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2024/06/28

M&Aコンサルタントとは?業務内容やアドバイザリーとの違い、依頼方法・費用を紹介

M&Aコンサルタントとは?業務内容やアドバイザリーとの違い、依頼方法・費用を紹介

M&Aでは複数の工程を踏むため、各段階の知識やノウハウがないと膨大な時間がかかってしまい、交渉が難航する可能性が高まります。そのため、M&Aに精通したM&Aコンサルタントのサポートが必要です。

本記事では、M&Aのサポートを希望する方へ向け、M&Aコンサルタントの概要や業務内容、依頼方法などを解説します。

M&Aコンサルタントとは

M&Aコンサルタントとは、M&Aについての深い知識と豊富な経験を基に、M&Aの相談や譲渡・譲受企業探し、戦略立案や条件交渉など、M&Aの一連の流れをサポートする人のことを指します。

また、M&Aコンサルタントが行うサービスのことをM&Aコンサルティングと言います。

▷関連記事:M&Aとは?M&Aの意味・流れ・手法など基本を分かりやすく【動画付】

辻 哲弥
この記事を監修した専門家
公認会計士・税理士 辻 哲弥
ACLEAN会計事務所 代表 公認会計士(登録番号:42636)・税理士(登録番号:149486)23歳で会計事務所設立。若者の創業支援特化型事務所として、会計税務・融資・法人設立に従事。有限責任監査法人トーマツ、慶應義塾大学出身。
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M&Aコンサルタントに依頼するメリット

M&Aでは、M&Aの戦略立案や譲渡企業・譲受企業の選定、取引スキームの選定やデューデリジェンスなど、各段階でさまざまな分野の高度な専門知識が必要です。

M&Aにはさまざまなメリットがありますが、M&Aによるメリットを最大限にするためには、専門家によるサポートが欠かせません。

M&Aコンサルタントは、高度な専門知識を有しており、M&Aの豊富な経験も持っています。M&Aコンサルタントに依頼するメリットは、M&Aに精通したプロのサポートを受けられるため、効率的かつリスクを最小限に抑えてM&Aを進められることです。

もちろんM&Aコンサルタントへの依頼をせずに、譲渡企業・譲受企業の当事者同士で交渉を進めることも可能ですが、膨大な時間がかかってしまい、思うように交渉が進まない可能性が高くなります。

また、専門知識がないことにより、関連法令に抵触するリスクも否定できません。そのため、M&Aを実施するのであれば、M&Aコンサルタントのような専門家への依頼をおすすめします。

M&Aコンサルタントの必要資格

M&Aの手法と種類一覧

M&Aコンサルタントとして働く場合、必要な資格はありません。
ただし、弁護士や会計士、税理士といった士業が行うM&Aの場合は、然るべき国家資格が必要です。
例えば、以下のような場面で資格が必要となります。

必要な国家資格業務内容の例
弁護士M&A契約書の作成や法務デューデリジェンスを行う場合
公認会計士財務デューデリジェンスや会計監査を担当する場合
税理士税務デューデリジェンスや税務戦略を策定する場合


また、M&Aコンサルタントには必要な資格がないものの、民間団体による認定資格は存在します。M&Aコンサルタントへ依頼する際にどのような資格を保有しているかは、相談先を判断する1つの基準になると言えます。民間団体が認定する資格は以下のようなものが存在します。
================
・M&Aスペシャリスト資格
・M&Aエキスパート認定資格
・JMAA認定M&Aアドバイザー
・事業承継士
================
M&Aコンサルタントに関連する資格について詳細をお調べになる際には以下の記事もご参考ください。

▷関連記事:M&Aに関連する資格を解説!相談するときに知っておきたい種類や注意点も

M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーの違い

M&Aコンサルタントに類似した単語に「M&Aアドバイザリー」や「M&Aアドバイザー」があります。
M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーには、「人」と「サービス」という違いがあります。M&Aアドバイザリーは、M&Aコンサルティングと同様にM&Aの一連の流れをサポートするサービスを指します。

M&Aコンサルティングとは呼び方が異なるのみで、業務内容は同じです。

一方、M&AコンサルタントとM&Aアドバイザーは、ともにサービスを提供する「人」を指す言葉で、同じ意味になります。
M&AコンサルタントやM&Aアドバイザーの代表的な例としてはM&A仲介業者やFA(ファイナンシャルアドバイザー)が存在します。それらの違いについては下記の記事で触れておりますので、ご参照ください。

