業界毎の事例

2025/05/22

SaaS業界のM&A・事業承継動向!メリットや売却相場、2024年最新事例を解説

SaaS業界のM&A・事業承継動向!メリットや売却相場、2024年最新事例を解説

SaaS業界ではM&Aによって事業拡大や経営基盤の強化、新規参入を図る事例が見られます。

SaaS業界は日本国内・世界問わず今後成長や市場規模の拡大が見込まれる業界です。成長が著しい業界で業績を伸ばすために、M&Aは経営戦略上の重要な選択肢の1つとなっています。
本記事では、SaaS業界の現状やM&A・事業承継の動向・事例、M&Aを行うメリット、売却価格・相場の計算方法を紹介します。

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SaaSとは

SaaS(サース)とは「Software as a Service」の頭文字をとった用語で、日本語では「サービスとしてのソフトウェア」を意味します。インターネットなどのネットワークを経由して使えるソフトウェアや、そのようなソフトウェアを使える仕組み・サービスを指します。

ソフトウェアを導入する際、従来はパソコンにインストールするタイプが多かったものの、SaaSの場合にはインストールの作業は必要ありません。ソフトウェアがサービス提供事業者のサーバー上にあるため、ネットワーク環境がありアクセスさえできれば利用できます。

SaaSはカーナビなどの位置情報提供サービスや会計ソフト・勤怠管理ソフトなどで活用されています。

SaaS業界の現状

SaaS業界は今後成長が見込まれる業界であり、M&Aによる事業規模拡大や新規参入を行う事例が見られます。以下では、SaaS業界の市場規模やM&Aの動向など、SaaS業界の現状について紹介します。

SaaS業界の市場規模

株式会社富士キメラ総研の調査によると、SaaS業界の国内市場は近年急激に増加しています。2023年度におけるSaaS市場の売上見込みは1兆4,128億円であり、前年度比117.1%で増加するとしています。SaaS市場は今後も高い成長率で推移し、2027年には市場規模が2兆990億円にまで増加する見込みです※1

また、日本だけでなく世界のSaaS市場も拡大を続けています。アメリカのリサーチ会社であるGartner社の調査によると、世界のSaaS市場規模は2024年に約2,472億ドル、2025年には約2,950億ドルにまで増加すると予測が立てられており、今後も世界全体で市場の拡大が見込まれています※2

市場規模拡大の背景としては、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスの需要が増加していることや、DX(デジタルトランスフォーメーション)の普及が寄与していると考えられます。

※1出典:株式会社富士キメラ総研「企業向けソフトウェア48品目の国内市場を調査
※2出典:Gartner社「Gartner Forecasts Worldwide Public Cloud End-User Spending to Surpass $675 Billion in 2024

SaaS業界のM&A動向

近年のSaaS業界では以下のようなM&Aの事例が見られます。

・同業者同士のM&Aによって競争力アップ・市場シェア拡大を狙うケース
・SaaS業界に新規参入するため他業種の企業がSaaS業界の企業とM&Aを行うケース

今後も成長が見込めるSaaS業界において、ビジネスチャンスを活かすために事業規模を拡大して業績を伸ばす場合、M&Aが事業戦略上の選択肢の1つとなっています。

M&Aによって同業他社を買収できれば、自社だけで事業規模を拡大する場合よりも早く市場シェアを拡大でき、他社との競争で優位に立つことが可能です。

また、SaaS業界に新規参入する際、ゼロから事業を立ち上げると時間も手間もかかりますが、SaaS業界内の既存企業をM&Aによって買収すれば、素早く市場に参入できます。業種によっては、SaaS業界の企業と結び付くことでシナジー効果が生まれる場合もあります。

一方、SaaS業界では高い技術力が求められているものの、エンジニアなど専門性の高い人材が不足している傾向にあります。専門的な知識・スキルを持つ人材を自社で育成すると時間がかかり人材確保が鍵となる中、M&Aが人材確保の手段の1つとなり得ます。

SaaS業界でM&A・事業承継を実施するメリット

SaaS業界のM&A・事業承継動向!メリットや売却相場、2024年最新事例を解説

SaaS業界でM&Aを実施すると様々なメリットがあります。
以下では主なメリットを紹介します。

譲受企業(買い手)のメリット

譲受企業(買い手)から見た場合、M&Aの主なメリットは以下の3つです。

・業界内での競争力・優位性を高められる
・優秀な人材を獲得できる
・コストやリスクを抑えながらSaaS業界に進出できる

M&Aで同業他社を買収すると、買収先企業が持つ事業基盤やノウハウ、優秀な従業員を取り込むことができ、業界内での優位性を高めることができます。

また、他業種の企業がSaaS業界に進出する場合、新規に事業を立ち上げるとノウハウがなく、時間がかかったり失敗したりするリスクがありますが、M&Aによって既存企業を買収すれば、コストやリスクを抑えながら新たな業界に進出できます。

譲渡企業(売り手)のメリット

譲渡企業(売り手)から見た場合、M&Aの主なメリットは以下の4つです。

・事業基盤の強化・サービスの拡大・経営の安定化を実現できる
・後継者不足でも事業承継によって会社を存続できる
・エンジニアを育成し、待遇を改善できる場合がある
・事業を売却すれば売却益を得られる

