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2023/10/02

後継者不在で企業が倒産?後継者不足の原因と解決策とは

後継者不在で企業が倒産?後継者不足の原因と解決策とは

中小企業の後継者不足が、社会問題にまで発展していることはご存知でしょうか。
多くの原因から事業を継続することが困難になり、廃業せざるを得ないケースが増加し続けています。

そこで今回は、深刻化している後継者不足の現状と、その解決策を解説していきます。
築き上げてきた会社を守るため、そして未来へつなぐための後継者と出会うためにも、事業承継の現状をしっかりと把握しましょう。

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後継者不足で倒産する原因

そもそも、後継者不足によって倒産や廃業を招いてしまうのは、どういうことなのでしょうか。
まずはその原因を解説していきます。

▷経営層の平均年齢の上昇

2021年の中小企業白書のデータによると、経営者の年齢のピークは60〜70代と平均年齢が右肩上がりです。
日本社会を支えてきた世代が後期高齢者層となり、医療・福祉や雇用といった、様々な分野において影響が出るとされています。これは、経済産業省や中小企業庁が「2025年問題」として、後継者不足の放置により、経済的ダメージを大きく受ける可能性があると警告を鳴らしているほど深刻な問題。
経営層の高齢化だけでなく、出生率の減少や少子化の影響もあり、将来の担い手となる若年層が減ってしまっていることも原因の一つと考えられます。

▷事業承継の準備ができていない

事業承継をするといっても、それにかかる準備期間には、ゆとりを持つことが必要です。
一般的に事業承継で必要な準備期間としては、5〜10年ほど見ておくべきだと、中小企業庁が公表した「事業継承ガイドライン」内で記載されています。
「後継者さえ見つかれば安泰」といった考えや、経営者の健康上の問題が出てきてからの準備は結局間に合わず、倒産や廃業を迎えてしまうリスクがあります。

▷事業の将来性に不安がある

会社を存続させ守り続けることは、苦難なことも多かったのではないでしょうか。そのことから、経営者自身が継がせることに難色を示してしまったり、引継ぎが親族であれば尚更、将来に不安を持つかもしれません。
また「事業を続けていても経営が成り立たないのではないだろうか」という不安もよぎり、事業承継をしない選択肢をとる経営者も多いでしょう。

しかし、会社は社員や顧客から成り立つもので、廃業や倒産で困る方はたくさんいます。外部の力を借りながら引継ぎ後の課題を洗い出し、次世代に「会社を継ぎたい」と思ってもらえるような環境作りに徹していくことで、将来のバトンを気持ち良く渡していけるでしょう。

▷後継者を育てる余力がない

会社の運営に追われながらの後継者育成は、後回しにされがちです。
そのため「後継者がいるから大丈夫」といった甘い考えのままでいくと、いざ事業承継となった際に、事業を任せることができなくなってしまいます。
早めに後継者を見つけるのはもちろん、大きな責任を背負わせることを念頭に置き、育成においても早期に取り組みましょう。

▷負債への不安がある

事業承継では、会社の資産だけでなく、負債も引き継ぐことになります。
このことから経営者だけでなく、後継者も会社の引き継ぎにネガティブになってしまうこともあるでしょう。このような場合には、会社内部だけで解決をするのは難しいでしょう。
各都道府県の公的支援センターや専門家に相談をしながら、負債をどのようにしていくかを慎重に話し合っていくべきです。

後継者不在で倒産した事例

日本政策金融公庫の調査でみると、60歳以上の経営者のうち、なんと50%超が将来的に廃業を予定しているといいます。さらにその中でも、後継者不足を理由とする廃業が約3割と、問題は深刻です。
ここでは実際に、後継者不足により廃業・倒産に追い込まれてしまった事例を紹介します。

▷木挽町辨松(こびきちょう べんまつ)

明治元年創業、152年間の営業を続けた老舗の弁当屋です。
東京・東銀座の歌舞伎座前に本店を置き、渋谷や吉祥寺、中目黒、六本木にも店舗を展開していました。店舗移転による投資の負担や設備の老朽化もそうですが、後継者不足により2019年頃から廃業が検討されていたようです。
廃業を惜しむ関係者が譲渡先を検討していたものの、新型コロナウイルスの感染流行により、惜しくも廃業となっています。2020年4月、惜しまれながらも最後の営業日を終えました。

