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2023/10/02

経営者保証ガイドラインの対象企業は?条件や利用後もわかりやすく解説

経営者保証ガイドラインの対象企業は?条件や利用後もわかりやすく解説

経営者保証ガイドラインは、中小企業にとって金融機関から融資を受けるためになくてはならない、中小企業の経営者保証に関する契約時及び履行時等における中小企業、経営者及び金融機関による対応についての中小企業団体及び金融機関団体共通の自主的ルールです。

本記事では、経営者保証ガイドラインの対象企業や条件を解説します。融資を考えている経営者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

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経営者保証ガイドラインとは

経営者保証ガイドラインとは、金融機関が中小企業に融資を行う場合に、企業経営や個人保証を求める際の対応などについてまとめたルールのことです。
2013年12月に経営者保証に関するガイドライン研究会が策定し、2014年2月1日より適用されています。
経営者保証ガイドラインは、経営者保証による負担やリスクを解消して、中小企業の思い切った事業の展開、新規起業、早期の事業再生や清算を後押しすることが可能です。

かつて、中小企業が金融機関から融資を受ける際には、経営者個人がその債務について連帯保証人になることが求められていました。
しかし、経営者が個人保証するのは非常にリスクが大きく、中小企業への融資で経営者保証を求める流れは、中小企業の成長や、早期の事業再生を阻害する要因になります。
そこで、中小企業の事業拡大を促進するためにも、経営者保証ガイドラインが策定されたのです。

経営者保証ガイドラインは、法的な拘束力はないものの、中小企業や経営者・金融機関が自発的に尊重・遵守することが期待されているルールです。
また、経営者保証を解除するかどうかの最終的な判断は、金融機関にゆだねられています。

経営者保証ガイドラインの利用対象企業

ここでは、経営者保証ガイドラインの利用対象企業について解説します。
自社が対象になっているか確認しましょう。

借入したい企業

金融機関からの融資を受けたい中小企業は、経営者保証ガイドラインの利用対象企業です。
中小企業では、株式上場による資金調達が厳しく、金融機関からの融資は企業活動の行方を大きく左右する問題になります。

業績が優れていても、資金を確保できない中小企業が多く、業績拡大のチャンスを逃してしまうのです。そこで借入したい中小企業が、経営者保証ガイドラインを適用できれば、一定の条件下で経営者保証がなくても、金融機関から融資を受けられる可能性があります。

経営者保証ガイドラインでは、金融機関に対して、適用対象となる中小企業の希望に応じて、経営者保証を求めない融資を検討するように求めています。
保証が必要な場合でも、金利の上乗せ、流動資産担保融資、停止条件・解除条件付きの保証契約など、代替的な手法によって融資を受けられる可能性が高いでしょう。

事業承継を検討する企業

事業承継を検討する企業は、経営者保証ガイドラインの利用対象企業です。
経営者保証ガイドラインでは、新規の融資だけではなく、既存融資の見直しにおいても利用でき、経営者保証ガイドラインの適用条件を満たしていれば、すでにある経営者保証を解除してもらえる可能性があります。

特に、既存融資の見直しでは、事業承継のシーンで効果的です。経営者が交代するケースや、第三者に経営を譲渡するケースでは、既存融資について経営者保証があることが足かせになってしまうことがあります。

経営者保証ガイドラインを活用し、経営者補償解除を実現することで、M&Aがスムーズに進行する可能性があります。

債務整理を行う企業

債務整理を行う企業は、経営者保証ガイドラインの利用対象企業です。
会社の債務整理をするシーンでも、経営者保証ガイドラインは利用できます。
中小企業が事業に行き詰ってしまった場合、負債を整理するのは経営者の生活基盤を失ってしまいます。

そのため、事業が行き詰まっても早期に事業再生ができなかったり、高利の無担保融資で運転資金を工面してしまったりと、状況が悪化するケースも少なくありません。

経営者保証ガイドラインを利用して債務整理を行うことで、保証債務の免除・減額、返済期限の猶予などが受けられるでしょう。
また、経営者個人が所有している一定範囲の資産を残せる可能性もあるのです。

経営者保証ガイドラインの利用対象となる債務整理は決まっており、以下の条件をすべて満たす保証契約になります。

・保証契約の主たる債務者が中小企業である
・保証人が個人で、主たる債務者である中小企業の経営者である
・主債務者と保証人の双方が、弁済や財産状況の開示等に誠実である
・主たる債務者・保証人がどちらも反社会的勢力ではなく、その恐れがない

