サイトM&A

サイトM&Aとは何か?

「サイトM&A」とは、文字どおりウェブサイトのM&A(売却・買収)を指します。一般の企業間で行われているM&Aと同じく、ウェブサイトやサイトを通して展開する事業を他社に譲渡したり、他社から譲受したりすることです。また、サイトM&Aは「サイト売買」とも呼ばれます。

個人であれ企業であれ、自ら構築して育ててきたウェブサイトは、我が子も同然です。愛着のあるサイトを手放すのは寂しいものですし、まだ成長途上のサイトであれば、将来性を手放すのが惜しい気持もあるかもしれません。

しかし、サイトを開設したものの、アクセス数が伸び悩んでいたり、思ったより収益や効果が得られなかったりといったこともあります。ビジネスとしては成り立っているけれども、事業を整理したいといった場合もあるでしょう。そうした際に、サイトM&Aを検討する譲渡企業もあります。

また、多くのユーザーがアクセスし、将来性が見込めるような優良サイトであれば、より有利な条件で譲渡することもできるでしょう。さらに、譲受した企業側では、そのサイトの魅力をさらに発展させて、多くの顧客を獲得できます。本記事では、ネット関連企業のあいだで行われているサイトM&Aについてご紹介しましょう。

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知識と交渉力がサイトM&Aの成否を決める

今、新たなトレンドとして熱い注目を集めている「サイトM&A」。数多くの仲介サービスを通じて億を超える取引が行われている一方で、どのように相手を探し、どう交渉を進めればいいのか分からないという声も少なくありません。そこで本資料では、サイトM&Aの基本的な流れから交渉の進め方、より良い条件で譲渡するためのポイントまで、正しくサイトを売るための5つの秘訣をご紹介します。
 
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サイトM&Aのメリットは?

サイトM&Aを行うことで得られるメリットを、譲渡側と譲受側の2つの視点に分けて整理してみましょう。

譲渡側にとってのサイトM&Aを行うメリット

ビジネスモデルや業界によって差はありますが、基本的にウェブサイトの運営にはコストや大きな手間がかかります。ネット関連企業では、一般的に数多くのウェブサイトを同時に運営していますが、それにかかるコストやリソースの総計は決して少なくはありません。

しかも、それらのサイトはアクセス数やコンバージョン数、収益性、将来性といった点でかなりの差があります。

そこで、収益性が高く経営戦略上で必要なサイトだけを残し、他のサイトは売却するなどして整理することで、中核事業にコストやリソースを集中させることで効率よく事業を運営できることになります。ネット事業の選択と集中により、効率化を図れるのがサイトM&Aの大きなメリットです。

また、多くの場合でサイトを譲渡することにより資金を得られます。サイトM&Aの相場は「月間売上×20〜30ヶ月分」といわれており、収益の数年分にあたるキャッシュを一度に獲得できます。

ウェブサイトは実体のないものではありますが、企業にとっては価値のある資産です。優良サイトになると数百万円、時に億単位で評価額がつく場合もあります。もちろん、そのサイトにどれほどの値がつくかはケースバイケースです。

サイトM&A

例えば、「資金調達プロ」のM&Aはその最たる例と言えます。2015年にリリースされた同サイトは、資金調達にまつわる専門家の情報を集めた個人運営ポータルサイトです。アフィリエイトによる収益性の高さが評価された結果、3年後の2018年に、月間売上の4~5年分に相当する6億2,000万円という金額で上場企業である株式会社セレスに事業譲渡しています。

近年では、こうした点に着目して、「サイトを作り、育てて売る」ことで事業資金を得る起業家も増えています。譲渡によってまとまった額の資金が得られれば、それを別の事業に回したり、新規事業を起こしたりすることもできるでしょう。

▷関連記事:【専門家が解説】Webサイト売却で6億2000万円?IT業界のM&A事例18選

譲受側にとってのサイトM&Aを行うメリット

譲受側のサイトM&Aを行うメリットは、新規事業をすぐに始められることです。例えば、「コスメやサプリのECサイトを運営したい」という場合、新たにドメインを取得して一からサイトを構築していくと、時間もコストもかかります。