▷梅の花本舗

“元祖 梅ジャム”のパッケージは、誰しもが知る懐かしの駄菓子として食したことがあるのではないでしょうか。
東京都荒川区を拠点とし、ジャムの製造・販売をしている梅の花本舗。 昭和中期に流行した紙芝居の会場で、ソースせんべいに塗るジャムとして梅ジャムを発売。当時は注文が殺到していたそうです。 また、その後にも駄菓子屋で流行となり、以降も人々から親しまれるジャムとして愛され続けてきました。
しかし、製造をする社長の高齢化に伴う身体の不調や機械の老朽化、駄菓子屋や問屋の閉店と時代の移り変わりがみられます。さらに、現代の子ども達の味覚の変化も感じられ、事業承継をすることなく2017年12月、創業70年を期にその幕を閉じました。

▷矢部の湯(やべのゆ)

1936年に銭湯を始め、1960年からは“有限会社矢部の湯”として法人化をした矢部の湯。
この頃は、親戚間だけでも数軒あったというほどに身近だった銭湯の存在でしたが、徐々に衰退していきました。矢部湯は戸塚区で唯一の銭湯でしたが、経営をする夫婦の高齢化や客の減少、燃料不足により2017年9月をもって廃業。昭和の名残が徐々になくなっていく街の中、矢部湯も時代の移り変わりと同時に閉店に至りました。

▷倒産・廃業のきっかけは後継者不在が大きい

経営者の高齢化に伴う後継者不在をきっかけとする倒産や廃業は、その他にも多く事例として残っています。
「時代が変わってしまったから」という考えもありますが、新たな形として事業承継をすることで、次世代にも想いが引き継がれ歴史として続いていくこともあります。長年培われた技術や、人々に愛されてきた商品、そして従業員や顧客。多くの価値と宝を失わないためにも、事業承継を前向きに考えることも大事なのではないでしょうか。

後継者不足への解決策

後継者不在で企業が倒産?後継者不足の原因と解決策とは

ここまでは、事業承継においての現状や事例について紹介してきました。
それでは実際に、後継者不足の問題に対して、どのように解決策を練っていけばよいのでしょうか。
3つのポイントに分けて解説をしていきます。

▷M&Aによる事業承継を行う

ここでのM&Aを活用した事業承継とは、会社の経営を他社へ引き継ぐことです。
合併と買収(Mergers&Acquisition)を意味するM&Aは、企業買収のイメージを強く持つ方も多いでしょう。

しかし、経営権の移籍・譲渡という広い範囲において、事業承継の意味合いもあります。
M&Aによる事業継承で最も大きなメリットは、幅広く後継者を探せること。親族や役員、従業員といった狭い中で後継者がいないことが多い中、経営経験を持つ後継者を選ぶことで安心感を得られます。後継者としても事業拡大の可能性が広がり、双方にとってのメリットが見込まれるでしょう。

ただし、経営理念や想いといったところまでを後継者が引き継ぐかどうかはわかりません。
また、役員や従業員が新体制になった際に戸惑うことも、容易に想像ができます。形だけの事業承継だけでなく、経営者と後継者で経営方針を一致させていくことが、会社の未来と従業員を守るためのポイントとなるでしょう。

▷早い段階から準備を始める

本記事の中で「早い段階から準備を」と繰り返し記述している通り、事業承継には十分な準備期間が必要とされます。
後継者の選定や育成から事業承継計画書の作成、運営・継承資金の調達や相続対策など、会社の運営をしながら少しずつ進めていくことが理想的です。特に親族間での事業承継を考えているのであれば、専門家に入ってもらうことで安心して準備を進められます。
準備期間が不十分なままでは、その後の業績にも関わるため、可能な限り早期の行動を起こしていきましょう。

▷企業の価値を高める

事業承継の成功に導くためには、企業の価値を高めておくことも重要なポイントです。
一番に取り組むべきなのが、自社の強みや会社の詳細な状況を把握しておくこと。経営者が会社の現状を把握できていないのは、珍しいことではありません。このように会社の経営状況を「見える化」することで、今後の課題も見えてきます。
課題に対しての取り組みや、強みを活かす会社になるためのアクションを起こすことを「磨き上げ」と呼び、これこそが企業の価値を高めることとなります。現経営者だけでなく、後継者とタッグを組んで企業の価値を高めることで、新しい挑戦やさらなる繁栄にもつながっていくでしょう。

まとめ

本記事では、事業継承における日本の現状や、その解決策を紹介しました。
経営者が変わりゆくということは、同時に世界情勢や経済状況も変わっていくということでもあります。後継者不足の問題を抱える中小企業の経営者は、先行き不安などの理由からすぐに廃業を決めず、まずは専門機関に相談することをおすすめします。
前向きな解決策や選択肢を持ち、いずれ来たるべき事業継承へ備えておきましょう。

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