自社とのシナジーが見込めるような魅力的な企業が現れた場合、資本提携を検討することもあるでしょう。しかし、資本提携は業務提携と混同されることも多く、違いを明確に認識しておかないと、どちらが自社に適しているのか判断することが難しくなります。

本記事は、資本提携の定義や業務提携との違い、契約書の記載事項について丁寧に解説していきます。


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資本提携の定義や業務提携との違い

まずは資本提携の定義や業務提携との違いを説明していきます。

資本提携の定義

資本提携とは、経営権を取得しない範囲で他の企業の株式を持ち、出資することで協力関係を築く手法を指します。このとき、一方だけが株式を持つ場合が一般的ですが、双方で持ち合う場合もあります。法令によって明確に定義された言葉ではなく、広義の意味では株式譲渡や株式交換、株式移転など経営権を取得する手法まで含んで、資本提携とする場合もあります。本記事においては経営権を取得しない範囲で株式を取得するものとして定義して説明します。

出資を受けることで資本を強化し与信を高めることや、双方において業務上の支援を行うことが資本提携の主な目的です。資本を提供しない業務提携だけを行う場合と比べると、強固な関係が構築できることが特徴として挙げられます。そのため、長期的・戦略的な提携を望む場合には資本提携を活用することが多くなります。多くの場合、経営に影響を与えないためにも、特殊決議が必要な議案を単独で否決できないように、1/3未満の株式比率にします。

具体的な手法としては、株式譲渡もしくは第三者割当増資のどちらかにより行います。

▷関連記事:株式譲渡とは?中小企業のM&Aで最も活用される手法のメリットや手続き、事前に確認しておくべき注意点を徹底解説
▷関連記事:M&Aの手法としても活用される「第三者割当増資」とは?メリット・デメリットや手順について細かく解説

業務提携との違い

資本提携と業務提携の大きな違いは、株式の取得という資本の移動があるかどうかです。

一般的に、資本提携は共同で商品開発や商品の相互供給などの業務連携を達成するために行われますが、一般的に資本提携は資本の上だけで連携する手法を指し、業務提携は業務の上だけで連携する手法を指します。

業務提携とは、独立した企業同士が資本関係を築かずに行う事業における提携です。お互いの技術や人材などの経営資源を持ち寄り、シナジー効果を作り出すことを目的としています。相手企業のノウハウや販売網などを低コストで利用することができることが特徴です。

さらに、業務提携の代表的な手法として以下の3つがあります。

  • 技術提携
  • 技術資源や技術開発に関するノウハウを共有する手法です。共同開発を行う場合も、これに当たります。

  • 共同開発
  • 生産工程の一部(機器や人材)を共有する手法です。設備投資なしに生産性を上げることも可能です。

  • 共同販売
  • 販路や製品を共有する手法です。他社のブランドや人材を借りて営業力を上げることが可能です。

なお、資本提携と業務提携を同時に行うことは「資本業務提携」と呼ばれており、広義のM&A手法の1つでもあります。

▷関連記事:M&Aの「業務提携」とは?M&Aと提携の違いは?アライアンスの基礎知識

資本提携のメリット・デメリット

資本提携では資本が注入されるため、出資先企業・出資元企業双方にとって業務提携より深い関係になります。資本提携のメリット・デメリットは下記の通りとなります。

資本提携のメリット

資本提携による主なメリットは以下の3つです。

出資元企業は、出資先企業と強い関係性を持つことができる

出資先企業に資本を投入することで、出資元企業は出資先企業と強い関係性を持つことができます。関係性が強化されるため、仕入れや販売などの取引において、他社よりも有利な条件で取引ができることもあります。共同での開発・販売においてもも強固な関係で進めることができるため、スムーズに進むことが見込めます。

小さいリスクで他社の資本を活用できる

出資比率を一部に留めておくことで、経営上のリスクを軽減することができます。株式譲渡等で子会社化する場合と比べて、一部であれば、資本提携後に事業がうまく行かないなどの事態が起きたとしても、負債を負うなどのリスクを抑えることも可能です。

