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2026年3月10日

M&Aのトラブルとは?売り手が注意すべきケースや対策、対処法から事例まで紹介

M&Aのトラブルとは?売り手が注意すべきケースや対策、対処法から事例まで紹介

M&Aを巡るトラブルは増加傾向にあり、中小企業庁が注意喚起を行っています。M&Aは事業承継や経営戦略の手法の1つとして近年注目されていますが、実際にM&Aによって会社を売却・買収する際は、トラブルに巻き込まれないように注意が必要です。
本記事では、M&Aのトラブル事例や対策、実際にトラブルが起きたときの対処法を紹介します。詐欺ともいえるような悪質なトラブルに巻き込まれないためにも、M&Aを検討する際のポイントを確認しておきましょう。

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M&Aで発生している主なトラブル事例

M&Aで発生している主なトラブル事例としては、次のようなケースが挙げられます。

・買い手企業や仲介会社が意図的に不正をするケース
・情報開示やデューディリジェンスが不十分で問題が起きるケース
・PMI(企業統合作業)の段階で問題が起きるケース

以下では、それぞれのトラブル事例の内容を具体的に見ていきます。

買い手企業や仲介会社が意図的に不正をするケース

M&Aのトラブル事例の1つ目は、買い手企業や仲介会社がM&Aを悪用して意図的に不正をするケースです。

・高額な着手金を支払わされたり手付金をだまし取られたりするケース
・買収後に会社の資金を抜き取られるケース
・交渉過程で企業の機密情報を抜き取られて契約を破棄されるケース など

例えば、経営状況が厳しく経営者が焦っている場合に、「M&Aを実施すれば事業継続が可能になる」などと甘い言葉をかけ、経営者の焦りに付け込んで高額な着手金を支払わせるケースが挙げられます。手付金を支払った後、仲介会社がM&Aのサポートを行わないような詐欺ともいえるケースにも注意が必要です。

買い手企業がM&Aを悪用する事例としては、買収した会社の資金をM&A成立後に買い手企業が自社に移動させるケースが見られます。資金目当てでM&Aを悪用するケースで、買収した会社の資金を自社の経営資金に充てるケースです。売り手側の企業は資金を抜き取られてしまい、事業や従業員の雇用の継続ができなくなる可能性があります。

情報開示やデューディリジェンスが不十分で問題が起きるケース

M&Aのトラブル事例の2つ目は、相手企業への説明や情報開示が不十分だったりデューディリジェンスに不備があったりして問題が起きるケースです。

・簿外債務・偶発債務が買収成立後に発覚してトラブルになるケース
・残業代未払いなど法令違反が事後的に発覚してトラブルになるケース

売り手側の企業の経営者の中には、M&Aを成立させて売却価格を少しでも高くするため、自社にとって不利な情報を開示したくないと考える場合があります。一方で買い手企業の経営者の中には、事業の拡大を急ぐあまりM&Aの成立に向けて前のめりになり、買収候補企業に対するデューディリジェンスが不十分になるケースも見られます。

買い手・売り手の双方が納得してM&Aが成立したはずでも、情報開示やデューディリジェンスが不十分だと、M&A成立後に問題が発覚してトラブルになる可能性があります。

PMI(企業統合作業)の段階で問題が起きるケース

M&Aのトラブル事例の3つ目は、M&Aの契約は成立したものの、その後のPMIで問題が起きるケースです。

・企業文化や価値観の違いによる衝突
・退職や人材の流出 など

PMIとは「Post Merger Integration」の略で、M&A成立後の両社の経営方針や業務ルール、社員の意識を融合し、スムーズにM&Aの目的を実現するためのプロセスです。

異なる企業がM&Aによって統合する場合、文化や価値観の違いにより従業員同士が衝突するなど、PMIがうまくいかないケースがあります。

M&A後に職場の雰囲気や仕事の進め方、事業方針などが変わり、従業員が「自分にはあわない」と感じて退職してしまうケースは、M&Aで見られるトラブル事例の1つです。M&Aが原因で人材が流出すると事業経営にマイナスの影響が生じます。

買い手企業が人材の獲得を目的にM&Aを実施したにも関わらず、M&Aが原因で優秀な人材が流出すればトラブルになることもあります。

M&Aでトラブルを防ぐための対策

M&Aのトラブルとは?売り手が注意すべきケースや対策、対処法から事例まで紹介

売り手側(譲渡企業)でも買い手側(譲受企業)でも、M&Aでトラブルを防ぐために対策をすることが重要です。主な対策は次の3つです。

・相手企業と認識相違が起きないように丁寧に説明・確認する
・デューディリジェンスを徹底してリスクを洗い出す
・信頼できるM&Aの専門家に相談・依頼する

以下では、それぞれの具体的な内容を見ていきます。

相手企業と認識相違が起きないように丁寧に説明・確認する

情報開示や説明が不十分で認識相違が起きたり後からトラブルになったりしないように、M&Aでは、相手企業と交渉を進めるときに丁寧に説明・確認することが大切です。

双方の事業内容や現在の経営状況、M&Aの目的、M&A後の企業統合の進め方や事業方針などを丁寧に説明して確認し合い、相互に理解を深めるようにしましょう。M&Aでは、関係者と信頼関係を築き、理解と協力を得ながら進めることが重要です。

具体的に説明して相手に伝えることで、誤解が生じてトラブルになるリスクを軽減できます。また、事業経営において重要な事項を早めに伝えるなど丁寧に対応することで、事後的なトラブルを回避できます。

