よくわかるM&A

2024/01/05

【2023年版】M&A事例と動向

【2023年版】M&A事例と動向

帝国データバンクが発表する「全国企業「後継者不在率」動向調査」では、日本における後継者不在率は2014年からの調査開始以来、初めて60%を割り込み、57.2%と発表されました。

日本の後継者不在率の推移(2014年~2022年)

新型コロナウイルス感染症が流行する前(2019年)と比較すると、約8%の改善となり、この要因を帝国データバンクは以下としています。

“コロナ禍という未曽有の危機のなかで、コロナ関連融資の借り入れも含め、自社事業の将来性に改めて向き合った中小企業は多いとされる。こうしたなか、地域金融機関をはじめ事業承継の相談窓口が全国に普及したほか、第三者へのM&Aや事業譲渡、ファンドを経由した経営再建併用の事業承継など、プル・プッシュ型を問わず事業承継メニューが全国的に整ったことも、後継者問題解決・改善の前進に大きく寄与した。”

引用元:株式会社帝国データバンク 全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)

また同調査内では事業承継の際の先代経営者との関係性についても調査されており、「買収や出向を中心としたM&Aほか」の割合が調査依頼最高の20.3%となる一方、同族承継は34.0%と選択項目の中では最も高い比率ではあるものの、調査依頼最低の数値となっています。

上記の調査結果などから、M&Aによる事業承継が一般的になりつつあることが伺えます。

・関連記事:【2022年版】M&A事例と動向

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2023年1月|M&A事例

▷モデルナによるオリシロジェノミクスの買収

2023年1月、コロナワクチンの開発などで知られるモデルナ(米)はオリシロジェノミクス社を8500万ドルで買収すると発表しました。

モデルナ社はこの買収を同社の製造に関する専門知識を戦略的に保管し、研究開発を加速させるものとしています。

▷ロート製薬とJ-ARMの資本業務提携

2023年1月、ロート製薬はJ-ARMとの資本業務締結を発表しました。

J-ARMは動物病院向けの細胞治療や再生医療導入支援事業を展開し、獣医療領域で多くの実績がある企業となり、本提携によりJ-ARMが持つ獣医療領域の知見とロート製薬の持つヒト領域の知見を掛け合せ、細胞培養キット事業や無血清培地の提供などから協業を始めるとしています。

2023年2月|M&A事例

▷ゼンショーによるロッテリアの買収

2023年2月、「すき家」を運営するゼンショーホールディングスがロッテホールディングスからロッテリアの全株式を取得し、完全子会社化する事を発表しました。

ゼンショーホールディングスは本株式取得の理由について、「都央社グループの食材調達、物流、店舗運営昨日などとのシナジー効果がロッテリアの事業拡大や発展に寄与する」としています。

またロッテリアホールディングスは「ループの成長戦略の策定に際して、事業ポートフォリオの見直しを図る中、ロッテリアの位置づけについても慎重に検討した結果、最適なパートナーのもとで、ロッテリアの更なる成長を実現することがベストな選択と判断いたしました」と説明しています。

▷ヤマエグループホールディングスとトワードの資本業務提携

2023年2月、ヤマエグループホールディングスとトワードは資本業務提携契約の締結を発表しました。

トワードはチルド食品の物流を中心とし、関東や九州に物流センターを設置し低温車両での輸配送を行なっています。また外食産業などの食品残渣を回収し、完全発酵させた有機堆肥を製造・販売する食品リサイクル事業にも注力しています。

ヤマエグループホールディングスは本資本業務提携により、食品卸売分野での顧客基盤にトワードの持つ拠点網などを組み合わせる事で九州エリアを中心とした低温物流における配送事業や倉庫事業の強化を狙う方針としています。

2023年3月|M&A事例

▷UUUMとカルチュア・エンタテイメントとの資本業務提携

2023年3月、Youtuberなどのマネジメントを行なうUUUMとエンタテインメントコンテンツの企画・製作を行うカルチュア・エンタテイメントは資本業務提携契約の締結を発表しました。

