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2023/10/02

事業承継における負債とは?債務超過や赤字との違い、承継前にできる債務対策を解説

事業承継における負債とは?債務超過や赤字との違い、承継前にできる債務対策を解説

負債は事業を行う上で少なからず発生するものです。商品を掛けで購入すれば「買掛金」が発生しますし、土地の購入代金のうちまだ支払っていないものがあれば、「未払金」という名の負債になります。

ただし、負債の額が多額となると会社の経営を圧迫します。特に、事業承継では負債が後継者に引き継がれ、過剰な債務は事業承継の障害となるので、注意が必要です

本記事では、負債の基本的な意味や債務超過のリスク、事業承継での負債の取り扱いを解説します。事業承継の前に行える対策や過剰負債のある会社の検討事項も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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負債とは

負債(ふさい)は勘定区分の1つで、将来的に支払わなければならない債務のことです。仕訳や貸借対照表では右側の貸方に記載されます。例えば、金融機関から融資を受けた場合には左側の借方に現金を記載し、借方に借入金を記載しますが、この「借入金」が負債です。

負債は主に「流動負債」と「固定負債」に分類されます。流動負債は未払金や買掛金など、支払期限が比較的短期間の負債です。一方、固定負債は長期借入金や社債など、支払期限が1年以上の負債を指します。

負債が増加するとどうなる?

事業の運転資金や設備投資などのため、金融機関から融資を受けたり、社債を発行したりする行為は一般的なものです。ただし、負債が大幅に増加すると、債務超過に陥る危険性があります。

債務超過とは、会社が負担する債務の金額が、会社の資産の金額を上回った状態のことです。貸借対照表では負債と資本を合計した金額が資産の金額となりますが、債務超過の場合、負債の金額が資産よりも大きいため、資本の金額がマイナスになります。

債務超過は会社の倒産の原因となる場合もあり、危険を伴う状態です。また、金融機関からの新規借り入れが難しくなる、借入金の早期返済を迫られるなどのケースも想定されます。

債務超過と赤字との違い

「債務超過」と「赤字」は似たようなイメージをもたれやすい用語ですが、2つの用語は異なる意味を持っているので区別しましょう。

赤字は損益計算書で当期における純損益がマイナスとなっている状態です。一方、債務超過は先述のように貸借対照表で負債が資産を上回っている状態を指します。当期の収益がマイナス(赤字)であっても、負債を上回る資産を保有する会社であれば債務超過とは見なされません。一方、債務超過の状態であっても、当期の営業成績が良好であれば黒字となる場合もあります。

つまり、赤字が1つの事業年度の収益のマイナスを指すのに対し、債務超過は会社の資本がマイナスとなる状態を指しています。

事業承継における負債の取り扱い

事業承継を検討する際、「今ある負債はどうなるのだろう」「後継者に引き継がれるのだろうか」などは、経営者の方にとって気になる点です。以下では、事業承継の際の負債の取り扱いを解説します。

▷関連記事:事業承継とは?成功に向けたポイントや基礎知識を解説

負債・借金は引き継がれる

事業承継では、経営権や自社株式、事業用資産などとともに、負債や借金も引き継がれます。

例えば、金融機関から借入金がある場合、事業を承継した後継者は契約の際の返済スケジュールにしたがって返済を行います。事業承継後の経営で安定的に収益が挙げられている場合は問題ないかもしれませんが、返済に充てる資金がない場合、事業用の資産などの売却を迫られるケースもあるでしょう。そのため、事業承継の際は承継前に経営改善を行い、できるだけ負債や借金を削減する努力が求められます。

連帯保証はケースにより異なる

負債とともに注意したい点が、経営者の連帯保証(以下、経営者保証)です。従来、中小企業などが金融機関から融資を受ける際に経営者保証を求められるケースがあり、事業承継ではこの経営者保証が課題となっています。

事業承継の際に、後継者は金融機関から経営者保証の引継ぎを求められる場合があります。ただし、保証契約は経営者と金融機関の間での契約であるため、必ずしも後継者が経営者保証を引き継ぐ必要はありません。また、事業承継後の先代経営者の経営者保証も重要な課題です。

国は事業承継における経営者保証の問題を解消する目的として、経営者保証に関する支援策を実施しています。「経営者保証に関するガイドライン」に基づいて取引金融機関などと相談することにより、経営者保証を解除できる場合もあります。

経営者保証全般に関する相談は、取引金融機関や商工会議所、商工会や中小企業団体中央会で受け付けているので、不明な点がある際は関係各所あるいは専門家に相談してみましょう。

事業承継の前にできる債務対策

事業承継後の経営安定化のためには、事業承継前の対策が欠かせません。以下、事業承継の前にできる債務対策を解説します。

金融機関と交渉する

相続で事業承継する場合には、後継者以外の債務の相続が課題です。債務は遺産分割の対象外となるため、相続人全員に平等に引き継がれます。会社の資産を後継者に集中して承継した場合でも、債務は相続人全員に引き継がれるので、後継者とそれ以外の相続人に不公平が生じてしまいます。結果、後継者以外の相続人との間でトラブルとなりかねません。

上記の場合、後継者以外の相続人の債務免除が有効です。事業承継の前に金融機関と交渉し、後継者以外の相続人の債務免除を行っておくと、後のトラブルを防げます。

資金繰りを改善する

負債にまつわる問題を解消するためには、会社の資金繰りを改善し、「負債自体を軽減」する方法があります。

例えば、販路拡大や商品単価アップを図り、売上高を増やす方法で資金繰りを改善する方法が挙げられます。自社で取り扱う商品ラインナップを見直し、より利益率の高い商品に経営資源を投入すると、会社の財務体質改善に役立ちます。その他、固定費や原価の削減、システム導入による人件費の削減などの経費削減も、会社の収益を向上させる施策です。

