経営・ビジネス

2023/10/03

アップセルのメリット・デメリットとは?成功させるためのポイントも解説

アップセルのメリット・デメリットとは?成功させるためのポイントも解説

「顧客によりよい商品を購入してもらうため」に営業手法として用いられるのがアップセルという手法です。
アップセルが成功すれば、売上アップにつながりますが、失敗すれば顧客離れのリスクもあります。

そこで本記事では、アップセルのメリット・デメリットや、成功させるためのポイントを解説します。
アップセル成功の具体事例も3つご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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アップセルとは?

アップセルとは、顧客が購入を検討している商品より「さらに質の高い商品の購入やサービスの加入を促す」営業手法を指します。

《アップセルの一例》
・iPhone13からの乗り換えに、iPhone14をすすめる
・5年使った洗濯機が壊れた顧客に、新機能搭載付き洗濯機を紹介する

顧客のニーズに合った高機能、高単価の商品を提案することで、企業売上アップに貢献します。
アップセル手法を用いた商品販売のパターンは、以下の3つです。

【アップセルを用いた提案方法】
・上位商品やグレードアップの提案
・単発購入から定期コース変更の提案
・まとめ買いの提案

上位商品・グレードアッププランの提案が通れば、顧客一人当たりの単価を上げられます。単価を上げるには、前回の購入品より高級な商品や月額費が高いプランの提案が必須でしょう。

定期コースの提案をすることで、売上額の継続を狙うのもアップセル手法の一つです。無料体験コースを試している顧客に対して、定期コースの購入を提案することで、月会費や年会費を獲得できます。

まとめ買いの提案でお得感を出し、一回あたりの購入額を上げるのもアップセルの有効な手段です。
前回購入してもらった商品のセット販売や、大量購入で送料を無料にする施策もこの手法に該当します。

クロスセルとの違いは?

アップセル同様、顧客単価向上を目的とする営業手法に「クロスセル」があります。クロスセルは、顧客が購入を検討する商品と「関連性があるモノ」を提案して、売上げを伸ばします。

《クロスセルの一例》
・テイクアウトでハンバーガーを注文した顧客に、ドリンクをすすめる
・子どものオモチャを購入した顧客に、乾電池をすすめる

アップセルとクロスセルの違いは、以下のとおりです。

「アップセル」・・・購入または検討商品より、さらにグレードの高い商品を提案
「クロスセル」・・・購入または検討商品と関連性の高い商品を提案

2つの手法に違いはありますが「売上げをさらに伸ばす」という点が共通事項といえるでしょう。

アップセルのメリット

アップセルには、企業成長に直結する3つのメリットがあります。

【アップセルのメリット】
・顧客単価を上げられる
・業務を効率化できる
・顧客満足度を上げられる

ここでは上記のメリットを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

メリット1:顧客単価を上げられる

アップセルのメリットの一つは「顧客単価を向上できる」点です。自社製品に高評価を得られれば、リピート購入により将来的にも多くの利益が生じます。
リピート購入には、以下の工夫を意識しましょう。

・高機能、高価格の商品を購入してもらえる工夫
・上位商品が魅力的に見える工夫

顧客のニーズを満たしながらアップセルが成功すれば、企業の底上げに直結できます。

メリット2:業務を効率化できる

アップセルは、効率的に売上向上を狙える手法です。売上向上のためには新規顧客の獲得が有効ですが、商品の広告やセールスに多額のコストと手間がかかるのが実情です。すでに自社商品を理解している顧客にアップセルを用いることで、低コストで売り上げ増加を期待できるでしょう。

メリット3:顧客満足度を上げられる

アップセルも用いた商売は、顧客満足度の向上にもつながります。自社商品を周知している顧客に、より高スペックな商品や上位プランに乗り換えてもらうことで、質の高いサービス提供が可能に。

顧客のニーズを把握したうえでのサービス提案は、顧客との信頼関係が構築されていくのです。アップセルによる商品売買は、以前よりも高スペックな商品や質の高いサービスを受けられるので、顧客満足度が向上するでしょう。

アップセルのデメリット

どの顧客に対しても強引なアップセルの営業は、顧客損失につながりかねません。アップセルのデメリットも理解したうえで、営業活動に取り組むことをおすすめします。

【アップセルのデメリット】
・顧客離れが起きる可能性がある
・押し売りと判断されるリスクがある

ここでは、上記のデメリットを2つ解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

デメリット1:顧客離れが起きる可能性がある

目先の売上のみを目的とした営業は、顧客離れに直結します。強引な営業や、顧客ニーズを満たさないまま商品の紹介を続ける営業は顧客に嫌われるので注意しましょう。
顧客の気持ちを理解したうえでの商品販売を心がけると、アップセルの成功につながります。

デメリット2:押し売りと判断されるリスクがある

商品の購入を検討する際に、店員からのしつこいサービスがあると、顧客には「押し売りされている」ように感じます。自社商品の魅力を伝えたいがために営業に力みすぎては、顧客が引いてしまうでしょう。たとえ商品がよくても、顧客を優先できない売買は売上げ低下だけでなく、企業のイメージダウンにもつながりかねません。
他社商品に乗り換えられないためにも、顧客の気持ちを理解する販売を心がけましょう。