両社は今後、クリエイターのマネジメントや発掘、映像制作・企画、出版、イベント領域で協働・共創する事を想定しており、両社の企業価値の向上と持続的な成長を目指します。

▷クラウドワークスによるシューマツワーカーの買収

2023年3月、人材マッチングプラットフォームを運営するクラウドワークスは副業人材と企業をマッチングするプラットフォームを運営するシューマツワーカーの株式を62.6%取得し、子会社化する事を発表しました。

取得価額は11億6600万円となります。シューマツワーカーはAI開発などを行なう高度な専門エンジニアが4万人登録する副業支援サービスを提供している企業となります。

クラウドワークスはシューマツワーカーを子会社化する事は、副業領域における事業基盤の強化、事業価値向上に繋がるという判断によるものとしています。

2023年4月|M&A事例

▷KDDIと「CLISTA!」を提供する医用工学研究所の資本業務提携

2023年4月KDDIと医用工学研究所はKDDIの保有するデータ分析技術と医用工学研究所の保有する医療データの知見を活用し、ヘルスケア・医療データの利活用を進める事を目的とし、資本業務提携を実施しました。本提携によりKDDIは医用工学研究所を持分法適用会社化しています。

医用工学研究所は病院内の大量なデータを可視化することができ、各システムを横断的に統計・検索することが可能となる医療用データウェアハウスシステム「CLISTA!」の提供を通じ、病院経営のサポートを行なう企業です。

本資本業務提携により、2023年度宙に医用工学研究所が医療機関をサポートする中で医療機関の理解・協力を得た電子カルテ由来の約400万人分のデータを蓄積し、KDDIがこれまで培ってきたセキュアな環境構築やAIなどの知見を活用した分析を行なうとしています。

▷イオンによるいなげやの連結子会社化

2023年4月、イオンは首都圏でスーパーマーケットを展開するいなげやを連結子会社化とすると発表しました。イオンの子会社であるユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスと経営統合する事になります。

イオン、いなげや、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスの3社は首都圏においてスピード感を持ち顧客のニーズに応え続け、地域社会と共生、ともに成長、持続可能な未来を築く事を目指します。

2023年5月|M&A事例

▷アステラス製薬によるアイベリック・バイオ(米)の買収

2023年5月、アステラス製薬はアメリカのバイオ医薬品企業、アイベリック・バイオを買収する事を発表しました。買収金額は約8040億円となり、アステラス製薬としては過去最大の買収となる見込みです。

アイベリック・バイオは檀家領域に特化し、新規治療薬の開発を進めている企業です。地図状委縮を伴う加齢黄斑変性(AMD)の治療薬についてアメリカで承認申請中となり、アステラスによるとAMD患者の80%を占める地図状委縮型の標準治療薬になる可能性があるという事です。

アステラスでは全売上高の約4割に達する主力医薬品の前立腺がん治療薬「XTANDI(イクスタンジ)」が2027年に特許切れを迎える予定となり、特許切れに伴う売上減少を補う新薬として期待されています。

2023年6月|M&A事例

▷フルキャストホールディングスによるグロービートの買収

2023年6月、フルキャストホールディングスは「らあめん花月嵐」などの飲食チェーンの経営を行なうグロービートの全株式を取得、完全子会社化する事を発表しました。株式取得価格は80億1000万円となります。

本買収によりグロービートは同族経営からの脱却を目指し、人材派遣・紹介事業を運営しているフルキャストホールディングスは新業態への進出を狙います。

▷ベクトルによるビジコネットの買収

2023年6月、ベクトルはビジコネットの株式70.2%を17億9500万円で取得し、子会社化することを発表しました。

ビジコネットは転職Webメディアの運営やマーケティング支援を行なう企業となり、ベクトルが手掛ける採用プラットフォーム「JOBTV」とのシナジーを狙ったものになります。

