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2023/10/03

会計事務所業界のM&A|特徴や動向を紹介!メリットやスキームについても解説

会計事務所業界のM&A|特徴や動向を紹介!メリットやスキームについても解説

M&Aを活用して会計事務所の事業規模の拡大や人材不足解消を検討している方もいると思います。会計事務所業界のM&Aは現状安定していますが、高齢化の問題もあり今後は譲渡側と譲受側のバランスが崩れる可能性があるため、早めに検討しておいたほうが良いです。

しかし、会計事務所のM&Aを検討しているけれど、流れや方法がわからないという方もいるのではないでしょうか。
本記事では、会計事務所業界のM&Aの特徴や動向を紹介します。また、メリットやスキームについても解説しているので、参考にしてください。

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会計事務所業界のM&Aの特徴と動向

会計事務所は、会計や税務に関する業務、会計・経営のコンサルティングなどを請け負う事務所のことです。
近年、中小企業の経営者の高齢化が問題となっていますが、会計事務所業界でも高齢化が進んでいる傾向があります。「第6回税理士実態調査」の結果によると、税理士全体のうち60歳以上は過半数を超えています。

税理士の年齢別比率

そのため、会計事務所業界では将来的に後継者不足や人材不足となる可能性が懸念されています。
このような背景の中、会計事務所の譲渡を検討する代表が増えている一方で、人材の確保や事業規模の拡大などを目的として、M&Aの活用を検討する個人事務所や税理士法人も増えています。

ただし、現状では譲渡側、譲受側共に安定したニーズがあるものの、今後は税理士が資格業であることや少子高齢化によって、バランスが崩れて需要が減少する可能性があるので注意が必要でしょう。

会計事務所と税理士事務所・税理士法人との違い

会計事務所と税理士事務所は呼び方が異なるものの、両者の仕事内容に差異はなく、行う業務の内容をわかりやすくするために使い分けていることが多いです。
一般的に、税理士業務(税金に関するサービス)を中心に提供する場合は税理士事務所、税理士業務以外にも会計やコンサルティングなど幅広く提供する場合は会計事務所とすることが多いですが、どちらも税務業務を行うので、税理士登録が必要になります。

次に、会計事務所と税理士法人ですが、両者は以下のように組織形態が異なります。

・会計事務所:税理士が個人事業主として申請
・税理士法人:2人以上の税理士が所属し、「法人」としての形態を取っている

会計事務所や税理士事務所は、基本的に代表となる公認会計士や税理士が、個人事業主として申請しています。
一方、税理士法人は複数人の税理士が所属し、「法人」としての形態を取っています。つまり、税理士ではない従業員が何人いても税理士法人にはなりません。

会計事務所のM&Aのメリット

ここでは、会計事務所の譲渡・譲受にM&Aを活用するメリットを紹介します。譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)にわけて紹介するので、参考にしてください。

▷譲渡側のメリット

会計事務所のM&Aで譲渡側のメリットは以下のようになります。

・後継者問題の解決
・大手グループの傘下に入れば経営が安定する
・創業者利益を得ることができる

後継者問題に悩んでいる会計事務所の代表もいると考えられますが、M&Aを活用すればスムーズな世代交代が可能となり、問題も解消します。
また、譲受側が大手税理士法人の場合はグループの傘下に入ることができるため、経営が安定する可能性があります。経営基盤が安定することで、取引先にもより安心してもらえるでしょう。
さらに、M&Aが成立した場合は、創業者利益を得ることで、引退後やセカンドライフの資金とすることができます。

▷譲受側のメリット

会計事務所のM&Aで譲受側のメリットは以下のようになります。

・新しいエリアの開拓ができる
・事業規模の拡大につながる
・人材の確保ができる

譲受側は、まだ進出していない地域の会計事務所を譲受することで、スムーズに新規エリアの開拓、進出に着手できるだけではなく、グループ会社を増やすことにより少ないリスクかつ短期間での事業規模の拡大が実現できます。
また、経験や実績を積んだ優秀な人材を引き継いで確保できる点も、会計事務所としては大きなメリットといえるでしょう。