借入・事業承継に経営者保証ガイドラインを利用する条件

ここでは、借入・事業承継に経営者保証ガイドラインを利用する条件を解説します。

法人・個人が分離している

借入・事業承継に経営者保証ガイドラインを利用する場合、法人資産と経営者個人の資産が明確に分離している必要があります。法人の経理と経営者の家計は、適切に分けておかなければなりません。

例えば、経営者個人が所有している自家用車を事業で使用しているケースでは、自家用車を法人名義に変更しておく必要があるのです。
自宅兼事務所など事実上法人・個人を分離することが困難な場合は、弁護士や税理士など専門家に使用状況を検証してもらい、その結果を金融機関に開示することが求められます。

経営者個人が使ったお金を法人の経費として計上してはいけませんし、法人から経営者に対して不要な貸付を行ってはいけません。
また、役員報酬など、会社と経営者との資金やりとりでは「社会通念上相当な範囲内」に収まるよう仕組みを作る必要があります。

財務基盤が強化されている

経営者保証なしで金融機関から融資を受ける際には、経営者の個人保証がなくても、返済能力に問題がないことを客観的に示さなければなりません。財政基盤がいい加減な中小企業の場合、万が一の場合に十分な返済ができないので、財務基盤が強化されていることが条件となります。

例えば、業績が好調で十分なキャッシュフローを確保していて、利益の貯蓄が十分であれば条件に当てはまります。
また、業績が不安定であっても、利益の貯蓄が潤沢で、借り入れ額をすべて返済する能力がある場合も問題ないでしょう。

その他、借り入れ金を全額返済できるほどの貯蓄がなくても、安定的な好業績が続いているケースでは、財政基盤が強化されているとみなされます。
財政基盤の強化は、中小企業の客観的な信用力の強化に直結する指標です。
経営者保証ガイドラインを利用して、経営者保証なしで金融機関から融資を受けたい場合には、財政基盤の強化に努めましょう。

経営の透明性を確保している

経営者保証ガイドラインを利用する場合、財務状況の正確な把握と、適時適切な情報開示による経営透明性を確保する必要があります。
経営者保証なしで金融機関から融資を受けるには「財務状況」「中・長期事業計画の進捗状況」「将来の業績の見通し」の3点を把握しなければなりません。

経営の透明性を確保するためには、弁護士や税理士など外部の専門家からチェックを受けて、金融機関に情報開示をしましょう。
もし、事業計画や業績の見通しが変更した場合には、自主的に金融機関に報告・説明するなど、誠実な対応が求められます。

債務整理したらどうなる?

経営保証ガイドラインを利用して債務整理をしたらどうなるのでしょうか?
ここでは、債務理後の変化をまとめます。

自由財産を残せる

経営者保証ガイドラインを利用して保証債務整理を行った場合、破産手続における自由財産に該当する財産に関しては、手元に残すことができます。
ただし、対象債権者の同意が得られることが前提です。

一定期間の生活費追加を検討してもらえる

経営者保証ガイドラインによる保証債務整理では、経営者が当面の生活に必要な資金を検討してもらえます。
ガイドラインには、金融機関に対して経営者個人の一定の生活費を保障し、生活の基盤を失わないように配慮することが求められているのです。

「華美でない自宅」に住める

経営者保証ガイドラインに基づく保証債務整理では、自宅を残せる可能性があります。
華美でない自宅不動産は、対象債権者の同意が得られれば手元に残せる財産です。
ただし、経営者が所有する自宅に担保権が設定されているケースでは、自宅をそのまま保持することは難しくなります。

返済しきれない債務は原則免除となる

経営者保証ガイドラインに基づいて保証債務整理を行えば、返済しきれない債務は原則減額・免除になるでしょう。中には、返済期限を猶予してもらえるケースもあります。
債務整理を申し出た時点で、保有する財産を換価処分する場合、返済しきれなかった保証債務は免除対象です。

信用情報機関には登録されない

経営者個人が債務整理をした事実に関しては、信用情報登録機関には載りません。
経営者保証ガイドラインによる保証債務整理では、事故情報としては登録されずに、次の時点で債務履行完了として信用情報登録される仕組みです。

経営者保証ガイドラインの相談窓口

経営者保証ガイドラインを利用したい場合、いきなり申請をするのではなく、経営者保証ガイドラインの適用を目指して、会社経営や財務基盤の改善を図っていく必要があります。
以下の窓口では、経営者保証ガイドラインの相談に乗ってくれるでしょう。

・中小企業基盤整備機構の地域本部
・政府系金融機関など経営者保証ガイドラインを取り扱っている金融機関
・商工会・商工会議所

まとめ

本記事では、経営者保証ガイドラインについてまとめました。
経営者保証ガイドラインによる適用を受けるためには、一定の条件があります。
外部の専門家に相談すれば、適用を受けられるように進められるでしょう。

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