経営・ビジネス

2024/03/13

親会社とは?会社法上の定義や子会社・関連会社との関係性、影響力について解説

親会社とは?会社法上の定義や子会社・関連会社との関係性、影響力について解説

企業を経営する方の中には、M&Aを行い、対象企業を傘下に置くことを検討している方もいるのではないでしょうか。

M&Aを実施して親会社になると、事業の拡大・多角化を図れる、節税が可能などのメリットがあります。しかし、その反面、子会社に対する責任や影響が生じるため、法律上の定義や関係性を正確に理解しておく必要があります。

また、親会社と関係の深い関連会社と子会社の違いが気になる方もいるでしょう。

本記事では、親会社の定義や子会社・関連会社との関係性、責任・影響力について解説します。M&Aをスムーズに進めるためにも、ぜひ参考にしてください。

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親会社と子会社の定義

親会社と子会社は、会社法で以下のように定義されています。

会社定義
親会社株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるもの(会社法 第2条4項)
子会社会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるもの(会社法 第2条3項)

「法務省令で定めるもの」とは、「財務及び事業の方針の決定を支配している場合」を意味しており、議決権の50%超を保有するなどの基準が設けられています。

簡単にいうと、親会社とは子会社の経営を支配している法人です。また、子会社の発行済み株式を100%保有する会社を「完全親会社」といいます。

一方、子会社とは親会社がその経営を支配している法人です。子会社には大きく「完全子会社」「連結子会社」「非連結子会社」の3つがあり、以下のように異なります。

・完全子会社:親会社が100%株式を有している会社
・連結子会社:子会社の中で連結決算の対象となる会社
・非連結子会社:連結の範囲ではない子会社

▷関連記事:M&Aによる子会社化とは?子会社とグループ会社の違いについて解説

「財務及び事業の方針の決定を支配している場合」とは?

「財務及び事業の方針の決定を支配している場合」の基準に関しては、会社法施行規則で以下のように定められています。

1他の会社等の議決権総数の50%超を有している
2他の会社等の議決権の総数の40%以上50%以下を有しており、いずれかの要件に該当する場合
a.他の会社などの議決権総数に対する自己所有等議決権(以下の議決権の合計)の割合が50%超である場合(1)自己議決権(2)自己と出資、人事、資金、技術、取引などで緊密な関係があり、自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者が所有している議決権(3)自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権b.他の会社などの取締役会などの構成員総数に対して自己の役員、執行役員、使用人またはこれらの者であったものの数の占める割合が50%超である場合c.自己が他の会社などの重要な財務・事業の方針の決定を支配する契約などが存在する場合d.他の会社などの資金調達額の総額に対する融資額が50%超の場合e.自己が他の会社などの財務・事業の方針の決定を支配していることが推測される事実が存在する場合
3他の会社等の議決権総数に対する自己所有等議決権の割合が50%超である場合に、2のb~eいずれかの要件に該当する場合

3を要約すると「他の会社等の議決権を有する割合が40%未満であっても、2のaかつb~eのいずれかを満たしていれば子会社に該当する」ということです。

親会社と関連会社の関係性

親会社と子会社に関連する概念として、関連会社もあります。

関連会社とは、親会社および子会社が、出資、人事、資金、技術、取引などの関係を通じて、財務や営業の方針決定に重要な影響を与えることができる子会社以外の会社のことです。

具体的には、親会社および子会社の「議決権保有比率が20%以上の会社」または「議決権保有比率が15%以上20%未満の場合で、一定の要件に該当する会社」を指します。

親会社と子会社が支配関係にある一方、関連会社は、親会社から経営に重要な影響を受けるものの、支配関係ではないことが特徴です。

なお、親会社と子会社、関連会社を含む全ての会社を「関係会社(グループ会社)」といいます。

親会社が持つ責任と影響力

親会社とは?会社法上の定義や子会社・関連会社との関係性、影響力について解説

親会社になると、子会社や関連会社に対して責任や影響を持つことになります。

以下では、親会社が持つ責任と影響力について子会社と関連会社に分けて紹介するため、しっかりと確認しておきましょう。

子会社への責任と影響力

子会社は親会社と支配関係にあります。

親会社は子会社を支配する株主になるため、親会社の取締役には、会社の重要な資産として子会社を管理し、親会社に損害を与えないようにする注意義務(善管注意義務)があります。

したがって、子会社が不祥事を起こした場合は、子会社による違法・不当な行為の発見と、未然に防止するための監視・監督義務の違反が生じる可能性があります。

また、親会社は子会社の内部統制体制の構築義務も負っています。具体的には、子会社の管理体制として以下の整備をすべきと定められているので、覚えておきましょう。

・子会社の取締役等(取締役、執行役、業務を執行する社員、会社法第五百九十八条第一項の職務を行うべき者その他これらの者に相当する者)の職務執行にかかわる事項についての報告体制
・子会社のリスク管理に関する規程とその他の体制
・子会社の取締役等の職務執行が効率的に行われることを確保する体制
・子会社の取締役等及び使用人の職務執行についてコンプライアンスを確保するための体制

ただし、体制を整えるためには費用もかかるため、どの程度まで整備するかは、子会社の事業規模や重要性、特性などを考慮する必要があります。

子会社の負債にも責任が生じる場合がある

経営上の観点で、子会社と親会社は一体として考えられることも覚えておきましょう。

連結財務諸表の債務には子会社の債務も含まれるため、会計上は子会社の債務も親会社の債務と同じ位置づけです。

つまり、子会社の債務について親会社は返済義務を負っていると解釈できるため、親会社は子会社の負債に対しても責任が生じる可能性があります。

ただし、法律では「株主有限責任の原則」が定められており、親会社は子会社の株主として出資金額を超える債務の返済を負わないとの考えもあります。実際にどこまでの債務責任を負うかは状況によって異なるため、万が一子会社の債務を負う場合は、専門家に相談しましょう。

関連会社への責任と影響力

関連会社は経営に対して親会社の影響力を受けるものの、これは支配関係とは異なります。そのため、関連会社が不祥事を起こした際、通常は親会社に直接法的責任が及ぶことはありあせん。

ただし、グループ内の会社が不祥事を起こすと、親会社や子会社のイメージに影響を与える可能性はあります。

また、親会社が関連会社の一定以上の株式を保有している場合、持分法に基づく会計処理により関連会社の財務状況は親会社の財務諸表に影響を与えることがあるため、経営上の注意が必要です。

持分法適用会社については、下記の記事で詳しく紹介しています。

▷関連記事:「持分法適用会社とは?連結子会社との違いや適用範囲、メリットや注意点を解説」

まとめ

親会社とは、子会社を支配する会社のことです。

親会社は子会社の監視・監督義務がある他、内部統制体制を構築する義務もあり、義務を怠って子会社が不祥事を起こした場合は、責任を負わなければいけない可能性があります。

また、関連会社は親会社と支配関係にないため、関連会社で不祥事が生じた場合も親会社に経営責任がおよぶことはありません。しかし、グループ全体にネガティブなイメージが付いてしまう可能性があることを覚えておきましょう。

親会社になるとさまざまなメリットがある反面、責任と影響力には考慮する必要があります。

M&Aによって子会社・関連会社を保有するのであれば、幅広い知識が必要になるため、専門家と相談して進めることをおすすめします。

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