業界毎の事例

2023/10/03

「医療経営者の経営参謀」であり「医療機関の総合医」を目指す。 医療経営コンサルティングとM&Aの専門家集団である私たちからのご挨拶にかえて

「医療経営者の経営参謀」であり「医療機関の総合医」を目指す。 医療経営コンサルティングとM&Aの専門家集団である私たちからのご挨拶にかえて

私たちのチームについて

このたび、私たちfundbookでは、病院・クリニック・介護施設などのヘルスケア事業(医療・介護経営)を営む経営者に対して、経営上の課題解決や事業承継・M&Aなどをサポートする専門コンサルティングチーム=「ヘルスケアビジネス本部」を発足させました。
本記事では、私たちが何を目指して新規にチームを発足させたのか、また、私たちが提供するサービスの特徴は何かといったことをご説明します。
結論から申し上げますと、私たちが提供するサービスは、医療・介護経営を担っている先生、経営者の“経営参謀”となり、経営にまつわるあらゆる問題の解決をお手伝いしていくことです。(なお、簡略化のため、以下では医療・介護経営をまとめて「医療経営」、医療施設・介護施設をまとめて「医療機関」と記載します)。
医療機関といえども、経営上の課題を解決できなければ存続することが難しい時代です。そして医療機関の存続がかなわなくなれば、なによりも患者さん、利用者さん、ひいてはその地域の住民の皆さまに大きな不安や不幸をもたらします。
私たちは、医療経営で生じるさまざまな問題の解決を通じて、経営者やそのご家族、病院で働くスタッフの皆さまの安定した生活と幸福に寄与することはもちろん、患者さんおよび地域住民の皆さまの健康な暮らしを支えるお手伝いをさせていただくことを、自分たちのミッションだと考え取り組んで参ります。

急速に進む医療経営の環境変化

私たちのご提供できるサービスをご説明する前に、現在の医療業界が置かれている経営環境について確認しておきます。
病院、クリニックなどの医療機関では、基本的に医師の先生が経営者を兼務しています。
これまでの時代、日本全国に、すぐれた能力と超人的な努力により、医師としての仕事と経営者としての仕事を高度に両立し、病院を発展させてきた先生がたくさんいらっしゃいました。
しかし近年、医療経営をめぐる状況は急速かつ不可逆的に変化しています。
マクロ的に見れば、すでに突入している長期的な国内人口減少と高齢化を背景とした総医療費の抑制政策、地域医療構想を含めた地域単位での病床機能の再配置などが進展しています。また、人口減少は就業人口の減少をもたらし、病院においても、医師や看護師などのスタッフの確保が年々難しくなってきています。昨今のコロナ禍が、この状況に輪を掛けていることはご承知のとおりです。
このような環境変化が進む中で、以前のように、医師として患者さんに貢献しながら、経営者としても医療機関を適切にリードして維持・成長させていくことの両立は、年々難しくなっています。そのために、経営的に不安定な状態になってしまう医療機関が増加しているのです。
その一方では、「団塊世代」と呼ばれる方たちの全体が75歳を迎える、いわゆる「2025年問題」を目前にして、戦後の医療拡大期を支えてきた医療経営者の皆さまの引退・事業承継は、いままさにピークを迎えつつあります。
ところが、社会構造変化を背景とした医療経営環境の不透明化に加えて、働き方に対する若年世代の意識変化、第1次医療法改正前に建てられた病棟の建て替え問題、地域の教育格差など多くの理由により、スムーズな事業承継が見通せずに悩まれている経営者の方が多いのです。お心当たりはないでしょうか?

