業界毎の事例

2023/10/02

アプリのM&A事情を徹底解説|取引相場と事例も紹介

アプリのM&A事情を徹底解説|取引相場と事例も紹介

近年、スマホのゲームやキャッシュレス決済のアプリによるM&Aが活発化しています。そのため、人気のアプリを開発すれば、他社へM&Aで譲渡も可能です。採算性の悪いアプリを他社へ譲渡したいと考えている方もいるかもしれません。

また、「アプリ事業を買収したい」と考える方もいるでしょう。

ただ、アプリ業界でM&Aをした場合はどのくらいの譲渡額が得られるのか、どのようなM&A事例があるのか気になる方もいるでしょう。

この記事では、M&AアドバイザーがM&Aの3つのパターン、アプリのM&A事例、事業譲渡や株式譲渡のメリット・デメリットを解説します。

この記事を読めば、M&Aの動向や事例についてもわかるようになります。M&Aを検討する前に理解しておきましょう。

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アプリとは?

アプリとは「アプリケーションソフトウェア」の略称のことで、特定の目的を持って開発されたソフトウェアです。
アプリはWebアプリとネイティブアプリの2種類があります。

Webアプリ・・・Webで提供されるアプリケーション
ネイティブアプリ・・・スマホやパソコンなど端末が持つOSの機能を使って動かすアプリケーション

このうちスマホのアプリは多くの企業や個人によって開発されており、代表的なものを挙げると以下の用途に使われています。

・メール
・SNS
・ゲーム
・ショッピングアプリ

なお、アプリ市場で最も人気の高いのはゲームアプリです。
実際にAppStoreの売上ランキングでは、トップ10の大多数をゲームアプリが占めております。

アプリ関連M&Aの3つの買収パターン

一部のアプリ開発や運営を行う企業は、M&Aを行っています。M&Aと聞くと、他の企業がアプリを開発している企業を買収するイメージを持つのではないでしょうか?
ただし、アプリ関連のM&Aについては、全部で3つの買収パターンがあります。

①アプリのみがM&A対象
②アプリ開発会社がM&A対象
③開発・運営会社がM&A対象

順番にどのようなパターンなのか見ていきましょう。

①アプリのみがM&A対象

アプリ関連のM&Aのうち、アプリのみを対象にしているパターンがあります。このパターンでは、会社が抱えているアプリの一部もしくは全部のみを譲渡します。したがって、他の事業や従業員も丸ごと譲渡するわけではありません。

ただ、アプリのみのM&Aは活発化していないのが現状です。

その理由は、AppStoreやGooglePlayなどのプラットフォームがアップデートを行った場合、買い手が対応をしなければならないからです。

そのため、せっかく利益の出るアプリを買収しても、人材がいないために運営や保守コストで費用がかかり過ぎるケースになることもあります。

②アプリ開発会社がM&A対象

他アプリ開発会社をM&Aの対象とするパターンもあります。アプリ開発会社とは、自社サービスを提供したい企業から外注を受け、アプリを開発する会社です。

企業がアプリをリリースするためには、開発をしなければなりません。ただ、自社に開発のノウハウがなければ、いつまで経ってもリリースは難しいでしょう。

そこで、アプリ開発のノウハウを持っている制作会社を買収します。

③開発・運営会社がM&A対象

最後は、先ほどの開発のノウハウに加えて、アプリの運営のノウハウを持っているアプリの開発・運営会社をM&Aの対象とするパターンです。新たなアプリをリリースするためには、開発と運営のノウハウがかかります。ただ、自社にそのようなノウハウがなく時間的な余裕がない会社も多く存在します。特に中小企業は大手企業と比べると、資金力も少なく従業員をじっくり育成する時間もありません。

一番てっとり早い方法は、アプリの開発と運営のノウハウを持っている会社を買収すること。ノウハウが得られる上に、アプリを早くリリースできるので、迅速に売上を作りやすくなります。

アプリのM&Aの相場

他社に対して自社のアプリをどのくらいの価格でM&Aができるのか気になる方も多いのではないでしょうか?アプリをM&Aする場合、アプリのみを売却するケースと事業会社ごと売却するケースでは、それぞれ相場が異なります。
アプリのみを売却するケースでは、以下の情報を比較したり、他のアプリの売却額を参考にしたりして価格が決まります。

