M&A 買い手

M&Aが企業の成長戦略などの一環として行われることが近年、増加しています。その背景には、買い手企業の事業の多角化や技術向上などのさまざまな目的があります。本記事では、買い手企業がどのような目的のためにM&Aを行うのか、どういったメリットがあるのかを事例とともに解説します。

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買い手の買収目的は、主に規模の経済性・事業の多角化・新規事業参入・技術力向上

買い手企業には主にどのような目的があるのか見ていきましょう。

事業内容の多角化、リスク分散(新規事業の買収)について

新たな事業展開のためにM&Aが活用されることも増加しています。その背景には、事業の多角化によってリスク分散ができることがあります。複数の事業を展開することで、社会情勢や業界動向の影響によって特定の事業の業績が芳しくない状況になっても、別事業で補完ができるからです。

また、M&Aによって新規事業を展開することで、自社で一から行うよりもスピーディーに立ち上げられます。M&Aでは多くの場合、売り手企業の優れた従業員を一挙に確保できるだけではなく、その事業のノウハウなどもあわせて獲得できるためです。

事業の強化、シナジー効果(関連事業の買収)について

上述の新規事業の立ち上げ以外でも、既存の事業に関する分野の企業を譲受けることも有効です。例えば、アパレル製造メーカーが販売店とM&Aをすることによって、製造から販売まで一貫して行うことができます。この場合、企業間でかかる手数料や販管費などのコスト削減が実現できます。

こうしたように複数の企業が一つになることで、単純な足し算以上の効果を発揮することを「シナジー効果」と呼びます。売り手企業を探す際は、どのようなシナジー効果が得られるのかを考えることでより有益なM&Aになります。

▷関連記事:譲渡企業側こそ意識しよう。企業選定で欠かせないポイント「シナジー効果」とは

事業の拡大、業界のシェア(既存事業の買収)について

既存事業の拡大にも、M&Aは多く活用されています。例えば、飲食店を展開する企業が飲食店を譲受けることなどが該当します。既存事業の拡大はシナジー効果の他にも業界内でのシェア拡大が得られるからです。

こうした既存事業と同じ事業のM&Aをすることで拡大をしてきた企業に日本たばこ産業株式会社があります。ロシアのたばこ会社のJSC Donskoy Tabakや、「Winston(ウィンストン)」などを展開する米国のRJRナビスコ社からたばこ事業などを譲受け、事業を拡大させてきました。

M&A 買い手

M&Aにおける買い手のメリットはさまざま

今までご紹介した目的以外にもM&Aにはさまざまなメリットがあります。ここではM&Aの買い手企業のメリットを紹介します。

経営資源が獲得できる(人、モノ、ノウハウ)

M&Aによって事業や企業を譲受けることで、当該事業の人材、モノ、ノウハウを一挙に得られます。それらを一朝一夕で築くことは難しいのが実態です。そのため、M&Aによって一挙に得られることはメリットになります。

リスク軽減(多角化、事業の強化、拡大)

事業の多角化、強化や拡大などが図れることもメリットになります。事業の規模が大きくなることでスケールメリット(規模の経済)が得られるのです。同一商品の大量仕入れによるコスト削減や、知名度向上による公告費用の削減などがスケールメリットによって得られます。

中小企業のM&Aのメリットについて(後継者問題など)

こうした買い手企業側のメリット以外にも、後継者不在の企業を譲受けることで、売り手企業を存続させることができるというメリットがあります。例えば、自社にとって重要な取引先が後継者不在によって廃業を考えているような場合、M&Aによって譲受けることで後継者不在の売り手企業を存続できるのです。

▷関連記事:中小企業を廃業から救う「事業承継」にM&Aを使うメリット

買い手のデメリットと回避策

メリットの一方で、デメリットも存在します。デメリットを理解した上で、M&Aの検討段階から対応策を考えて進めましょう。

時間とコストについて(人材の軋轢、組織統合など)

M&Aは最終契約を売り手企業と結ぶことで手続きそのものは完了します。しかし、M&Aの成約後にはPMI(Post Merger Integration)と呼ばれる両社の融合を進める必要があります。このPMIを上手く進められなかった場合、従業員の退職などが起きる可能性もあります。そのため、M&A後にどのようにPMIを進めるのかを早い段階から考えましょう。

▷関連記事:PMIとは?M&A成立後の統合プロセスについて株式譲渡を例に解説

シナジー効果について

M&Aによって得られるシナジー効果に関しても、M&A検討段階から洗い出しておきましょう。M&Aによって見込めるシナジーを考えずに進めてしまうと、相手企業を見つけることも難しくなるばかりではなく、M&Aに要した時間、コストに見合う効果が得られなくなることもあるでしょう。特に、どの企業とであればどのようなシナジーが見込めるのかを熟考し、相手探しをすることでスムーズにM&Aを進めることができます。

M&A 買い手

資金について

M&Aには譲渡の対価として支払う金銭などの他にも、M&Aアドバイザー、弁護士や税理士などの専門家への報酬、税金、登記費用や印紙代などの資金が必要になります。また、買い手企業はデューデリジェンス(Due Diligence)という売り手企業の調査費用も負担することが一般的です。こうしたM&Aの資金は高額になることも多いため、事前に自社の財務状況などを見直しておきましょう。

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買い手の成功事例について

昨今、M&Aを活用した経営は、大企業に限らず中小企業でも行われています。また、あらゆる業界で活発化しています。ここではイオン株式会社の事例を紹介します。

イオン株式会社

「近所のスーパーマーケットがイオンになった。」という経験をされた方も多いのではないでしょうか。それは、イオンがM&Aを行った影響かもしれません。

小売業界1位のイオンは2015年1月に株式会社ダイエーを株式交換によって完全子会社化しています。また、こうしたスーパーマーケット業以外にもM&Aを行っています。2014年11月にはドラッグストアである「ウェルシア」を運営するウェルシアホールディングスをTOBによって子会社化しています。

まとめ

経営戦略として注目されるようになったM&Aの、買い手企業に絞った目的に関して解説しました。買い手企業のM&Aの目的は、リスクの分散やシェアの拡大などが挙げられます。また、経営資源の獲得などのメリットとともに、M&Aにかかるコストなどのデメリットを考慮した上で、M&Aを進めるようにしましょう。

M&Aは法務、税務や会計などの専門性の非常に高い知識が必要になります。不明点などがある場合は、M&Aアドバイザーなどの専門家に相談して進めることがお勧めです。