会計事務所のM&Aの注意点

次に、会計事務所のM&Aの注意点を紹介します。
特に譲受側に関係したものが多くなるため、M&Aを活用して会計事務所の譲受を考えている方は把握しておきましょう。

▷優秀な人材の流出が懸念される

会計事務所業界は今後、人材不足となる可能性も高く、優秀な人材は引く手数多です。したがってM&Aにより、職場環境や労働条件が変化した場合、譲渡側の従業員が退職するなど人材の流出が懸念されます。
先述しているように、譲受側がM&Aを活用するメリットの1つには、優秀な人材の確保が期待できる点が挙げられます。メリットを最大限活かすためにも、M&A後に人材が流出してしまうことがないように注意が必要となるでしょう。

▷顧客(顧問先)の契約解除

会計事務所の顧客(顧問先)は事務所の名前というより、税理士個人への信頼やつながりが強い傾向があります。譲渡側の代表や従業員の退職をきっかけに、顧問先から契約解除の旨が伝えられる可能性もあるので注意しましょう。
また、M&Aによってサービス内容が変わり、新しいサービスに不満を持ってしまったために契約を解除されるケースも考えられます。
そのため、M&Aを行う際は、既存の顧客情報やサービス内容をきちんと把握しておく必要があるでしょう。

会計事務所の譲渡・譲受でのM&A活用例

ここでは、会計事務所のM&Aの活用例を紹介します。譲渡側と譲受側の具体的な状況を記載し、イメージをしやすくしているので、参考にしてください。

①経験豊富な人材の確保と新たな分野への参入にM&Aを活用

譲渡側と譲受側の状況は以下のようになります。

譲渡側の状況・年齢的に体力、気力、経営力に限界を感じており、顧問先や従業員などに迷惑をかけてしまう前に事務所を譲渡したい
・引退は考えておらず、可能な範囲で税理士として現役を続けたい
譲受側の状況・税理士法人
・人脈と営業力を持った経験豊富な人材がほしい
・新たな分野への参入を検討しており、自社とは別分野の顧問先を抱えている会計事務所を探している

譲渡側の代表は、M&A後も社員税理士として無理のない範囲で現役を続ける意向がありました。
一方、譲受側の税理士法人は、譲渡側の代表の経験と新分野の訪問先を獲得できたというM&Aの成功事例です。

②大手税理士法人への譲渡で将来的な不安を解消

譲渡側と譲受側の状況は以下のようになります。

譲渡側の状況・まだ引退は考えていないが、後継者がおらず将来的な顧問先へのサービスの提供や事務所の運営に不安を感じている
・従業員の待遇は今まで通りを希望
譲受側の状況・税理士法人
・価額に見合った新規顧客の獲得と定着を希望
・M&Aにより従業員のモチベーションアップを図りたい

次は、譲渡側の代表が譲受側の大手税理士法人とM&A後も長く引き継ぎ期間を取ることで、お互いの希望を叶える例です。数年間の引き継ぎ期間で、譲受側は顧客の獲得と定着、従業員のモチベーションアップに成功しています。

③M&Aにより後継者未決定の問題を解消して引退

譲渡側と譲受側の状況は以下のようになります。

譲渡側の状況・引退を考えているが、後継者が未決定のため引退できない
・安心して引退するために、顧問先や従業員のことを考えてくれる事務所に譲渡したい
・従業員の待遇は今までの条件を継続希望
譲受側の状況・事務所の支店展開を考えており、地域に根付いた事務所を譲り受けたい
・既存の従業員にはそのまま残ってほしい
・指導者として、代表の方も可能な範囲で残ってほしい