・ジャンル
・利用しているユーザー数
・アクティブユーザーの数

一方で、事業会社ごと売却する場合は、株式譲渡か事業譲渡かで相場が変わります。※計算の仕方は変わります。

譲渡の方法相場の計算式
・株式譲渡
・事業譲渡  
・時価純資産+営業利益+役員報酬の2〜5年分
・譲渡する資産+2〜5年分の事業利益※  

※事業利益とは営業利益に受取利息や配当金などを足した金額

たとえば、時価純資産が3,000万円、毎年の営業利益が1,000万円、役員報酬が500万円のケースで考えてみましょう。
このケースで株式譲渡をした場合、譲渡額は最低でも5,000万円(3,000万円、1,000万円、1,000万円(役員報酬2年分))です。
次に、譲渡する資産が2,000万円、事業利益が1年あたり500万円と仮定します。このケースで事業譲渡した場合の譲渡額は、最低でも3,000万円。
とはいえ、この計算例はあくまでも参考です。実際にM&Aを行う場合、譲渡するアプリの需要や買い手との交渉次第で、譲渡額は上下します。

アプリ関連M&Aの事例

M&Aを成功させてアプリを売却したい方も多くいるでしょう。M&Aを成功させるためには、過去にどのようなM&Aが行われたのかを知っておく必要があります。
そこでアプリのM&Aの事例について3つ紹介します。

・メルペイがOrigamiを完全子会社化
・アイモバイルによるオーテの完全子会社化
・毎日新聞が俳句てふてふを事業譲渡で取得

それぞれ解説していきます。

メルペイがORIGAMIを完全子会社化

2020年にスマホ決済サービスのメルペイが同業他社であるOrigamiを完全子会社化した事例です。
M&A当時、Origamiは同業他社との競争激化により資金が枯渇している状況でした。そのため、事業存続のために他社へのM&Aを検討し始めます。
一方で、メルペイ側は、顧客に対して独自の価値を提供して事業を成長するという目的でOrigamiの完全子会社化を決定しました。

アイモバイルによるオーテの完全子会社化

2019年にアイモバイルはオーテを完全子会社化すると発表しました。オーテはスマホゲームアプリの企画および開発や運営を行う会社です。
一方のアイモバイルは、アフィリエイト広告やふるさと納税事業を行う会社。
このM&Aは、インターネット広告に強いアイモバイルのノウハウをオーテの運営に利用することで、広告収入を上げるのが目的です。

毎日新聞が俳句てふてふを事業譲渡で取得

2018年、毎日新聞が俳句アプリ「俳句てふてふ」を事業譲渡で取得しました。
「俳句てふてふ」は、俳句を投稿し利用者同士でコミュニケーションが取れるアプリです。
毎日新聞の持つ資本や俳句業界との人脈で事業を伸ばすのが狙いです。

アプリのM&Aのメリット・デメリット

M&Aでアプリを譲渡する際、メリットだけでなくデメリットも発生します。アプリを譲渡する方法は以下の2種類。

・事業譲渡
・株式譲渡

そこでそれぞれの方法でM&Aを実施した場合のメリットとデメリットを見ていきましょう。

株式譲渡のメリット・デメリット

株式譲渡は、買い手に株式を売却して、経営権の譲渡あるいは経営に参画してもらう方法です。

株式譲渡をした場合の主なメリットは以下の2つ。

・手続きが簡単
・譲渡益の税金が低め

株式譲渡は、株式を譲渡するだけで会社の資産や権利を渡せます。加えて従業員や取引先、株主からの同意を得る必要もありません。

また、M&Aの売却益にかかる税金も抑えられます。

個人が譲渡した場合の税率は所得税や住民税として20.315%、法人が譲渡した場合の税率は法人実行税率として約30%がかかります。

事業譲渡をした場合の税率は法人実効税率約30%に加えて、消費税が10%かかるので、株式譲渡の方が税金を抑えられます。

一方で、株式譲渡にも3つのデメリットがあります。
・会社の経営権を失う
・負債額が多いと買い手がつかない
・不採算事業があると売却額が下がる

株式譲渡により株式の50%以上を売却した場合、その会社の経営権を失い経営への参加ができなくなります。

また、株式譲渡では買い手に負債を引き継いでもらうことも可能です。しかし、負債額が多すぎる場合、買い手がつきにくくなるので注意してください。

また、不採算事業があると売却額が下がります。

株式譲渡は、買い手がアプリの開発会社に魅力を持っているケースや資金調達が目的のケースに利用されやすいです。

事業譲渡のメリット・デメリット

次に事業譲渡のメリットとデメリットを解説します。事業譲渡の主なメリットは、3つ。
・譲渡したい事業を決められる
・売却した資産を他の事業に投入できる
・従業員を自社に残せる

