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2024/02/22

事業承継とは?基礎知識と成功に向けたポイント

事業承継とは?基礎知識と成功に向けたポイント

事業承継とは

事業承継とは、現在行っている事業を別の人に引き継ぐことを指します。事業承継には、大きく分けて上記の3つの承継方法があります。3つの主な違いは、後継者の属性です。

親族内承継は、親族が後継者となります。親族外承継は親族以外の社内の役員や従業員が後継者となります。M&A活用はM&Aによって、社内以外の第三者が後継者となります。

それぞれの方法にはメリットとデメリットがありますので、後の章で詳しく解説します。

承継方法後継者
親族内承継親族
親族外承継親族以外の役員および従業員
M&A活用社内以外の第三者
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事業承継の現状

事業承継の現状を以下の2つの側面から見ていきます。
=================================
・事業承継が必要とされている背景
・親族外承継の増加
=================================
それぞれ解説します。

▷事業承継が必要とされている背景

事業承継が必要とされている背景として挙げられるのは”後継者の不在”です。
現在、多くの会社、特に中小企業を中心に後継者の不足が起こっています。

経営者の年齢別後継者不在率

中小企業庁の発表によると、後継者不在の経営者は60代では約5割、70代では約4割、80代以上では約3割にもなっています。(2020年版「中小企業白書」 – 中小企業庁 – 経済産業省)
60代以上の世代では、後継者が不在のまま経営をしている経営者が3割以上も存在しているため、事業承継は社会の大きな課題と言えます。

また業種別でも後継者不在率に違いが見られます。

業種別後継者不在率

製造業や運輸・通信業では60%前後と比較的低い一方、建設業やサービス業では70%前後となっています。

▷親族外承継の増加

親族外承継の増加も着目しておきたいポイントです。

中小企業庁の発表によると、親族内での事業承継は減少しており、従業員や社外の第三者への事業承継が6割を超えています。
親族外継承が増加した理由は、親族への事業承継の難易度の高さが挙げられます。

事業承継をする場合、事業の負債や事業オーナーの個人保証も引き継ぐことになります。さらに事業承継は、後継者に経営者としての資質や能力も求められるため、親族に後継者の適任者がいない場合があります。

親族内の事業承継が減少した理由は、以下の記事で詳しくまとめています。
▷関連記事:減少する親族承継、多様化する事業承継

▷事業承継に対する意識の実態

fundbookが実施した40代以上の経営者向けの調査では、後継者候補がいない企業の割合が約半数にものぼることがわかりました。

「あなたのお勤め先において、経営の後継者候補はいますか」の回答を表したグラフ

さらに、後継者候補がいないと回答した企業の中で、後継者がいない理由に「自分の代で廃業予定」を挙げた割合が約3割を占めており、自社存続の意識が低いことがうかがえます。

後継者がいないと回答した企業の中で、後継者がいない理由の回答結果

さらに、後継者候補がいないと回答した企業においては、後継者候補がいない状況であっても、事業承継について「誰かに相談しようと思っていない」と考えている割合が約半数を占め、事業承継への意識が低いこともうかがえます。

後継者がいない企業の中で、事業承継についてどこに相談しているかの回答を表したグラフ

後継者候補がいない企業の割合が高く、さらに事業承継への意識が低い状況が続くと、後継者不在による企業の廃業が相次ぎ、技術や雇用の喪失といった経済成長への悪影響を及ぼします。これを防ぐために、経営者の事業承継に対する意識を高める取り組みが必要となります。

その一方、後継者候補がいない企業で、事業承継について「誰かに相談したいが、相談相手が見つからない」と回答した割合も約2割をしめており、事業承継について気軽に相談できる窓口を拡充していくことも課題であると考えられます。

事業承継で引き継ぐ3つの対象

事業承継で引き継ぐ対象(事業・財産・無形財産)
構成要素引き継ぐもの
事業経営権
財産株式・非事業用資産
無形財産特許・ブランド・ノウハウ


事業承継の構成要素は、上記の3つです。
事業承継は、遺産だけを引き継ぐ遺産相続とは異なり、引き継ぐものが多いです。そのため、時間や工数がかかります。
それぞれ順番にお伝えしていきます。

▷事業

事業承継では、事業の経営権を引き継ぎます。
後継者に経営権を渡すことになるので、後継者の考えによって元の事業オーナーの経営方針から逸脱した経営が行われる可能性があります。
そのため、後継者を選ぶ際は、後継者候補に「事業承継後の経営方針をどう考えているのか?」と確認しておくことが非常に重要です。