譲渡側の代表は退職を考えていましたが、後継者が決まらず、従業員の雇用を守れないことに不安を解消したい例です。
M&Aの活用によって後継者未決定の問題を解決し、従業員の雇用も守れます。

会計事務所のM&Aスキーム

会計事務所業界のM&A|特徴や動向を紹介!メリットやスキームについても解説

会計事務所のM&Aの流れは、一般的なM&Aと同様で以下のようになります。

1:希望条件の整理
2:譲受側とのマッチング
3:契約の交渉、調整

まずは相談先を決定し、「M&Aが目的にあっているか」「希望する条件は何なのか」などを整理します。その後はマッチングを行い、ニーズがマッチすればトップ面談、基本合意となります。
基本合意後は、譲受側が譲渡側に対して、財務や法務・事業環境などのさまざまな調査を行うデューディリジェンスが実施され、最終契約となります。

▷会計事務所のM&Aでは事業譲渡が用いられる

一般的に、会計事務所は個人事業主が運営する事務所となるため、株式の発行がありません。そのため、一般的な企業のM&Aの手法で用いられることが多い株式譲渡は行えません。
したがって、会計事務所のM&Aでは事業譲渡の手法が用いられます。事業譲渡には、譲渡側が有している事業の一部のみを譲渡する「一部譲渡」と全ての事業を譲渡する「全部譲渡」があります。

また、事業譲渡は設備や不動産などの有形のものから、営業ノウハウのような知的財産や特許権などの無形のものまでが譲渡の対象で、個別承継となります。そのため、事業譲渡の手法を用いる際は、譲渡対象を決めなければならず、手続きも煩雑になります。加えて、事業譲渡では必要となる手続きや課税される税金の種類、リスクなども株式譲渡と異なるため、注意が必要となるでしょう。

会計事務所のM&Aを成功させるポイント

会計事務所のM&Aを成功させるには、以下のようなポイントがあります。ポイントをきちんと抑えてM&Aで失敗しないようにしましょう。

▷譲渡側の従業員や顧客への対応を考えておく

会計事務所のM&Aでは、M&Aによって事務所の環境が変わり、譲渡側の従業員が離れてしまう可能性があります。従業員にはM&A後の待遇やM&Aに至った経緯、理由、そしてその後も働いてほしい旨を真摯に伝えましょう。
また、会計事務所業界では、事務所の看板というより、税理士への信頼・つながりが重要となるため、M&Aによって顧客が離れてしまわないように譲渡側の代表に残ってもらうなどの対策を考えておく必要があります。

もしも、M&A成立と同時に譲渡側の代表が引退する場合は、あらかじめ顧客に説明、説得してもらうようにしましょう。それでも顧客が離れてしまうのを回避できない場合は、譲渡価額の変更なども検討しましょう。

▷信頼できるM&Aの相談先を見つけておく

M&Aでは幅広くかつ専門性の高い知識の他、豊富な経験が必要になります。さらに、会計事務所のM&Aは、一般的な企業のM&Aとはスキームも異なるため、信頼できる機関、専門家に依頼しましょう。

知識のないまま進めてしまうと、M&Aが失敗してしまう可能性もあるので、M&Aが成功する可能性を高めるためにも、専門家への相談をおすすめします。
fundbookでは、豊富な経験と幅広い知識を持ったアドバイザーが多数在籍しています。会計事務所のM&Aを検討している方は、ぜひfundbookにご相談ください。

まとめ

会計事務所業界のM&Aは、現状安定したニーズがあるものの、将来的には人材不足が懸念されており、譲渡したいけど譲受先が見つからないという可能性も考えられます。そのため、会計事務所のM&Aは、譲渡側と譲受側の需給バランスが取れている今の段階から、検討しておいたほうが良いでしょう。

また、M&Aの成功には幅広くかつ専門性の高い知識の他、豊富な経験が必要です。M&Aを検討しているなら、M&Aアドバイザーが在籍している仲介会社などの専門家に相談・依頼することをおすすめします。

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