業界毎の事例

2023/10/02

ゲーム業界のM&A|動向やM&Aの目的と事例

ゲーム業界のM&A|動向やM&Aの目的と事例

現在、ゲーム業界は数少ない成長産業の1つといわれています。

しかし、人材不足や競争の激化、コンテンツの寿命が短縮するなどの課題を抱えています。その解決策として注目されているのがM&Aです。
本記事では、ゲーム業界の市場動向、M&Aを行う目的、成功のコツや実際の事例を解説します。

▷関連記事:M&Aとは?M&Aの意味・流れ・手法など基本を分かりやすく【動画付】

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ゲーム業界の市場動向

ゲーム業界の分類

ゲーム業界は主に下記の4種類に分類されます。

①ゲーム機製造企業
家庭用ゲーム機などのハードウェアを製造している会社です。
任天堂、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)、マイクロソフトが大手です。

②ゲームソフトの開発企業
ゲーム機で使用するためのゲームソフトを開発している企業です。
スクウェア・エニックス・ホールディングスやバンダイナムコホールディングスが大手です。

③スマホゲーム開発企業
スマホやタブレットで利用するゲームを開発している企業です。
Cygames・ガンホー・コロプラなどが大手です。

④オンラインゲーム(プラットフォーム)の開発企業
デバイスを用いて、オンライン上のゲームサービスを提供する会社です。
具体的な会社として、モバゲーやGREEなどが大手です。

ゲーム業界の市場規模

「ファミ通ゲーム白書2022」によると、2021年における国内ゲーム市場の市場規模は過去最高となる1兆3,060億円でした。

また、2021年の世界全体のゲーム市場の規模は1800億ドル(約20兆円)を突破しており、国内だけでなく世界的にも同様に成長が期待されるのがゲーム業界市場なのです。

あとの事例でも紹介しますが、特に著しく伸びているオンラインプラットフォームに参入・事業拡大する目的でM&Aを行う企業が増えつつあります。

ゲーム業界においてM&Aを行う目的

ゲーム業界においては、主に2つの目的でM&Aが行われます。

競争の激化に対応するため

ゲーム業界のオンラインプラットフォーム市場は成長を続けているため、さまざまな企業が参入しています。特にこの市場は、時代の変化に伴ってユーザーの期待値が高くなっているため、アプリ継続率は徐々に低く、アクティブユーザーが減少するまでの期間も短くなっています。長期的に収益を上げ続けるためには0から開発するだけでなく、M&Aによって既に収益を上げているコンテンツを取得するのが有力な手段といえるでしょう。

優秀な人材を確保するため

ゲーム業界は慢性的な人材不足が課題です。

経済産業省が掲げている政策の1つである「IT人材の育成」の中で、オンラインプラットフォーム市場および家庭用ソフトウェア市場に属するIT人材の数と将来の予測を公表しています。その中では、2010年からやや上昇傾向にありますが、2020年頃からは徐々に低下する見込みとなっています。主な原因としては、労働集約型の産業という性質上、新しいコンテンツの開発のための長時間労働などによって離職率が高くなることや、技術の変化が著しく、未経験人材の育成が追いつかないことが挙げられます。売上を上げ続けるためには生産性を向上させるか、新たな人材を確保しなければなりません。実際には、人材を一から育てるよりも、優秀な経験者を確保できるM&Aの方がコストがかからないため、M&Aを行う企業が増加傾向にあるのです。

▷関連記事:中小企業がM&Aを行う目的とは?手法の特徴や成功させるためのポイントなどを解説

ゲーム業界でM&Aを成功させるには?

ここでは譲渡企業側、譲受企業側の視点に分けて、M&Aを行ううえで気をつける点、成功させるためのコツについて紹介します。

譲渡企業側が成功するためのコツ

譲渡企業側は主に「優秀な人材が在籍していること」「自社が保有しているコンテンツが売上を上げ続ける根拠」を譲受企業に伝えることが重要です。

譲受企業は主に人材確保やコンテンツのラインアップ強化を目的としてM&Aを行います。
海外マーケットでも売上を上げられることやインターネット以外のメディアでも売上を立てられるコンテンツであること、差別化要因、アクティブユーザーの数をアピールしましょう。

譲受企業側が成功するためのコツ

譲受企業側は長期的に安定した収益を上げ続けるためには「PMI」の成功が重要になります。譲渡企業の人材確保を目的に行う際には、M&A後も円滑に事業を行うために、企業文化や業務フロー、評価制度などを統合するPMI(Post Merger Integration)が欠かせません。M&Aの検討段階からPMIの計画を立てて進めるようにしましょう。

▷関連記事:PMIとは?M&A成立後の統合プロセスについて株式譲渡を例に解説

ゲーム業界におけるM&Aの事例

ここでは実際にゲーム業界においてM&Aを行った3つの事例を紹介します。

サイバーステップによるネッチの子会社化

2022年4月、株式会社サイバーステップはオンラインクレーンゲームサービスを運営する株式会社ネッチの全株式を取得し、子会社化しました。

株式会社サイバーステップはオンラインゲームの研究開発を核に、自社開発・自社サービスという強みを最大限に活用し、複数タイトル展開・多国間展開・マルチプラットフォーム対応による各サービスタイトルの展開を進める企業です。

一方株式会社ネッチは PlayStation®4 で初のオンラインクレーンゲームとなる「ネットキャッチャー ネッチ」を運営している会社で、同事業領域における豊富な経験と優れた経営戦略を有しています。