▷財産

事業承継では、財産も引き継ぎます。
株式に加えて、現金預金や保険積立金や貸付金などの非事業資産も一緒に引き継ぎます。
なお、事業承継では、借金や連帯保証といった「負の遺産」も併せて引き継ぎの対象となります。

▷無形財産

無形財産も引き継ぐことになります。
例えば、譲渡企業が所有している特許・ブランド・ノウハウを譲受企業は引き継ぐことが可能です。
そのため、譲受企業に資金力や販売経路があった場合、譲渡企業が持っていた特許、ブランド、ノウハウを使って企業を飛躍的に成長させることも可能です。

事業承継の方法とメリット・デメリット

事業承継には主に4つの方法があります。
=================================
・親族への事業承継
・役員や従業員への事業承継(社内承継)
・第三者への事業承継(M&A
・上場
=================================
それぞれのメリットとデメリットを解説していきます。

▷親族への事業承継

親族への事業承継をする場合のメリットとデメリットは、以下の通りです。

●親族への事業承継するメリット

・複数の継承方法を選択できる
・早期から経営者として育成できる時間的な余裕がある
・血縁の繋がりがあるため従業員や取引先の理解を得られやすい

親族へ事業承継をするメリットは、複数の継承方法を選択できる点です。「生前贈与」「株式売却」「相続」などの手法を選択できます。特に生前贈与を上手く活用すれば、相続税対策にも繋がります。
また、親族への事業承継の場合、後継者候補が明確なので早期から育成を開始しやすいため、他の事業承継の方法に比べて経営者の育成に時間をかけやすいです。
例えば、子供に事業を継がせる場合、子供が自分の企業に入社してから数年をかけて経営者として育成できます。
加えて、親族は社長と血縁があるため、従業員や取引先も「社長の親族が次の社長になるのか」と納得してくれやすいです。

●親族への事業承継をするデメリット

・親族に後継者の資質があるとは限らない
・後継者以外の親族の反対にあう可能性がある
・個人保証を親族内で引き継ぐことになる

ただし、親族に後継者の資質がある人がいるとは限りません。後継者候補の親族が複数存在する場合、後継者候補に選んだ親族以外の反対にあうこともあります。
また、事業オーナーの個人保証を親族内で引き継ぐことになるのもデメリットです。

▷役員や従業員への事業承継(社内承継)

役員や従業員への事業承継(社内承継)をする場合のメリットとデメリットは、以下の通りです。

●役員や従業員への事業承継(社内承継)をするメリット

・後継者以外の従業員の理解を得やすい
・事業への理解が深い

社内で事業に関わっていた役員や従業員が後継者となるため、後継者以外の従業員の理解を得やすいです。また、社内の人間なので、経営方針や事業への理解が深いのもメリットです。


●役員や従業員への事業承継(社内承継)をするデメリット

・まとまった資金を準備する必要がある
・債務の引き継ぎが困難な場合がある
・経営者としての能力が不足している場合がある

株式を買い取る必要があるので、まとまった資金を役員や従業員が準備する必要があります。
また、役員や従業員であっても、経営者としての能力が不足している場合もあります。

また、経営者が個人的に会社の債務を保証している場合、後継者への債務の引き継ぎが困難になることがあります。

加えて、役員や従業員であっても、経営者としての能力が不足している場合もあります。

▷第三者への事業承継(M&A)

第三者への事業承継(M&A)をする場合のメリットとデメリットは、以下の通りです。

●第三者への事業承継(M&A)をするメリット

・後継者問題を解消できる
・早ければ3カ月で成立する
・譲渡企業が飛躍的な成長をする可能性がある

第三者への事業承継(M&A)なら親族や社内に後継者がいない場合でも、譲受企業が後継者となるため、後継者問題を解消できます。
また、第三者への事業承継(M&A)は早ければ3カ月で成立するため、時間をかけられない高齢の事業オーナーとも相性が良いです。さらに、譲受企業の資本力によって、譲渡企業が飛躍的な成長をする可能性があります。
なお、事業オーナーとしても、M&Aによってまとまった資金を得られる上、個人保証からも解放されるので、ハッピーリタイアを実現しやすいです。

●第三者への事業承継(M&A)するデメリット

・完璧な相手が見つかる訳ではない
・これまで描いていたビジョンから経営方針が逸脱する可能性がある

完璧な相手が見つかる保証はありません。また、譲受企業の経営方針によっては、これまで描いていたビジョンから経営方針が逸脱する可能性もあります。

▷上場

上場も事業承継の方法の一つです。上場をする場合のメリットとデメリットは、以下の通りです。

●上場をするメリット

・会社としての信用力が大幅に増す
・資金を広く集めることができる

上場は厳しい上場審査を突破する必要があります。そのため上場をすることで、会社の社会的信用が大幅に増します。また株式が公開されるため、資金を広く集めることができます。なお、上場をすることによって、事業オーナーは個人保証から解放されます。

