帝国データバンクが発表する「全国企業「後継者不在率」動向調査」では、日本における2024年の後継者不在率は52.1%で、2021年から減少傾向にあります。
調査では、代表者の就任経緯として「同族承継」「内部昇格」が高い割合を占めていますが、M&Aを活用した事業承継も年々増加傾向にあり、引き続き事業承継の手法としてM&Aを選ぶ企業が増えていることがうかがえます。
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企業価値100億円の企業の条件とは
・企業価値10億円と100億円の算出ロジックの違い
・業種ごとのEBITDA倍率の参考例
・企業価値100億円に到達するための条件
自社の成長を加速させたい方は是非ご一読ください!
目次
2025年1月|M&A事例
▷パロマ・リームホールディングスによる富士通ゼネラルの買収
2025年1月、給湯器大手のパロマ・リームホールディングスは空調大手の富士通ゼネラルを約2560億円で買収することを発表しました。
この買収により、パロマ・リームは富士通ゼネラルとの相互補完的な協業によるさらなる成長を目指し、北米など海外市場での販売を拡大していきます。
▷ベインキャピタルによるジャムコの買収
2025年1月、米投資ファンドであるベインキャピタルは飛行機内装材メーカーのジャムコを約1000億円で買収することを発表しました。
この買収により、ベインキャピタルは豊富な資金力や経営ノウハウを活用し、コロナ禍で悪化したジャムコの財政を立て直し事業拡大を支援していきます。
2025年2月|M&A事例
▷三菱ケミカルグループによる田辺三菱製薬の売却
2025年2月、化学メーカー大手の三菱ケミカルグループは製薬子会社である田辺三菱製薬を約5100億円で米投資ファンドであるベインキャピタルに売却することを発表しました。
新薬の開発のため多額の費用が必要となる製薬事業を切り離し、経営資源を主力である化学関連事業に集中させるとしています。一方、ベインキャピタルはヘルスケア分野への投資実績を活用し、事業拡大を支援していく方針です。
▷日本郵便によるトナミホールディングスの買収
2025年2月、日本郵政の子会社で郵便事業などを担う日本郵便は物流準大手のトナミホールディングスを約6000億円で買収することを発表しました。
主力である郵便事業で苦戦する中、日本郵便はトナミホールディングスの買収を通じて物流サービスの強化を進め、トラック運転手が不足する物流の「2024年問題」解決にも繋げていきます。
2025年3月|M&A事例
▷ソフトバンクグループによるアンペア・コンピューティングの買収
2025年3月、ソフトバンクグループは米半導体設計企業であるアンペア・コンピューティングを子会社を通じて約9700億円で買収することを発表しました。
ソフトバンクグループは2016年に英半導体設計大手であるアームを買収していますが、大規模データ処理やAI分野において強みを持つアンペア・コンピューティングの買収を通じて、アームとの連携を通じてAI分野の成長をさらに加速させていきます。
▷セブン&アイ・ホールディングスによるヨーク・ホールディングスの売却
2025年3月、セブン&アイ・ホールディングスはスーパーのイトーヨーカ堂や外食など非中核事業を束ねるヨーク・ホールディングスを約8100億円で米投資ファンドであるベインキャピタルに売却することを発表しました。
ベインキャピタルは、ヨーク・ホールディングス傘下の事業について、店舗運営を改善や新商品・サービスの開発などを通じてグループ内の連携を強化し、3年後の2028年に企業の上場を目指すとしています。
2025年4月|M&A事例
▷SBIホールディングスによるSBI貯蓄銀行の売却
2025年4月、SBIホールディングスは韓国の連結子会社であるSBI貯蓄銀行の株式の一部を約900億円で韓国の生保大手である教保生命保険に売却することを発表しました。
SBIホールディングスは2013年、経営難にあったSBI貯蓄銀行の前身企業に追加出資を行い子会社化し、短期間に債権を実現後、現在は韓国最大の貯蓄銀行にまで成長を遂げました。この売却により、SBIホールディングスはSBI貯蓄銀行に対する投資の一部回収を行うとともに、教保生命保険グループとの関係強化を図っています。
▷トクヤマによるJSRの買収
2025年4月、総合化学メーカーであるトクヤマは半導体材料大手であるJSRの体外診断用医薬品事業と対外診断用医薬品材料事業を約820億円で買収することを発表しました。
トクヤマは健康分野を成長事業と位置付けており、今回の買収を通じてJSRが持つ診断薬の技術と販売網を活用し、対外診断事業を拡大させていきます。
2025年5月|M&A事例
▷NTTドコモによる住信SBIネット銀行の買収
2025年5月、通信大手のNTTドコモはインターネット銀行大手である住信SBIネット銀行を約4200億円で買収することを発表しました。
競争激化や人口減少により通信事業の成長が頭打ちとなる中、NTTドコモは今回の買収で銀行業へ参入し、自社サービスの経済圏の拡大や若年層の取り込みなどを通じて顧客の囲い込みにつなげていきます。また、これにより携帯キャリア4社全てが傘下に銀行を持つこととなり、金融サービスにおける競争が激化することが予想されます。
▷塩野義製薬による鳥居薬品の買収
2025年5月、製薬大手の塩野義製薬はJT(日本たばこ産業)傘下で医薬品事業を手掛ける鳥居薬品を約1600億円で買収することを発表しました。
塩野義製薬は感染症の治療薬に強みを持ち、皮膚疾患の治療薬を手掛ける鳥居薬品とともに販売網や開発力を高め、グローバルでの競争力を高めていきます。また、JTは医薬品事業から撤退し、主力事業であるたばこ事業へ集中することになります。
2025年6月|M&A事例
▷トヨタ不動産による豊田自動織機の買収