ビジコネットが運営する転職Webメディア事業は複数のメディアにおいて集客数が増加しており、JOBTVへの総客が期待できるとの事です。

▷アイスタイルによるシドニーの買収

2023年6月、アイスタイルは化粧品小売業を営むアイスタイルリテールを通じて、シドニーの全株式を取得し、完全子会社化する事を発表しました。買収価額は非公開となっています。

シドニーは1953年に創業した都内に7店舗を展開する化粧品専門店です。

「@cosme STORE」とは異なる出店エリアとなり、アイスタイルはシドニーのビジネスモデルと証券の拡大により事業成長が期待できると判断し、買収を決定したという事です。

2023年7月|M&A事例

▷ヒト・コミュニケーションズによるFMG、fmgの買収

2023年7月、主要空港内の物販や飲食、ラウンジ運営などを手掛けるヒト・コミュニケーションズは空港グランドハンドリング事業を手掛けるFMG、および空港グランドハンドリング事業の業務運営のfmgの2社の全株式を取得し、子会社化する事をしました。取得額は2社合計で約77億円となります。

FMGグループは羽田や成田、関西国際空港などの主要空港で旅客業務や航空機整備業務、ラウンジ運営、貨物・手荷物の搭載位置や量の管理業務を行なっており、これらの業務を一括受託できるFMGグループを取り込む事でヒト・コミュニケーションズは空港やその周辺業務領域でトータルなサービス提供を行なえると判断したとしています。

▷OSGコーポレーションによるD&Dの買収

2023年7月、OSGコーポレーションは中華食品販売の「元祖五十番神楽坂本店」を運営するD&Dの株式を70.06%取得し、子会社する事を発表しました。取得価額は非公表となっています。

OSGコーポレーションは子会社の銀座仁志川を通じて高級食パン製造店「銀座に志かわ」を運営しており、銀座に志かわで培ったノウハウを活かし、直営店及びフランチャイズので店舗展開も視野に事業拡大に向けて積極的に出典を進めるとしています。

2023年8月|M&A事例

▷エムスリーによるMessly(英)の買収

2023年8月、医療従事者専門サイト「m3.com」を運営するエムスリーは英国で意思リクルーティングプラットフォームの運営を行なうMesslyの買収を発表しました。

エムスリーは英国の他のグループ会社であるRemedium(国際的な医師リクルート会社)および RotaMaster(医療機関向けのシフト・人員管理ソフトウェア)とも協業しながら、英国NHSの人員不足問題に応えることを目指すと発表しています。

▷オープンハウスグループによる三栄建築設計へのTOB

2023年8月、オープンハウスグループは分譲戸建住宅や分譲マンションの販売を中心とした不動産分譲事業や収益不動産等の取得、運用、販売を行なう不動産販売事業を展開する三栄建築設計の株式をTOBなどを通じて取得し、完全子会社化を目指す事を発表しました。

普通株式1株につき2,025円となり、TOB公表前日の終値1,716円に18.01%のプレミアムを加え、買付予定数は21,217,079株、買付予定数の下限は14,144,700株となります。

三栄建築の元社長が反社会的勢力に金銭を供与したとして公安委員会から暴力団排除条例に基づく勧告を受けていましたが、本M&Aにより経営の正常化を目指すとともに、三栄建築の物件供給力とオープンハウスグループの販売力を活用した両社戸建て事業全体の底上げなどのシナジーを見込んでいるとしています。

2023年9月|M&A事例

▷オムロンによるJMDCへのTOB

2023年9月、ヘルスケアや制御機器、電子部品などを提供するオムロン株式会社は、医療統計データサービスを提供する株式会社JMDCの普通株式を公開買付(TOB)により取得する事を発表しました。JMDC株の買付価格は1株につき5700円、買付予定数は1500万株、下限は1203万6700株となり、現在、オムロンが所有する株と合せて50.01%となる様、設定されています。