▷関連記事:M&A仲介とは?費用やFAとの違い、仲介会社の選び方まで【M&A仲介会社18社】

M&Aコンサルティング業務の内容と流れ

ここからはM&Aコンサルティング業務の内容を紹介します。M&Aが進行する流れに沿って解説するので、M&Aコンサルタントへの依頼を検討している方は、参考にしてください。

▷M&Aコンサルティング業務①:戦略の立案・策定サポート

M&Aを実施するにあたって、まずはM&A戦略を立案・策定するのが第一歩となります。何を目的としてM&Aを実施するのか、目的のためにはどのような戦略が必要なのか、スケジューリングはどうするのかなど、M&Aの大枠を協議する段階です。
業務の中には、競合他社や業界全体の動向をマーケティングしたうえでの戦略提案や、相談を依頼した企業自身の分析・ディスカッションなども含まれます。豊富な経験・専門知識によるアドバイスにより、M&A戦略の策定を効率的に進められます。

▷M&Aコンサルティング業務②:候補企業の選定

戦略を策定した次の段階は、M&Aの候補企業の選定です。候補企業の選定は、一般的に「ロングリストの作成」から「ショートリストの作成」という流れで実施されます。
ロングリストとは、M&Aの候補として可能性のある企業を広範囲にリスト化したものです。候補企業を選定する場合には初めから範囲を限定せず、幅広い業種・地域から候補企業を検討します。
ショートリストは、ロングリストの中からM&A戦略との適合性やシナジー効果の可能性など一定の基準で企業を絞り込み、優先順位を付けてリスト化したものです。最後にショートリストの中からより希望に合った候補企業を絞り込み、最終的な候補企業を選定します。

候補企業の選定は、納得のいくM&Aを実施するために重要な業務です。ロングリストやショートリストを作成する際は、M&Aコンサルタントと慎重に相談し、選定を進めていきましょう。

▷M&Aコンサルティング業務③:ストラクチャー(取引スキーム)の決定

ストラクチャー(取引スキーム)とは、M&Aを実施するための手法や種類のことです。ストラクチャーとしてどの手法を選択するかによって、譲渡・譲受の形は異なり、税法上の取り扱いにも変化が生じます。M&Aの根幹とも関わるため、M&A戦略の策定でも取り扱われる項目です。

ストラクチャーの主な手法には以下のようなものがあります。
・株式譲渡
・事業譲渡
・株式交換
・合併
・第三者割当増資
・資本業務提携

例えば、株式譲渡はM&Aでよく採用される手法で、譲渡企業から譲受企業へ50%超(一般的には100%の譲渡が多い)の株式を譲渡してM&Aを行います。また、事業譲渡は株式譲渡と異なり、企業の一部の事業を切り離して譲渡する手法です。

ストラクチャーの決定には、法務や税務などの高度な専門的知識が欠かせません。M&Aコンサルタントや弁護士・税理士などの専門家の知識と助言を基に、最適なストラクチャーを選択しましょう。

▷M&Aコンサルティング業務④:交渉・デューデリジェンスのサポート

候補企業を選定し、ストラクチャーを決定した後は、譲渡企業と譲受企業間で交渉に入る段階です。譲渡企業と譲受企業におけるトップ面談や、具体的な内容や条件を双方で協議します。
このような交渉のサポートも、M&Aコンサルタントの大切な業務です。M&Aの経験がない場合、交渉や条件の擦り合わせを効率的に行うことはできません。M&Aコンサルタントの助言によって、交渉をスムーズに進められる可能性があります。

交渉が合意に至った場合は、基本合意書を取り交わします。基本合意書は、これまで協議された条件や譲渡価格を整理し、まとめたものです。基本合意書を締結した後、譲受企業は譲渡企業へ「デューデリジェンス(DD)」を実施します。
デューデリジェンスは、譲渡企業の企業価値、将来性、リスクを精査する重要なプロセスです。精査する項目は、一般的に事業・財務・税務・法務・人事など多岐にわたります。M&Aコンサルタントと事前に十分な相談を行い、対処することが大切です。

