持分法は、連結財務諸表を作成する際に用いられる会計方法の1つです。
持分法適用会社になると会計上のメリットがあるため、「子会社に持分法を適用できるのか」「適用される会社の範囲はどこか」など、持分法適用会社について知りたい方も多いのではないでしょうか。
本記事では、持分法が適用される会社の範囲や、持分法適用会社と連結子会社との違い、メリット、会計処理などを解説します。
AIマッチングシステム「KEPL」
経営者様の「想い」まで分析し、買手候補との相性を複数の軸でスコア化
成約後の「成功」を見据えた、最適な買手候補をご提案
KEPLが“本当に合う相手”との出会いをサポートします!
持分法とは
持分法とは、投資先に対して重要な影響力を有する会社(一般的には議決権の20%以上を保有する会社)の業績を、連結財務諸表に反映する会計処理方法のことです。
持分法は、企業が連結決算を行う際に、連結子会社以外の会社のうち、グループ全体の業績に影響を与える会社の業績を連結決算に反映させるために採用されます。
具体的には、関連会社や非連結子会社の資本および損益のうち、親会社に帰属する部分の変動に応じてその投資の額を連結決算日ごとに修正します。
持分法が適用される関連会社や非連結子会社のことを、持分法適用会社と言います。
持分法の適用範囲
日本の会計基準では、「親会社が財務および事業方針の決定に対して重要な影響を与えるか」が持分法の適用基準です。
つまり、親会社が一定の議決権を保有し、経営に重要な影響を与える関連会社・非連結子会社が対象です。ただし、重要性が低い場合は持分法を適用しないことも可能です。
以下、持分法が適用される関連会社と非連結子会社の概要を紹介します。
関連会社とは一定要件を満たした外部の会社
関連会社とは、親会社および子会社が出資、人事、資金、技術、取引などの関係を通じて、財務や営業の方針決定に重要な影響を与えることができる子会社以外の会社のことです。
具体的には、親会社および子会社の「議決権保有比率が20%以上の会社」または「議決権保有比率が15%以上20%未満の場合で、一定の要件のいずれかに該当する会社」が関連会社に該当します。
なお、親会社および子会社の議決権保有比率が15%以上20%未満の場合に関連会社となる要件は、以下のいずれかです。
| ・親会社および子会社の社員などが、役員などに就任 ・親会社および子会社が、重要な融資を実施 ・親会社および子会社が、重要な技術を提供 ・親会社および子会社と、重要な販売・仕入れなどの事実上の取引がある ・財務・事業の方針の決定に対して重要な影響が推測される事実がある |
非連結子会社とは連結決算の対象から除いた子会社
非連結子会社とは、連結財務諸表に重要な影響を及ぼさないなど一定の要件により、連結の範囲から除外された子会社のことです。
非連結子会社は、連結財務諸表上、連結対象から外すことができます。ただし、非連結子会社は原則として持分法適用の対象となるため、連結財務諸表で持分法が適用されます。
持分法適用会社と連結子会社の違い

前述のとおり、持分法適用会社は、持分法が適用される関連会社および非連結子会社のことです。
一方、連結子会社とは親会社が支配している子会社のうち、連結決算の対象となる会社を指します。
また、親会社の議決権保有率が50%以下の場合でも、役員派遣や契約等により実質的な支配関係が認められる場合は、連結子会社となることがあります。
なお、親会社が100%の株式を保有する子会社のことを「完全子会社」と言います。
持分法適用会社の確認方法
持分法適用会社を確認する主な方法は以下のとおりです。
| ・連結財務諸表の「注記事項」 ・有価証券報告書の「関係会社の状況」 ・有価証券報告書の「注記事項」 |
連結財務諸表とは、企業グループを1つの会社として貸借対照表や損益計算書を作成したものです。一般的には、連結財務諸表の「注記事項」に、持分法適用会社について記載があります。
また、連結財務諸表に持分法適用会社の記載がない場合は、有価証券報告書の「関係会社の状況」または「注記事項」を確認すると良いでしょう。
なお、確認したい会社が非上場会社の場合は書面上の確認が難しくなるため、該当の会社に直接確認が必要です。
持分法適用会社のメリット
持分法適用会社にはいくつかのメリットがあります。以下では、主なメリットを解説します。
会計処理の負担を軽減できる
持分法適用会社の大きなメリットは、会計処理の負担が軽減できることです。
連結会計では、子会社の財務諸表の勘定科目を合算した後に連結修正を行わなければいけません。
一方、持分法を適用する場合は、「投資有価証券」と「持分法による投資損益」の2つの勘定科目を用いて、持分法適用会社の損益を親会社の連結財務諸表に取り込むことが可能です。
例えば、親会社が議決権を25%保有する場合、出資先企業の25%分が出資元である親会社の連結財務諸表に反映されます。
持分法適用会社に純利益が生じている場合は、持分法適用会社の純利益に持株比率分をかけた額を「持分法による投資利益」として連結財務諸表に反映できます。
親会社の財務リスクを抑えやすい
持分法では、投資先の資産や負債そのものが親会社の連結貸借対照表に合算されるわけではありません。投資先を支配しているわけではないため、業績のみを反映させる考え方が採用されます。
具体的には、純資産のうち持分相当額が「投資有価証券」として、損益のうち持分相当額が「持分法による投資損益」として、それぞれ一行で反映されます。
連結子会社のように資産や負債を全て取り込む場合と比べて、親会社の財務リスクを抑えながら協業を進められるメリットがあります。
持分法適用会社の注意点
持分法適用会社には会計上のメリットがありますが、持分法を用いる場合は以下のような注意点があります。
| ・連結財務諸表規則に従って正しく記載する 適用後は自社の判断で終わらせることができない |
