業界毎の事例

2025/04/30

旅行会社・旅行代理店業界のM&A動向やメリット、買収・譲渡の事例を紹介

旅行会社・旅行代理店業界のM&A動向やメリット、買収・譲渡の事例を紹介

近年の旅行会社・旅行代理店業界においてM&Aは、業界内での競争や変化する顧客ニーズへの対応、人手不足の解消などを図る際の選択肢の1つとなっています。

M&Aによって事業規模を拡大して経営基盤を安定させるケースや、他業種の企業が持つノウハウを取り込んでシナジー効果を発揮するケースなど、M&Aを行う目的は様々です。新型コロナウイルスの影響を受けて以降、旅行会社・旅行代理店業界では実際にM&Aが複数行われています。
本記事では、旅行会社・旅行代理店業界のM&A・事業承継の動向やM&Aのメリット、買収・譲渡の事例を紹介します。

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旅行会社・旅行代理店業界の現状

旅行会社・旅行代理店業界はコロナ禍に大きな影響を受けた業界です。観光庁が公表したデータによると、主要旅行業者の2023年度(2023年4月~2024年3月分)の取扱額は約3兆6,337億円で、コロナ禍前の2019年度と比較すると約8割の水準まで回復しました。前年度の2022年度との比較では24.8%増加しています。

(単位:百万円)

2019年度2022年度2023年度
海外旅行1,791,985454,3151,069,935
国内旅行2,554,9092,391,0362,355,931
合計4,569,8872,911,2483,633,775
出典:国土交通省 観光庁「旅行業者取扱額

コロナ禍前の2019年度比で見ると、国内旅行が約9割の水準まで回復する一方、海外旅行は約6割の水準に留まっています。旅行会社・旅行代理店業界はコロナ禍に大きな影響を受けて以降回復基調にあるものの、コロナ禍前の水準には未だに戻っていない状況です。

旅行会社・旅行代理店業界におけるM&Aの現状と事例

コロナ禍に落ち込んだ旅行需要は回復基調にあるとはいえ、2023年度時点ではコロナ禍前の約8割の水準であり、旅行会社・旅行代理店は引き続き厳しい市場環境の中に置かれています。そこで、事業を継続し事業基盤をより安定させるための1つの手段として、M&Aの需要が増加しています。

また、時代の変化とともに顧客ニーズが変化している点も、現在の旅行会社・旅行代理店業界において特筆すべき点の1つです。

個人旅行客は近年、旅行会社や旅行代理店が提供するパッケージ商品を利用せず、旅行者自身で宿泊先と交通手段を別々に予約するケースも多くなっています。そのような中で、旅行会社・旅行代理店が顧客ニーズに対応するためにM&Aを行う事例も見られます。

以下では、旅行会社・旅行代理店業界で近年行われた主なM&Aの事例を紹介します。

株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)

2024年8月30日、株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)は、株式会社デベロップの発行済株式のうち議決権割合20.21%を取得し、持分法適用会社化することを発表しました。

インバウンド需要の急激な回復により、特定地域に旅行客が集中するオーバーツーリズムの問題や地方における宿泊施設の不足などの課題がある中、大手旅行会社HISが持つネットワークとデベロップ社の展開するコンテナホテルが結び付くことで、これらの課題解決に資することが期待されています。

株式会社エアトリ

2024年4月30日、旅行事業やITオフショア開発事業などを手がける株式会社エアトリは、株式会社GROWTHの株式を取得して子会社化することを発表しました。

株式会社GROWTHは、フリーランスや副業人材と企業をつなぐマーケティング領域特化型ジョブマッチングプラットフォーム『JOB DESIGN』を展開し、インターネット広告事業やブランド事業を行っている企業です。

株式会社エアトリは、株式会社GROWTHを子会社化することで新規事業「マッチングプラットフォーム事業」を開始し、エアトリグループ各社やエアトリCVC 投資先とのシナジー創出によるさらなる事業成長が期待されています。

株式会社令和トラベル

2023年12月20日、令和トラベルはハワイのAloha7 Inc.の全株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。

令和トラベルは、海外旅行の航空券とホテルがセットになったパッケージツアーや海外ホテルを予約できるサービスを提供している企業です。ハワイのホテルとの信頼関係を持つAloha7 Inc.をグループに加えることで、より充実した海外旅行サービスの提供が期待されています。

旅行会社・旅行代理店がM&A・事業承継を行うメリット

M&A・事業承継には様々なメリットがあります。旅行会社・旅行代理店がM&A・事業承継を行うメリットについて、以下では買収側・売却側それぞれの視点で紹介します。

買収側のメリット

買収側から見た場合のM&A・事業承継の主なメリットは以下の3つです。

1. 事業規模の拡大
2. 既存企業のノウハウ・ネットワークの獲得
3. 短期間での新規事業参入

1. 事業規模の拡大

合併や事業譲渡などによって他の旅行会社や旅行代理店を買収すれば、事業規模を拡大でき、事業基盤のさらなる安定化が可能となります。

国内旅行を得意とする旅行会社や海外旅行に強い旅行会社、ある地域や年齢層をはじめとした特定のターゲット層に強みを持つ旅行代理店など、得意とする分野は企業ごとに様々です。