経営改革や事業承継対策を先送りにしている悲劇

医療経営者の中には、経営環境の構造的変化への対応や、事業承継といった課題を「重要ではあるが緊急ではない」課題として、後まわしあるいは先送りにしてしまっている方もいます。
しかし、こういった課題は放置しておいても自然に解決されることはありません。むしろ、先送りにすることによって、状況が悪化し、取り返しのつかない事態となってしまうのです。
仮に、現在、地域住民の減少により病院の経営が少しずつ悪化していく、病棟の建物が毎年老朽化していくといった状況があるとして、それが進行するとどうなるでしょうか? たとえば、M&Aにより譲渡を検討するとしても、10年前なら高額での譲渡が見込めたであろう病院が、状況が悪化したことにより、相応に低い価格での譲受けしか検討されなくなってしまうということは、実際によくあります。
あるいは、地方の病院で、将来の事業承継を見越して、医師であるご子息を後継候補者として考えていたとします。しかし、ご子息が東京で結婚して孫が生まれて、さらに孫が東京の有名小学校に入学した、となれば、もはや「地元に帰ってきて病院を継げ」といっても、ほぼ不可能になるでしょう。これも、ご子息が独身のうちなどにきちんと対策をして、確実な道筋をつけておけばうまく承継ができたものを、それを先延ばしにしてしまったばかりに生じる状況です。
とはいえ、医師と経営者の二足のわらじを履き、休む間もなく働いている医療経営者にとって「緊急ではない」と感じられる課題を後回しにしてしまうのは、仕方のない面もあります。また、そういった課題は、必ずしも「これが唯一の正解」と決まっていて、その正解にいたる手順が明確になっているわけではないこともあります。日々の業務に追われながら、その都度適切な打ち手を模索し判断していくことは、非常にハードなことです。
そこで“経営参謀”が求められます。
私たちは、医療経営をめぐる外部環境、内部状況を詳細に分析し、客観的なデータに基づいて将来を予測し、経営者が取るべき打ち手の選択肢を提示します。また、必要に応じて、関係各者とのネゴシエーション、親族会議のファシリテーションなど、不可欠な実務も担います。
医療経営者の皆さまが、忙しい日々の中でも重大な意志決定をスムーズかつ適切におこなえるように万全の体制を整えることが、経営参謀の業務なのです。 

「M&Aありき」ではないサービス

fundbookは、M&A仲介を主要業務とする会社ですが、私たちのチームは「M&Aありき」でサービスを進めるわけではありません。
たとえば、将来の課題として事業承継が認識されているとしても、その検討の前に、経営効率化の実施を検討したほうがいい場合もあります。また、事業承継についても、親族内承継を追求したほうがいい場合もあれば、院内承継を検討したほうがいい場合もあります。
さらに、親族外承継としてM&Aを検討するにしても、医療機関や医療法人全体を譲渡するのではなく、一部を切り離して譲渡するほうがいいケースもあるでしょう。場合によっては、譲渡ではなく譲受け(買収)によって課題解決を図るほうがいいこともあるかもしれません。
私たちのサービスは、医療機関の課題を解決し経営者のお悩みを解消するために最適な答えを導くお手伝いをすることです。その中では、「M&Aは、医療経営の課題を解決するために複数ある選択肢のうちのひとつ」だと位置付けています。

日本有数の医療機関M&Aサポート実績

私たちがなぜ医療経営者の“経営参謀”としての役割を果たせるのか、どういった経験やノウハウを持っている者なのかという点について、疑問に思われる方もいるでしょう。
私たちのチームには、長年にわたって医療業界のM&Aを専門に扱ってきたメンバーが揃っています。これまでに、大規模な病院をいくつも運営する医療法人から、小規模なクリニック、介護施設など、規模や業態を問わず、約200件の医療機関M&Aをお手伝いさせていただきました。
医療機関の形態も、持分なしの医療法人、持分ありの医療法人、特定医療法人、院長ひとりだけの個人事業クリニックなどさまざまです。また、実行の形態も、医療法人同士のM&Aや合併から、医療法人と他業界のM&Aのケース、事業の一部だけを譲渡するケースなど、医療機関のM&Aにおいておよそ想定されうるあらゆるケースを取り扱ってきました。
そして、先に述べたように、私たちがご提示し、お手伝いしてきたのは、M&Aだけではありません。
親族承継がベストであると判断できるケースであれば、医療経営者のご子息が承継をしやすくなるように組織内の体制を整えたり、親族会議のファシリテーション(合意形成サポート)をしたり、税の専門家を交えて相続財産の配分や納税対策に配慮したりしながら、すべての関係者にご満足いただける親族承継の手はずを整えます。
あるいは、まだ事業承継がだいぶ先だと想定される段階においても、将来の承継を見据えて経営の近代化、たとえば、病床機能の転換や集患方法の刷新などのお手伝いをさせていただいたことも数多くあります。
このように、約200件のM&A実施の背景には、その数十倍のご相談への取り組み、また、M&A以外の方法での課題解決を実現した事例があったのです。
日本国内全体を見渡しても、おそらく医療業界に特化して、これだけの経験値を持つM&A支援チームは他には存在しないと思われます。

