帝国データバンクが発表する「全国企業「後継者不在率」動向調査」では、日本における2025年の後継者不在率は50.1%で、減少傾向が続いています。
血縁関係によらない役員・社員を登用した「内部昇格」が36.1%を占めるほか、社外の第三者を代表として迎える「外部招聘」や買収や出向を中心にした「M&Aほか」の割合も近年増加傾向にあり、引き続き事業承継の手法としてM&Aを選ぶ企業が増えていることがうかがえます。
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2026年1月|M&A事例
▷三菱商事によるAethonの買収
2026年1月、三菱グループの中核を担う三菱商事は米国の天然ガス開発会社であるエーソン(Aethon)とその関連会社を約1.2兆円で買収することを発表しました。
三菱商事は、この買収により北米における天然ガス・LNG(液化天然ガス)事業の収益基盤を強化し、今後は電力、データセンター、化学品事業など、他分野との連携も見据えた展開を計画していく方針です。
▷久光製薬のMBOによる非公開化
2026年1月、製薬大手の久光製薬は、創業家出身社長の資産管理会社であるタイヨー興産によるTOB(株式公開買付)を通じ、MBO(経営陣による買収)を実施して非公開化することを発表しました。
臨時株主総会を経て、東京証券取引所プライム市場などから上場廃止となることが予想されます。総額は約3,900億円となり、国内のMBOとしては大正製薬ホールディングスに次ぐ2番目の規模となります。久光製薬は、目先の株価にとらわれず、成長戦略の柱に据える海外展開を強化していきます。
2026年2月|M&A事例
▷住友林業によるTri Pointe Homesの買収
2026年2月、大手住宅メーカーの住友林業は、米国で戸建て住宅を展開する上場企業Tri Pointe Homes(トライ・ポイント・ホームズ:TPH社)を買収することを発表しました。
買収額は諸費用を含めて約6,300億〜6,500億円規模にのぼる同社にとって過去最大の買収となり、これまで住友林業が未進出だったカリフォルニア州やネバダ州といった有力市場へ強固な事業基盤を構築する狙いがあります。この買収により、住友林業グループの全米での住宅供給戸数は全米5位相当(約1万8,000戸)へと大きく跳ね上がることが予想されています。
▷キリンホールディングスによるウイスキーブランドの売却
2026年2月、大手飲料メーカーのキリンホールディングスは、バーボンウイスキー「フォアローゼズ」を製造・販売する米国子会社を、米ワイン大手の E. & J. Gallo Winery(E.&J.ガロワイナリー)へ売却することを発表しました。
国内外での若年層のアルコール離れや、健康意識の高まりに対応するため、より高い成長が期待できる 「ヘルスサイエンス(健康分野)」 に経営資源を集中させる狙いがあります。 売却後も当面の間、キリンは日本国内における「フォアローゼズ」ブランドの販売を継続し、好調な国産ウイスキーなどの事業は、今後もより強化していく方針です。
2026年3月|M&A事例
▷アポロ・グローバル・マネジメントによる日本板硝子の買収
2026年3月、米投資ファンドであるアポロ・グローバル・マネジメントは、日本の大手ガラスメーカーである日本板硝子を買収し、株式を非公開化することを発表しました。
取引金額は約5,900億円にのぼり、アポロにとって日本国内で過去最大の投資案件となります。日本板硝子へ総額3,000億円規模の支援を行い、同社の財務を立て直しやグローバルな成長を後押しを進める考えです。
▷コロワイドによるC-Unitedの買収
2026年3月、外食大手のコロワイドは、「カフェ・ベローチェ」や「珈琲館」などを運営するC-Unitedを買収することを発表しました。
コロナ禍以降に高まるカフェ需要を取り込み、主事業の居酒屋や焼肉などに続く新たな収益柱へ育てる方針です。グループが持つ食材調達力やデザート開発のノウハウをC-Unitedのブランドへ展開し、収益性のさらなる向上を目指していきます。
2026年4月|M&A事例
▷ディ・アイ・システムによるクエストコンサルティングの買収
2026年4月、ITインフラ構築を手掛けるディ・アイ・システムは、同社の連結子会社であるアスリーブレインズを通じて、人事コンサルティングなどを手掛けるクエストコンサルティングを買収することを発表しました。
ディ・アイ・システムは、この買収によりIT領域中心の教育事業からビジネス研修など非IT領域の研修を拡充し、教育事業での差別化や市場シェアの拡大を図りながら事業拡大を強化していきます。
▷ノジマによる日立グローバルライフソリューションズの買収
2026年4月、家電量販大手のノジマは、日立製作所の子会社である日立グローバルライフソリューションズ(日立GLS)の白物家電事業を買収することを発表しました。