なお、株式を過半数以上取得していなくても、20%以上の議決権を持ち、技術提供、販売・仕入れなどの支援を行い重要な影響を与えると「持分法適用会社」とみなされ、財務諸表上の「投資有価証券残高」に影響を与える可能性があります。そのため、リスクは少なからず存在する点に注意が必要です。

出資元企業から資本を受け入れることができる

出資元企業に増資のための新株を引き受けてもらうことにより、資本金が増え財務体質が改善されます。資本金が増えることにより企業の与信が改善し、取引先や取引内容の見直しを図ることが可能になります。また、増資で増えた資金は、投資や借入金の返済にもあてることができます。

資本提携のデメリット

一方、資本提携にはデメリットもあります。業務提携に対して資本提携は資本での結び付きのため、資金調達や経営への介入などを考慮する必要があります。

出資元企業が経営に介入してくる可能性がある

例えば、出資先企業の株主構成が経営者の親族に限られていた時は自由に経営判断できたものの、第三者が株主に加わることで、経営に介入されることがないとは言い切れません。資本提携をする際は、経営に影響を受けない程度で留めるために、譲受企業に与える株式は全株式のうち1/3未満に留めるのが好ましいでしょう。1/3を超えると特別決議が必要な議案を単独で否決できるため、経営に影響を及ぼします。

株式の買取を要求される可能性がある

出資元企業から予期せぬタイミングで株式の買取を要求される可能性がある点は、出資先企業にとってのデメリットとして挙げられます。その場合の株価は、時価よりも高い金額での提示を求められることもあり、交渉が難航することもしばしばあります。株式を買い取るとなると、資金の調達方法などで難しい調整を迫られることもあるのです。

資本提携の契約書の書き方

資本提携のための契約書には以下の内容などを契約書や、それに付随する覚書に盛り込みます。資本提携の契約は会社法において定義されていない契約のため、当事者間の合意で契約内容を決定します。そのため以下の項目は一例です。

  • 資本提携の目的
  • 資本提携の時期
  • 資本提携の内容
  • 協議事項

それぞれの項目について、見ていきましょう。

資本提携の目的

ひとことで「資本提携」と言っても、さまざまな目的が考えられます。この条項で定義しておくことで、目的や業務範囲が明確になります。

提携後、条項の解釈に疑義が生じた場合、解釈の指針として活用されます。

資本提携の時期

資本提携の時期を記載します。例えば、下記のように記載します。

(例)甲および乙は、平成31年3月3日を目処に資本提携をする。

資本提携の内容

資本提携を行うにあたって、どの種類の株式を何株、どれくらいの価格でいつ取得するのか、どれだけの株式比率およびどのような手法で株式を譲るかを記載します。また他にも、出資した資金の使い道や株式の発行価格、どのような提携を行うかについてもこの契約書にて具体的に規定します。

協議事項

契約書において規定していないが、後に発生が予測される事項などについては、協議事項として明記しておきます。この内容を記載することで後のトラブルを防止することができます。

実務上においては、業務提携を企図せず資本提携だけを行うことはあまりなく、資本業務提携を行うことが大半です。資本業務提携を行う際には株式譲渡もしくは第三者割当増資に関する契約を締結する必要があります。

まとめ

本記事では資本提携・業務提携の概要やメリット・デメリット、契約書の内容について解説しました。資本提携は独立している2つの企業が、相手の株式を取得してより強い関係になることを目指す提携です。

資本提携は株式譲渡で子会社化するよりも費用を抑えることができ、提携する両社ともに経営・財政上で相乗効果が見込め、経営リスクが軽減されるメリットがあります。しかしながら、株式を付与するため経営に介入される可能性もあることがデメリットとして挙げられます。また、資本提携をする際には、契約書を作成します。契約書の中には、資本提携の目的や内容、時期、協議事項などを盛り込みます(あくまで一例です)。

以上のメリット・デメリットを把握した上で資本提携を実施するようにしましょう。