M&Aによるハッピーリタイアの実現

カテゴリ:M&A後の過ごし方

2017/11/02

1廃業の実態

近年、廃業する企業が増加しています。東京商工リサーチが2016年に行った調査[1]によると2016年に休廃業・解散した企業数は29,583件で、1日に約80社が休廃業・解散しています。この数字は東京商工リサーチが2000年に調査を開始して以降、最多の件数になりました。倒産件数の3倍以上の会社が休廃業・解散しています。また、休廃業・解散した企業の代表者の82.3%が60歳以上でした。休廃業・解散の背景には経営者の高齢化による健康問題や後継者問題、業界の先行き不安があると考えられます。

次に、2014年に中小企業庁が野村総合研究所に委託して行った「中小企業における事業承継の調査」によると、実際に廃業する際に心配な点で最も多かった回答が「廃業後の生活費の確保」で、5割強を占めました。2番目に多かった回答は「廃業するとした場合のコスト」で、約20%でした。このように廃業する際に生じる最も大きな問題は金銭に関することです。

会社清算の場合、在庫商品や土地、事業資産等は大幅に減額され、退職金は増額されます。決算後に利益が出た場合には先に法人税を納めた後に株主への配当の際に最高で55%もの配当課税が発生します。経営状況に余裕がない場合や負債を抱えている場合は会社清算により、自宅や車等の個人資産を売却しなければならないケースがあります。また、個人資産を売却した上でも負債が残るケースもあるため引退後の生活に不安を残すことになります。

2創業者利益の獲得

上述したように廃業の場合、負債が手元に残る可能性があります。一方で、M&Aにより会社売却を行うと廃業よりも多くの金額を得られるだけでなく、借り入れからも解放されます。M&Aにより、会社を売却する際は廃業時とは異なり営業権[3]が加味されます。営業権は場合によって、数億円から数十億円にのぼることもあります。廃業時には在庫商品や土地、事業資産は大幅に減額されますが、M&Aでは時価価格でこれらを売却することができます。また、株式譲渡を行う際に発生する税金は株式の譲渡益に対して20%の課税のみです。さらに、M&Aにより会社は存続するため従業員の退職に伴う退職金を支払う必要はありません。

①営業権が加味されること②資産を時価総額で売却できること③譲渡益に対して20%の課税のみ
以上の3点によりM&Aによる会社売却は廃業する場合と比べてより多くの金額が手元に残るため、引退後の生活に困ることはありません。

3個人保証、担保からの解放、従業員の雇用維持

M&Aにより会社を売却することで得られるメリットは創業者利益の獲得のみではありません。会社を売却することで譲受企業が個人保証や担保も引き継ぐため安心して引退後の生活を送ることができます。廃業では精算後に負債が残った場合や借入金を完済できなかった場合、個人保証や担保として提供している自宅や車等の個人資産を明け渡して借金の返済に充てなければなりません。

2012年に中小企業庁が野村総合研究所に委託して行った「中小企業の事業承継に関する調査に係る委託事業報告書」[4]によると、社員への事業承継の場合に発生する課題として最も多かった回答が、「借入金の個人保証の引き継ぎが困難であること」で、全体の約40%を占めました。このように非上場企業の経営者が社員へ事業承継を行う場合は、後継者が個人保証や担保を引き継ぐことができないケースが多くあり、経営者は引退後もリスクを背負い続ける可能性があります。

2013年に中小企業庁が帝国データバンクに委託して行った「中小企業者・小規模企業者の廃業に関するアンケート調査」[5]によると、中小企業経営者が廃業時に直面した課題として最も多かった回答が「取引先との関係の清算」で全体の約40.7%で、多くの経営者が取引先との関係の清算を課題としていることがわかります。しかし、M&Aにより会社が存続することで取引先との関係を維持できます。

また、同調査で16.4%の「経営者が従業員の雇用先確保」の課題に直面しており、3番目に多い回答でしたが、M&Aを行うと会社が存続し、従業員はこれまで通り働き続けることができます。M&Aにより、譲渡企業の従業員が解雇されることは稀です。中小企業にとって貴重な経営資源である人を解雇することは譲受企業にとって大きな損失になるため、従業員はそのまま引き継がれるケースがほとんどです。

4経営強化

更には、M&Aを行うことで経営の強化を行うことができます。M&Aを行う際に非常に重要な点の一つが相手企業との間でシナジー効果[6]が見込めるかどうかです。例えば、技術やノウハウ、顧客の共有や重複部門の統一、商品やサービスのコラボレーション等を行うことで相手企業との相乗効果が見込めます。

上場企業や成長企業などの事業基盤が強固な企業に事業譲渡を行うことでより安定した経営を行うことができます。大企業による大規模な業界再編や人口減少による国内マーケットの縮小、グローバル化による海外の安価商品の流入等により中小企業への風当たりは今後さらに厳しくなることが予想されます。レコフデータによると日本企業が関連するM&Aは1990年には1,000件ほどでしたが、2016年には2倍以上の2,500件[7]でした。中小企業単独での生き残りが厳しさを増す中、M&Aは重要な経営戦略の一つとなっています。

5ハッピーリタイア実現のためには早期の判断が重要

M&Aでは売り時を見誤ると、納得できる額で売却できないケースやそもそも買い手が見つからないことさえあります。会社売却を行う上で業界の動向、会社の経営状況を見極めることが重要です。

業界再編が活発に行われているタイミングもしくは、近い将来に業界再編が進む可能性の高いタイミングでは大企業を中心に多くの買い手企業が存在し、高額で会社を売却できる可能性が高くなります。すでに業界再編が進んでいる銀行業界やコンビニ業界などの業界では大手数社がすでに高いシェアを占めています。そのため今後、これらの企業が同業種の中小企業買収を進める可能性は低く、売り手企業は高額での会社売却は難しいでしょう。

また、会社の経営状況が悪化する前に売却することも非常に重要です。業界の先行きや同業他社の経営状況、規制緩和等を考慮した上で将来への見通しを立てなければなりません。その上で、経営の磨き上げを行いより良い経営状況の下、会社を売却することが重要です。

経営状況が好調な時期に売却を考える経営者は少ないでしょう。しかし、昨今の厳しく、急速に変化している経済環境を考えると短期間で経営状況が悪化する可能性もあります。そこで早期からM&Aという選択肢を考慮に入れておく必要があります。早期からM&Aを考慮に入れておくことでハッピーリタイアを実現できる可能性が高くなるでしょう。

■参考データ

[1]2016年「休廃業・解散企業」動向調査:http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20170119_01.html
[2]野村総合研究所「中小企業における事業承継の調査」2014年2月 *複数回答
[3]企業が有する信頼、ノウハウ、将来性、立地条件等の無形の資産、価値のこと
[4]野村総合研究所「中小企業の事業承継に関する調査に係る委託事業報告書」2012年11月 *複数回答
[5]帝国データバンク「中小企業者・小規模企業者の廃業に関するアンケート調査」2013年12月 *複数回答
[6]相乗効果のこと
[7]レコフデータHPより

\ 記事をシェアする /

どんなことでも
お気軽にご相談ください

お電話でのご依頼も承っておりますので、
お急ぎの方はお電話にて
お問い合わせください。

TEL0120-261-438

受付時間:9:00-19:00

登録・相談無料。
FUNDBOOKを始めましょう!

新規登録