医療経営サポートにおいてもっとも重要なことは何か

医療行為において、たとえば長年の豊富な診療経験を持つ医師と研修医とでは、同じ患者さん、同じ検査データを診たとしても、疾病の兆候や可能性を発見する能力に大きな違いがあることは当然です。また、病の兆候が発見された際に、取り得る適切な対処という点でも、経験によって大きな差が生じるはずです。
それと似て、医療経営における課題解決や事業承継やM&Aのサポートを“診断”とするなら、その“診断”を実行するプレイヤーの経験値が、結果に大きく影響します。
そしてそのプレイヤーとは、コンサルティング会社やM&A仲介会社などの会社全体でなく、その中で実際に皆さまを担当する、コンサルタント個人のことです。これもまた、病院全体の実績とそこに所属する医師の手腕がイコールではなないことと似ています。
豊富な経験を持つコンサルタント個人と、そうではない者とでは、サポートの実施過程や事業承継等の実施後におけるトラブルを予見する能力、また、それを防止するための対策立案能力おいて、雲泥の差があるのです。
人間の健康と同様に、医療経営の健康も、ひとたびそれが損なわれてしまった場合には、元に戻すことは困難です。
そのため、医療経営においても、豊富な経験をベースに、高い問題発見能力や対策立案能力を持つコンサルタントの“診断”を受けることが、極めて重要なのです。
その意味で、日本でも有数の医療機関の経営サポート実績を持つ私たちは、“経営参謀”になりうると同時に、“医療経営の総合医”になりうるとも自負しています。

私たちが目指すもの

最後に医療業界の将来像を考えてみましょう。
「少子化の進行は危機的な状況だ」。
2021年4月26日の経済財政諮問会議で、新型コロナウイルスの感染拡大で結婚・妊娠を手控える人が増え、2021年の出生数が80万人を下回るとの推計が示されました。
従来の国の見通し(中位予測)では出生率80万人割れになるのは2030年だと見込まれていたので、人口減少のペースが約10年も「前倒し」になったわけです。
「日本総合研究所の池本美香上席主任研究員は『少子化が進めば経済が縮小し、社会保障制度を維持できなくなる』と話す」(日本経済新聞電子版2021年5月23日)と報じられています。
予想をはるかに上回る人口構造の急変動に直面し、当然ながら、国の医療制度や診療報酬も従来の枠組みを維持していくことは困難になりつつあります。従前より、地域医療構想、地域包括ケアシステムなどを通じて、地域での持続可能な医療制度が模索されていますが、その動きは今後ますます活発になると思われます。
端的にいえば、医療に投じられる社会的リソースの総量が減少する中で、それをより効率的かつ最適に配分することが強く求められるようになるということです。
個々の医療機関において、経営体制の見直しやM&Aも含めた経営の再編などにより、より効率的な経営を実現することは、その社会的な要請に対する回答のひとつであるともいえます。それは、単に個々の医療機関の存続という枠を超えた、地域全体のウェルネス、ひいては国全体の保健体制の将来に通じるものだと、私たちは考えています。
そのようなマクロな視点も踏まえながら、経営に悩むすべての医療経営者の皆さまにお役に立つことが、私たちの目指す姿です。

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