「M&A」と聞くと、数千万円または数億円以上の規模を想像する方もいるのではないでしょうか。近年では譲渡希望が出される案件も多様化しており、中には100万円で買える会社も存在します。
ただし、「100万円で買えるのはどのような会社なのだろう」と疑問を持つ方もいると思います。そこで本記事では100万円で買える業種の例や、100万円で会社を買うメリットとデメリット、会社の探し方や注意点を解説します。
企業価値100億円の企業の条件とは
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100万円で買える会社の業種
100万円で買える会社の業種は、例えば以下のものが挙げられます。
・Webメディア
・ECサイト
・飲食店
・理美容室
・エステサロン
・宿泊施設
・学習塾
・フィットネス施設 など
各業種の特徴を紹介します。
Webメディア
ブログやアフィリエイトサイトなど、Webメディアは100万円で買える会社の代表的な例です。実店舗や商品の在庫を持たないことから、比較的低額で購入できる場合があります。
例えば、既に多くの記事を掲載するWebメディアを購入した場合、そのWebメディアに掲載されている記事をリライトしたり新規記事を追加したりすることで、一から始めるよりも短期間でサイト運営を開始できます。
ECサイト
食品やアパレル商品などのECサイトも、Webメディア同様に100万円前後での譲受が可能です。アパレル系やクラウドソーシング、食品などさまざまなECサイトで譲渡希望が出されています。
ECサイトの購入は、仕入れ先情報やノウハウ、売買実績なども引き継げる場合がある点がメリットです。購入予定のECサイトの原価率や利益率を精査することで、購入後の経営予測も立てられます。
飲食店
実店舗を持つ業種では、飲食店が例に挙げられます。100万円ほどから交渉が可能な店舗もあり、初期費用を抑えつつ起業したい方におすすめです。
譲渡希望の店舗の中には、調理器具や設備、メニューやレシピ、従業員などを引き継げる場合もあります。営業を継続している店舗もあるので、店舗の購入後はより短期間で売上が見込める点もメリットです。
理美容室
理容室や美容室も100万円で買える可能性のある業種です。店舗や営業権だけでなく、経営のノウハウ、店舗が展開するウェブサイトやSNSアカウントまでまとめて引き継げる案件も存在します。
美容室業界は店舗数が増加傾向にあるものの、後継者不足などから店舗の譲渡を検討する経営者もいます。事業承継の手段としてM&Aで店舗の売却が選択されることも多い業種です。
▷関連記事：美容院のM&Aとは？業界動向からM&Aの事例まで【2022年】
エステサロン
瘦身やフェイシャルなど、エステサロンも100万円以下の譲渡希望価額で売却希望のある業種です。ハイフや痩身機器などの設備を引き継げる案件もあり、初期の設備投資コストを低減できるメリットがあります。
宿泊施設
宿泊施設は、民泊や区分営業権などの小規模案件を中心に、100万円前後の譲渡希望価額で出品されています。
区分営業権とは、宿泊施設を全て購入するのではなく、部屋単位で営業権を購入して運用するタイプです。購入の際は、特区民泊や簡易宿所営業など運用の種類を確認し、ご自身が営業に必要な要件を満たしているかも確認しておきましょう。
学習塾
小～高校生を対象とした学習塾やプログラミング教室なども、100万円前後での譲渡希望が出されています。10年以上の営業実績のある学習塾や自走可能な案件もあり、経営面での負担を軽減しつつ起業できる点はメリットです。
フィットネス施設
フィットネス施設は、案件により100万円でも購入可能です。フィットネス施設は機材の購入に初期費用のかかる業種ですが、居抜きでの譲渡を希望する案件もあり、トレーニングマシンを含めて譲受できる点が魅力です。
100万円で会社を買うメリット
「100万円で会社を買う」ことには、いくつかのメリットが挙げられます。
以下では、項目ごとにメリットの内容を紹介します。
起業に比べて手間がかからない
会社を一から起業する方法に比べ、会社を購入する方法は多くの手間や時間を省略できる点がメリットです。一から起業する場合、店舗用の建物や土地の購入・貸借、顧客の獲得や従業員の雇用などをはじめから行わなければなりませんが、会社を購入すると、案件により設備や顧客、取引先や従業員などを引き継げます。
