よくわかるM&A

2023/09/29

M&Aに関連する資格を解説!相談するときに知っておきたい種類や注意点も

M&Aに関連する資格を解説!相談するときに知っておきたい種類や注意点も

M&Aにより自社譲渡や他社譲受を考えている方の中には、法務や財務など専門的な資格を有する専門家にアドバイスを受けたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

M&Aでは、その手法1つを取り上げても、株式譲渡や事業譲渡、会社分割や株式交換、合併や第三者割当増資などさまざまな種類があります。

専門的な資格を有する専門家のサポートは、納得できるM&Aを実施するために役立ちます。

本記事では、まずM&Aと資格の概要について解説し、M&Aに関連する民間資格・国家資格を紹介します。

M&Aに関する資格の注意点も説明しているため、ぜひご一読ください。


関連記事:M&Aとは?M&Aの目的、手法、メリットと流れ【図解付き】

家永 勲
この記事を執筆した専門家
弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates パートナー・弁護士・企業法務事業部長。 企業法務に専念しており、M&Aに関わるデューデリジェンス、契約書のレビュー・作成、登記申請手続など、クロージングまで対応が可能な法律事務所としてM&Aをサポート。https://www.avance-lg.com/lawyer/lawyer_ienaga.html
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M&Aに資格は必要か

M&Aを実施する際に、資格は必須ではありません。

そのため、何も資格を持たない当事者同士だけでも、M&Aを実施することは法的に問題ないということになります。

これはM&Aの助言や実務をサポートする場合も同様であり、M&A実務を行う際に必要不可欠な資格は、現時点ではありません。

ただし、実際にM&Aを進める際には、財務や税務、法務などの専門知識がなくては適切に買収による価値を判断することは困難でしょう。

譲渡企業の企業価値や財務状況を確認するためには、財務や会計に通じた専門家のサポートを受けることが必要となります。また、M&Aの進行で法的なトラブルが発生した場合には、法務の専門知識が不可欠です。

したがって、M&Aを実施する際には、専門家に相談しながら進めることが一般的です。相談する相手がどのような資格を所持しているか確認することは、相談の依頼先を判断する1つの基準ともなるでしょう。

関連資格の有無は相談先の信頼性にもつながります。

M&Aに関連する民間資格

まずはM&Aに関連する資格の中でも、民間団体が認定する資格を解説します。

M&Aに関連する民間資格の特徴は、弁護士や公認会計士などの国家資格と比較すると、M&Aに特化した資格となっている点です。

また、増加する中小企業のM&Aに対応するべく、中小企業のM&Aに向けた知識や実務を修得している傾向もあります。

ここでは、以下の4つのM&Aに関連する民間資格を紹介します。

▷m&aスペシャリスト資格

資格名M&Aスペシャリスト資格
協会・企業一般社団法人日本経営管理協会
試験内容M&A実務・職業倫理・法務・会計・税務
受験費用11,000円 / 税込
その他資格取得支援講座あり(77,000円 / 税込)

M&Aスペシャリスト資格は、一般社団法人日本経営管理協会が認定するM&Aの実務に特化した資格です。 M&Aの中でも特に中小企業の事業承継で重視される事業譲渡や合併に関するスペシャリストとなっています。

M&Aスペシャリスト資格所有者は弁護士や公認会計士、税理士などさまざまな専門分野の講師から実践型の講義を受けているため、事業価値の評価や具体的なM&Aの手続きなど、多くのサポートが可能です。

▷m&aエキスパート認定資格

資格名M&Aエキスパート認定資格
協会・企業一般社団法人金融財政事情研究会
試験内容【スタンダード】事業承継関連税制・事業承継関連法制・M&A基礎知識 / 関連会計・M&A関連法制・総合問題
受験費用【スタンダード   】7,700円 / 税込
【アドバンス    】11,000円 / 税込
【プロフェッショナル】11,000円 / 税込
その他アドバンス / プロフェッショナルは要請スクールあり(132,000円 / 税込)

M&Aエキスパート認定資格は、日本M&Aセンターと金融財政事情研究会が共同で企画・認定している資格です(2022年2月現在)。2022年3月末の事業承継・M&Aエキスパート協会の終了に伴い、2022年4月からは一般社団法人M&A仲介協会のもと継続して運営・認定がなされる予定です。

