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2023/10/02

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を売りたい人必見!動向や売却時の流れを解説

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を売りたい人必見!動向や売却時の流れを解説

2011年に「高齢者の居住の安定確保に関する法律」の改正により創設された「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」は、介護保険制度の入所施設や有料老人ホームとは提供するサービスが異なります。そのため入居者の確保がうまくいかず、経営が悪化しているケースもあるようです。

経営不振のサ高住に関しては、売りたいと考える経営者の方もいらっしゃるでしょう。

そこで本記事では、サ高住の動向や、売却時の流れなどをわかりやすくまとめます。サ高住を売りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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サ高住を取り巻く動向

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、自分で身の回りのことができる自立した高齢者、軽度の要介護者向け賃貸住宅のことです。

ここでは、サ高住ができた背景や、今後のサ高住業界を取り巻く動向についてまとめます。

サ高住の普及は2011年から

バリアフリー対応の賃貸住宅であるサ高住は、2011年に有料老人ホームや特別養護老人ホームに変わる受け皿として創設されたのが始まりです。

さらに同年10月には「高齢者の居住の安定確保に関する法律」が改正され、サ高住制度によって供給が加速し、サ高住の件数が増加しました。現在、サ高住は、有料老人ホームや特別養護老人ホームに比べて、待機時間が短い介護施設として知られています。

サ高住では、要介護高齢者が入居する有料老人ホームや特別養護老人ホームとは違い、自立しているか、軽度の要支援者が受け入れ対象です。日中には生活相談員が常駐していて、生活支援サービスや安否確認を実施します。

介護が必要な場合には、訪問介護のような外部の介護サービスを個別に契約しなければなりません。

高齢者率の増加

日本の高齢化は年々深刻になっています。2025年には65歳以上の人口が総人口に占める割合を表す「高齢化率」が30%を突破すると言われています。

また、介護保険対象の要介護の高齢者数は、2005年に218万人でしたが、2025年には800万人を超えると予想されています。

高齢者の増加に伴い、要介護(要支援)の高齢者の数も急速に増加するでしょう。

介護給付費の増加

要介護・要支援の高齢者が増加したことによって、介護給付費も急激に膨らんでいます。介護保険制度が開始された2000年時点では介護給付費が3.6兆円でしたが、2016年には9.6兆円まで増加しました。2025年には21兆円まで介護給付費が膨らむことが予想されています。

医療費・介護費など社会保障に関する給付と、負担のバランスが崩壊しつつあるのが現状です。

今後の動向

2011年の法改正により、サ高住は爆発的に件数が増えました。

2011年当初は112棟3,448戸であったのが、2017年には6,668棟218,195戸となり、今後も増えることが予想されています。既存の事業者による新規開設の他、異業種からの新規参入も活発です。

一方、サ高住の施設間で入居者獲得が激化しており、1施設あたりの入居率は低下し、経営不振に陥るケースも増えています。

サ高住の競争激化や、介護報酬の引き下げが将来的に起こると予想して、事業が堅調な今のうちに他社へ売却をする経営者もいます。

2015年の介護報酬改定では、マイナス2.27%となっており、ほぼ全ての介護サービスの基本報酬が引き下げられ、基本報酬全体の改定率は4.48%の減額となりました。

さらに、2018年の介護報酬改定では、医療との連携を求める報酬改定が行われ、医療機関との連携が難しい介護事業者には厳しい今後が予想されています。

現状では、サ高住のM&Aでは売り手よりも買い手の数が多く、良い評価が付きやすい傾向にあります。サ高住を売りたいと考えている経営者にとっては、今がベストなタイミングでしょう。

サ高住を売りたいときの流れ

サ高住を売りたい場合、どのような流れでM&Aでの売却を進めていけばよいのでしょうか?

ここでは、サ高住を売却する際の流れを解説します。

▷関連記事:M&Aとは?M&Aの意味・流れ・手法など基本を分かりやすく【動画付】

▷関連記事:M&A仲介とは?仲介会社のメリットや選び方、FAとの違い【動画付き】

①仲介会社を選ぶ

サ高住を他の事業者に売りたい場合、まずはM&Aの専門家である仲介会社を選定することが重要です。

M&Aの際には、契約までに必要な手続き、企業価値評価や事前検討事項のブラッシュアップ、買い手とのマッチング、条件交渉などを支援してくれるM&A仲介会社に依頼するのが一般的です。