M&Aによって他企業の傘下に入れば、事業基盤が強化され提供サービスを拡大できたり、コスト削減によって経営状態が改善され経営が安定できたりする場合があります。

また、親族や社員に後継者が見つからずに廃業を検討している場合でも、M&Aによって第三者に買い取ってもらえれば、事業を存続でき従業員の雇用を守ることが可能です。

M&Aによって複数の企業が持つスキルやノウハウが合わされば、エンジニアの育成に活用でき、育成効率を高められる可能性があり、従業員の雇用契約内容が変更になるケースではM&A前よりも待遇が良くなる場合があります。

そして、事業譲渡によってSaaS関連事業を売却して他事業と切り離すケースでは、売却によって得た資金を他事業に使うことができるため、資金獲得の手段としてM&Aを活用することもできます。

SaaS業界におけるM&A・事業承継の売却価格・相場の計算方法

SaaS業界のM&A・事業承継動向!メリットや売却相場、2024年最新事例を解説

SaaS業界は成長が著しく変化が激しい業界であり、M&A・事業承継の内容は多様化しています。M&Aを実施する際の売却価格が一概にいくらであると判断することは難しいため、ケースごとに企業規模や業績の状況を踏まえて売却価格の検討が必要です。

M&Aの売却価格の計算方法にはいくつかの方法があり、自社に適した方法を用いて売却価格を算出する必要があります。会社の資産価値や将来期待される収益をもとに売却価格を算出する方法や、自社と類似する企業のM&A事例における売却価格を参考にする方法など、売却価格の相場の確認方法は様々です。

M&Aの価格相場や算定方法について詳しくは以下の記事で解説しています。あわせて参考にしてください。

▷関連記事:「会社売却の相場とは?決め方や高く売るポイント、必要な諸経費について解説
▷関連記事:「M&Aの価格相場や算定方法とは?3つのアプローチと注意点

SaaS業界のM&A・事業承継で失敗しないためのポイント

SaaS業界のM&Aにおける主な注意点は以下の4つです。

・情報漏洩リスク
・迅速なM&A実行
・目的の明確化
・M&A仲介会社への相談

M&Aに関する情報が事前に洩れてしまうと、従業員や取引先が不安を感じ、混乱が生じてしまう可能性があります。M&Aを検討するときは情報管理を徹底することが重要です。

SaaS事業をはじめとするIT業界では、M&Aの成約まで期間が短い傾向にあるため、M&Aのスピード感を意識することも重要であり、M&Aの検討や対応に迅速さが求められます。

M&Aの候補先企業と交渉する際は、自社として譲れない条件を明確にしておくことも大切です。M&Aを行う目的を明確にしたうえで、具体的な内容や条件を事前に整理するようにしてください。

また、M&Aの実施には専門知識が必要になるため、自社だけで対応するのは難しい場合が多いです。そのため、M&A仲介会社などの専門家に相談することが一般的です。複数のM&A仲介会社を比べてサービス内容や報酬体系、得意な業界などを比較し、自社に適した専門家を見つけて依頼しましょう。

【2024年度最新】SaaS業界におけるM&A事例

SaaS業界では近年、実際にM&Aが行われた事例がいくつか見られました。以下では主な事例を紹介します。

株式会社fonfunによる株式会社イー・クラウドサービスの子会社化・株式会社ゼロワンのSaaS事業譲受

2024年3月、株式会社fonfunは、株式会社ゼロワンが営むノーコード業務アプリ開発SaaS事業を譲受することを発表しました。ノーコード業務アプリ開発SaaS事業は、顧客のDX推進においてシステム開発の生産性を向上させることが期待できるソリューションであり、fonfunのSMS事業とのシナジー効果が期待されます。

また、2024年07月、株式会社fonfunは、株式会社イー・クラウドサービスの全ての株式を取得して子会社化することを発表しました。DX事業の創出に重点を置くfonfunが、飲食業界向けのクラウドサービスを展開するイー・クラウドサービスを子会社化することで更なる業績の向上が期待されます。

NTTデータグループによるProvenTech Consulting Private Limited社の買収

2024年6月、株式会社NTT DATA, Inc.は子会社であるNTT DATA Business Solutions AG社(NDBS社)を通じて、インドのProvenTech Consulting Private Limited社を買収することで最終合意したことを発表しました。

独自のSaaSソリューションを活用して事業を拡大してきたProvenTech社の専門知識や顧客基盤を取り込み、グループ全体におけるグローバルプレゼンスとSAPケイパビリティを活用することで、イノベーションにつながることが期待されます。

まとめ

今後市場の規模拡大・成長が見込めるSaaS業界では、M&Aを行うことで新規参入や事業規模拡大を実現でき、さらに収益を上げられる可能性があります。

買収側にとっては事業基盤を強化できて競争力を高められる点や人材を獲得できる点がメリットであり、売却側にとっては経営の安定化や後継者問題の解決などのメリットがあります。

M&Aを行う場合は情報管理を徹底し、目的を明確にして検討を進めることが重要です。M&Aを検討する際には専門的な知識が必要になるため、一般的にM&A仲介会社などの専門家に相談・依頼して進めます。

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