今回の株式取得による子会社化により、両社がこれまでに培った経験や技術力及び運営ノウハウを有効活用することで、より優れた運営体制の構築と顧客基盤の強化による収益機会の拡大など、様々なシナジー効果を期待できることにより、グループの企業価値向上を見込んでいます。

任天堂によるSRDの子会社化

2022年2月、任天堂株式会社は「あつまれどうぶつの森」「リングフィットアドベンチャー」等のプログラム開発に参画しているゲームソフトウェア開発の株式会社SRDの株式を取得し、子会社化することを決めました。

株式会社SRDは約40年以上に渡り任天堂のゲームソフトウェアに携わり続けている企業です。任天堂は、将来においてソフトウェア開発の安定的なリソースを確保するため、また開発効率の向上のため、本M&Aを実行することを決断しました。

株式会社CYGAMESによるFLAGGSの第三者割当増資引受による子会社化

2021年10月、ゲームの企画・開発・運営事業を展開する株式会社Cygamesは、スマートフォン向けゲームの開発・運用やゲーム向けアニメーション・サウンドの制作事業を行う株式会社flaggsが実施する第三者割当増資を引き受けることにより、子会社化しました。

 Cygamesはゲームを始めとしてアニメや漫画など様々な事業を展開し、国内外に向けコンテンツやサービスを提供している企業です。

一方、flaggsはスマートフォン向けゲームやカジュアルゲームの開発・運用実績を積み上げ、受託開発に加え、自社で新規IPや新規事業を生み出すなど、より積極的な事業展開に挑戦していくための基盤強化を行ってまいりました。

本M&Aを通して両社の強みを掛け合わせ、連携を深めていくことで、エンタメ領域での新規事業や、多様なコンテンツの創出を図ります。

カヤックによるゲムトレの子会社化

2021年9月、株式会社カヤックは、プロのゲームトレーナーからゲームを学べるサービス「ゲムトレ」を運営する株式会社ゲムトレを子会社化しました。

カヤックは「つくる人を増やす」という経営理念のもと、ユーザーに驚きや感動を与えるような様々なサービス及びコンテンツを生み出しています。中でも、近年は、eスポーツ領域を重点分野の一つと捉え、国内最大級のトーナメントプラットフォーム「Tonamel(トナメル)」の企画・開発・運営を行うとともに、eスポーツの総合商社としてeスポーツ業界におけるプレゼンスを高めている「ウェルプレイド・ライゼスト株式会社」をグループ会社として運営するなど、eスポーツ領域への積極的な投資を進めています。

ゲムトレは、ゲームのオンライン家庭教師サービス「ゲムトレ」を運営する企業です。eスポーツの認知がスポーツとして年々深まる中で、大会出場やプロゲーマーを目指すことだけを目的とせず、ゲームを通じて脳を鍛えたり、コミュニケーション能力を高めたり、ゲームプレイの枠を超えた習い事として、「ゲーム×教育」の分野で新しい道を切り拓いています。

本M&Aにより、eスポーツ文化およびゲームに対する新しい価値観の醸成、eスポーツに関わる事業領域の拡充、両社における各事業の相乗効果の発揮などを通じて、競争力強化と企業価値向上を狙います。

SUN ASTERISKによるTRYSの子会社化

2021年9月、株式会社 Sun Asteriskは、株式会社 Trysを子会社化することを決議しました。

 Sun Asteriskはデジタル・クリエイティブスタジオ事業を展開している企業です。中でも、エンターテインメント領域においては、MOOOS という新サービスの企画・運営など積極的な展開を推進しています。

一方、Trys は、2020 年 5 月に、Exys 株式会社と株式会社トライフォートの 2 社統合により誕生した会社であり、デジタルコンテンツ制作とソーシャル×スマートフォン領域に特化したアプリ開発を強みとし、コンテンツプラットフォーム事業を展開しています。

Trys が保有するリソース、情報資産、ノウハウは、 Sun Asteriskのエンターテインメント領域の事業拡大に大きく貢献すると見込み、本件が実行されました。


SHIFTによるDICOの子会社化

2021年7月、株式会社 SHIFTは、ローカライズ事業およびゲームの開発事業を展開する、DICO 株式会社の株式を取得し、子会社化することを決議しました。

SHIFT は、エンタープライズ領域からエンターテインメント領域に至るまで、様々な業界においてソフトウェアの品質保証サービスを手掛けている企業です。売上高 1,000 億円を目指した中期成長戦略である「SHIFT1000」の実現に向け、営業体制の強化や様々な課題解決手段を持つ企業の M&A に取り組み、SHIFT グループとしてのサービスポートフォリオの拡充に向け取り組んでいます。

一方DICO は、ローカライズ事業およびゲームの開発事業を展開する企業です。200 名を超える各言語のネイティブスピーカーと連携することで、各国・地域における文化的背景に即した高い言語品質を提供するだけでなく、開発工程における原文・翻訳文の効率的な管理を含む実装機能まで持っていることが強みです。

本件により、SHIFT グループは、開発プロジェクト全体を通したシームレスなオペレーションフローが実現できること、DICO は営業機会の拡大が目指せるとして、M&Aを実行しました。

まとめ

本記事では、ゲーム業界におけるM&Aの動向を紹介しました。特にオンラインプラットフォーム市場の成長に伴って、家庭用ソフトウェアを主とする事業や様々なIT企業による参入が相次ぎ、競争が激化しています。その中で、優秀な人材の確保、生産性の向上、コンテンツのラインアップの確保を目的としてM&Aを行っています。M&Aの方針を決定する際には、実際の事例をもとに参考にすることをおすすめします。不明点があればM&Aアドバイザーに相談しましょう。

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