仲介会社を介してM&Aをすることで結果に大きな違いが出るので、まずは信頼できる仲介会社を選んで相談しましょう。

②仲介会社と秘密保持契約を結ぶ

M&A仲介会社を選定したら、実際に契約を交わしましょう。

この際に、専門家と秘密保持契約(NDA)を締結します。

秘密保持契約は、新規取引や商談、打ち合わせなどで自社の秘密情報を相手に開示しなければならない場合に必要で、特にM&Aを行う場合、秘密保持契約の締結が重要になります。

売却が成立する前に、情報が漏えいしてしまうと、M&A自体が不成立に終わってしまう可能性もあります。また、風評などによりその後の経営にも大きなダメージを受けてしまいます。

情報の取扱いはとても大切なので、M&A仲介会社に依頼する際には必ず秘密保持契約を締結しましょう。

③自社の情報をまとめる

M&Aをする際には、事業内容や売却条件などをまとめた概要書を相手方に提示し、交渉を打診します。

まずは、自社企業の情報を整理してまとめましょう。

④仲介会社から買い手候補の提案を受ける

仲介会社は、サ高住の決算情報や強み・弱み、業界の動向、市場分析を踏まえて、売却の目的や希望条件を事前に設計します。
その内容に基づいて、相性がよさそうな買い手候補を探し出し、提案してくれます。

⑤両企業のマッチングを行う

買い手候補の企業へ、事業内容や売却条件などをまとめた概要書を提示し、交渉を打診します。
相手の企業が交渉に興味を示した場合は、社名を含むより詳細な情報を交換して、今後の交渉に関する検討を実施します。
その後、両企業間の面談を行って、お互いのM&Aの意思を確認していきます。

⑥基本合意書の締結をする

初期の交渉と面談で話がまとまり、M&Aに合意したら、基本合意書を締結します。

基本合意書では、以下の内容を定めます。

  • ・現時点での暫定的な売却条件
  • ・今後の交渉に関する義務(一定期間の独占交渉権)

⑦デューディリジェンス

基本合意が締結したら、買い手企業はデューディリジェンスに入ります。

デューディリジェンスとは、投資対象となる企業や投資先の価値・リスクなどを調査することです。M&Aをする上で支障となる問題点やリスクを事前に抽出して、対応を検討します。

売り手側はデューディリジェンスに協力するために、調査に必要な内部資料を提供します。

買い手企業は、自社が行った調査結果に基づいて、買収価格を決定していきます。

⑧最終契約の締結

売り手企業と買い手企業間で、買収価格や従業員の処遇、法人の名義変更の有無など、最終条件を調整します。また、M&Aの内容について、サ高住の関係者や関係機関に連絡をして同意を得るケースもあります。

最終的な条件交渉で交渉がまとまれば、最終の契約締結を行います。

⑨売却実行

最終締結が完了したら、売却を実行します。

株式を譲渡する場合には、対価の受け渡し、株券交付、株主名簿書き換えによって売却が成立しますが、事前の手続きに手間がかかることもあるので注意しましょう。

事業を譲渡する場合には、事業に関わる資産、契約などを1つずつ買収企業に移転する手続きを行わなければなりません。

また、移転に際して登記を申請しなければならなかったり、契約相手方の合意が必要だったりすることもあります。売却が完了するまでには、相応の時間がかかることを念頭に置いておきましょう。

サ高住を売却する際の注意点

ここでは、サ高住を売却する際の注意点を解説します。

利用者への説明を十分に行う

売却する際には、サ高住に入居している利用者へ十分に説明をする必要があります。利用者側に何も説明せずに、売却してしまうと信用を失ってしまうでしょう。

サ高住では、敷金の受け取りを行っているケースが多いです。そのため、サ高住を売却する旨を利用者に説明する際には、敷金についての説明を行わなければなりません。

補助金にかかる事務処理を確認する

サ高住の整備では、補助金を受けているケースが多いです。

サ高住を売却する際には、法人名義や運営法人が変更されるので、補助金にかかる事務処理を行う必要があります。

届出の申請を忘れない

サ高住の中には、訪問介護事業所やデイサービスなどを併設して運営しているところがあります。

サ高住だけでなく、介護事業所やデイサービスも一緒に譲渡・売却する場合には、サ高住の届出申請だけでなく、介護事業所の所轄官庁への届出申請も必要です。

サ高住の所轄官庁と、介護事業所の所轄官庁は違いますので、それぞれ届出の申請を忘れずに行いましょう。

まとめ

本記事では、サ高住の動向や、売却時の流れなどを解説しました。

高齢者人口の増加に伴い、サ高住の需要は高いものの、人材確保が困難で経営が厳しくなっているケースや、施設間での入居者獲得が激化し入居者率が低下しているケースも多くなっています。

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