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2025/05/22

M&Aのディールとは?関連用語と手順、成功のためのポイントを詳しく解説

M&Aのディールとは?関連用語と手順、成功のためのポイントを詳しく解説

M&Aのディールでは、M&Aの準備や候補企業とのマッチング、条件交渉や最終的な合意が行われます。自社の成長戦略に合致したM&Aを実施し、一連のディールを成功裏に終えるためには、ディールの各段階に対する理解が欠かせません。

本記事では、M&Aのディールの概要や手順を解説します。M&Aで用いられるディールに関連する用語、ディールを成功させるためのポイントも紹介しています。ぜひ参考にしてください。

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M&Aのディールとは

ディール(deal)とは、「取引」や「売買」を指す用語です。M&Aでは、譲渡企業と譲受企業間で行われるプロセス全体を示す用語として使用されます。

M&Aは、「経営戦略としてM&Aが必要か」という事前の検討から、候補企業とのマッチングやトップ面談、詳細な条件交渉まで複数の段階を踏んで進行します。デューディリジェンスやクロージング、成約後のPMIも重要なプロセスです。

ディールはM&Aで実施される一連のプロセスを包含する用語であり、金融機関や投資で使用される「ディール」とは異なる意味で用いられます。

M&Aのディールに関連する用語

M&Aでは、「ディール」を含む関連用語が使用されます。具体的には、次の用語です。

・プレディール
・ポストディール
・ディールサイズ
・ディールブレーカー
・ディールメーカー
・アーンアウトディール

各用語の理解は、M&Aのディールの把握に役立ちます。それぞれの詳しい内容を解説します。

プレディール

プレディールは、M&Aの交渉前である準備段階を指す用語です。

例えば、M&Aの検討や意思決定、M&A仲介会社を始めとする専門家との相談、M&A候補先の選定などが含まれます。

M&Aの目標決定や戦略を練り、専門家との相談を踏まえながら、M&A全体の構想を決定します。

ポストディール

ポストディールは、ディール後に実施される譲渡企業と譲受企業の統合プロセスを指す用語です。

PMI(Post Merger Integration)とも呼ばれ、異なる2つの企業の経営統合や組織・文化の融合、経営陣や従業員同士の信頼関係の構築、開発や製造といった事業の統合や人事制度・会計制度の統合などを実施します。

ディールサイズ

ディールサイズは、M&Aでの取引金額の規模を指す用語です。

厳密な定義はありませんが、通常、取引金額の規模に応じて以下の分類がなされます。

ディールサイズの分類内容
小規模取引・取引金額が1億円以下のディール
・スモールM&Aとも呼ばれる
中規模取引・取引金額が数億円から数十億円のディール
・中小企業やベンチャー企業などで多く見られる取引
大規模取引・取引金額が数百億円規模のディール
・メガディールとも呼ばれる

M&Aでは、グローバル企業同士の大規模取引から個人事業を対象とする小規模取引まで、譲渡する企業の規模により幅広いディールサイズで取引が行われています。

ディールブレーカー

ディールブレーカーとは、M&Aのディールの障害となる要因を指す用語です。

例えば、デューディリジェンスで法令違反の事実が見つかると、ディールが破談になる要因になり得ます。その他、簿外債務がある、株式に瑕疵があるなどもディールブレーカーの例です。

ディールメーカー

ディールメーカーは、M&Aのディールを生み出す関係者を指す用語です。

具体的には、M&Aの主要プレイヤーである譲受企業や譲渡企業、取引のある企業にM&Aを経営戦略として提案するM&A仲介会社や金融機関、FA(ファイナンシャルアドバイザー)などがディールメーカーの例に挙げられます。

アーンアウトディール

アーンアウトディールは、M&Aの対価を分割で支払う取引を指す用語です。

アーンアウトディールを採用したM&Aでは、契約時に一定の金額を支払い、その後の業績に応じて残額が支払われる方法などが取られます。

譲受企業にとってデューディリジェンスだけでは精査できないリスクを軽減でき、M&A初期の費用を抑えられるメリットがあります。

M&Aのディールの流れ

M&Aのディールは、「プレディール」「ディール」「ポストディール」の順に進行します。各段階で実施される主な内容は次のとおりです。

ディールの区分実施される内容
プレディール1. M&Aの検討と戦略の策定
2. M&A専門家への相談と依頼
3. 候補企業の選定・マッチング
ディール1. トップ面談と条件交渉
2. 基本合意書の締結
3. デューディリジェンス
4. 最終契約書の締結
5. クロージング
ポストディール1. PMI

各段階の詳しい内容を解説します。

プレディール①M&Aの検討と戦略の策定

プレディールでは、まず経営戦略としてM&Aの実施が適切であるか、どのような目的で実施するかを検討します。市場調査や競合調査を行い、自社の経営戦略を見直し、M&Aでどのような成果を達成するか、具体的な戦略を策定する段階です。

M&Aを実施する際に、企業は多様な問題や課題を解決しなければなりません。M&Aの検討と戦略の策定は、自社のM&Aを成功に導く指針となる重要なプロセスです。

プレディール②M&A専門家への相談と依頼

M&Aで検討が必要な項目は、法務・財務・税務・人事をはじめ、多岐にわたります。進行には専門的な知識が必要となり、経営者だけでは判断がつかないケースも少なくありません。

M&A仲介会社やFAなどのM&Aに関する専門家に相談すると、経験や知識を背景にしたサポートが受けられます。今後のマッチングや条件交渉などの進行も依頼すれば、スムーズなM&Aの進行に役立ちます。

