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2023/09/26

後継者がいない! その時に社長や会社経営者の取るべき選択とは?

後継者がいない! その時に社長や会社経営者の取るべき選択とは?

後継者不在のまま会社を経営している経営者は少なくありません。全国に株式会社は約247万社存在しており、その中で経営者が60歳を超える株式会社の数は、なんと120万社に上ります。

つまり日本の株式会社の経営者のほぼ半数が60歳を超えているという現状です。近年の少子高齢化により、この状況に付随して起きるのが「経営者の後継者不在の問題」です。

万が一自分が倒れたときに、自分の後を継ぐことができる後継者を探しておく必要があります。ただ後継継者を探すといっても様々な方法があり、その選択によって会社の将来は大きく変わってしまいます。場合によっては廃業という選択肢を選ぶ経営者様もいるでしょう。

このように数多くある選択肢の中から経営者を始めとし会社に関わる全ての人々にとってより良い未来を実現することが出来る手段を、本記事で紹介します。

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経営者の直面する後継者問題って?

帝国データバンクが毎年実施している2020年の「全国社長年齢分析」によると、全国にある株式会社の経営者の平均年齢は59.9歳です。

ずっと自身で会社を経営できることが理想ですが、病に倒れたり、万が一の事故などに遭ってしまうことを考えると、将来の会社の成長や従業員のためにも、後継者を見つけておく必要があります。

また、2017年に中小企業庁が作成した『経営者の事業承継マニュアル』によると、4,000以上の中小企業経営者に対して事業承継に関するインターネット調査を行った結果、60歳以上の法人経営者の5割が廃業を考えているという結果になりました。

さらに、そのうちの3割近い経営者は、廃業を考えている理由について、「子供に継ぐ意思がない」「子供がいない」「適当な後継者が見つからない」といった「後継者問題」を挙げています(2016年、日本政策金融公庫総合研究所調べ)。

後継者がいない! その時に社長や会社経営者の取るべき選択とは?

一方、事業に将来性がないと答えた経営者は、27.9%でした。つまり、7割以上の経営者が、事業そのものには問題がないにもかかわらず、廃業を予定しているということになります。

特に中小企業に目を向けると、経営者の手腕によって企業の業績が維持されている企業も少なくはありません。そのような場合はどういった人材を後継者とすれば良いのか、果たして後継者になりうる人材は自社の中にいるのか、あるいは外部に求めなければならないのかと様々な観点から後継者探しを行わなければならないのです。

また、中小企業の経営者の経営者の年齢分布のボリュームゾーンは1947年から1949年に生まれた「団塊の世代」と一致しています。この団塊の世代は、戦後の日本の経済成長と発展に大いに貢献してきた世代です。しかし、現在では、団塊の世代は70歳を超え、現役を退く人も増えています。

人生100年時代といわれ、70歳までの就業機会の確保が政府内でも検討されている昨今とはいえ、すでに70歳を超えている団塊の世代の経営者が引退後に、事業をどのように継続していくのかは、喫緊の課題といえるでしょう。

現在、国内企業の3分の2である66.1%が後継者不在であることからもわかるように多くの企業、経営者が様々な理由で深刻な経営者問題に直面しているのです。

経営者が後継者選びの手段として取りうる4つの選択肢

後継者がいない! その時に社長や会社経営者の取るべき選択とは?

経営者が後継者問題に瀕した際にとることが出来る手段は大きく分けて4つあります。それは「廃業」「事業承継」「M&A」「株式公開」です。そしてどの手段にもそれぞれ異なった特徴があります。それでは具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

後継者がいない会社の選択①:廃業

廃業とは、文字通り会社の経営を辞めることです。会社の持つ在庫や土地、建物、機械などに換金価値がつけられ負債などの諸費用を清算した後に残ったお金を手にすることも不可能ではありません。しかし、会社の持つ材料や商品、機械設備といった資産はほとんど半値からゼロ評価になってしまいますし、逆に含み益のある資産はその分法人税がかかります。

そのうえ、清算配当する際、株主には所得税等がかかり、二度に渡って課税となる可能性もあり、あまり多くの金額を手にすることは望めません。また、従業員の雇用も取引先との関係も失われる上、負債が残ってしまう場合には保証債務として、廃業後もお金に悩み続けながら生活しなければなりません。廃業はいつでも行うことが出来るため後継者問題を抱える経営者の最終手段として考えておきましょう。

後継者がいない会社の選択②:事業承継(身内への事業承継)

事業承継とは、会社の経営を親族や社員など、後継者に引き継ぐことを指します。廃業とは違って会社を潰すことなく事業を存続することができますし、従業員の雇用と取引先との関係も維持することができます。ただ、そうはいっても後継者選びは非常に困難です。ただ役職と権限を引き継ぐだけではなく経営者の抱える個人保証や担保も引き継がなければなりませんし、数年単位のしっかりとした後継者教育も不可欠です。