●上場をするデメリット

・上場審査を突破するのが非常に大変
・株主の期待に応える必要がある
・投資家へ向けて情報開示する必要がある

ただし、上場は厳しい上場審査を突破する必要があります。「上場したい」という自社の意思だけで、上場することはできません。また上場後は株主の期待に応える必要があり、経営者はプレッシャーを抱えることになります。
さらに、上場すると投資家へ向けて情報開示をする必要があるため、事業に関する重要事項を公開することになります。企業秘密を公開したくない経営者からすると大きなデメリットと言えます。

事業承継の方法別の注意点

業種別後継者不在率

事業承継の方法別の注意点をお伝えします。
=================================
・親族への事業承継での注意点
・役員や従業員への事業承継(社内承継)での注意点
・第三者への事業承継(M&A)での注意点
=================================
実際に手続きを行う前に覚えておきましょう。

▷親族への事業承継での注意点

親族への事業承継の注意点は、以下の2点です。
=================================
・経営者としての育成
・他の親族の理解を得ておく
=================================
経営者としての育成を早めにしっかりと行うことです。
「そのうちできるようになるだろう」「身内だから、大目に見よう」と思っていると、いざ事業承継をした際に、経営者としての能力が不足している場合があります。
経営者としての能力が不足していると従業員や取引先が離れて行ってしまう可能性があります。

また、後継者候補に選ばれなかった他の親族への理解を得ておくことも重要です。「後継者に選んだ理由」「遺産相続の割合」を他の親族に説明して理解を得ておきましょう。

▷役員や従業員への事業承継(社内承継)での注意点

役員や従業員への事業承継の注意点は、以下の3つです。
=================================
・経営者とのしての育成
・周囲の理解を得ておく
・株式を買い取る資金を用意する
=================================
長年事業に携わって来ていたとしても、役員や従業員と経営者の仕事は同じではありません。求められるスキルが異なるため、事業承継をする前に、経営者として後継者の育成を行いましょう。

また、従業員・取引先・経営者の親族の理解を得ておきましょう。周囲の理解を得ておくことで、事業承継後に「あなたを社長とは認めない」というトラブルを避けられます。なお、経営者の個人保証を役員や従業員に引き継ぐためには、金融機関の了承が必要です。

さらに、役員や従業員へ事業承継をする場合は、株式を買い取るためのまとまった資金を用意する必要があります。実務的には役員報酬を上げて対応することもあります。しかし、業務実態に見合わない過度な引き上げを行った場合、過大役員報酬として損金性を否認される可能性もあります。

▷第三者への事業承継(M&A)での注意点

第三者の事業譲渡(M&A)の注意点は、主に以下の2点です。
=================================
・事業譲渡後のビジョンや経営方針のすり合わせを行う
・売却のタイミングを逃さない
=================================
第三者の事業譲渡(M&A)による事業承継を行う場合、企業の売買価格に注意が行きがちです。しかし、譲受企業によっては、これまで描いていたビジョンから経営方針が逸脱する可能性があります。
そのため、事業譲渡後のビジョンや経営方針のすり合わせを行いましょう。

また、企業の売却のタイミングを逃さないことも重要です。企業が廃業寸前になってから第三者の事業譲渡(M&A)を行っても、企業として高く評価されないため、一般的には高額な売買価格は付きません。
ですので、企業の業績が好調のうちに第三者の事業譲渡(M&A)を進めた方が高額な売買価格でM&Aが成立する可能性があります。

他にも第三者の事業譲渡(M&A)による事業承継を成功させるポイントがあります。長くなりますので、こちらの記事をあわせてご覧ください。
・関連記事:M&Aで経営者が事業承継を成功させる方法と第二の人生について

事業承継の流れ

この章では事業承継の流れを紹介します。
中小企業庁がまとめた「事業承継ガイドライン」を元にお伝えしていきます。
=================================
1)準備の必要性の把握
2)経営状況・経営課題等の「見える化」
3)磨き上げ(経営改善)
4)事業承継計画の策定とマッチング
5)事業承継・M&Aの実⾏
=================================
実際に事業承継をする時の参考にしてください。