債務免除などで役員借入金を減らす

会社の負債は、借入金や社債のような外部からの資金だけではありません。役員借入金のように、経営者や役員から借り入れたお金も負債の一部です。役員借入金を減らすと、会社の負債を減らせます。

役員借入金を減らす主な方法は下記のとおりです。

  • ・役員報酬を減額し、減額した金額を役員借入金の返済に充当する
  • ・役員借入金の債務免除を行う
  • ・暦年贈与する

役員借入金は利息や返済期限を柔軟に決められるので、会社の資金が不足した際に便利な資金調達方法です。ただし、会社の負債であることに変わりはないため、事業承継の際は事前に対策を行いましょう。

遊休資産を売却する

会社に遊休資産がある場合は、遊休資産の売却も選択肢の1つです。遊休資産は、事業用資産として取得されたものの、取得時に想定していた事業の変更や新しい機械の購入により、利用や稼働を停止している資産のことです。具体的には、事業で利用していない土地や建物、機械設備やソフトウェアなどが挙げられます。

遊休資産の売却益を返済に充てることで、負債を減らせます。また、総資産が圧縮されることにより、総資本対経常利益率が改善される点もメリットです。

DESやDDSの手法を活用する

DESとDDSは、負債を圧縮する手法の1つです。

DES(デット・エクイティ・スワップ)は債務を株式へと転換することで、負債を資本へ変える手法です。DESを活用すると負債が減少する一方で純資産(資本)が増加するため、自己資本比率が改善するメリットがあります。

DDS(デット・デット・スワップ)は負債を劣後ローンへ借り換える手法です。一定の要件を満たす劣後ローンは金融機関で資本として取り扱われるため、金融機関からの評価を向上できる場合があります。なお、劣後ローンとは、債権の中で他の債権より優先順位が低く設定されているローンを指します。

過剰負債のある会社・個人事業の事業承継で検討すべき事項

過剰負債のある会社の事業承継は、承継後の経営を考えるとリスクを伴います。事前に検討すべき事項を確認し、対策を行いましょう。

なお、個人事業主の事業を承継する場合、借入金を引き継ぐ必要はありません。ただし、金融機関からの借入金で資金繰りを行っている場合など、事業承継で借入金を引き継ぐケースもあります。

分社化

分社化は、事業の一部を切り離して別の会社を設立する方法です。例えば、収益力のある事業だけを分社化して承継すれば、過剰な負債を引き継ぐことなく事業承継を行えます。後継者は高収益の事業を中心に経営を行えるため、事業承継後の負担が少なくなります。

分社化を行う際には、事業譲渡や会社分割(新設分割・吸収分割)の方法があります。なお、残された負債はもとの会社に返済義務があるので、破産手続きや経営者による弁済などを行います。

事業再生

事業再生とは、会社が債務超過などに陥った際に事業を抜本的に改革することで、会社を廃業・清算することなく、収益力のある事業へと再構築するプロセスを指します。

収益力はあるものの、過剰債務を抱える中小企業は少なくありません。国はこのような中小企業の事業再生支援と円滑な事業承継などのため、「事業承継・引継ぎ補助金」を実施しています。事業承継・引継ぎ補助金は、令和4年度第2次補正予算の閣議決定により、令和5年度も実施予定です。

なお、事業再生や企業再生の詳しい点は下記の記事もご参照ください。

▷関連記事:【弁護士監修】企業再生とは? 事業再生との違い、メリットや手続きを解説

事業廃業

過剰な負債により経営改善が見込めない場合には、事業を承継するのではなく、事業廃業も選択肢の1つです。事業廃業は株式会社の場合と個人事業主の場合では異なる点に注意しましょう。

株式会社の廃業では、「解散」と「清算」の手続きが必要です。株主総会の特別決議により解散を決議し、解散登記を行ったあと、清算人の選任や債権者保護手続きなどの清算手続きを行います。

一方、個人事業主の場合の廃業手続きは、税務署に「個人事業主の開業・廃業等届出書」を提出し、その他関連する行政機関で廃業の手続きを行うだけで完了します。

資産と負債を把握したうえで早めの着手

事業承継では、会社や個人事業の財務状況の把握は重要な事項です。特に、過剰負債のある会社を承継する際には、資産と負債をきちんと把握しておかなければなりません。

中小企業の場合、経営者の個人資産と会社の資産が混在しているケースも多く存在します。会社の負債を把握するため、個人資産と会社資産は明確に区別しておきましょう。

また、負債を圧縮するための経営改善や遊休資産の売却、DESやDDSの実施には相応の時間と労力が必要です。会社の財務状況を正確に把握したうえで、早めに事業承継に着手することをおすすめします。

まとめ

負債は将来的に支払うべき債務であるため、多額の負債は経営に大きな影響を与えます。事業承継後の会社の経営を考えると、後継者にはなるべく負債を小さくした状況で引き継ぎたいところです。

負債を圧縮する方法には、売上高を伸ばし資金繰りを改善する、遊休資産を売却する、などいくつかの方法があります。また、収益性の高い事業を分社化して承継する方法も1つの手段です。

分社化には会社分割や事業譲渡などの方法がありますが、現実に実施するとなると事業承継やM&Aに関する専門的な知識が必要です。事業承継を含め不明な点や疑問点があるときは、fundbookまでぜひご相談ください。

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