プレディール③候補企業の選定・マッチング

マッチングは、策定した戦略やM&A専門家のサポートのもと、M&Aの相手先となる候補企業の選定を行う段階です。

候補企業の選定は、譲渡企業を特定できない範囲で情報が記載されたノンネームシートをもとに、比較的多くの候補企業を含めたロングリストを作成します。各候補企業の情報を検討した後、数社に絞ってショートリストを作成し、秘密保持契約を締結して交渉を進めます。

ディール①トップ面談と条件交渉

トップ面談は、譲渡企業と譲受企業の経営者が顔を合わせ、お互いの理解を深める段階です。

双方の経営理念や文化、組織風土などを直接伝え合い、書類上の情報だけではわからない企業の内情を互いに把握します。トップ面談後は条件交渉を実施し、M&Aのスキームや譲渡価格など、より具体的なディールの内容を話し合います。

ディール②基本合意書の締結

基本合意書は、譲渡企業と譲受企業の条件交渉で達した合意の内容が記載された文書です。基本合意書にはスキームや譲渡価格、M&A後の経営者や従業員の処遇、デューディリジェンスのスケジュールなどが記載されます。

基本合意書は、一部を除いて法的拘束力を持たせずに締結される形式が一般的です。最終契約書と異なり法的拘束力がないものの、合意内容の明文化により、譲渡企業と譲受企業間で成約に向けた共通認識を共有できます。

ディール③デューディリジェンス

デューディリジェンス(DD)とは、譲渡企業の財務や法務、税務や人事などの状況を専門家に依頼して精査するプロセスです。条件交渉の段階ではわからなかった譲渡企業の実態を事前に把握し、隠れたリスクがないかを調べる目的で実施されます。

デューディリジェンスの種類は財務DDから法務DD、人事DDまで様々な領域にわたります。どの範囲や対象にデューディリジェンスを実施するかは、譲渡企業の規模やリスク、デューディリジェンスに充てられる予算などを勘案して決定されます。

ディール④最終契約書の締結

最終契約書は、譲渡企業と譲受企業間で形成された最終的な合意を記載した文書です。

デューディリジェンスの結果を受け、必要に応じて基本合意を見直し、記載する内容が決定されます。記載する項目には、譲渡対象や時期、支払方法、表明保証条項などがあります。

ディール⑤クロージング

クロージングは、最終契約書で定められた権利の移転や対価の支払いを実際に行う段階です。

例えば、株式譲渡のスキームでM&Aが実施された場合、代表者変更のための株主総会や取締役会の手続き、株式の譲渡や対価の支払いが行われます。

ポストディール①PMI

PMIは、M&A成立後の統合作業です。

譲渡企業と譲受企業の戦略や販売・管理体制の統合、従業員同士の相互理解などを有機的に行い、M&Aによるシナジー効果を最大化します。

統合する項目は多数存在するため、PMI遂行のための体制構築、配置できる人員や予算の制約を踏まえた優先順位の決定が重要です。

M&Aのディールを成功させるためのポイント

M&Aのディールとは?関連用語と手順、成功のためのポイントを詳しく解説

M&Aではディールブレーカーとなり得る要因があり、必ずしも成功するとは限りません。ディールの成功のために意識したいポイントは次のとおりです。

・M&Aの目的と戦略の明確化
・ディール着手前の入念な準備
・条件の優先順位の設定
・誠実な対応
・M&Aアドバイザーとの綿密な相談

M&Aはあくまで経営戦略の一手段です。「M&Aの成約」自体が目的化しないように、M&Aを実施する目的や戦略を明確化しましょう。ディール着手前に入念な準備を行い、統合後の経営を見据えた条件の優先順位の設定も重要です。

また、M&Aのディールは企業の経営者や担当者間で進められます。不誠実な対応はディールが成立しない要因になるため、できるだけ避けましょう。

なお、前述のようにM&Aでは様々な問題や課題が生じ、法務や財務をはじめとした専門的な知識が必要です。有力な候補企業がない場合は、ご自身で企業を探さなければなりません。M&A専門業者に依頼すると、アドバイザーによる支援が受けられ不明な点や疑問点があった際にも相談することが可能です。

M&Aのディールの注意点

M&Aのディールを実施する際には、事前に押さえておきたい注意点があります。主な注意点は次のとおりです。

・情報漏洩のリスクに備える
・簿外債務や偶発債務の存在に注意する
・マッチング先を慎重に選定する
・従業員の処遇に配慮する

M&Aは、企業を売買取引する行為です。情報が漏れると事業自体に影響が出る可能性がある他、従業員の離職につながる可能性があります。事前に秘密保持契約を締結する、情報開示者を限定するなど、情報漏洩のリスクに備えましょう。

その他、簿外債務や偶発債務のリスクへの備え、マッチング先の慎重な選定も重要です。譲渡側の従業員の不安を払拭し、離職による人材の流出に備えましょう。

まとめ

ディールはM&A全体のプロセスを指す用語です。プレディール、ディール、ポストディールの段階があり、各段階ではM&Aの戦略の策定やマッチング、条件交渉やクロージング、PMIを実施します。

M&Aは企業や事業を取引するため、各ディールで必要な準備を行い、M&Aを成功させましょう。

M&Aのサポートを求める際には、専門の支援機関への依頼が有効です。fundbookではM&Aにおいて様々な業界に特化した専門チームや公認会計士、税理士などの専門家がディールをサポートします。M&Aを検討する企業の方は、ぜひfundbookにご相談ください。

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