M&Aによって自社にはない強みを持つ旅行会社・旅行代理店を買収することで、新たな顧客を取り込み、事業規模拡大が図れます。

2. 既存企業のノウハウ・ネットワークの獲得

他社を買収すると、買収先企業が長年の事業活動で培ってきたノウハウや取引先・顧客とのネットワークを取り込むことも可能です。

さらに、条件によってはノウハウやスキルを持つ優秀な人材も引き継ぐことができます。そのため、一から従業員を採用したり人材育成したりする場合と比べ、短期間での事業拡大が可能となり、旅行需要や旅行者のニーズの変化にも素早く対応できます。

3. 短期間での新規事業参入

旅行会社・旅行代理店業界に他業種の企業が新規参入する場合は、一から事業を立ち上げる必要があり、時間がかかります。ノウハウやスキルの蓄積、顧客との信頼関係・ネットワークなどの構築は短期間で簡単にできるものではありません。

そこで、M&Aによって既存の旅行会社・旅行代理店を取り込むことができれば、比較的短期間で旅行業界に参入できます。また、旅行会社・旅行代理店と他業界の企業がM&A・事業承継によって結び付くことでシナジー効果が発揮される場合もあります。

売却側のメリット

売却側から見た場合のM&A・事業承継の主なメリットは以下の3つです。

1. 事業の継続・後継者問題の解決
2. 従業員の雇用維持
3. 売却益の獲得

1. 事業の継続・後継者問題の解決

売却側の企業の経営が厳しい場合でも、他の企業と合併し、企業が持つノウハウやネットワークを活用できる場があれば、経営効率が改善され事業継続可能性が高まります。また、M&Aによって資金力が豊富な企業の傘下に参入できれば、財務基盤も安定します。

さらに、M&Aによる事業承継は、後継者がいない旅行会社・旅行代理店にとって後継者問題を解決できる大きな手段です。後継者が不在で今のままでは廃業せざるを得ない場合でも、M&Aによって他企業に売却できれば事業を継続でき、長年かけて培った自社のノウハウや顧客とのネットワークを失わずに済みます。

2. 従業員の雇用維持

経営が立ち行かず廃業する場合は、廃業に伴い、従業員を解雇しなければいけません。しかし、M&Aによって事業を売却できれば従業員の雇用が継続できます。

さらに、M&Aでの買収後に従業員の雇用契約内容が見直され、買収先企業によっては従業員の待遇が向上する可能性もあります。

3. 売却益の獲得

事業を売却すると売却益として資金を得ることができ、新規事業や経営者の座を退いた後の生活資金として活用することができます。

例えば、複数事業を手掛ける企業が特定の事業に注力するため、グループ内の旅行会社や旅行代理店を他企業に事業譲渡するようなケースでは、旅行関連事業を売却することで組織のスリム化が可能となり、売却で得た資金を継続する事業に活用できます。

M&Aの主な相談先

旅行会社・旅行代理店業界のM&A動向やメリット、買収・譲渡の事例を紹介

M&Aを検討・実施する際は専門家に依頼することが一般的です。以下では、旅行会社・旅行代理店がM&Aを検討するときの主な相談先を紹介します。

M&A仲介会社

M&A仲介会社とは、譲渡企業と譲受企業の間に入ってM&Aの成立に向けたサポートを行う会社です。事前相談からM&A候補先の選定、企業評価、ノンネームシートや企業概要書の作成、基本合意書や最終契約書の締結までM&Aに関する一貫したサポートを行います。

M&Aを進めるにあたっては様々な手続きが必要になり、また会計・税務・法務など多岐にわたる知識と経験が必要です。専門知識と経験を持つM&A仲介会社に相談・依頼することで、M&Aの検討や成約に向けた手続きをスムーズに進められます。

公的機関(事業承継・引継ぎ支援センター)

「事業承継・引継ぎ支援センター」は国が設置している公的な相談窓口です。親族内への承継や第三者への承継など、中小企業の事業承継に関する相談に対応しています。

事業承継・引継ぎ支援センターは全国47都道府県に設置されており、無料で相談できます。中小企業診断士や金融機関OBなど経験豊富な事業承継のプロが在籍し、譲渡の進め方についてのアドバイスや譲渡先の紹介を行うとともに、譲渡条件のすり合わせや各種書類作成など必要な専門家の紹介を行っています。

金融機関(銀行・証券会社)

取引のある金融機関にM&Aの相談をすれば、自社の事業内容や財務状況を把握・理解しているため、自社の状況を踏まえたアドバイスやサポートを受けることができます。M&A以外の選択肢も含めた相談や検討ができ、買収資金や融資に関する相談も可能です。

M&A支援に力を入れている金融機関では、専門チームを設置しているケースや士業をはじめとした各種専門家の紹介を行っているケースもあります。

まとめ

M&Aは事業規模の拡大や新規参入、後継者問題への対応などを目的として実施されるケースが多く、近年、旅行会社・旅行代理店業界でも実際にM&Aが行われています。

買い手にとっては事業を強化できる点や既存企業のノウハウを獲得できる点がメリットであり、売り手にとっては事業の継続や従業員の雇用維持、売却益の獲得などがメリットです。

実際にM&Aを行う場合は、検討すべき事項や必要な手続きが多く、会計・税務・法務など専門知識も必要になることから、M&A仲介会社などの専門家に相談・依頼することが一般的です。

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