2025年6月、トヨタグループの不動産会社であるトヨタ不動産は、自動車部品メーカーでトヨタ自動車の源流にあたる豊田自動織機を買収することを発表しました。買収総額は約4兆7000億円となり、TOBを実施して豊田自動織機の株式を非公開化します。
トヨタグループ各社は2023年度から資本関係の見直しに取り組んでおり、今回の株式非公開化を通じてグループ間の連携を強化していきます。
▷ホシザキによるストラクチュアル・コンセプツの買収
2025年6月、厨房機器大手のホシザキは、米食品ショーケースメーカーであるストラクチュアル・コンセプツを約540億円で買収することを発表しました。
この買収により、ホシザキグループの商品ラインナップが大幅に拡充され、グループ内での販売チャネルの共用により幅広い顧客への販売が期待できるとしています。
2025年7月|M&A事例
▷EQTによるフジテックの買収
2025年7月、スウェーデンのPEファンドであるEQTは、エレベーター・エスカレーター大手のフジテックを最大約4078億円でTOBにより買収することを発表しました。
この買収によりフジテックは株式を非公開化。EQTの傘下でガバナンスを立て直し、成長戦略を強化していきます。
▷太平洋工業のMBOによる非上場化
2025年7月、自動車用バルブコアメーカーの太平洋工業は、MBO(経営陣が参加する買収)で株式を非公開化することを発表しました。買付総額は約1100億円となります。
自動車業界の変革期を迎えるなか、独自の技術や新製品の開発に注力していくと説明しています。
2025年8月|M&A事例
▷SOMPOホールディングスによるアスペン・インシュアランス・ホールディングスの買収
2025年8月、大手保険・金融サービスのSOMPOホールディングスは、損害保険を手掛ける米アスペン・インシュアランス・ホールディングスを34億8000万ドル(約5000億円)で買収することを発表しました。
アスペン・インシュアランス・ホールディングスは取締役の賠償責任やサイバー攻撃への補償など専門性の高い保険に強みを持ち、SOMPOホールディングスはこの買収により保険事業での競争力を高めていきます。
▷大成建設による東洋建設の買収
2025年8月、大手ゼネコンの大成建設は、海洋土木大手の東洋建設を1600億円で買収することを発表しました。
業界全体において市場が縮小し、原価高騰による収益圧迫に直面している中で、大成建設は港湾などの工事に強みを持つ東洋建設を買収し、事業領域をさらに拡大させていきます。
2025年9月|M&A事例
▷パラマウントベッドホールディングスのMBOによる非上場化
2025年9月、寝具大手のパラマウントベッドホールディングスはMBO(経営陣が参加する買収)で株式を非公開化することを発表しました。買付総額は約1384億円となります。
パラマウントベッドは、製品開発や投資拡大などを進めていくうえで、短期的な業績変動に左右されず、長期的な成長戦略に集中できる経営環境の整備が必要と考え、株式の非公開化を決断しています。
▷三菱電機によるノゾミネットワークスの買収
2025年9月、大手総合電機メーカーの三菱電機は、ソフトウエアを手掛ける米セキュリティー企業のノゾミネットワークスを8億8300万米ドル(約1300億円)で買収することを発表しました。
この買収により、三菱電機はノゾミネットワークスのサービスや顧客を自社のデジタル基盤に取り込み、関連事業を拡大していきます。
2025年10月|M&A事例
▷ソフトバンクグループによるABBのロボット事業買収
2025年10月、ソフトバンクグループはスイスの重電大手であるABBのロボット事業を53億7500万ドル(約8187億円)で買収することを発表しました。
この買収により、ソフトバンクグループは人工知能(AI)とロボットを融合させ、製造分野の革新を主導していきます。
▷大和ハウス工業による住友電設の買収
2025年10月、大手ハウスメーカーの大和ハウス工業は、電気工事を手掛けるス住友電設を2920億円で買収することを発表しました。
大和ハウス工業はデータセンター開発などの事業施設分野を強化しており、住友電設の買収を通じて安定した工事体制を確立していきます。
2025年11月|M&A事例
▷パナソニックホールディングスによるパナソニックハウジングソリューションズの売却
2025年11月、パナソニックホールディングスは住宅設備を手掛ける子会社であるパナソニックハウジングソリューションズを大手住設メーカーのYKKに売却することを発表しました。
YKKの子会社であるYKK APはリフォームやリノベーションに注力しており、パナソニックハウジングソリューションズの持つ商材を獲得することで多様なリフォーム需要を取り込む狙いがあります。
▷KURANDによる後藤酒造店の買収
2025年11月、酒通販サイトを手掛けるKURANDは、日本酒を製造する後藤酒造店をグループ会社を通じて買収しました。
KURANDは中小酒造会社に製造を委託し、独自企画の日本酒や果実酒などを販売しています。同社において酒造会社の買収は初となり、今後も酒蔵との提携を強化し、酒類業界全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める考えです。
2025年12月|M&A事例
▷ホンダによるアステモの買収
2025年12月、大手自動車メーカーのホンダは、自動車部品メーカーのアステモの株式を日立製作所から21%分を追加取得し、連結子会社化することを発表しました。譲渡価格は1523億円となります。
子会社化によってホンダがアステモの経営の主導権を持つこととなり、開発力や投資判断にスピードを高めて いきます。
▷サッポロホールディングスによる不動産事業の売却
2025年12月、サッポロホールディングスは、不動産事業を米投資ファンドのKKRなどに4770億円で売却することを発表しました。サッポロホールディングスが全額出資しているサッポロ不動産開発の全株式を段階的に売却します。
事業の柱のうちの1つであった不動産事業を売却し、本業である酒類事業に経営資源を集中させていく方針です。