だけを追求せず、互いに尊重し合うことで最大限のシナジー効果が期待できます。

業務契約関係の解除

一般的に、業務提携には契約期間の定めがあります。契約期間に定めがない場合、万が一業務提携関係が悪化してしまった際に、契約上の都合で業務提携の解除が難しくなることがあります。

そのため、業務契約期間や解約条項を契約書に記載しておくことが重要です。

業務提携の事例

業務提携がどのように経営戦略として活用されているのか、具体的な事例を紹介します。

三菱重工とPreferred Networksの業務提携

2026年6月、三菱重工業株式会社と株式会社Preferred Networksは、社会インフラ・ナショナルセキュリティ分野で使われる最先端AI技術を共同開発するため、業務提携契約を締結しました。

三菱重工業株式会社が長年培ってきたハードウェア設計やシミュレーション技術と、株式会社Preferred Networksが持つ国産AI技術を組み合わせ、自律型AIを備えたシステムの開発を目指します。

両社は開発の進み具合を見ながら、2026年度内に資本業務提携契約のを締結することを目指しています。

SBIネオメディアホールディングス・電通・電通デジタルの業務提携

2026年6月、SBIネオメディアホールディングス株式会社と株式会社電通、株式会社電通デジタルの3社は、戦略的業務提携を締結しました。金融とIP・メディアを融合した「SBIネオメディア生態系」を築き、新たな事業機会の創出を目指します。

提携の内容は多岐にわたります。例えば、電通グループが持つ生活者データとSBIグループが持つ金融データを掛け合わせ、高度なマーケティングサービスやそれを支えるAIソリューションを共同で開発する予定です。

T&DホールディングスとPayPayの業務提携

2026年6月、株式会社T&DホールディングスとPayPay株式会社は、人生100年時代の社会課題解決を目指した包括業務提携で基本合意しました。

T&Dグループの太陽生命保険株式会社が持つ健康増進・介護・医療分野の知見と、PayPay株式会社のFintech技術やユーザー基盤を組み合わせます。

具体的には、PayPayアプリ上での太陽生命保険株式会社の保険商品の販売や、AIを活用したコールセンター業務の高度化などを検討する予定です。

より強固な関係を築くなら資本提携という選択肢も

業務提携とは?種類や資本提携・M&Aとの違い、メリット・デメリットを解説

「資本提携」とは、経営権を取得しない範囲で他の企業の株式を持ち、出資することで協力関係を築く手法です。一方だけが株式を持つ場合もあれば、双方で持ち合う場合もあります。

資本提携は、業務提携よりも踏み込んだ関係を結びたい時や、出資によって資本を強化したい時に向いています。

ただし、株式を保有する企業は、保有株式に応じた議決権を株主総会で行使できるため、経営に関与する余地が生まれます。

保有比率が高いほど経営への影響力も大きくなるため、どの程度の株式を取得するか、または取得させるかは慎重な判断が必要です。

▷関連記事:「資本提携とは?業務提携との違いやメリット・デメリット、最新事例を解説

まとめ

本記事では業務提携の種類やメリット・デメリット、具体的な事例を解説しました。

業務提携は業務上だけで協力する手法のことで、「生産提携」「技術提携」「販売提携」などの種類があります。

業務提携は独立性を保ったまま他社の経営資源を活用でき、比較的リスクを抑えて取り組める点が特徴です。一方で、資本提携は資本を持たせる、もしくは持ち合いをすることで協力関係を結びます。

業務提携、資本提携はそれぞれ異なるメリット・デメリットを持っています。よく比較したうえで、どの手段を取るか決めましょう。

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