よくわかるM&A

2025年10月7日

M&Aでの弁護士の役割は?業務内容や依頼するメリット、費用を解説

M&Aでの弁護士の役割は?業務内容や依頼するメリット、費用を解説

M&Aの実施には、法律、会計、税金などの専門的な知識が欠かせません。

そのため、弁護士や会計士といった専門家に、サポートを依頼したいと考える経営者の方も少なくないでしょう。秘密保持契約や最終契約の締結など、各契約に対して法律の専門家である弁護士のサポートを受けることで、法的な手続きを円滑に進められます。

本記事では、M&Aにおいて、弁護士が担うM&Aの業務範囲や、弁護士に支払う費用、協力を依頼するメリットについて詳しく解説します。

▷関連記事:「M&Aとは?意味・流れ・手法・費用などゼロからわかる完全ガイド【2025年最新】

\資料を無料公開中/
年間3,000回の面談をこなすアドバイザーの声をもとにまとめた、譲渡を検討する前に知っておくべき5つの要件を解説。
資料
【主なコンテンツ】
・企業価値の算出方法
・M&Aの進め方や全体の流れ
・成約までに必要な期間
・M&Aに向けて事前に準備すべきこと

会社を譲渡する前に考えておきたいポイントをわかりやすくまとめました。M&Aの検討をこれから始める方は是非ご一読ください!
1分で入力完了!

M&Aにおける弁護士の役割

M&Aにおける弁護士の役割は、法的な側面からのM&Aのサポートです。

法的な視点からのリスクの洗い出しや問題の有無についての確認などを行います。そのため、弁護士はM&Aにおける法務アドバイザーの役割を果たすといえます。

M&Aでは秘密保持契約(NDA)、最終契約(DA)などの契約を締結します。これらは法的な拘束力があるため、弁護士などの専門家に確認してもらうことが重要です。

また、M&Aを進めるうえで必要になる書類の作成を行ったり、会社法に従った手続きを行えているか判断したり、法律の専門家としてアドバイスを行うこともあります。

さらに、有価証券の発行などを取り締まる金融商品取引法の違反の有無を確認するなど、その業務は多岐にわたります。

また、譲渡企業と譲受企業の認識の誤りなどから訴訟に発展しそうな場合でも、弁護士が関与していれば、事前のリスク軽減できるほか、トラブル発生時にも迅速に対処してもらえる点で安心できます。

他の士業専門家との違い

M&Aでは、弁護士以外の士業専門家にサポートを依頼する場合があります。各士業専門家がM&Aで担う主な役割は以下のとおりです。

専門家の名称主な役割
公認会計士財務デューディリジェンスや企業価値評価など、主に財務面の支援
税理士税務デューディリジェンスや税務書類の作成など、主に税務面の支援(中小企業では、経営支援まで含まれることも多い)
中小企業診断士ビジネス(事業)デューディリジェンスやポストM&Aのサポート、M&A実施のきっかけづくりなど