デューディリジェンスを徹底してリスクを洗い出す

デューディリジェンス(DD)によって事前にリスクを洗い出すことで、後から問題が発覚してトラブルになる可能性を軽減できます。M&Aでは、弁護士や公認会計士などの専門家に依頼して法務DDや財務・税務DD、労務DDなどのDDを実施することが重要です。

買い手側(譲受企業)がDDを実施すれば、未払残業代をはじめとした法令違反や簿外債務など、事業経営上のリスクとなる事項を事前に把握できます。

また売り手側(譲渡企業)も、買い手側(譲受企業)によるDDに備えて自社のリスクポイントを早めに洗い出しておきましょう。交渉時に問題になりそうな点を洗い出しておき、相手企業から聞かれた際に資料提出や説明をできるようにしておくことが重要です。

信頼できるM&Aの専門家に相談・依頼する

弁護士や公認会計士、M&A仲介会社、M&Aアドバイザーなど、M&Aの専門家はM&Aの交渉を進める際にトラブルになりやすい点を理解しています。M&Aの専門家であれば、M&Aを進める上で注意すべき点など専門的な知見をもとにアドバイスが可能です。

M&Aに関する豊富な実績を持つ士業やM&A仲介会社に相談することで、M&Aに関する専門的なサポートを受けることができ、トラブルに巻き込まれるリスクを軽減できます。

M&Aでトラブルに巻き込まれたときの対処法

M&Aでトラブルに巻き込まれたときの対処法は主に次の2つです。

・情報収集による事実確認・証拠保全・関係者との冷静な協議
・専門家への相談

以下では、それぞれの具体的な内容を見ていきます。

情報収集による事実確認・証拠保全・関係者との冷静な協議

トラブルが起きたら、まずはその内容を把握した上で記録や証拠を確保することが重要です。トラブルの内容を正しく把握していないと対応を誤る可能性があり、記録や証拠が残っていないと後々に訴訟になった場合に不利になる可能性があるからです。

トラブルの内容を確認する際は、いつ・誰と・どのようなトラブルが起きたのか、発生時期や関係者、影響範囲などを確認するようにしてください。メールや契約書、議事録などの記録や証拠も確保します。
また、仮にトラブルが起きて相手方と揉めた場合でも冷静に対応することが大切です。感情的になったり一方的に主張したりすると、事態が悪化することになりかねません。冷静かつ丁寧に話し合いを行い、相互理解を深めるように努めましょう。

専門家への相談

M&Aでトラブルが起きた場合、当事者間の協議だけでは解決が難しいことが少なくありません。法的な判断が必要になるケースもあるため、トラブルが起きたら早めにM&Aの専門家に相談しましょう。

弁護士やM&A仲介会社などの専門家に相談すれば、事態が悪化する前に速やかに対処できて解決できる可能性が高まります。専門家の助言のもとに適切に対処することで、トラブルの長期化を避けて損失や被害を軽減することができます。

実際に起きたM&Aのトラブル事例

M&Aの代表的なトラブル事例の1つが、ルシアンホールディングス(以下、ルシアン)が関与した詐欺事件です。

この事件では、ルシアンが多くの企業とM&Aを行って買収し、買収した企業の口座から資金をルシアンの口座に移動させました。つまり、資金集めを目的にM&Aを悪用したケースです。

買収された側は資金を抜き取られた結果、資金繰りが悪化して経営が立ち行かなくなったり、従業員に給与を支払えず給与の未払いが発生したりしました。買収時に約束したはずの経営者保証の解除がされず、保証債務だけが残ったケースもあったようです。

M&Aを検討する際は、トラブルや詐欺に巻き込まれないように、交渉相手となる企業や相談・依頼する仲介会社は慎重に選ぶ必要があります。

M&Aを巡るトラブル防止に向けて中小企業庁が対応を実施

M&Aのトラブルの件数が増加する中、悪質な買い手などへの注意喚起を中小企業庁が行っています。中小企業庁のHPには実際に起きたトラブル事例も掲載されています。M&Aを検討する際は確認するようにしてください。

中小企業庁:M&Aに関するトラブルにご注意ください

また、仲介会社やFA(ファイナンシャルアドバイザー)の報酬体系が不透明でトラブルになるケースがあったため、2021年にM&A支援機関登録制度がスタートしました。この制度は、登録されている仲介会社やFAの報酬体系を確認できる制度です。

M&A支援機関登録制度のサイトで検索すると、成功報酬の有無や算定方式、最低手数料額などを確認できます。登録されているM&A支援機関かどうかを事前に検索・確認することが可能です。

さらに、M&Aアドバイザーの資質向上を目的として、2026年度に新たな資格制度が創設される予定です。M&Aアドバイザーの資質が向上すればトラブルが減る可能性があります。

まとめ

M&Aではトラブルが起きるケースがあり、近年はトラブルの件数が増加傾向にあります。悪質な買い手や仲介会社が意図的に不正を行い、資金や機密情報を抜き取られるケースもあるため注意が必要です。

デューディリジェンスを徹底するなど、あらかじめ対策を講じることでM&Aでトラブルが発生するリスクを軽減できます。M&Aでは、トラブルを回避するために事前の対策を行うことが大切です。

M&Aを検討する際、M&Aの専門家に相談・依頼することで、トラブルや詐欺に巻き込まれることを防ぎ、売却・買収の候補となる企業の選定から交渉、M&Aの成約までスムーズに進めることができます。事業承継やM&Aを検討中の方はfundbookにお気軽にご相談ください。

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