▷ステップ1 準備の必要性の把握

まずは準備の必要性を把握しましょう。
準備するものが不明確のままだと、事業承継の計画を立てることが難しくなるからです。

なお、後継者への引き継ぎなどの準備には5年~10年がかかると言われているため、60歳を過ぎたら事業承継の準備を進めた方が安心です。

▷ステップ2 経営状況・経営課題等の「見える化」

続いて、経営状況・経営課題の「見える化」をします。

確かに、経営状況や経営課題は見たくない面もあるかもしれません。
しかし、次のステップで事業改善を行うための大切な準備なので、目を背けずに「見える化」しておきましょう。

▷ステップ3 磨き上げ(経営改善)

続いて行うのが、磨き上げ(経営改善)です。

業績が悪い企業や経営に問題がある企業では、事業承継したいとは思いません。
魅力的な企業で「この企業の後継者になりたい」と思えるように磨き上げ(経営改善)を行いましょう。
具体的には、本業の競争力を強化したり、マニュアルを改善したりして売上を伸ばしましょう。

▷ステップ4 事業承継計画の策定とマッチング

続いては、事業承継計画の策定とマッチングを行いましょう。
いつまでにどのような形で事業承継をするのかをまとめた「事業承継計画」を策定します。
そして、事業承継計画に従ってマッチングを行います。なお、マッチングについては、M&Aの仲介会社を活用するとスムーズに譲受企業候補を見つけやすいです。

▷ステップ5 事業承継・M&Aの実⾏

経営課題を改善しながら譲受企業候補との交渉がまとまったら、事業承継・M&Aの実行を行いましょう。

なお、事業承継・M&Aの手続きは法務や財務などの幅広い知識が求められるため、事業承継やM&Aに対して幅広い知識を持つM&Aアドバイザーを活用するのがおすすめです。
事業承継は分からないことが多く複雑に感じるかもしれません。しかし、企業を存続させるためにも行動することが求められます。

事業承継のポイント(中小企業向け)

中小企業が事業承継を進めるためのポイントをお伝えします。
=================================
・税制や補助金の活用
・事業承継税制
・自治体などの事業承継の支援・補助金
=================================
順番に説明してきます。

▷税制や補助金の活用

国としても、企業が事業承継をせずに廃業となると従業員の働き口がなくなって失業者が増えたり、国の経済力が落ちたりするため、事象承継を後押ししています。
「事業承継税制」「補助金」などの優遇措置を取っていますので、事業承継をする際は、活用しましょう。

▷事業承継税制

事業承継税制は、一定の要件を満たすと事業承継に関する相続税や贈与税などの支払いが猶予・免除される税制度です。

事業承継では、多額の相続税や贈与税がかかる可能性がありますが、その猶予・免除を通じて、事業承継を行いやすくする環境を整えています。他にも、事業承継税制によって登録免許税や不動産取得税も軽減されます。

時限措置なので、この制度を使えるのは、2027年12月31日までの事業承継が対象です。また、2023年3月31日までに、都道府県庁に「特例承継計画」を提出することも要件となっています。なお、この制度を利用できるのは非上場企業のみです。

▷自治体などの事業承継の支援・補助金

自治体でも、M&Aによる事業承継を支援するために、各地に事業引継ぎ支援センターを設置してM&Aのマッチングを支援しています。

また事業承継補助金を使うと、事業承継で発生する経費の一部を補助してくれます。事業承継補助金は、事業承継をきっかけに新しい経営体制になる企業を対象にしています。
事業承継には多くの経費がかかるため、その一部を負担することで、事業承継を行いやすくする環境を整えています。

ただし、事業承継補助金を利用するためには要件を満たす必要があり、毎年要件が変わります。利用したい場合は、事業承継補助金の最新の要件を確認してください。

事業承継の費用・税金

事業承継で必要な資金・税金対策をお伝えします。
実際に必要が資金は事業の規模によって大きく変わるため、「○○万円を用意しておけばいい」とお伝えすることが難しいです。
事業承継では、専門家への報酬と相続税や贈与税などの税金がかかります。こちらを把握しておくとご自分の企業に当てはめて、必要な資金のイメージをしやすくなると思います。

▷専門家への報酬の目安

・M&Aアドバイザー:月額無料(成果報酬型)、月額数百万円など
・弁護士:月額30万円、承継財産の1%など
・税理士/会計士:事業承継の現象分析から実行までで30万円

・相続税:10~55%
・贈与税:10~55%
・法人税:事業継承では0%、事業譲渡の場合、譲渡対象の資産と負債の差額に15~23.3%

税金対策としては、「相続時精算課税制度」や上で紹介した「事業承継税制」を活用して税金の負担を減らしましょう。
より詳しい内容は、以下の記事でまとめています。
・関連記事:事業承継にはどれくらいの費用がかかる?