▷関連記事:M&Aの最後にして最大の難関。「デューディリジェンス(DD)」を徹底解説

▷M&Aコンサルティング業務⑤:最終契約書作成・クロージング

デューデリジェンスを実施し、M&Aコンサルタントを交えた最終的な交渉を行います。譲渡企業と譲受企業で合意が得られれば、最終契約書(DA)を締結します。最終契約書は協議で得られた合意を文書化したもので、M&Aを実行する際の双方の権利と義務を規定した契約書です。
最終契約書に記載された内容は条件が満たされることにより実行義務が発生するため、中身は慎重に吟味しましょう。なお、最終契約書はM&Aの最終段階で締結される契約の総称であり、実際の契約書は採用したストラクチャーにより異なります。

最終契約書を締結した後は、クロージングの段階に入ります。クロージングとは、最終契約書で締結した内容に基づき、M&A実行に伴う最終的な手続きを実施することです。クロージングが終了すると、経営権の移転が実行され、M&Aが完了します。
クロージングでは、主に株式譲渡や譲渡代金決済などが行われます。ただし、M&Aによって在り方は多様で、重要取引先との契約承継に関する同意の取得や借入金の決済などが含まれる場合もあります。
クロージングは、一般的に譲渡企業と譲受企業の双方で必要項目を確認しながら進めますが、M&Aコンサルタントに相談して、スケジュールや必要な書類・手続きのチェックリストを作成する方法もあります。

▷M&Aコンサルティング業務⑥:PMI(経営統合)サポート

PMI(Post Merger Integration)とは、M&A成立後に、譲渡企業と譲受企業の経営統合を目指すプロセスのことを指します。

M&Aでは、統合後の譲渡企業と譲受企業の業務面・意識面での融合がとても重要です。 具体的には、業務面では社内の会計システムや人事給与システムの統合、業務プロセスの擦り合わせなどがあります。また、意識面では、譲渡企業と譲受企業双方の従業員が同じ方向を向き、新しくなった企業組織への理解が重要です。
PMIはM&A後の長期間にわたるため、自助努力も大切です。ただし、M&Aコンサルタントの豊富なM&A経験を活用し、M&A戦略策定の段階からPMIまで見通すことで、M&Aによるさらなる相乗効果を期待できます。

M&Aコンサルタントの依頼費用

M&Aコンサルタントに依頼する際に発生する費用や手数料は以下のようなものがあります。費用や手数料についてはM&Aコンサルティングサービスごとに異なるため、相談を始める前に確認しましょう。

 名称 発生時期
相談料M&Aの正式な依頼前(初期的な相談)
着手金M&Aの正式な依頼時
中間金基本合意締結時
デューデリジェンス費用デューデリジェンス実行時
成功報酬M&A成約時
月額報酬(リテイナーフィー)毎月

なお各費用の詳細を確認したい方は下記の記事にまとめているのでご覧ください。

▷関連記事:M&A仲介とは?費用やFAとの違い、仲介会社の選び方まで【M&A仲介会社18社】

M&Aコンサルティングの代表的な依頼先

M&Aを成功させるためには、専門家のサポートが必須と言えます。以下、M&Aコンサルティング業務を行っている代表的な依頼先を紹介します。

・M&A仲介会社
・金融機関
・FAS・財務系アドバイザリーファーム

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、譲渡企業と譲受企業のマッチングを行い、成約まで導いてくれるM&Aのプロ集団です。
M&A仲介会社のメリットは、成約までの流れを把握しており、専門性の高い知識と豊富な経験を持っている可能性が高いことです。また、希望する条件を基に幅広い相手から候補先を探してくれることもM&A仲介会社ならではの特徴と言えます。

一方、M&A仲介会社のデメリットは、譲渡企業と譲受企業の双方をサポートするため、自社のみのサポートを受けづらいことです。数も多く、M&A仲介会社によって能力にもばらつきがあるため、信頼できる仲介会社を選定する必要があります。

金融機関

金融機関ではM&Aの部門を持っていることが多いです。特に大手金融機関は、M&Aに特化した専門部署を持っているため、質の高いサポートが期待できるでしょう。

ただし、金融機関は、一定以上の規模の企業を対象としたM&Aのみを扱っている傾向があるため、中小企業のM&Aには対応していないこともあります。

また、M&Aの相手候補は各金融機関と取引のある企業が優先される傾向にあるため、希望の相手が見つからない場合もあることを理解しておきましょう。

FAS・財務系アドバイザリーファーム

FAS(Financial Advisory Service)とは、ファイナンシャル・アドバイザリー・サービスの略称です。

FAS・財務系アドバイザリーファームでは、譲渡企業と譲受企業のそれぞれにM&Aコンサルタントが付くため、M&Aの準備段階から高い専門知識を持ったプロと一緒に進めることができます。