M&Aエキスパート認定資格の特徴は、スキルの熟達により、スタンダード、アドバンス、プロフェッショナルの3つの段階が設定されている点です。

スタンダードは「事業承継・M&Aエキスパート」という名称で、資格所有者は中小企業M&Aや事業承継の基本知識を身に付けています。アドバンスは「事業承継シニアエキスパート」、プロフェッショナルは「M&Aシニアエキスパート」と呼ばれ、資格保有者は事業承継・中小企業M&Aのケーススタディをもととした実務ノウハウを習得した人材です。

▷jmaa認定m&aアドバイザー

資格名JMAA認定M&Aアドバイザー
協会・企業一般社団法人日本M&Aアドバイザー協会
試験内容口座修了時に修了試験(講座受講/一般社団法人日本M&Aアドバイザー協会による審査あり)
受験費用198,000円 / 税込
その他入会金(33,000円 / 税込)月会費(132,000円 / 税込・年間一括払い)

JMAA認定M&Aアドバイザーは一般社団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)が認定する資格です。JMAA認定M&AアドバイザーはM&Aに関する実務経験などJMAAが定める一定の要件を満たし、さらにM&A実務スキル養成講座を修習することで得られます。資格者はJMAAの正会員である点も特徴です。

なお、M&A仲介会社やM&Aアドバイザリーへ依頼した場合、アドバイザーやM&Aアドバイザーと呼ばれるスタッフがサポートを担当します。JMAA認定M&Aアドバイザーはそのような一般的な呼称とは異なり、JMAAが特別に認定したアドバイザーを指す用語です。

▷事業承継士

資格名事業承継士
協会・企業一般社団法人事業承継協会
試験内容事業承継に特化した内容
受験費用9,900円 / 税込
その他入会金(11,000円 / 税込)年会費(11,000円 / 税込)事業承継士資格取得講座(330,000円 / 税込)

事業承継士は一般社団法人事業承継協会が認定する資格です。事業承継に特化した資格で、事業承継の税務や財務、法務など総合的なサポートを提供します。受験資格に弁護士や公認会計士、土地家屋調査士や行政書士又はそれと同等の知識と能力があると判断される方など、資格要件がある点も特徴です。

事業承継では、「会社の事業承継」のみならず、「経営者個人の相続」の視点も必要となります。また、弁護士や税理士、公認会計士など各種専門家のコーディネートも重要です。事業承継士の有資格者は、このような全体的な視点から、経営者をサポートするプロセスを修習しています。

M&Aに関連する国家資格

M&Aに関連する資格を解説!相談するときに知っておきたい種類や注意点も

次に、M&Aに関連する国家資格を解説します。
M&Aに関する国家資格の特徴は、弁護士や公認会計士、税理士の各士業資格のように、M&Aに限らない、法務・財務・税務といった専門的な知識を有する専門家が多い点です。
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・弁護士

・公認会計士

・税理士

・司法書士

・社会保険労務士

・ファイナンシャルプランナー

・中小企業診断士

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以下では、各資格の内容とM&Aにおける立場、M&Aとの関わりを中心に紹介します。

▷弁護士

弁護士は法律に関するあらゆる業務を取り扱う法律の専門家です。

M&Aにおいては、基本合意書や秘密保持契約書、最終契約書のチェック又は作成など、法的知識が必要不可欠な契約書作成などで活躍します。また、合併、分割などの会社法に定められた組織再編のスキーム選択に関する法的な観点からの助言なども行います。
M&A実施前に対象の企業を調査するデューディジェンスで法的なチェック(労務面までカバーすることもあります)を実施する場合にも、企業法務に精通した弁護士が欠かせません。デューディリジェンスを通じて、許認可が必要な事業への対応を整理・把握して対処するなど、M&Aの多くの場面で頼りとなる存在です。

また、M&Aのプロセスや事後的に発生しうる法律上のトラブルへの対応でも重要な役割を果たします。

▷公認会計士

公認会計士は財務や会計の高度な知識を有する資格であり、M&Aにおける財務的なデューディリジェンス、企業価値算定、財務諸表の内容の確認など、M&Aの財務・会計的な側面を支える専門家です。

特にM&Aでは、実行と継続的な事業に向けて財務的な側面が重視される場面が多いことから、公認会計士がFA(ファイナンシャルアドバイザー)として、M&Aの財務だけでなく、M&Aの戦略から成約まで総合的なサポートを提供するケースもあります。公認会計士事務所が母体となるM&Aアドバイザリーも多く存在します。

