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2023/09/15

M&Aの価格相場や算定方法とは?3つのアプローチと注意点

M&Aの価格相場や算定方法とは?3つのアプローチと注意点

M&Aで自社譲渡や他社譲受を行う場合、企業の譲渡価格は大切な事項です。「自社はどれくらいで譲渡できるのだろう」あるいは「あの企業はいくらで譲受できるのだろう」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

企業の譲渡価格を算定する方法は多数あり、企業の規模や業種、業態などにより算定の仕方も変化します。また、算定へのアプローチにもいくつかの種類が存在します。

本記事では、M&Aでの価格相場や価格算定方法、譲渡価格が決まるまでの流れや価格算定時の注意点について詳しく解説します。

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M&Aの価格相場

M&Aにおける企業の譲渡価格は、適正なアプローチに基づく価格算定を目安に、譲渡企業と譲受企業が交渉を行った上で決定します。価格相場は固定的なものではなく変動するものであり、法律や会計基準などで明確に規定されているわけでもありません。

したがってM&Aでの譲渡価格を知るためには、価格の目安、基礎となる価格算定方法の理解が重要です。価格算定方法には、一般的に「コストアプローチ」と「マーケットアプローチ」、「インカムアプローチ」の3つのアプローチが存在します。

各アプローチでは、純資産や将来的な収益性、市場価値や無形資産などを考慮し、理論的に裏付けられた計算方法をもとに、価格を算定します。企業のビジネスモデルや保有資産などの実情に合ったアプローチを選択し、適正な価格を算定することが重要です。

3つのアプローチによるM&Aの価格算定方法

企業の譲渡価格を算定する場合、前述のように3つのアプローチが存在し、各アプローチに複数の方法があります。算定方法に対する理解を深めることで、譲渡価格の大まかな金額が予測でき、M&A全体の戦略の指針を得ることも可能です。
以下では、3つのアプローチごとに、その概要や特徴、メリットやデメリットを解説します。

M&Aの価格算定方法:コストアプローチ

コストアプローチは譲渡企業の純資産価値に着目した算定方法です。貸借対照表に計上された資産の合計金額から負債の合計金額を差し引き、純資産額を算出することで企業の価値を算定します。主なコストアプローチの価格算定方法は、簿価純資産法、時価純資産法、時価純資産法+営業権(のれん代)などです。

コストアプローチによる価格算定には、下記のようなメリットとデメリットがあります。

メリット  ・株式市場の相場や動向を価格に反映できる
  ・株式価格には企業の将来性も反映されるため、価格に将来的な収益性を反映できる
  ・上場企業の財務情報を基準にするため、情報が入手しやすく客観性を担保できる  
デメリット ・事業規模や内容の類似する企業がない場合は採用できない
 ・株式市場の影響を大きく受けやすい  

マーケットアプローチ、特に「類似企業比較法」は、企業の財務指標を基準とするため参考データを得られやすく、上場企業のほか非上場企業のM&Aでも幅広く採用されています。

▷関連記事:企業価値評価の一つ、マーケットアプローチとは?よく使われる計算方法やシミュレーションも解説

M&Aの価格算定方法:マーケットアプローチ

マーケットアプローチは譲渡企業の市場価値に着目した方法です。類似の上場企業を選定しそれらの企業の市場価値や各種財務指標を参考にする「類似企業比較法(マルチプル法)」、過去に実施されたM&Aを参考に価格を算定する「類似取引比較法」などの種類があります。

マーケットアプローチにおけるメリットとデメリットは下記の通りです。

メリット  ・株式市場の相場や動向を価格に反映できる
  ・株式価格には企業の将来性も反映されるため、価格に将来的な収益性を反映できる
  ・上場企業の財務情報を基準にするため、情報が入手しやすく客観性を担保できる  
デメリット ・事業規模や内容の類似する企業がない場合は採用できない
 ・株式市場の影響を大きく受けやすい  

マーケットアプローチ、特に「類似企業比較法」は、企業の財務指標を基準とするため参考データを得られやすく、上場企業のほか非上場企業のM&Aでも幅広く採用されています。