事業承継の成功と失敗

続いて事業承継を成功させるためのポイント、また反対に失敗してしまうポイントを事例を交えて解説します。

▷事業承継の成功のために

事業承継を成功させるために大事なポイントは以下3点になります。
=================================
・資金や税金の対策
・相続トラブルの対策
・早い時期からの取り組み
=================================

●事業承継 成功のポイント1)資金や税金の対策

前述した様に事業承継を行うためには税金や仲介業者などへの報酬が発生します。
親族内で事業承継を行う場合には贈与税や相続税が、親族外に承継するのであれば法人税や所得税などが発生します。

事業承継を行うにあたって後継者に対する補助金制度なども整っておりますので、事前に税金や必要資金について調べ、手続きや申請などに対応しておくことで事業承継が成功する可能性は高まるといえます。

●事業承継 成功のポイント2)相続トラブルの対策

事業承継を進める中で相続トラブルは発生しがちです。
事業承継の準備がされていない中、経営者が死亡した場合、親族が後継者となることが多くありますが、相続人が複数いる場合、相続トラブルが発生する可能性があります。

経営者の座は一つしかありませんが、後継者が決まっていない場合、誰が経営者の立場を引き継ぐかで問題になります。
資金や税金と同様に早めに準備を行うことで相続トラブルが発生する可能性も引き下げられるため、準備を入念に行いましょう。

●事業承継 成功のポイント3)早い時期からの取り組み

事業承継には時間が必要です。
後継者の選定や育成、業務の引継ぎから始まり、前述した税金対策や相続トラブルの対策など対応が必要な項目が多数あるためです。

「いつ・だれに・どうやって」事業承継を行うか、事前に方針をしっかりと定め、後継者確保の準備を早めに行うことで各種トラブルの防止につながり、円滑な事業承継が実現されます。

また事業承継については重要性は認識していたとしても誰に相談していいか分からず、準備が進まないケースも見受けられます。
M&A仲介会社や取引をしている金融機関、弁護士や公認会計士といった士業事務所、公的な支援機関など相談を行う先は多数御座いますので、事業承継について悩んだ際に相談をするのがよいでしょう。

▷事業承継が失敗するケース

事業承継が失敗するケースとしては主に3点が挙げられます。
=================================
・情報周知の方法やタイミングの誤り
・後継者の選定/育成の失敗
・親族内の相続争い
=================================

●情報周知の方法やタイミングの誤り

事業承継を行う場合、どこかしらのタイミングで社内に情報の周知を行う必要がありますが、いつ・どの様に周知を行うかは熟慮する必要があります。

周知の方法を誤ると従業員の理解が得られず、離職者の増加や売上の低下につながってしまう可能性もあります。また上場企業の場合、周知のタイミングを誤ってしまうと、情報が先に流出してしまう可能性もあります。そうなった場合、案件自体が消失してしまう可能性もあるため注意が必要です。

●後継者の選定/育成の失敗

親族内で事業承継を行う場合、後継者の選定は近年の少子高齢化の問題などもあり、非常に難しい課題となっています。また仮に子供がいたとしても後継者にふさわしい能力がない、または同じ経営者としての苦しみを味合わせたくないといったことから、後継者に指名できない、または指名しないケースもあります。

また親族外での事業承継を行う場合でも、後継者の選定や育成は重要です。優秀な人材だとしても経営方針や風土に合うのかという事は非常に重要なポイントとなります。
方針などを含め、これまでの経営を上手く引き継げない場合、当然、売上などは低下してしまう可能性が高いでしょう。

上記の様に後継者の選定や育成が上手くいかない場合、事業承継が失敗してしまう可能性が高まります。

●親族内の相続争い

事業承継では親族内の争いが問題になりやすい傾向があります。親族内での対立により、本業に悪影響が出てしまう場合、経営状況が悪化してしまう可能性もあります。

事業承継においては経営状況が良好という点も成功するために重要なポイントですので、相続争いが起こると事業承継が失敗に終わる可能性が高まるといえます。

まとめ:M&Aによる事業承継も早めの検討を

この記事でお伝えしたように事業承継では、事前準備が必要なことがたくさんあります。

確かに、変化の激しい時代ですので、先のことは不明です。しかし、年齢は確実に重ねます。高齢を理由に経営者を退くタイミングが来る可能性は高いでしょう。

企業を存続するためにも、事業承継は早めに検討して事前準備を行っておくことが重要です。
いざ事業承継が必要になったタイミングで行動しても、手遅れになってしまう可能性があります。事業承継が手遅れになってしまうと、最悪の場合、企業が廃業してしまうこともあります。

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