また、成約後の組織編成に関するアドバイスを行っている場合も多く、M&Aの準備から成約後まで一貫したサポートを受けられることが特徴です。

M&Aコンサルタント会社の選び方

M&Aコンサルティングを依頼する際の確認事項

M&Aコンサルタント会社はさまざまあるため、複数社の中から自社に最適なM&Aコンサルタント会社を選ぶことが大切です。以下、M&Aコンサルタント会社の選び方を紹介します。

▷各会社の強みを把握する

M&Aコンサルタント会社は、会社ごとに異なる強みを持っています。
例えば、M&A戦略の立案やPMI、デューデリジェンスをメインにサポートする会社もあれば、監査法人から派生し会計サービスに強みを持つ会社もあります。その他、証券会社や銀行などの金融機関系で資金調達にも強みを持つなど、会社により特徴はさまざまです。
したがって、M&Aコンサルティングを依頼する際は、各会社の強みを把握することはとても大切です。自社の業種や業態、M&Aの目的に合った会社を選択してください。

▷M&Aコンサルティングにかかる費用

M&Aコンサルタント会社に依頼する時は、報酬の妥当性も大切です。前述したように、M&Aコンサルタントの依頼には相談料や着手金、中間報酬、成功報酬などのさまざまな費用がかかります。

M&Aコンサルタント会社によって報酬形態は異なるため、M&Aの実施にあたり報酬が妥当なのかを見極めるようにしましょう。

M&Aコンサルタント会社の中には、着手金や中間報酬が無料で、M&A成立時にのみ報酬が発生する成功報酬型の会社もあります。一般的に、M&Aにかかる費用は高額になる傾向があるため、M&Aの相談段階で報酬に関しても確認しておくことがおすすめです。

▷M&Aの進め方(仲介方式・アドバイザリー方式)

M&Aコンサルティングを依頼する場合には、アドバイザリー契約を締結します。アドバイザリー契約の形式には、「仲介方式」と「アドバイザリー方式」があるため、注意してください。

仲介方式とは、譲渡企業と譲受企業の間に立ち、双方にとって中立的な立場からM&Aを進める方式です。
アドバイザリー方式は、譲渡企業または譲受企業のどちらかの立場に立ち、M&Aに関するアドバイスやサポートを実施します。

両者は契約形態だけでなく、手数料(報酬)にも違いがあります。M&Aコンサルティングを依頼する場合には、仲介方式とアドバイザリー方式のどちらを行っているかも事前に確認しておきましょう。

▷経験が豊富で選択肢の多い会社を選択する

M&Aはこれまで解説してきたように複雑なプロセスを踏むため、M&A実績が多く経験豊富な会社を選択することが大切です。M&Aを進行する際に思わぬ簿外債務が発覚した場合や法務・財務的な問題が発生した場合でも、経験豊富な会社であれば柔軟に対応してくれます。
また、独自のプラットフォームを持つ会社など、豊富な企業案件を持つ会社を選ぶことも重要です。M&Aを成功させるためには、自社の状況・条件にあった譲渡先・譲受先の選定が不可欠となります。豊富な企業案件を持つ会社であれば、幅広い選択肢の中から自社のM&Aに最適な譲渡・譲受企業を見つけられるでしょう。

▷担当者との相性

M&Aは成立するまで1年以上かかるケースも多々見られ、M&A担当者との付き合いは一般的に長いものになります。
そのため担当者がどういった人物か、何でも相談することが可能か、M&Aに関して深い知識を持っているかといった観点から確認を行った方が無難と言えます。

まとめ

M&Aコンサルタントとは、M&Aについての深い知識と豊富な経験を基に、M&Aの一連の流れをサポートする人のことを指しています。M&AコンサルタントはM&Aの専門家であるため、専門知識によるサポートや関連法令に関するアドバイスなど、さまざまなサポートが受けられる点が魅力です。
また、M&Aのサポートを希望する際は、経験が豊富で選択肢の多い会社を探すことをおすすめします。多くの企業の中から、自社に最適な譲渡先・譲受先企業を選択できるためです。

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