借入金 M&A 連帯保証

多くの企業では借入れを行っており、場合によっては代表取締役がこれを連帯保証していることも多くあるのではないでしょうか。本記事では、借入金とはそもそも何を指すのかをご紹介し、M&Aの局面においての、借入れや連帯保証の取り扱い方についてご説明いたします。

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この記事を監修した専門家
弁護士法人法律事務所オーセンス  弁護士 髙橋直
弁護士 髙橋 直

千葉県弁護士会所属。早稲田大学法学部卒業。早稲田大学大学院法務研究科修了後、国家公務員総合職試験と司法試験に合格。弁護士法人法律事務所オーセンス入所。スタートアップのシード・アーリーステージを徹底支援するベンチャー企業法務をはじめ、一般企業法務、M&A・事業再編、労務問題等を積極的に担当している。

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目次

借入金とは?

借入金とは、借用証書を差し入れたり、金銭消費貸借契約を締結したりすることにより、金銭を借り入れたときの債務をいいます。その中でも、返済期限が決算日の翌日から1年以内に到来するものを短期借入金(流動負債)、1年を超えるものを長期借入金(固定負債)といいます。

従来の中小企業融資では、経営者の連帯保証が求められることが一般的でした。実際、中小企業のM&Aにおいても、対象会社の経営株主が取引金融機関に対して連帯保証を提供していることがほとんどです。

M&Aにおいて譲渡企業の借り入れや連帯保証の処理方法は非常に重要な問題です。譲渡企業のオーナーにとってはこの権利も譲受企業に継承することが理想ですが、今後の譲渡企業の取引金融機関との関係維持の要否を鑑みると、譲受企業にとっても決して軽視できません。

では、企業が借入れを行うメリットは何なのでしょうか。

企業が借入れを行うメリット・デメリット

借入金は負債を増やす方法のひとつ

まず、借入れを行うということは、負債を増やすということです。負債を増やすことでレバレッジをかけ、他人資本を梃にして自己資本の何倍もの資金を動かすことで大きなビジネスを実現する可能性を高めることができます。

また、レバレッジを効かせることによりROE(自己資本利益率)を高められます。

ROEは、投資家においても、企業が株主から信託された自己資本を使用し、どれだけ効率よく利益を得たかを示す指標であり、稼ぐ力と利益還元の両方の要素が、この指標に盛り込まれていることから非常に重要視されるものになります。

したがって、企業の稼ぐ力と利益還元の両方の要素の指標となるROEを高めるためのレバレッジを期待できる点が負債を増やすメリットとなります。

借入れを受けるためには連帯保証、および担保の差し入れが必要

他方で、負債を増やすデメリットとしては、金融機関から借入れを受けるためには、多くの場合、何らか担保を差し入れたり、経営者が連帯保証したりしなければならない点があります。また、例えば設備投資を行ったとしても、その効果がすぐさま現れるとは限りません。

それに対して、決まった期限で利息の支払いや元本の返済には決められた期限が定められているため、これもデメリットといえるでしょう。

企業が借入れを行うメリット・デメリット

資本を増やす・既存の資産を現金化する方法

借入れを行うことは資金調達の方法の1つですが、その他の資金調達の方法をいくつかご紹介します。

 ⑴ 新株を発行し資本を増やす

「資本を増やす」とは新たに株式を発行することをいいます。

新たな株式の発行の最大のメリットは、資本として調達した資金に対しては、返還義務を負わないことです。担保や信用力に乏しく、借入れを行うことが難しい会社にとっては、特に有用な方法といえます。

他方で、新たに株式を発行するデメリットとしては、発行した株式を引き受ける株主が、様々な株主権を有することになることです。具体的には、株主権には、株主自らの経済的利益に直接つながる自益権と、会社経営への参加を目的とする共益権があります。

新株の発行には、会社経営を行うにあたり様々なリスクがあります。そもそも新たな株式の発行で資金調達を行うことの必要性や、普通株式とは異なる内容の株式である種類株式の活用など、その検討には専門的な知見が必要ですので、詳しくは専門家にご相談されることをおすすめいたします。

 ⑵ 既存の資産の現金化

現在保有する資産を売って売却するなどし、それを資金化する方法が既存の資産の現金化です。

比較的早期かつ簡易的に資金調達ができる点や既存の資産の整理が行えます。

ただし、そもそも資金化するための資産がなければできないという点や、実際の価値に比して安価になる可能性がある点は注意が必要です。例えば、不動産や有価証券の売却の場合、売却損益に注意を要しますし、債権ファクタリング会社へ債権を譲渡する場合、実際の価値よりも安価になってしまいます。

このように、借入れをはじめとして資金調達の方法は数多く存在し、それぞれメリット・デメリットが存在するため、適切な方法を選択する必要があります。

資本を増やす・既存の資産を現金化する方法

M&Aにおいて会社の借入金や個人の連帯保証はどうなるのか?

株式譲渡によるM&Aの場合

株式譲渡の場合、法人格そのものが譲渡されるため、対象会社が負っている借入金は、そのまま対象会社の債務として引き継がれることになります。

▷関連記事:株式譲渡とは?M&Aの手法におけるメリットや仕訳、税金・消費税の手続きについて

経営株主個人の連帯保証

中小企業が金融機関から借入れを行う場合、経営株主が個人として連帯保証していることがほとんどです。また、これに伴って、経営株主の個人資産(自宅の不動産など)が担保に供されていることもあります。これら事業上の負債のために経営株主が負っている連帯保証や差し出している個人資産の担保は、M&Aによる株式譲渡に伴って、新経営者へ引き継ぎます。

ただし、新経営者への連帯保証人の書き換え申請は、株式譲渡と同時に行うことはできません。代表者変更登記が終わり、新しい登記簿謄本が取得できるようになって初めてできるようになります。

そのため、基本合意または株式譲渡契約を締結した段階で、予め、金融機関に株式譲渡後における保証解除について交渉しておき、保証解除に関する諸条件の内諾を得ておくといった手段が採られることがあります。

この場合、株式譲渡契約書上では、譲受企業のクロージング後の誓約事項として、➀保証解除に協力すること、及び➁仮に債権者より保証債務の履行請求がなされた場合には、買主の責任において処理することが規定される例が少なくありません。2013年12月に策定された「経営者保証に関するガイドライン」の浸透の影響もあり、保証契約の解除事例は増加傾向にあります。

もっとも、上述の方法をとると時間がかかるなどの理由から、株式譲渡と同時に、譲受企業が金融機関に一括返済するという方法で保証解除が図られることもあります。一括返済の場合、主債務の消滅により、保証債務もあわせて消滅することになります。

なお、借入と直接関係するわけではありませんが、経営株主個人の保証において忘れがちなのが、対象会社が取引先との間で締結している取引基本契約について個人として保証しているケースです。

取引基本契約の中で、経営株主が個人として保証しているものがないか、過去に締結した様々な契約を見返し、株式譲渡と同時にすべての保証契約が解除されるよう注意する必要があります。

まとめ

以上のとおり、借入れを含めた各種資金調達の方法には、それぞれメリット・デメリットがあるため、ご自身の企業の現状をよく分析していただき、適切な方法を選択していただく必要があります。また、M&Aの際には、経営株主個人による保証の解除が必要です。いずれも、適切な分析や専門的な知見が必要となりますので、弁護士、公認会計士、税理士等の専門家へご相談することが推奨されるものといえるでしょう。