▷関連記事:企業価値評価の一つ、マーケットアプローチとは?よく使われる計算方法やシミュレーションも解説

M&Aの価格算定方法:インカムアプローチ

インカムアプローチは譲渡企業の将来的な収益性に着目した方法です。譲渡企業から期待される利益・キャッシュフロー・配当などを基準に、リスクを勘案して現在価値に割り引いて算定します。主なインカムアプローチには、DCF法や配当還元法などがあります。

インカムアプローチのメリットやデメリットは下記の通りです。

メリット  ・将来的な収益性を価格に反映できる
  ・シナジー効果を考慮できる
  ・算定には事業計画も利用されるため、価格の妥当性を検討しやすい  
デメリット ・将来的な予測を考慮に入れるため、主観性や恣意性を排除できない
 ・情報の収集に時間がかかる場合もある  

インカムアプローチのうちDCF法は、上場企業や大手企業、成長性の高いベンチャー企業など多くのM&Aで採用される方法です。情報収集や算定プロセスが複雑となる反面、投資した金額に対してどれくらいの回収ができるのか把握しやすい側面を持っています。

▷関連記事:【徹底解説】企業価値評価の手法の一つ、インカムアプローチとDCF法の計算方法を解説

M&Aの価格算定を実施する際の流れ

企業の価格算定は譲渡価格の目安となることから、比較的早期の段階で実施されます。企業の価値を評価するため、「企業価値評価」とも呼ばれます。

例えば、M&A仲介会社に依頼してM&Aを進める場合、M&A仲介会社とアドバイザリー契約や秘密保持契約を結んだあと、企業の事業内容や財務状況に関する資料をM&A仲介会社に提出し、企業の価格算定(企業価値評価)が行われるのが一般的です。

そして譲渡候補先企業が決まったら、譲渡企業と譲受企業間における交渉へと移行します。価格算定で算出された価格をベースに具体的な価格交渉を実施し、基本合意書で譲渡価格を取り決めます。その後、デューディリジェンスを実施し、結果を譲渡価格に反映させて最終契約書を結ぶ流れです。

なお、価格交渉の方法には上記のような個別交渉による方式と入札(オークション)による方式があります。実際のM&Aの現場では、個別交渉方式による価格交渉が一般的です。

M&A価格算定時の注意点

最後に、M&Aで価格算定を実施する際の注意点について解説します。自社譲渡や他社譲受を検討し、対象企業の価格算定を実施する際の参考にお役立てください。

算定方法は業種や市場動向などから総合的に判断する

ここまで紹介してきたように企業の価格算定方法には多くの種類があります。したがって、どの算定方法を選択するかは重要な事項です。

例えば、コストアプローチは企業の保有資産を基準に算定することから、不動産業や金融機関など保有資産からの直接的な収益の多い業種との適合性があります。また、マーケットアプローチの類似企業比較法は株式市場の影響を受けやすく、市場が好況な場合は高く、値下がりしている場合には低く計算されてしまう場合もあります。

企業の価格算定方法を選択する場合には、業種や市場動向、対象企業の規模や事業内容を総合的に判断し、決定することが大切です。また、1つの算定方法によらず、複数の算定結果から包括的に判断する場合もあります。

のれん代の取り扱い

中小企業のM&Aでは、コストアプローチである時価純資産法にのれん代(営業権)を加算した算定方法がよく用いられます。算定方法が比較的簡便であるうえ、のれん代を加味することで対象企業の将来的な収益性を反映できるためです。

のれん代には、対象企業の将来的な収益性のほか、ブランド力や従業員のポテンシャルなど無形資産の価値も含まれます。のれん代の算定には、企業価値評価の指標の1つEBITDAを用いる方法などがあり、実務上ではEBITDAの3年~5年分をのれん代として評価することが一般的です。

まとめ

M&Aでは、対象企業の規模や業種、業態などに合わせ、3つのアプローチによる算定方法を適用して企業の価値を算定します。

本記事では、コストアプローチ・マーケットアプローチ・インカムアプローチの3つのアプローチについて、それぞれの特徴や代表的な方法、メリットやデメリットを解説しました。

企業の譲渡価格の算定には専門的な知識が必要であり、M&Aを初めて実施する方にとって難しい部分もあるプロセスです。fundbookではアドバイザリー契約を結ぶ前でも、簡易的な企業価値評価を無料で実施できます。企業の譲渡価格やその算定方法にお悩みの方は、ぜひfundbookまでご相談ください。

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