各士業専門家は、それぞれ異なる強みを持ち、M&Aの成功に役立つ専門知識と経験を提供します。求める支援を明確にし、適切な分野の専門家に依頼することが重要です。

▷関連記事:「M&Aにおける公認会計士の役割と業務
▷関連記事:「M&Aにおける税理士の役割とは?依頼する業務やメリット、選び方をわかりやすく解説

M&Aにおける弁護士の業務内容

M&Aにおいて弁護士が主に関与する業務は、法務デューディリジェンスと契約、手続きなどの確認です。

また、金融商品取引法に基づく情報開示制度や、労働法が関わる労働契約、独占禁止法など、各種の法規制に配慮する必要があります。

▷関連記事:「M&Aで重要なデューディリジェンス(DD)とは?目的や種類別の費用・特徴を解説

▶M&Aの法務

M&Aにおける契約書の作成や確認、法務デューディリジェンス(法務監査)などを担当します。法務デューディリジェンスが実施される具体的な項目は以下のとおりです。

・株式の内容
・会社組織
・契約
・資産、負債
・人事、労務関係
・訴訟、紛争
・許認可
・環境問題


M&Aのスキームの立案、契約交渉の代理から独占禁止法、金融商品取引法に基づく諸官庁への申請・報告に至るまで、幅広くサポートすることもあります。

また、選択するM&Aのスキームによって、各種契約の手続きや必要な書類が異なるため、弁護士の助けを借りることは必須ともいえます。

▷関連記事:「法務デューディリジェンス(法務DD)とは?目的や費用、チェックリストを解説

▶M&Aの顧問

M&Aにおける顧問業務とは、M&Aに関連する法的な事柄について、弁護士と顧問契約を結び、随時法的助言を受けることを指します。

依頼する弁護士や法律事務所によって対応範囲は異なるため、事前に確認することが重要です。

▶M&Aアドバイザー業務、M&A仲介業務、FA業務

M&A全般をサポートする業務です。法律事務所によって扱う範囲は異なりますが、相手候補企業の紹介や企業価値算定、各種契約書の作成、クロージングまで行う場合もあります。

法律に関する内容も含め、一貫したサポートを受けることができるため、円滑にM&Aを進める助けとなるでしょう。

▶M&A以外の分野の業務

M&Aを行う目的は、一般的な事業承継や事業拡大だけでなく、知的財産権や不動産の移転を目的として行うこともあります。

そのため、このようなM&Aを検討する場合は、知的財産や不動産案件などに対応している法律事務所を選ぶことが重要です。

M&Aを弁護士に依頼するメリット

弁護士にM&Aのサポートを依頼する場合、以下のようなメリットがあります。

・法的トラブルの未然回避/問題の早期解決
・相手企業との対等な取引の実現

▶法的トラブルの未然回避/問題の早期解決

M&Aでは、譲渡企業と譲受企業の間で各種契約書を取り交わします。具体的には、以下の契約書です。

・秘密保持契約書
・基本合意書
・最終契約書
・株式譲渡契約書
・事業譲渡契約書

各種契約の法的効力がある文章を専門家に確認してもらうことで、M&A後にトラブルになるリスクを低減できます。

また、M&Aの方法によっては債権者保護手続きや公告、登記など、法律に基づく対応が必要になります。

こうした法律に従う必要がある対応を、弁護士の支援によって適切に行えることも、M&Aにおいて重要です。

さらに、M&Aを進めるにあたって、相手企業や株主、従業員などとの間で問題が発生することも少なくありません。

そのような際に弁護士に間に入ってもらうことで、問題を早期に解決し、訴訟や大きな問題に発展することを避けることができるでしょう。

▷関連記事:「M&Aで必要な契約書は?種類や最終契約書(DA)の項目を解説

▶相手企業との対等な取引の実現

最終契約をはじめ、M&Aにおける契約の内容に有利・不利などの不平等さがあった場合、想定していた目的が得られないことも考えられますが、弁護士のチェックによって対等な取引が望めます。

弁護士は依頼人の利益のために仕事を行うため、依頼人が把握できていない状況で進行することもなく、不利益を被る可能性のある交渉を未然に防ぐことができる点もメリットの1つです。

▶クロスボーダーM&Aの支援

クロスボーダーM&Aは、譲渡企業または譲受企業のどちらかが外国企業である国際間でのM&Aを指します。

国内企業が海外企業を買収するIn-out取引の場合、現地の法制度や国際法への対応が必要です。クロスボーダーM&Aに強みを持つ弁護士に業務を依頼すれば、現地の法制度や文化的差異に詳しい人材による支援を受けられます。
▷関連記事:「クロスボーダーM&Aとは?手法・メリットや成功のポイント、事例を紹介

M&Aを弁護士に依頼する費用

M&Aでの弁護士の役割は?業務内容や依頼するメリット、費用を解説

弁護士に依頼した場合、業務の範囲や取引規模によって費用が異なります。主に以下のような項目で費用が発生するケースが見られます。

区分費用
初回相談~数万円
着手金~数百万円
顧問手数料数万円~(/月)
契約書作成料/デューディリジェンス費用数十万円~(/回)または数万円~(/時間)
報酬金レーマン方式

▶初回相談

基本的には、いきなり依頼を行うのではなく、まずは初回の相談を行い、双方で依頼の可否を判断します。費用に関しては無料から数万円の範囲が一般的です。

▶着手金

M&Aを行う場合の法的支援に関して、弁護士法人や弁護士に着手金を支払います。料金は無料から数百万円までと大きな幅があります。

▶顧問契約料

顧問契約料として弁護士に支払う金額です。月額で支払うことが一般的で、最低金額を数万円からと設定している場合があります。M&Aは成約まで半年から1年以上の期間を要するため、総額を予測・把握しておくことも必要です。