▷関連記事：会社を買う方法とは？個人による買収のメリットと手順
M&A実行翌日から営業できる
100万円で購入できる会社の中には、現在も稼働しており、設備や従業員、サービスなどをそのまま引き継げる案件も存在します。M&A実行翌日から営業できるケースもあり、事業を短期間で開始したい方におすすめです。
金融機関からの融資無しでM&Aが可能
現在100万円のキャッシュを持っている場合は、金融機関から融資を受けることなく自己資金だけでまかなえます。一般的に、M&Aでは株式の買取りや営業権・事業用資産の買取りなどで一定の資金が必要となりますが、100万円のM&Aなら資金調達にかかるリスクや時間、手間も軽減できます。
資産が増加する
100万円で購入できる会社でも、赤字ではなく利益があがっている会社はあります。そのため、購入後の営業利益の受け取りや転売による売却益などにより、資産が増加する場合もあるでしょう。
100万円で会社を買うデメリット
100万円で会社を買う方法にはメリットがある一方、デメリットも存在します。
以下では、2つの視点からデメリットを解説します。
借入金を抱える場合がある
会社を買った場合、対象会社の借入金も引き継ぐこととなるので注意しましょう。事前に購入予定会社の財務状況を確認し、過大な借入金がないか確認しましょう。帳簿に記載されていない隠れた債務が存在する場合もあるため、注意してください。
▷関連記事：会社を買う方法とは？個人による買収のメリットと手順
手続きが複雑
会社を買う場合には、借入金を含む財務状況の確認の他、法律や税務の知識、許認可の問題など専門的な知識が必要なシーンが多く存在します。手続きが複雑となり、ご自身だけでは対応できない時は、状況に応じて専門家のアドバイスも有用です。
100万円で買える会社の探し方
100万円で買える会社を探す時、以下のサービスを活用すると、より希望に合った案件を見つけやすくなります。
・M&A仲介会社
・M&Aプラットフォーム
・事業承継・引継ぎ支援センター
・商工会議所
M&A仲介会社は、M&Aを専門的に取扱う会社です。会社の譲渡を希望するプラットフォーム（M&Aプラットフォーム）を持つ場合もあり、案件を探す際に役立ちます。
その他、事業承継・引継ぎ支援センターや商工会議所などの公的機関でも、会社の譲渡や譲受を支援しています。
会社を買う時の注意点
会社の購入は収益をもたらすメリットもありますが、知っておくべき注意点もあります。以下で会社を買う時の注意点を解説します。
簿外債務を見落とさない
簿外債務とは、貸借対照表などの財務書類に計上されていない債務です。具体的には、退職給付引当金やリース債務、債務保証損失引当金や未払賞与などが挙げられます。会社を購入した後に予期しない債務が見つかることのないよう、事前の確認が重要です。
▷関連記事：貸借対照表に計上されない「簿外債務」とは
保証債務の有無を把握する
簿外債務だけでなく、購入予定の会社が他社の連帯保証人になるなど、保証債務を負っていないかにも注意しましょう。保証債務があると、購入後に債務の弁済を求められる可能性があります。
公害問題がないか事前に確認する
購入予定の会社が土壌汚染、空気汚染、産業廃棄物などの公害問題を持つリスクにも配慮が必要です。ご自身で調査できない場合は専門家へデューデリジェンスを依頼し、リスクの洗い出しをする方法もあります。
人材流出を防止する
100万円前後の小規模M&Aでは、従業員が事業の価値に占める割合が高いです。優れたノウハウや技術、知識を持つ従業員が流出しないように、会社購入後は丁寧にコミュニケーションをとる必要があります。
背任に該当する行為が購入先企業にないか専門家の判断を仰ぐ
購入予定の会社で横領や癒着などの背任行為があると、購入後の経営に影響を与える上に、どの行為がどういった罪に該当するかを自分だけで判断することは難しいです。疑わしい行為がある場合は、専門家に助言を求めましょう。
まとめ
近年では小規模のM&Aも活発に取引されており、100万円で買える会社も出品されています。
会社を購入すると設備や従業員を引き継げるなどのメリットがある一方で、債務を抱える可能性もあります。リスクを回避するためには、状況に応じて専門家へ相談してみましょう。
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