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2023/09/26

黒字廃業とは?廃業を巡る日本の課題点と今後

黒字廃業とは?廃業を巡る日本の課題点と今後

廃業とは

廃業とは会社や事業を終わらせる事を指します。

会社や事業を終わらせる要因は多岐に渡りますが、経営者により会社や事業を終了させると決定した場合、廃業と呼ばれます。

事業を継続したくても継続できない状況に陥り、会社が消滅する倒産とはこの点が異なります。

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黒字廃業とは

廃業の中には会社の業績は黒字なのにも関わらず、事業を終了させる黒字廃業があります。

東京商工リサーチの発表では、2021年1-12月の休廃業・解散企業数は日本全国で44,377件に上っており、東京商工リサーチの同調査が開始以降、2020年・2018年に次ぐ、3番目に高い水準となっています。
また東京商工リサーチの同発表によると、休廃業をした企業のうち、直前期の決算で黒字だった企業は2021年は56.5%に上ります。黒字率は2010年以降、60%ほどで推移していたため、2021年は減少傾向となってはいるものの、黒字廃業企業が一定数いることが伺えます。

▷黒字廃業となる理由

では経営者はどういった理由から黒字廃業を選択するのでしょうか。
要因は多岐に渡ると考えられますが代表的な理由は2つあります。

・後継者不在
・資金繰りの悪化

黒字廃業の理由1:後継者不在

黒字廃業を選択する理由の1つ目は後継者不在です。
近年、日本の中小企業において後継者不在は深刻な課題となっています。帝国データバンクの発表する全国企業「後継者不在率」動向調査では、2021年の全国全業種 約266,000社の内、61.5%の経営者が後継者は「いない」、または「未定」と回答しています。

黒字廃業とは?廃業を巡る日本の課題点と今後

高齢となった経営者は事業をいつまで継続できるかもわからず、また体力的にも引退を検討する方もいらっしゃると思います。
この様な際に後継者が決まっていれば事業承継を行い、事業を継続することが可能ですが、上記の様に61.5%の経営者は後継者が不在という実情から、やむを得ず黒字廃業を選択する他なくなるというケースは存在します。

黒字廃業の理由2:資金繰りの悪化

企業のサービスや商品の売上が良好であれば、利益は生まれますが、企業間取引では実際に入金されるまでに日数を要するケースがあります。
その場合、黒字だとしても実は資金繰りは危うく、売上入金までの間の支払いが出来ないという状況に陥り、経営者は廃業を選択するケースが考えられます。

黒字廃業を防ぐために

黒字廃業を防ぐために重要なことは以下の2点となります。
廃業を行う事で従業員や取引先企業など、広い範囲の関係者に影響が出ますので、可能な限り黒字廃業をせず、事業を承継することを検討しましょう。

・事業承継の対策は可能な限り早めに
・M&Aによる事業承継も視野に専門家に相談

▷事業承継の対策は可能な限り早めに

事業承継には非常に時間を要します。後継者に事業を引き継ぐには、株式の買い取りや債務の引き受けが必要です。後継者として事業を任せたいと思える人材がいたとしても、上記の資金の問題から承諾を得られないケースもあります。

また後継者がスムーズに決まった場合でも、経営者としての教育や引き継ぎには一定の時間を要します。
そのため、一般的に事業承継は、実際に行うまで5年~10年ほど要すると言われておりますので、60歳を過ぎたあたりから準備を進めた方が安心です。

▷M&Aによる事業承継も視野に専門家に相談

後継者探しに難航しており、どういった対応がベストか不明であれば、専門家に相談をしましょう。
事業承継に関する専門家は「M&A仲介会社」や「各金融機関」、「ファイナンシャルアドバイザー」、「弁護士や会計士、税理士など士業」、国が設置する公的相談窓口「事業承継・引き継ぎ支援センター」などが挙げられます。

その際に親族内承継や社内承継以外の第三者承継(M&A)の方法も検討頂くことで最終的に黒字廃業を避けられる可能性が高まります。

廃業する会社や事業を買うために

M&Aにより他社の譲受を検討されている方の中には、廃業を検討中の会社を対象としている方もいらっしゃるかもしれません。
その際に押さえておきたいスキームや企業価値の算定方法を以下にまとめています。

▷廃業する会社や事業を買う際の手法

基本的に廃業する会社を対象とし譲受を行う場合、株式譲渡や事業譲渡を利用することが一般的です。

M&A手法:株式譲渡とは

「株式譲渡」は、最も活用されているM&Aの手法の一つで、会社を譲り渡す側の株主が、譲り受ける側に対して50%超(一般的には100%)の株式を対価と引き換えに譲渡することで承継されます。
なお、対価は原則として現金が用いられます。

M&Aにおける株式譲渡実施前後の違い

・関連記事:株式譲渡とは?株式譲渡と事業譲渡の違いや2つの注意事項

M&A手法:事業譲渡とは

「事業譲渡」は、企業全体ではなく、特定の事業だけを譲渡する手法です。
譲渡企業の経営者が一部の事業だけを譲渡したい場合や、譲受企業が赤字の事業や発現する可能性の高い簿外債務を承継したくない場合などに利用されます。

M&Aにおける事業譲渡実施前後の違い

・関連記事:M&Aの事業譲渡とは?株式譲渡との違いやメリット・デメリットを徹底解説

▷廃業予定の会社の企業価値評価

まず一般的なM&Aにおける企業価値評価方法ですが、以下の様なアプローチ方法が存在します。

・コストアプローチ
⇒ 企業が保有する資産や負債を基準に株式価値を算定するアプローチ

・インカムアプローチ
⇒ 将来的に期待される収益にリスクを織り込み、現在価値に換算することで算出するアプローチ

・マーケットアプローチ
⇒ 株式市場やM&A市場の取引価額を基準に、類似した企業や取引を比較して算出するアプローチ

それぞれに一長一短がありますが、日本の中小企業のM&Aでは「コストアプローチ」が採用され、大企業のM&Aでは「インカムアプローチ」や「マーケットアプローチ」が採用される傾向にあります。
それぞれのアプローチ手法については以下の記事に纏めていますのでご参照ください。

・関連記事:M&Aのバリュエーション(企業価値評価)とは?意味・重要性から算定方法まで

上記の様なアプローチ手法で譲渡価額を算出する場合、廃業を予定している企業はコストを抑えて譲受可能な傾向が見られます。

通常、譲渡企業は価額を高くし、譲渡をしようとしますが、廃業を予定している企業の場合、前述の後継者問題の解決などを優先し、譲渡価額の拘りが低くなることがあるためです。
また廃業を予定している企業が債務超過の場合、ほぼコストが掛からないケースもあります。

【動画で学ぶM&A】黒字廃業とは?廃業を巡る日本の課題点と今後

まとめ

近年、後継者不足が日本の中小企業全体の課題となっており、後継者不足の影響を受け、黒字の状態で廃業となる黒字廃業を選択する企業の数も増加傾向にあります。
現時点では現役を続けようと思っている経営者の方でも、親族内承継・社内承継・第三者承継のいずれも時間を要しますので、早めに事業承継の準備を行う方が良いでしょう。

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