買収額は約1,100億円となり、日立GLSが分社化する新会社の株式80.1%をノジマ側が取得します。小売側がメーカーの製造機能を傘下に収める動きは日本の家電・生活インフラ業界における歴史的な構造転換として大きな注目を集めています。両社はノジマが持つ顧客ニーズの理解と、日立のものづくりを掛け合わせれば、家電事業を新たなステージに上げることができる方針です。
2026年5月|M&A事例
▷EQTによるカカクコムの買収
2026年5月、スウェーデンの大手投資ファンドEQT(EQT AB)は、価格比較サイトや「食べログ」「求人ボックス」などを運営する株式会社カカクコムに対し、TOB(株式公開買付)を実施し、株式を非公開化すると発表しました。
カカクコムが持つ強固なブランド力や幅広いユーザー基盤は、海外投資家からも高く評価されています。今回の買収を通じて、国内のデジタル広告市場における競争激化や市場の成熟に対応する新たな成長戦略を模索し、EQTのグローバルなネットワークと経営資源を活用して海外展開や新規事業の加速を目指します。
▷オリンパスによるBioProtectの買収
2026年5月、医療機器メーカーのオリンパスは、イスラエルの医療機器メーカーBioProtect(バイオプロテクト)を買収することを発表しました。
2004年に設立されたバイオプロテクトは、外科手術などで健康な組織を保護する主力技術や製品を提供してきました。オリンパスは同社の技術を取り込むことで前立腺がん向け製品の拡充や泌尿器科の領域強化を目指しています。
2026年6月|M&A事例
▷ヤマダホールディングスとエディオンの経営統合
2026年6月、家電量販大手のヤマダホールディングスとエディオンは、持株会社方式による経営統合に向けた基本合意書を締結したことを発表しました。
両社が掲げる、規模を生かした共同仕入れによる調達コスト低減、顧客データの活用、PB・SPA商品の開発、リフォームの量販化に加え、全国配送網の強化とサプライチェーンの効率化へ繋げる方針です。
▷ジェイ・エス・ビー(JSB)のTOBによる非公開化
2026年6月、学生マンション管理・運営の最大手であるジェイ・エス・ビーは、米投資ファンドのウォーバーグ・ピンカスによるTOB(株式公開買付)を受け入れ、株式を非公開化することを発表しました。
今後は、東京・首都圏エリアでの新規物件開拓による管理戸数の拡大や、留学生向けマンション需要への対応に加え、成長市場である海外での学生専用住宅を軸とした事業展開の具体化などに取り組み、さらなる成長を図る方針です。
2026年7月|M&A事例
▷日本郵船によるNSユナイテッド海運の買収
2026年7月、大手総合海運・物流企業である日本郵船は、不定期船事業を主軸とするNSユナイテッド海運をTOB(株式公開買付け)により連結子会社化し、非公開化することを発表しました。
買収額は約1200億円が見込まれています。日本郵船は不定期船事業の一体化による配船の最適化やグループシナジーを追求する方針です。一方、日本製鉄は米鉄鋼大手USスチール買収等に伴う巨額投資が続く中で保有株式の一部を売却(自社株買いに応募)して資金を回収し、財務体質の強化を進める狙いがあります。
▷株式会社DDグループによるビッグゲート社の買収
2026年7月、飲食店事業を手掛けるDDグループは、ふるさと納税の中間事業者であるビッグゲートの買収を発表しました。
この買収により、DDグループは新体制のもと新たな事業の柱として「地域創生事業」を本格的に開始する方針です。外食事業を通じて培った店舗網およびマーケティングノウハウと、ビッグゲート社が持つ自治体ネットワークや現地型ふるさと納税決済システムの基盤を融合し、地方自治体が抱える課題解決や地域活性化へ繋げる考えです。
2026年8月|M&A事例
▷伊藤忠商事によるAviation Capital Group(ACG)への共同経営参画
2026年8月、伊藤忠商事株式会社は、米国の世界大手航空機リース会社であるAviation Capital Group LLC(ACG)の共同経営に参画することを発表しました。
伊藤忠商事は、東京センチュリーが発行する社債型種類株式100億円を引き受け、資本面での連携もより一層深めていく方針です。航空旅客需要の中長期的な拡大を背景に航空機リース市場の成長を見込み、同分野を重点的な成長領域と位置付けてプレゼンスの強化を目指します。
▷SRSホールディングス株式会社による株式会社京樽の買収
2026年8月、日本全国に約950店舗を展開するSRSホールディングスは、FOOD & LIFE COMPANIESの連結子会社である株式会社京樽を買収することを発表しました。
FOOD & LIFE COMPANIESおよび京樽のブランド力とSRSホールディングスの商品開発力・経営ノウハウの融合により、ブランド価値の向上と和食レストランの海外展開における店舗網の拡充、事業基盤の拡大を推進していく方針です。