また、ウェブページを制作し、受発注の機能を実装し、実務を行うスタッフを雇用するなど、一通りの準備をするだけでも多くの工数がかかります。さらに、そこに人を集めるには、広告を配信するなどの施策を打たなくてはなりません。

ところが、すでに一定のアクセス数や読者、顧客を確保しており、ある程度の実績を持つサイトを譲り受けることができれば、すぐに事業を始めることができます。

入れ物はそのままでも、運営方針や扱う商材を見直すことによって、イメージしたとおりのサイトに変えていくことも難しくありません。「作って育てる」という時間とコストをかけず、一から立ち上げるより早く新規事業をスタートできるのは、譲受側の大きなメリットです。

サイトM&Aの手続きにおける注意点

サイトM&A

一般的なM&Aにおいても注意点があるように、サイトM&Aを行う際にも気を付けておきたいポイントがあります。特に、サイトM&A成立後には、ウェブサイトの引き継ぎという具体的な作業を伴います。現状のサイトが止まってしまわないように、譲渡側と譲受側が協力して引き継ぎを進めなければなりません。

どんな引き継ぎ作業になるのかは、サイトの特徴やジャンルによって細部に違いもありますが、共通しているのは以下のようなポイントになります。

① ドメインの移管を管理会社に申請する

ウェブサイトの住所であるドメインは、ドメイン管理会社によって管理されています。そのため、まず譲渡側で管理会社に移管の申請を出し、手続きをします。細かなやり方は管理会社によって違いますが、さほど難しいことはありません。

② コンテンツの移管は外部の権利に注意する

サイトM&A

管理画面をはじめ、サイトで使用している画像やデザインデータなどのコンテンツをとりまとめ、譲受側に引き渡します。このときに注意したいのが、著作権の所在です。

フォトグラファーに依頼して撮影した画像や、外部のライターが作成した記事、サイト内で使用しているシステムなどの所有権は、必ずしもサイトの所有者にあるとは限りません。契約内容によっては、コンテンツを作成した人に所有権や著作権がある場合もあります。

そのままではサイトの売却そのものができませんので、特に外注したコンテンツについてはその権利の所在を確認するようにしましょう。そして、既存のコンテンツがそのまま掲載し続けられるよう、許可を取る必要があります。

③ サーバーの移管には選択肢がある

データを置いておくサーバーに関しても、そのまま引き継ぐか、あるいは別のサーバーを立てるかを選択します。移管する必要がないのなら、サーバー管理会社に名義変更の申請をすることになります。

なお、譲受側がすでに別のウェブサイトを運営している場合には、サーバー管理会社は一本化しておいたほうが、管理の負担が少なくなる場合が多いでしょう。その際には新たにサーバーを立て、移管する手続きをとります。

④ 運営ノウハウの移管はきめ細かに

サイトの種類によって、運営するための実務作業は大きく異なります。日常的に行う更新作業や問い合わせへの対応、週ごとや月ごとなどに行うメンテナンスなど、運営の実務内容は細かく多岐にわたります。

そのため、譲渡側でこれまでの運用マニュアルをまとめ、譲受側に引き継ぐといいでしょう。また、譲渡後に、マニュアルには記載していないイレギュラーな事案が突発的に発生することもあります。

そのため、譲渡側はM&A実施後も一定期間サイトの運営に関わり、譲受企業からの問い合わせに対応ようにしましょう。いずれにせよ、運営のノウハウはできるだけ詳細にマニュアル化し、もれなく引き継ぐことが重要です。

⑤ 外部スタッフの引き継ぎもしっかりと

サイトの運営に外部スタッフが大きく関わっているのであれば、そこでも引き継ぎが必要です。定期的な記事の投稿、さらにはサイトの運営そのものを外部に任せている場合には、サイトの所有者が代わることを知らせた上で、引き続き運営を継続してもらえるようにしましょう。

ECサイトでは、受発注業務や倉庫からの発送など、外部に委託している部分は多いでしょう。その場合には、新たな所有者の名義で契約し直すことにもなるので、契約条件を確認の上、しっかりと引き継いでおきましょう。

売れるサイトと売れないサイトの違いとは?