また、弁護士の指名の有無や進行状況によって月額報酬が変動する場合もあります。

▶契約書作成料、デューディリジェンス費用

一例ですが、契約書作成やデューディリジェンスの実施には50万円から設定される事務所や、1時間ごとに数万円ほど支払う時間制の料金体系も存在します。

加えて緊急の対応を依頼したり、土日祝日に作業を依頼する場合には追加料金が請求される場合があります。

▶報酬金

アドバイザリー業務を行っている法律事務所の成功報酬に関しては、弁護士と依頼者の協議によって決められる場合や、M&Aの報酬体系によく使用されるレーマン方式を採用している場合もあります。

料金体系は事務所や弁護士によって大きく異なり、時間当たりの費用が発生する事務所もあります。

また、デューディリジェンスや登記などに個別の費用が必要となる場合があるため、具体的な費用に関しては法律事務所や弁護士に確認することをお勧めします。

M&Aを成功に導くために

M&Aでの弁護士の役割は?業務内容や依頼するメリット、費用を解説

M&Aを行う際には、様々な契約や合意がなされることになります。契約をするうえで、法律の知識を持った弁護士は双方の企業にとって力強い存在です。

譲渡企業は、事業の一部を譲渡する場合など、譲渡企業自体の営業を継続する際に、譲受企業が違法な行為を行っていないかなどの調査のため、弁護士に依頼を行うこともあります。

後に譲受企業が違法行為を行っていた場合、譲渡行為そのものが批判の対象になる場合があるためです。

一方、譲受企業においては、法務デューディリジェンスを適切に行うために、弁護士に依頼することはリスクの低減に有効です。特許権や許認可の申請状況、取引先、従業員との契約など、譲渡企業の法律に関する事柄を調査します。

また、最終契約書にはM&A成約後に問題が発生した際の対応が記載されていることも多いため、契約を弁護士に確認してもらうことで、自社に不利な条件を回避できます。

法的な問題が発生した場合は、内容も複雑で専門性も高くなることがほとんどであるため、自身で対応することは難しいです。法的リスクを回避するという点において、弁護士のサポートは重要になります。

まとめ

M&Aには多くの契約や調査があり、その際に法律の専門的な知識が必要になります。

自社にとって不利な契約や条件を結ぶリスクや、思わぬトラブルに巻き込まれた場合、弁護士の支援は大きな助けになるでしょう。M&Aの法律に関わる部分に関して、弁護士に相談することをお勧めします。

fundbookでは、M&Aの経験が豊富で業界特有の環境に精通したアドバイザーが支援を実施します。公認会計士や税理士が在籍し、士業専門家によるサポートが受けられる点もメリットです。M&Aを検討している方は、ぜひfundbookまでご相談ください。

fundbookのサービスはこちら(自社の譲渡を希望する方向け)

fundbookのサービスはこちら(他社の譲受を希望する方向け)

    【無料ダウンロード】自社の企業価値を知りたい方へ

    企業価値100億円の条件

    企業価値100億円の条件 30の事例とロジック解説

    本資料では実際の事例や企業価値評価の手法をもとに「企業価値評価額100億円」の条件を紹介します。
    このような方におすすめです。

    自社の企業価値がいくらなのか知りたい
    ・企業価値の算出ロジックを正しく理解したい
    ・これからIPOやM&Aを検討するための参考にしたい

    は必須項目です。

    貴社名

    売上規模

    貴社サイトURLもしくは本社所在地をご入力ください

    お名前

    フリガナ

    役職

    自社の株式保有

    電話番号(ハイフンなし)

    メールアドレス

    自社を譲渡したい方まずはM&Aアドバイザーに無料相談

    相談料、着手金、企業価値算定無料、
    お気軽にお問い合わせください

    他社を譲受したい方まずはM&A案件情報を確認

    fundbookが厳選した
    優良譲渡M&A案件が検索できます

    M&A・事業承継のご相談は
    お電話でも受け付けております

    TEL 0120-880-880 受付時間 9:00~18:00(土日祝日を除く)
    M&A案件一覧を見る 譲渡に関するご相談