また、優良企業になればなるほど、相続税の問題が重くのしかかります。当然、自社株にも相続税が課税されるわけですが、上場企業株とは違い現金化することは困難です。各種の事業承継対策の優遇税制は出ていますが、条件を満たすのは難しく、まだ使い勝手が良いものとは言えないようです。

現金化しにくい資産である自社株にかかる相続税を支払うための資金の確保が重要となります。加えて、株式を親族等に分散させながら承継させるケースがありますが、次々世代の事業承継の際に、買戻すのに苦労したり、経営権が分散することにより、意思決定が鈍くなったり、いらぬ争いが増える原因にもなりますので、資本の承継方法にも気を付けなくてはなりません。

後継者がいない会社の選択③:M&A(第三者承継)

M&A(エムアンドエー)は企業の合併や買収を指す言葉で、親族以外の第三者に事業と資本を引き継いでもらう手段です。一般的には大企業同士で行われていたり、企業の乗っ取りのようなイメージがありますが、実際には中小企業の間でも頻繁に行われています。

廃業ではなくM&Aを行うメリットは主に2点あり、1つは会社清算を行うよりも獲得できる創業者利益が大きいこと、もう1つは事業の継続が可能なことがあげられます。

1点目の創業者利益についてですが、M&Aを利用した場合、多くのケースで負債も含めて譲受企業に譲渡することになります。この場合、個人保証なども外すことが可能であるため、大抵の場合、引退後に負債が残る可能性は低いです。

さらに、資産の評価額も時価相当となり、買取価格には営業権も加味されるため、まとまった金額を受け取ることが期待できます。なお、株式の譲渡益についての課税額(譲渡所得課税)は20.315%(所得税+復興特別所得税15.315%、住民税5%:2020年7月現在)で、会社清算をした場合の配当課税(最高55%)に比べても低く抑えられます。

2点目の事業の継続については、廃業と違い、文字通り事業そのものを存続させることができます。そのため、これまでに培ってきた経験やスキルを途絶えさせることなく、後世に残すことができるでしょう。

取引先に迷惑がかかることもありませんし、従業員についても雇用継続をM&Aの条件にすることが一般的で、雇用を維持したまま経営者は退任することができます。また、従業員に対して退職金を支払う必要もなくなるため、その分の支出も不要です。

このように、廃業する際と比べても経営者は引退後、経営責任や個人保証から解放される上、税制や営業権評価などにより、廃業するより多くの創業者利潤利得を得ることが出来ます。

ただ、しっかり前もって準備しておかないと良い相手に巡り合えなかったり、希望条件で譲渡できなくなってしまうこともあります。譲受企業との適切なマッチングや税務や法務といった専門知識、成約までの時間が少なくとも数ヶ月〜1年間ほどの時間がかかることなど、簡単にいかないことも念頭に置くべきです。

理想に近い形で事業を継承し、ハッピーリタイアメントできる可能性を高くするためにも、しっかりとした準備と専門家への相談が重要になってくるでしょう。

M&Aについては下記の記事にて詳しく解説しています。

関連記事:M&Aとは?M&Aの目的、手法、メリットと流れ【図解付き】

後継者がいない会社の選択④:株式公開(IPO)

株式公開によって上場株式会社になることで、自社株式が株式市場で流通し取引きすることが可能となるため非常に高い換金性を持つようになります。もし株式公開することができれば経営者が所有する株式を売却することによって多大な創業者利益を手にすることができる可能性が高い上に、手にした資産の一部を使えば親族への事業承継の為の相続税を支払うことは容易いでしょう。

その一方で株式公開するには複数回にわたる基準と審査を乗り越えなければならない為、大半の中小企業にとっては非常にハードルの高い選択です。実際、法人登記している企業のうち、上場企業は 0.001% というのが現状です。また、株式が流通することによって会社の社会的な注目度や価値、信頼が上がる一方で経営に対して社外からの影響を受けやすくなりますし、上場を維持するための多額のコストを賄えるぐらいの利益を確保しつつ、上場企業として事業を拡大し続けなくてはならない宿命も負うことになります。

後継者がいない場合の事業承継自社の価値を知ってみる

後継者のいないとお悩みの企業の経営者にとっても、選択肢は数多くあります。廃業や事業承継など、会社の進路をお考えの経営者の方だけではなく、選択の時に備えて経営者の皆さんが自社の客観的な価値を前もって知っておくことは決して損なことではありません。FUNDBOOK(ファンドブック)では無料で貴社の事業承継や株価診断を無料で承っておりますので、前もってご準備されたい方や事業承継にお悩みの方は、ご気軽ご連絡ください。

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