サイトM&A

さて、最初にご紹介したように、ウェブサイトの評価額はまちまちで、時に非常に高い金額で売却できることもあります。他方では、なかなか譲り受け先候補が見つからず、見つかったとしても評価額が低いということもあります。

こうした違いは、おもにサイトのビジネスモデルや扱っている商品・サービスの価格帯などによって生まれます。そこで、売れるサイトと売れないサイトの違いを考えてみましょう。

ビジネスモデルによる大きな違い

一般的にサイトM&Aで譲受側から人気があり、それゆえ価格も高めになるのは、アフィリエイトやアドセンスによって安定した収益を上げているサイトです。これらのモデルは、「日々、手を入れなくてはならない」というものではありません。つまり、ある程度放置しておいても、稼いでくれるサイトです。

一方、ECサイトでは、受発注業務や顧客対応などに工数がかかるため、サイトM&Aのニーズは、比較的多くはありませんが、商材や売上次第では大きな譲渡対価を得られる可能性もあります。

需要の多い価格帯は100万円まで

サイトM&Aでは、数百万円から数千万円という高値がつく場合もありますが、そうしたサイトは運営にもそれなりの時間やコストがかかります。そうなると、「サイトを譲り受けて手早く事業を始めたい」という譲受側のニーズがあったとしても、リスクが高すぎることもあります。

売れやすく買いやすいサイトというのは、現状の運営である程度の収益があり、運営のハードルも高くなく、失敗しても納得して損切りできるレベルのサイトです。金額的にはおおよそ50万円から100万円までが、需要の多い価格帯と言われています。

SEOの状態によって価格もニーズも変わる

サイトM&A

ビジネスサイトの運営では、検索エンジンのアルゴリズムに対応したSEO(検索エンジン最適化)対策を施すのが一般的です。しかし、そのSEOの施策にも種類があります。アルゴリズムに従い、検索エンジンに評価されやすい優良なコンテンツなどを投入している手法を「ホワイトハット」、逆にアルゴリズムの裏をかき、不正に順位を上げようとする手法を「ブラックハット」と呼びますが、その中間にあたる「グレー」な手法を使ったサイトも数多く存在します。

ブラックハットの手法を用いているサイトは、検索エンジンに不適切と判断されれば検索結果から弾かれてしまうリスクがあるため、サイトM&Aでも全般的に相場は低くなっています。反対に、ホワイトハットの手法を用いているサイトは、相場が高く設定されています。グレーなサイトは、価格面でもブラックハットとホワイトハットの中間の価格となります。

グレーなサイトは、ブラックハットのサイトほど強いペナルティを受ける可能性は低くなるものの、絶対に安全というわけではありません。検索エンジンはユーザーのニーズに応えることを第一に考え、優良なコンテンツが上位に表示されるように定期的にアップデートをしています。そのため、サイトビジネスの将来性を考えるなら、ホワイトハットのSEOを施策しているサイトであることがとても重要です。

信頼できるコンサルタントはサイトM&Aを行う際にも不可欠

サイトM&A

近年、サイトM&Aは盛んに行われています。手持ちのサイトを譲渡することで事業資金を手に入れたり、イメージに近いサイトを譲り受けることによりすぐに新規事業をスタートさせたりと、譲渡側・譲受側の双方に利益をもたらすことができます。サイトM&Aは、今や経営戦略の一端を担う存在でもあります。

サイトM&Aでは、時には数百万円から数千万円という高値がつく場合もあります。しかし、サイトM&Aは一般的なM&Aと比べてまだまだ市場が小さく、情報も行き届いていません。そのため、どのように取引を進めていけばいいのかわからないといった方も多いと思います。

また、M&Aを行う場合には、譲受企業のM&Aに慣れた担当者と交渉や手続きなどを行うことになります。譲渡側としてもM&Aに対する知識や交渉のテクニックがなければ、本来の価値よりも低い価額や希望しない条件で取引を行うことになるということにもなりかねません。

そのため、納得のいくサイトM&Aを行うためには、専門のM&Aアドバイザーによるサポートが欠かせないでしょう。サイトの売買とはいっても、譲受側と譲渡側のM&Aであることに変わりはありません。公正な視点と専門知識、豊富な経験を持ち、何より信頼できるM&Aアドバイザーがいてこそ、譲渡側と譲受側の双方が納得の行くM&Aが成立するのだということを、改めて認識しておきましょう。