事業譲渡をする場合、運営する事業の一部だけを譲渡可能です。たとえば、複数のアプリを開発している場合、採算が取れていないものだけ売却できます。
そして、売却して得られた資産を他の事業に投入できるので、会社全体の業績をアップできるかもしれません。
また、その際にアプリの開発や運営をしていた従業員を自社に残せます。
一方で、事業譲渡にも以下のデメリットがあるので、注意が必要です。

・手続きに手間がかかる
・譲渡した際の税金が他の方法よりも高い

事業譲渡をする場合、手続きに手間がかかります。事業譲渡では、売却したい資産(アプリなど)ごとにそれぞれ従業員や取引先からの同意が必要です。加えて株主総会の特別決議により株主の多くから承認を得なければなりません。
また、雇用契約については引き継がれないので、従業員と新たに契約を結ぶ手間もかかります。さらに事業譲渡のデメリットは、株式譲渡よりも、税金が高くなる点です。法人の場合、株式譲渡では約30%の法人税がかかりますが、事業譲渡では消費税も上乗せされます。さらに経営者個人に配当を渡した場合、配当益に最大55%の税率がかかります。
事業譲渡は個別に資産を売却できる方法なので、アプリのみをM&Aするケースで利用されやすいです。

アプリ業界のM&A動向

アプリ業界のM&A動向

アプリ業界では規模にかかわらず、多くの企業がM&Aを行っています。では、アプリ業界のM&Aの動向はどうなっているのでしょうか?

・アプリ業界の競争が激化している
・スタートアップやベンチャーなど中小規模の企業が多い
・個人が開発したアプリもM&A対象の可能性がある

それぞれ解説していきます。

アプリ業界の競争が激化している

近年スマホやタブレットの普及率増加に伴い、アプリを開発する企業は多くなっているため、競争は激化しています。
新型コロナウイルスの影響でゲームアプリの利用時間が増加し、キャッシュレス決済や証券会社のアプリでの競争が多くなりつつあります。実際に2021年7月に、大手IT企業のGoogleがスマホ決済のスタートアップ企業であるpringを買収しニュースとなりました。
また、スマホのアプリゲームを販売している企業の業績が軒並み好調です。実際『ウマ娘』を開発販売したサイバーエージェントや『パズル&ドラゴンズ』を販売しているガンホーなどは大幅に利益をアップさせています。
今後も、アプリ業界のM&Aの活発化が予想されます。

スタートアップやベンチャーなど中小規模の企業が多い

アプリ業界は他の業界と比較すると、大企業が少なく中小企業が多い傾向があります。
したがって、中小企業が事業拡大のためにM&Aを行ったり、大企業がアプリ開発のノウハウを持っている中小企業を買収したりしています。
また、アプリ開発のノウハウや魅力的なアイデアを持っているスタートアップ企業にM&Aを打診する大企業も存在します。

個人が開発したアプリもM&A対象の可能性がある

アプリ業界の競争が激化しているため、自分でアプリを開発してもM&Aの対象に選ばれるケースはほとんどありません。
しかし、ニッチなジャンルであれば、個人が開発したアプリでもM&Aの対象に含まれる可能性は十分あるでしょう。
そもそもアプリは、スキルがあれば個人でも作れます。人気の高いアプリを開発した結果、企業の目にとまり、売却できる場合もあります。

まとめ

アプリ関連でM&Aを行うパターンは、アプリのみ、アプリ開発会社、アプリの開発・運営会社の3つです。
M&Aを行う方法は、事業譲渡と株式譲渡がありますが、それぞれメリットやデメリットがあります。アプリのみを譲渡する場合は事業譲渡が利用されるケースが多くなります。一方でアプリの開発・運営会社を譲渡する場合は株式譲渡によりM&Aが行われるケースがほとんどです。
また、アプリ業界は、中小企業やスタートアップのM&Aが多い傾向があります。
採算が取れていないアプリがある場合や譲渡益を得たい場合は、M&Aを検討するのをおすすめします。
「アプリ事業をはじめたいが自社にノウハウがない」という場合は、アプリやアプリ会社を買収する選択肢もあります。
なお、アプリ業界のM&Aを検討されている方は、fundbookまでお問い合わせください。M&Aのプロフェッショナルが初回無料にてご相談を承っております。
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