▷税理士

税理士は税務に関する幅広い知識を有する専門家です。M&Aでは譲渡の際に税金が発生する場合もあり、法人税や所得税など税務に関する有益なアドバイスを得られます。また、税務デューディリジェンスを通じて、過去の納税における修正の要否なども把握することができる場合もあります。税務に関するアドバイスは税理士の独占業務となるため、重要な存在です。

なお、税理士は財務や会計などにも精通しているケースが多いことから、公認会計士と役割が重複する部分もありますが、企業価値算定や資産価値算定でも役割を果たせます。顧問税理士を雇用している場合などは、M&Aの初期的な検討からアドバイスを受けられる相談先ともなり得ます。

▷司法書士

司法書士は法律の専門的な知識を持っており、とりわけ登記業務に強みを持つ専門家です。M&Aでは合併や会社分割の登記申請手続や事業譲渡の際の不動産の所有権移転登記手続や抵当権抹消登記手続など、登記が必要となるケースも多く、司法書士の専門知識が活かされる場面は多くあります。

近年、企業法務に熟達した司法書士がM&Aをサポートするサービスを提供しており、登記申請に必要な書類整理をあらかじめ始めておく観点から法的なデューディリジェンスに参加するケースもあります。

▷社会保険労務士

社会保険労務士は人事や労務に関する専門知識を有する専門家です。M&Aではデューディリジェンスの範囲に人事・労務や社会保険・労働保険の納付状況などを含める場合もあり、社会保険労務士は大きな役割を果たします。

具体的には、譲渡後の従業員の待遇や雇用条件を合致させるための準備や未払残業代発生の有無などが気になる場合に有用な専門家です。

▷中小企業診断士

中小企業診断士は中小企業の経営相談、経営状況の診断などの専門家です。中小企業の経営指導の一環として、M&Aに関する業務に携わる中小企業診断士も存在します。

M&Aや事業承継を含め、経営全体に悩みを持つ中小企業の経営者の方におすすめの専門家です。

M&Aの資格に関する注意点

ここまでM&Aに関連する資格を紹介してきましたが、実際にM&Aのサポートを依頼する場合にはどのような点に注意すればよいのでしょうか。

以下では、3つの視点から、M&Aの資格に関する注意点を解説します。

▷各専門家の強みを理解する

各専門家は弁護士ならM&Aの法的な側面、税理士ならM&Aの税務上の側面というように、それぞれの専門分野で深い知識を有しています。しかし、必ずしもM&Aの全体的なサポートが可能なわけではありません。

M&Aのサポートを依頼する場合には各専門家の強みを理解し、自社の状況と対象とする会社の情報を考慮して、どのような資格を有する専門家に依頼することが適しているか、十分に検討する必要があります。

▷M&Aの実績を確認する

M&Aについて相談する場合は、各専門家がM&Aの実績があるか事前に確認しましょう。M&Aに関する資格を有していたとしても、M&Aについて豊富な実務経験があるとは限らないためです。

例えば、弁護士には離婚や交通事故などM&A以外の実務に多く携わる弁護士も多く存在します。過去の実績を確認することにより、M&Aの実務に長けているかについて把握することができます。

▷相談に親身になってくれるか確認する

一般的に、M&Aは数ヶ月~1年以上という長期間に渡って進行します。また、譲渡先や譲受先の選択、譲渡価格の決定、候補先との条件交渉など、M&A成約までには複雑なプロセスを経由することが必要です。

上記のようなプロセスを安心して進めるためには、プロセスごとに、自社の状況に真摯に耳を傾け、親身になって相談してくれるかはとても重要になります。コスト面だけに捉われず、信頼できる相談先選びをおすすめします。

M&Aの資格についてのまとめ

M&Aに関連する資格には、M&Aスペシャリスト資格やM&Aエキスパート認定資格などの民間資格、弁護士や公認会計士、税理士などの国家資格があります。M&Aに関する専門知識を有する専門家に相談することで、複雑なプロセスが必要なM&Aをスムーズに進めることができるかもしれません。

M&Aの相談先、サポート先を選択する際は、各専門家の強みを理解し、M&Aの実績を確認することが大切です。また、M&Aは短期間でスピーディに進めるプロジェクトになるかもしくは長期間に渡りじっくりと精査するプロジェクトとなるため、自社の状況に親身になってサポートしてくれる姿勢も重要となります。

fundbookでは高い専門性と豊富な実績を有するM&Aアドバイザーチームが、M&Aの初期的な相談から成約までサポートします。法務・財務・税務などの専門知識を有したエキスパートによる総合的な支援です。

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