詳細を紹介するため、確認しておきましょう。
連結財務諸表規則に従って正しく記載する
持分法を適用する場合、連結財務諸表規則に従って連結財務諸表を作成しなければいけません。
例えば、主に注意したい内容には、以下のようなものがあります。
| ・持分法を適用した非連結子会社や関連会社の数・主要な会社名を記載する ・持分法を適用しない関連会社や非連結子会社がある場合は、主要な会社名と理由を記載する |
持分法適用時の記載ルールは、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」に規定されるため、しっかりと確認し、正確に記載するように注意しましょう。
適用後は自社の判断で終わらせることができない
一度持分法適用会社になると、自社の都合で自由に外れることができない点にも注意が必要です。持分法が適用される関連会社や非連結子会社に該当すれば、重要性がある限り適用は継続します。
なお、議決権保有比率が50%を超えたため連結子会社になった場合などは、持分法適用会社から外れるため、持分法を適用したい場合でも適用終了となります。
持分法適用会社の会計処理と仕訳例
持分法適用会社では、損益が発生した場合や配当を受け取った場合、株式を追加取得した場合など、それぞれのケースに応じた会計処理が必要です。以下では、ケースごとに仕訳例を交えながら解説します。
なお、実際の会計処理は取引の内容や適用する会計基準によって異なります。具体的な処理については、公認会計士や税理士などの専門家に確認することが重要です。
損益発生時の仕訳例
持分法では、持分法適用会社に生じた利益または損失のうち、出資比率に応じた金額を「持分法による投資損益」として計上し、投資額を増減させます。
例えば、25%出資している会社で200万円の利益が確定した場合、親会社が計上する金額は50万円(200万円×25%)です。仕訳例は以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 関係会社株式 | 500,000 | 持分法による投資利益 | 500,000 |
なお、損失が発生した場合は借方と貸方が逆になり、投資額を減額する処理を行います。
配当受取時の仕訳例
持分法では、持分法適用会社から受け取った配当金は、投資額の回収として処理します。そのため、個別財務諸表上で配当金を収益として計上するだけでなく、連結財務諸表上では配当金相当額を投資額から減額する処理も必要です。
例えば、持分法適用会社から30万円の配当を受け取った際は、まず個別財務諸表上で収益計上します。
| 借方 | 貸方 | ||
| 現金預金 | 300,000 | 受取配当金 | 300,000 |
次に、連結財務諸表上で投資額を減額します。
| 借方 | 貸方 | ||
| 受取配当金 | 300,000 | 関連会社株式 | 300,000 |
配当金を受け取ると投資額の回収が進んだとみなされ、その分だけ株式の帳簿価額を引き下げる処理になります。
株式の追加取得時の仕訳例
親会社が持分法適用会社の株式を追加取得した場合、取得額を投資額に加算します。株式を80万円分追加取得した際の仕訳例は以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 関連会社株式 | 800,000 | 現金預金 | 800,000 |
なお、追加取得によって議決権比率が50%を超えて実質的に支配することになった場合は、持分法適用会社から連結子会社へ区分変更となるため、注意が必要です。
未実現利益の仕訳例
グループ内で商品や資産の取引を行うケースでは、未実現利益の調整が必要になることがあります。例えば、親会社が持分法適用会社に商品を販売したものの、その商品がグループ外に販売されていないケースが該当します。
例えば、親会社が持分法適用会社(持分比率25%)へ商品(販売価格150万円・利益40万円)を販売し、グループ外への転売が行われていないケースを考えてみましょう。親会社が商品を販売した時点の仕訳は以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 売掛金 | 1,500,000 | 売上高 | 1,500,000 |
持分法では、未実現利益のうち親会社の持分比率に相当する部分を調整します。持分比率が25%の場合、利益40万円のうち10万円(40万円×25%)が未実現利益として減額されます。仕訳例は以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 持分法による投資損失 | 100,000 | 関連会社株式 | 100,000 |
まとめ
持分法とは、投資先に対して重要な影響力を有する会社の業績を連結財務諸表に反映する会計処理方法のことです。
持分法が適用される会社のことを持分法適用会社と言い、親会社の議決権保有率が一定水準にあり重要な影響力を有する関連会社や、原則として非連結子会社が該当します。
持分法には、会計処理の手間を軽減できるメリットがあるものの、連結財務諸表規則に従って正しく記載しなければいけないことや、一度適用されると自社の判断で外れることができないことなど、注意点もあります。
また、損益発生時や配当受取時など、ケースごとに応じた会計処理が必要です。
持分法を用いる際は、連結子会社や関連会社、非連結子会社などの違いを把握した上で、適切に会計処理を行う必要があるため、悩みや疑問がある時は専門家に相談することをおすすめします。
fundbookには各領域の専門性に秀でた100名以上のアドバイザーが在籍し、専門チームを組織しています。経営やM&Aに関する悩みがある場合は、ぜひ一度fundbookにご相談ください。