2022年にオムロンはJMDCと資本業務提携契約を締結し、JMDC株を31.49%保有していましたが、今回の子会社化により医療データの活用など新しいサービスづくりを目指しているとしています。

▷NTTによるインテージホールディングスへのTOB

2023年9月、NTTは傘下のNTTドコモを通じて、市場調査サービスを提供するインテージホールディングスの子会社化を目指し、公開買付(TOB)を実施すると発表しました。インテージホールディングス株の買付価格は1株につき2400円、買付予定数は1962万1900株(所有割合51%)、下限は1538万9700株(所有割合40%)となります。

NTTドコモとインテージホールディングスは2012年に共同出資のドコモ・インサイトマーケティングを設立するなど協業関係にありましたが、今回の子会社化によりインテージホールディングスが培ってきたデータ集計や分析、可視化などのノウハウと、NTTドコモが持つ「dポイント」の約9600万会員のデータを組み合わせ、IDベースかつ一気通貫のマーケティングソリューションの提供を行なうとしています。

2023年10月|M&A事例

▷イオンによるいなげやへのTOB

2023年10月、イオンは首都圏にて食品スーパーを展開するいなげやに対してTOBを開始し、11月末に子会社化することを発表しました。いなげや株の買付価格は1株につき1610円、買付予定数の上限は1568万7400株、下限は設定していません。

イオンは2002年にいなげやに出資し、商品開発や店舗開発などにおいて提携関係にありましたが、今回のTOBでいなげやが傘下に加わることで、「関東における1兆円のスーパーマーケット構想」の実現を進めていくとしています。

▷大東建託によるシマの買収

2023年10月、賃貸住宅請負を行う大東建託は、関西圏にて物流施設や公営住宅などの建築を中心に総合建設業を展開するシマの買収を発表しました。取得価額は非公表となっています。

今回の買収で大東建託とシマが強固な協力関係を築き、建築や公共事業領域といった非住宅分野への拡大により、さらなる成長発展を目指すとしています。

2023年11月|M&A事例

▷京王電鉄によるサンウッドへのTOB

2023年11月、京王電鉄はマンション分譲などを行うサンウッドに対してTOBを実施し、完全子会社化すると発表しました。サンウッド株の買付価格は1株につき1250円、買付予定数は373万2551株、下限は215万5000株(所有割合45.54%)になります。

本TOBを通じて、不動産開発事業や京王電鉄の沿線開発の強化、人材交流を通じたノウハウ共有などを進めていくとしています。

▷エムスリーによるベネフィット・ワンへのTOB

2023年11月、医療情報サイトの運営を行うエムスリーは福利厚生業務の代行を行うベネフィット・ワンに対してTOBを実施し、連結子会社化すると発表しました。ベネフィット・ワン株の買付価格は1株につき1600円、買付予定数は8730万7300株、下限は8121万400株(所有割合51.16%)になります。

医療業界および福利厚生それぞれの分野で強みを持つ両者がタッグを組むことで、「真の健康経営」プラットフォームを創出していくとしています。

2023年12月|M&A事例

▷阪急阪神ホールディングスによるオーエスへのTOB

2023年12月、阪急阪神ホールディングスは、東宝が筆頭株主で不動産や映画館の運営を行うオーエスに対してTOBを実施し、子会社化すると発表しました。オーエス株の買付価格は1株につき5000円、買付予定数は247万8330株、下限は141万7000株(所有割合44.5%)になります。

本TOBの成立後は、オーエスの映画事業を東宝へ集約し事業を強化し、同時にオーエスが保有する不動産の有効活用も行っていく方針です。

▷ビックカメラによるエーワンの買収

2023年12月、ビックカメラは傘下のソフマップを通じ、OA機器や複合機といったオフィス機器の買取・販売を行うエーワンの全株式を取得し、子会社化することを発表しました。取得価額は非公表となっています。

今回の買収で、ビックカメラグループでは新たな商材としてオフィス機器を取り扱うことになり、李ユール事業の更なる拡大が期待されます。

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