アップセルの事例

多くの企業がアップセルに成功していますが、ここではアップセルの成功事例を3つご紹介します。

【アップセル3つの成功事例】
・Amazon
・Dropbox
・ヤクルト球団

上記の事例を詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

Amazon

自然な流れでアップセルを実施しているのが、ネットショッピングのAmazonです。商品ページをクリックすると「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」と表示されます。

この表示がまさにアップセル手法で、顧客が自ら検索した商品よりも価格の高い商品が紹介される仕組みです。商品購入前によりスペックの高い商品を紹介することで「まだ自分の知らない良品があるかもしれない」と、顧客の気持ちが揺さぶられます。
良質な商品を見た顧客は、自然と上位商品のページに移動しやすくなるでしょう。

Amazonの商品表示欄は購入導線が分かりやすく、購入方法がお手軽な点から売上向上につながっています。

Dropbox

「Dropbox」は、データ共有や同期ができるオンラインストレージを提供する企業です。Dropboxのサービスには、2GBまで無料で利用できるプランがあり、より多くのデータ容量が必要な場合はストレージを購入する流れです。

データ容量が減るタイミングで、Dropboxから有料プラン購入を促すお知らせが届きます。ユーザーは「データが欲しいタイミングでお知らせを受け取る」ので、ストレージ購入しやすくなるのです。

さらにDropboxは、友達に紹介すると保存容量を増やすという「友達紹介制度」を導入しています。とある企業内でDropboxの「友達紹介制度」が広まり、同一企業内の社員にDropboxが周知されたこともあります。社内で周知されたタイミングでビジネスプランへ誘導したところ、加入増加へとつなげられました。

ヤクルト球団

プロ野球の「ヤクルト球団」は、球団・選手のファン心をくすぐるアップセル戦略に成功しています。
ヤクルト球団のファンクラブ「Swallows CREW」のグレードは、以下の6つ。

・ライト
・燕征
・キッズ
・レギュラー
・ゴールド
・プラチナ

ライトからプラチナ会員まで6つのグレードが設けられ、各グレードに異なる入会特典がついています。特に、プラチナ会員への入会は「豪華特典や先行チケット販売」といった、ほかにはない特典が満載。
13,300円/年の会費が必要ですが、絶大な人気を誇るプランのため、2023年の会員募集はすでに終了しています。

アップセルで成功するためのポイント4つ

アップセルに失敗しないためにも、取り組む前に押さえるべきポイントがあります。

【アップセルで成功するためのポイント4つ】
・顧客のニーズを分析する
・顧客のベネフィットを提示する
・無理な営業をしない
ターゲットを見極める

ここでは、上記のポイントを解説します。

①顧客のニーズを分析する

いくら自社商品に自信を持って営業しても、顧客のニーズとズレがあれば、当然商品購入には至りません。顧客に気持ちよく商品を購入してもらうためには、顧客情報の分析や、顧客の表情の変化などからニーズを見極める必要があります。企業であれば、セミナーや研修にて「顧客ニーズをどう読み取るか」従業員教育をするとよいでしょう。

②顧客のベネフィットを提示する

購入商品やサービスのアップグレードによって得られる「お得感」や「ベネフィット」を顧客に具体的に伝えることが、成功のカギです。

・受けられるサポート
・新機能の利点

上記のように「購入により得られるメリット」をいかにイメージしやすく伝えるかがポイントになるでしょう。顧客が提案された上位商品で使用感を想像していて「以前の商品より優れている」と感じられれば、購入の可能性が高まります。

③無理な営業をしない

アップセルの提案の際、顧客離れが起きてしまう原因の一つが「無理な営業」です。より高額な商品を販売したいと思うあまりに、ユーザーニーズを無視した営業ばかりでは顧客の信頼を失います。アップセルは、上位商品を購入してもらうための手段であり、顧客に無理やり商品を売りつけるものではありません。
顧客の満足度をあげながら「いかに気持ちよく商品を使い続けてもらうか」を念頭に置き、アップセルすることが大切です。

④ターゲットを見極める

アップセルは「以前商品を購入した顧客全員」に有効な営業手法ではありません。現在の商品に満足していたり、低価格の商品を好んで購入していたりする顧客に、いくらアップセルを行っても時間の無駄になります。
ターゲットを見極めるためにも、何気ない会話から商品購入状況や顧客情報を収集しましょう。

まとめ

今回は、アップセルのメリット・デメリットや、成功へ導く4つのポイントを解説しました。
アップセルは、営業職なら売上向上のために誰もが身につけたい営業手法です。
身近なサービスにも、アップセルを活用している事例が数多くあります。

顧客満足度を高められる上位商品を準備できれば、アップセルにより顧客単価を向上させることも可能です。信頼を得ながら、顧客のニーズをかなえることがアップセル成功のカギとなるでしょう。

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